不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
264 / 2,091
闘技祭 決戦編

リンダの実力

しおりを挟む
――予選試合は順調に進み、昼の時刻を迎えようとする頃には半分近くの予選突破者が存在した。特等席には試合を終えた予選参加者の姿もあり、その中で予選を勝ち抜いた「15名」の参加者は午前最後の試合に注目していた。


『お待たせしました!!これより午前の部の予選最終試合を始めます!!試合終了後は1時間の休憩を挟み、午後の部を始めますのでご注意ください!!』
「もうそんなに時間が経っていたのか……昼はどうしようか?」
「なんか適当な物でも買ってここで過ごせばいいじゃねえか?まあ、間違っても俺達に真面な物を売ってくれるとは思わねえけどよ」
「その点は大丈夫でござる。後でうちの冒険者が差し入れを持ってきてくれる手筈でござる。皆の分も用意しているので安心して欲しいでござる」


闘技場に居る間は食事に関しても気を配る必要があり、間違っても闘技場内で販売している食料品は口に出来ない。警戒しすぎかもしれないが、用心は必要である。レナはハンゾウの話を聞いて彼女に振り返り、耳元で囁く。


「最初の試合に出ていた仮面の人はどうなったか調べてくれた?」
「あの女剣士でござるな?レナ殿に頼まれて拙者も調べて見たでござるが、既に闘技場にはいない様でござるが……何か気になるのでござるか?」
「うん、まあ気になるというか……何か知り合いと似ているんだよね」


確証は持てないがレナは最初の試合に出場した仮面の女剣士の事が気にかかり、本当ならばアイリスに相談して彼女の正体を探りたい所だが、現在はとある事情で彼女と交信ができない。なのでハンゾウに調査を依頼したのだが、既に闘技場を立ち去っているのかハンゾウでも居場所は掴めなかったという。


「そういえば先ほど、バル殿とマリア殿も見かけたでござる。何故か人気の無い場所でバル殿が正座してマリア殿に怒られていたでござる」
「え?あの二人も来てるの!?観客席で見かけなかったからチケット買い忘れていたのかと思ってた……」
「それはないでござるよ……というか、仮にも冒険都市の管理者の席を用意しないのはおかしいでござる」
「王妃の陰湿な嫌がらせなら有り得そうじゃん」
「それは否定しにくいでござるが……」


マリアが観客席の前売り券購入するために並んでいるところ、王妃が売り子になって彼女の番が回ってきたときに前売り券を完売した事を伝える光景を想像し、レナはちょっと噴き出してしまう。そんな彼にハンゾウは訝し気な表情を浮かべながらも試合場を指差す。


「ほら、話している間に試合に選手が集まっているござるよ。おおっ!!あれはリンダ殿でござる!!」
「あ、本当だ。リンダさんが出場するのか……そういえば午後の部に出場する選手はどうするんだろう。試合場で待機のまま?」
「それはないと思うでござるが……ぬう?おかしいでござるな」
「どうかした?」
「いや、残りの選手の中にハヤテ殿の姿が……」
『では試合を開始します!!午前の部、最終試合……始めっ!!』


ハンゾウが言葉を言い終える前にラビットの開始の合図が響き渡り、レナは試合場に集中する。出場選手の中で顔見知りはリンダだけだが、彼女の他に存在するのは全員が巨人族だった。


「ぬおおおっ!!」


最初に動いたのは鎧を身に纏い、巨大な斧を抱えた巨人であり、リンダに向けて駆け出す。自分に接近する巨人に視線を向けたリンダは右足を前に出すと、巨人との距離が2メートルにまで迫ると彼女は地面を強く踏み込む。


「はっ!!」
「うおおっ!?」


リンダの右足の裏から強烈な衝撃が地面に伝わり、振動と化して巨人の身体を浮き上がらせる。巨人は体勢を保てずに前のめりに倒れ込み、それを確認したリンダは両手を差し出して自分の元へ倒れてくる巨人に得意とする戦技を放つ。


「発徑!!」
「ぐおおっ!?」


相手に触れた状態で外側ではなく、内側に衝撃を与える戦技が発動させ、リンダは頑丈な鎧に守られている巨人を吹き飛ばす。鎧に包まれていようと彼女の発徑を防ぐ事は出来ず、巨人は泡を噴いて倒れこみ、気絶してしまう。その光景に観客は圧倒され、何が起きたのか理解するのに時間が掛かった。


「す、凄まじいでござるな……あれがリンダ殿の発徑でござるか」
「傭兵仲間にも格闘家の職業の人間はいるけど、あれほど凄まじい威力の発徑は見た事ないわ」


ハンゾウは試合場の光景に冷や汗を流し、何時の間にかレナの隣に立っていたシズネも驚いた表情を浮かべる。その一方でリンダの実力を知っているレナとシュンは黙って彼女の姿を観察し、協力関係を築いているとはいえ、本戦で戦う可能性がある以上はリンダの実力を測る必要がある。


「ふうっ……」


試合開始早々に巨人の一人を打ち倒したリンダは残りの二人の巨人に視線を向けようとした時、既に試合場の反対側の方でも巨人同士が激戦を繰り広げている事に気付く。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。