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剣鬼 闘技祭準備編
陽光教会
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「……逃げられたか」
屋根の上を飛び移りながらレナは周囲の光景を確認し、消えた女騎士の姿を探す。チェーンの拘束を逃れるために手首と足首の肉を削ぎ落としたのは予想外だったが、傷を負った状態ならそれほど遠くには逃げられないはずだった。しかし、探しても女騎士の姿は見えず、仕方なくレナはアイリスと交信を行う。
『アイリス、あの女は?』
『残念ですが、他の仲間と合流して任務を失敗した事を王妃に報告に向かっています。今から追いかけても追いつけないでしょうね』
『くそっ……折角のチャンスだったのに。あのおじさんのせいだ』
『すいませんね。私がレナさんの未来を見れたらこんな事態にはならなかったのに』
『別にアイリスのせいじゃないよ』
狭間の管理者であるアイリスはこの世界の全ての出来事を把握できるが、元々は別の世界から訪れたレナに関しては未来は見えない。だからこそ彼に襲い掛かる出来事を察知する事は出来ず、ロウガの接近も気付けなかった。
『あのロウガはどうして俺を目の仇にするのかな』
『剣鬼だからですよ。剣鬼という存在は危険視されているんです』
『これ以上に不遇な渾名や職業はいらないよ』
『言われてみればレナさんの職業も能力も不遇な物ばかりですね』
雑談を行いながらもレナは時間が停止された空間の中で考え事を行い、このまま女騎士を追いかけるよりもギルドに尋ねる事が出来ないのかを考える。馬鹿正直にギルドの建物の正面玄関から訪れるよりも、屋根を移動して建物の内部に侵入する方が得策だと気付く。
『仕方ない……ギルドに戻るよ。何か情報を仕入れたら教えてよ』
『それはちょっと難しいですね。少し前までは私からも連絡できましたけど、夢の世界で会えるようになってからこちらの能力は消えちゃったんですよ』
『あ、だから最近は静かだったのか。知らなかった……』
少し前まではアイリス側からレナに連絡を行う事もあったが、現時点ではそちらの能力は扱えないらしく、レナの方から交信を行わないと連絡が取れないらしい。夢の世界で邂逅できるようになった幸いだが、今後はアイリスの助言はレナの方から交信を行わないと会話が出来ない事になる。
『じゃあ、俺はもう戻るよ。用事があったらメールしといて』
『いや、メルアド知らないんですけど』
『LINEかTwitterでもいいよ』
『もう直接電話しますよ』
交信を終えたレナは氷雨のギルドの建物に向かう途中、教会らしき建物を発見する。大勢の人間が押し寄せており、何やら扉の前で騒いでいた。
「なあっ!!ここにあのレミア将軍がいるんだろう!?一目でいいから会わせてくれよ!!」
「ですから困ります!!レミア様は今は祈祷中なのです!!邪魔をしてはいけません!!」
「でもよ、噂では絶世の美女なんだろう?頼むよ、本当に一目だけでも……」
「いい加減にしてください!!あまりにしつこいと警備兵に突き出しますよ!!」
教会の建物の屋根の上に移動したレナは扉の前で騒いでいる人々に視線を向け、話を聞く限りではこの街の住民がレミアという女性に会うために訪れてきたらしい。まるでアイドルを追いかけるファンのように大勢の人間が押し掛けており、教会の修道女が必死に彼等を宥めていた。
「あれ、レミアって……確か大将軍の一人だよな?」
そのまま立ち去ろうとしたレナはレミアという名前に聞き覚えがある事を思い出し、先ほどまで存在した宿屋でアイリスが教えてくれた王国の大将軍の一人である事に気付く。どうやら冒険都市に訪れていたらしく、教会内にて祈りを捧げているらしい。
「大将軍か……少し気になるな。もしかしたら闘技祭で戦うかも知れないし、顔だけでも確認しておくか」
王妃の口調では闘技祭に王国の大将軍も参加する事は確定事項であり、レミアが既に都市に訪れている事を考えれば彼女も闘技祭に参加する可能性はある。そう考えたレナは先ほど刺客から回収しておいたマントを身に着け、建物の二階の窓から中に入り込む。
「念のために隠密と無音歩行も発動しておくか……」
王妃の刺客が身に着けていたマントは動かない事で「擬態」の能力を発揮し、姿を隠す事が出来る。しかし、逆に言えば動いている間は効力を失うらしく、実際に戦闘の際にはレナは刺客の姿をはっきりと認識していた。姿を見られても問題ないように顔までマントで覆い隠し、極力気配を殺して建物を移動する。
(こっちに行けばいいのかな……お、正解みたいだ)
適当に通路を進んでいると階段を発見し、そのまま降ると祭壇と思われる場所に到着した。祭壇は天使のように羽根が生えた美しい女性が描かれた巨大なステンドグラスが存在し、女性の両手には太陽を想像させる紋様が収まっていた。
(これがこの世界の神様なのか……アイリスと少し似ているのは偶然かな?)
