不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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闘技祭 決戦編

アカイとミドル

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――無事に地下の選手控室から抜け出したレナ達は通路を移動し、ティナが他の家族と共に待機していた客室に続く通路に到着する。これまでに何度か兵士とすれ違ったが正体を気付かれる事はなく、素通り出来た。


「ぷるっ、ぷるっ、ぷるっるるっるるっるるる~んっ……」
「スラミン少し静かにして……というかその音程、何処かで聞いたような気がする」
「分裂しすぎて不安定になっている……早く戻した方が良い」
「そうは言われても……流石にここを通るのは難しそうでござるよ」


曲がり角からレナ達はヨツバ王国の一行が休んでいる客室に繋がる通路を確認する。予想通り、王国の兵士達が大量に配備されており、更にヨツバ王国の騎士達も存在した。


「おい!!まだ姫様は見つからないのか!!」
「そこを退け!!我々が捜索する!!」
「お、お待ちください!!今は闘技場内の兵士を総動員させて消えたティナ姫様をお探ししていますから……」
「貴様等に命令される筋合いはない!!そこを退けっ!!」


ヨツバ王国の騎士達も異変に気付いているらしく、姿を消したティナを捜索を行おうとするが王国の兵士達が慌てて立ち塞がる。騎士達は今にも剣を抜きそうな勢いだったが、王国兵をかき分けてミドルが姿を現す。


「落ち着いて下さい。お気持ちは分かりますが、ここは王国が管理する施設です。ここは我々に任せて皆様は待機してください」
「お前等など信用できん!!我々にも捜索させろ!!」
「それは出来ません。部外者に勝手に行動されるとこちらの調査に支障が出る可能性もあります。どうか賢明な判断を……」
「貴様……!!」
「もういい、止めろ」


大将軍であるミドルが頭を下げるとヨツバ王国の騎士達の中から「四騎士」のアカイが姿を現し、彼は予選の前半戦には出場していなかったので休憩中の間に王族の客室に戻っていたらしい。アカイは怒り狂う騎士達を宥め、ミドルに振り返る。


「確かに我々はこの建物の構造は理解していない。そちらが捜索してくれるというのならば大人しくしよう……しかし、もしもお前達が姫様を見つけ出さなければ容赦せんぞ」
「……その言葉、しかと胸に刻みます」


アカイの言葉にミドルは無表情で承諾し、兵士達に指示を与える。その様子を伺っていたレナ達は兵士達が自分達の元に訪れる前に避難することにした。


「皆、早くこの中に入って」


レナは掌を突き出して「空間魔法」を発動させると、人間が通れる程の規模の黒色の渦巻きを誕生させ、皆に中に入るように促す。


「ほ、本当に入って大丈夫なんですか?」
「間違って異空間に収納されないか不安でござる……」
「ううっ……暗いの怖いよ」
「……お先にどうぞ」
「いいから早く入ってよ」


兵士達の足音が接近している事に気付き、レナは4人を渦巻きの中に入るように急かす。意を決して最初にエリナが入り、続いて彼女の手を繋いだティナも入ると、スラミンを頭に乗せたコトミンが入った後にハンゾウも入る。全員が入ったのを確認するとレナは背後から聞こえる兵士の足跡を耳にしながらも自分の渦巻きの中に飛び込む――




――次の瞬間、レナ達の視界に選手の控室に通じる階段が映し出される。レナは背後を確認すると自分が展開した空間魔法の「黒渦」が残っている事に気付き、即座に消失させた。


「うわっ!?本当に移動出来た……凄いっすね!!」
「ふぇ~……レナたんすっごい!!」
「一瞬で離れた場所へ移動できるとは……これがレナ殿の空間魔法でござるか」
「これは便利……どうしてもっと早く使わなかったの?」
「結構疲れるんだよこれ……魔力の消耗量も大きいし」


レナが使用したのは空間魔法を利用した移動法であり、大迷宮の第三階層に存在した古城に忍び込む際にも利用した移動法である。本来は異空間に物体を収納させる空間魔法だが、物体を移動させる際に発生する「黒渦」を利用すれば今の様に別の場所に移動する事も出来る。

空間魔法や収納魔法を発動させる時に生じる「黒渦」は闇属性の魔法であり、あらゆる物体を異空間に収納させる能力である。しかし、レナの場合は空間魔法に能力が進化した際に新たな利用法を発見し、それは2つの「黒渦」を作り出せば生物でも異空間を通過して別の場所に移動出来る方法を見つけた。

先程レナ達が別の通路から一瞬にして選手控室に続く階段の前に移動出来たのは、事前にレナがこの階段の前に空間魔法で生み出した黒渦を設置したからであり、別の場所で生み出した黒渦を利用してこの場所に戻った事になる。つまり黒渦は単体の場合だと異空間に物体を収納する事しか出来ないが、黒渦を二つ以上発生させた場合は黒渦同士に繋がりが生まれ、今の様に黒渦を通過すれば別の場所に設置した黒渦に移動出来る。

この方法をレナが思いついたのは偶然だが、何度も実験を重ねて安全性は確かめられており、これで黒渦を利用すれば遠距離だろうと一瞬で移動が可能になった。しかし、空間魔法を解除すると当然だが別の場所に設置した黒渦も解除されてしまうので常時発動しなければこの移動法は扱えず、ただでさえ収納魔法よりも魔力消費量が激しい空間魔法を維持し続けるのはレナの肉体に負担が大きいという弱点もあるが。
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