不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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都市崩壊編

ジダンの異変

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「ウル、ちょっと下に降りて」
「ウォンッ?」


レナの命令にウルは不思議そうな表情を浮かべながらも従い、地上の森人族達の元へ降り立つ。唐突に現れた白狼種にデブリ達は驚いた表情を浮かべ、咄嗟にジダンとノルは武器を構える。


「な、何者だ!!」
「敵ですのっ!?」
「あの……前に会った事を覚えてますか?」
「ぬっ、お主は……!?」


ウルの背中からレナが顔を見せると、全員が驚いた表情を浮かべる。以前にレナはデブリ達と宿屋で顔を合わせており、お互いの事情は知っているはずだが、ジダンは武器を下げずに質問を行う。


「お前は……確か、名前はレナだったな。ここで何をしている!!」
「あの……」
「落ち着くのだジダン……この者は敵ではない」


レナが事情を説明する前にデブリがジダンに武器を下げるように命じ、主君の命令にジダンは従う。しかし、警戒心は決して緩めずにレナを睨みつける。そんな彼の視線を浴びながらもレナは周囲を振り返り、倒れている騎士達の様子を伺う。


「ううっ……!!」
「ぐうっ……!?」
「……レナ、この人たちはまだ生きてる。でも、衰弱してる」
「これは……闇属性の魔法でやられたんじゃないのか?弱っているというより、生命力が低下しているんだ……このままだと死ぬかもしれない」
「そんなっ!?」


倒れている騎士達の様子をコトミンとダインが調べた所、兵士達は生きてはいるが非常に衰弱した状態であり、このまま放置すれば命は危うい。ダインの推察では闇属性の魔法の影響を受けて生命力(魔力)が一時的に低下しているらしく、このまま何も処置しなければいずれ死んでしまうと説明する。そんな彼の説明にノルは悲鳴を上げるが、デブリはダインの格好を見て彼闇魔導士だと見抜く。


「お主、もしかして闇魔導士か?という事は闇属性に関する魔法の知識もあるのだな?頼む、この者達を救う方法を教えてくれ!!」
「えっ!?いや、そんな事を言われても……」
「貴様、国王様の頼みを断る気か!?」
「ひいっ!?」
「止めろっ!!」


国王の言葉に戸惑うダインにジダンが剣を構えるが、レナが前に出てダインを庇う。しかし、そんな彼を見てジダンは苛立ちを隠さずに怒鳴りつける。


「貴様も何だその態度は!!お前もハヅキ家の人間ならば我が主君の命令を聞け!!」
「いや、そういわれても……」
「ふんっ!!これだから人間は愚かなのだ。貴様のような者に誇り高き森人族の血が流れていると考えるだけでも吐き気がする!!」
「ジダン、お主は急に何を言い出しておるのだ?」
「お父様の言う通りですわ……先ほどから少しおかしいですわよ?」


ジダンの言葉にデブリとノルは戸惑いの表情を浮かべ、レナ達も訝しむ。ジダンは確かに王国四騎士の中でも人間嫌いではあるが、この状況下で人間という理由だけでレナを乏しめる事に全員が彼に違和感を抱く。当の本人も自分が妙に興奮している事を自覚しているのか、その場で剣を手放して自分の頭を抑え込む。


「くっ……何だ、この頭痛と吐き気は……!?」
「ジダン?どうしたのだ?」
「気分が悪いのですか?」
「……下がって!!」


唐突に頭を抑えて膝を地面に付いたジダンを心配するようにデブリとノルが近づこうとしたとき、コトミンが普段の彼女らしからぬ切羽詰まった表情と声音で二人が離れるように告げる。彼女は周囲を見渡してダインの腰に装着している水筒に視線を向け、彼から水筒を奪い取る。


「これ、貰うっ」
「え、ちょっ……!?」
「コトミン?」


レナの応援のために客席で水分補給のために所持していた水筒を奪い取られたダインは驚くが、コトミンは水筒の蓋を開くとの中身の水を掌で受け止め、ジダンの顔に目掛けて腕を突き出す。


「ていっ」
「うぷぁっ!?」
「ぬおっ!?」
「きゃあっ!?」


ジダンの顔面にコトミンが払った水筒の水が衝突し、水飛沫がデブリとノルの元にまで届く。突然に水を掛けられたジダンは唖然とした表情を浮かべるが、直後に彼の身体から黒煙が舞い上がる。


「うぐぁっ……!?」
「こ、これは……何が起きておる!?」
「大丈夫ですの!?」
「問題ない……身体の中に潜り込んでいた不気味な魔力が漏れ出ているだけ」
「そ、そうか!!そういえば闇属性の魔法の中で相手の体内に闇の魔力を送り込んで精神を興奮かさせる魔法があると聞いた事があるような……」


どうやらジダンが妙に様子がおかしかったのはキラウの物と思われる闇属性の魔力がジダンの体内に送り込まれていたからであり、それにいち早く気づいたコトミンが彼女の魔法でジダンの肉体に宿っていた魔力を強制的に排除したという。


「ううっ……こ、国王様、申し訳ありません」
「おお、ジダンよ……正気に戻ったのだな」
「もう、心配しましたわ!!」


意識を取り戻したジダンは悲痛な表情を浮かべて国王に謝罪を行い、そんな彼の姿を見て皆が安心する。
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