ステンドグラスの女性の姿にアイリスの面影を感じ取り、レナは不思議に思いながらも他の場所の様子を伺う。祭壇には数人の修道女の姿が存在し、そして壁際のステンドグラスの前には全身を白色のローブで包み隠した女性が立っていた。
屋根の上を飛び移りながらレナは周囲の光景を確認し、消えた女騎士の姿を探す。チェーンの拘束を逃れるために手首と足首の肉を削ぎ落としたのは予想外だったが、傷を負った状態ならそれほど遠くには逃げられないはずだった。しかし、探しても女騎士の姿は見えず、仕方なくレナはアイリスと交信を行う。
『アイリス、あの女は?』
『残念ですが、他の仲間と合流して任務を失敗した事を王妃に報告に向かっています。今から追いかけても追いつけないでしょうね』
『くそっ……折角のチャンスだったのに。あのおじさんのせいだ』
『すいませんね。私がレナさんの未来を見れたらこんな事態にはならなかったのに』
『別にアイリスのせいじゃないよ』
狭間の管理者であるアイリスはこの世界の全ての出来事を把握できるが、元々は別の世界から訪れたレナに関しては未来は見えない。だからこそ彼に襲い掛かる出来事を察知する事は出来ず、ロウガの接近も気付けなかった。
『あのロウガはどうして俺を目の仇にするのかな』
『剣鬼だからですよ。剣鬼という存在は危険視されているんです』
『これ以上に不遇な渾名や職業はいらないよ』
『言われてみればレナさんの職業も能力も不遇な物ばかりですね』
雑談を行いながらもレナは時間が停止された空間の中で考え事を行い、このまま女騎士を追いかけるよりもギルドに尋ねる事が出来ないのかを考える。馬鹿正直にギルドの建物の正面玄関から訪れるよりも、屋根を移動して建物の内部に侵入する方が得策だと気付く。
『仕方ない……ギルドに戻るよ。何か情報を仕入れたら教えてよ』
『それはちょっと難しいですね。少し前までは私からも連絡できましたけど、夢の世界で会えるようになってからこちらの能力は消えちゃったんですよ』
『あ、だから最近は静かだったのか。知らなかった……』
少し前まではアイリス側からレナに連絡を行う事もあったが、現時点ではそちらの能力は扱えないらしく、レナの方から交信を行わないと連絡が取れないらしい。夢の世界で邂逅できるようになった幸いだが、今後はアイリスの助言はレナの方から交信を行わないと会話が出来ない事になる。
『じゃあ、俺はもう戻るよ。用事があったらメールしといて』
『いや、メルアド知らないんですけど』
『LINEかTwitterでもいいよ』
『もう直接電話しますよ』
交信を終えたレナは氷雨のギルドの建物に向かう途中、教会らしき建物を発見する。大勢の人間が押し寄せており、何やら扉の前で騒いでいた。
「なあっ!!ここにあのレミア将軍がいるんだろう!?一目でいいから会わせてくれよ!!」
「ですから困ります!!レミア様は今は祈祷中なのです!!邪魔をしてはいけません!!」
「でもよ、噂では絶世の美女なんだろう?頼むよ、本当に一目だけでも……」
「いい加減にしてください!!あまりにしつこいと警備兵に突き出しますよ!!」
教会の建物の屋根の上に移動したレナは扉の前で騒いでいる人々に視線を向け、話を聞く限りではこの街の住民がレミアという女性に会うために訪れてきたらしい。まるでアイドルを追いかけるファンのように大勢の人間が押し掛けており、教会の修道女が必死に彼等を宥めていた。
「あれ、レミアって……確か大将軍の一人だよな?」
そのまま立ち去ろうとしたレナはレミアという名前に聞き覚えがある事を思い出し、先ほどまで存在した宿屋でアイリスが教えてくれた王国の大将軍の一人である事に気付く。どうやら冒険都市に訪れていたらしく、教会内にて祈りを捧げているらしい。
「大将軍か……少し気になるな。もしかしたら闘技祭で戦うかも知れないし、顔だけでも確認しておくか」
王妃の口調では闘技祭に王国の大将軍も参加する事は確定事項であり、レミアが既に都市に訪れている事を考えれば彼女も闘技祭に参加する可能性はある。そう考えたレナは先ほど刺客から回収しておいたマントを身に着け、建物の二階の窓から中に入り込む。
「念のために隠密と無音歩行も発動しておくか……」
王妃の刺客が身に着けていたマントは動かない事で「擬態」の能力を発揮し、姿を隠す事が出来る。しかし、逆に言えば動いている間は効力を失うらしく、実際に戦闘の際にはレナは刺客の姿をはっきりと認識していた。姿を見られても問題ないように顔までマントで覆い隠し、極力気配を殺して建物を移動する。
(こっちに行けばいいのかな……お、正解みたいだ)
適当に通路を進んでいると階段を発見し、そのまま降ると祭壇と思われる場所に到着した。祭壇は天使のように羽根が生えた美しい女性が描かれた巨大なステンドグラスが存在し、女性の両手には太陽を想像させる紋様が収まっていた。
(これがこの世界の神様なのか……アイリスと少し似ているのは偶然かな?)
ステンドグラスの女性の姿にアイリスの面影を感じ取り、レナは不思議に思いながらも他の場所の様子を伺う。祭壇には数人の修道女の姿が存在し、そして壁際のステンドグラスの前には全身を白色のローブで包み隠した女性が立っていた。
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