不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
373 / 2,091
都市崩壊編

総力戦 その2

しおりを挟む
『オオオオッ……』


完全に視界が塞がれた地竜は暴れ回るが、一定の距離を保ってハンゾウとカゲマルは様子を伺い、市民が少ない場所へ誘導させる準備を行う。彼等の武器では地竜に致命傷は与えられず、魔法が扱える冒険者が到着するまで時間を稼ぐ必要があった。


「ハンゾウ、お前の手持ちはどの程度残っている?」
「生憎と殆ど使えそうな物はないでござる……このような事態に陥るならば「勝負服」を用意しておくべきだったでござる」
「仕方あるまい、誰もこんな事態を予想は出来ん」


ハンゾウの手持ちは紅桜しか持ち合わせておらず、彼女に尋ねたカゲマルも地竜に通用しそうな武器は使い果たした。二人は魔法の類は不得手としてるので攻撃魔法で注意を引くことも出来ず、接近して攻撃を仕掛けようにも派手に動き回る地竜に近寄るのは危険過ぎる。


「それにしても奴め、随分と暴れているな……街の住民には迷惑を掛ける」
「周囲に人の気配は感じないでござるが?」
「帰る家を失う人々に同情しているんだ……待て、これはどういう事だ?」
「どうかしたでござるか?」


視界が塞がれた事で混乱して暴れまわっていると思われた地竜の行動だが、カゲマルは違和感を抱く。地竜は建物を破壊する際、完全に粉々に砕けるまで破壊を行う。その後、原型を留めない程に破壊を確認した後、今度は別の建物を狙う。この行為自体は別におかしくはないが、まるで地竜は次に破壊する建物の位置を正確に把握しているように感じられた。


「どういう事だ?奴はどうやって建物の位置を把握している?」
「まさか、目が見えているのでは?」
「それは有り得ん。確かに奴の目は破壊したはず」
「ならばゴーレムやガーゴイルのように再生能力があるのでは?」
「いや、確かに地竜にも再生能力は備わっているだろう。だが、奴が口にした物は人工物の煉瓦だ。普通の岩石や土砂ではない……それに見た限りでは両目も破損した状態のままだ」


カゲマルは「鷹の目」と呼ばれる能力を発動させ、地竜の状態を確認した限りでは両目は再生しておらず、確実に視界は塞がれていた。カゲマルは注意深く観察を行うと、地竜の鼻が動いている事に気付き、嗅覚を利用して地竜が建物の位置を把握している事に気付く。


「奴め、嗅覚で位置を確認している!!外見は岩の塊のような生物だが、鼻も利くとは……」
「どうするのでござるか!?」
「奴の鼻を塞ぐしかあるまい……腐敗石は持ち合わせているか?」
「いや……だけど、心当たりはあるでござる!!」


ハンゾウは地竜が出現した大きな穴に視線を向け、彼女は過去にレナと共に冒険都市の下水道に訪れた事があり、下水道に設置された「消臭石」と呼ばれる魔石を思い出す。腐敗石の原料となる消臭石は悪臭を吸い上げる性質が存在し、これを利用して下水道の臭いの除去と腐敗石を生み出す事は彼女も知っている。


「下水道に忍びこめれば腐敗石も持ち帰れるでござる!!だけど、時間が掛かるでござる……」
「仕方ない、ここは俺がどうにかする!!お前は早く下水道に向かえ!!」
「承知!!」


カゲマルの言葉にハンゾウは即座に行動を開始すると、残されたカゲマルは地竜と向き合い、建物の屋根の上を駆け出す。彼の移動速度は白狼種であるウルさえも上回り、加速しながらもハンゾウは小太刀を握りしめ、地竜の背後に向けて跳躍した。


「喰らえっ!!」
『ウオオオッ!!』
「何っ!?」


だが、ハンゾウが背中に向けて飛び降りようとした瞬間、地竜は予測していたように顔を振り返り、口内から瓦礫を吐き出す。咄嗟にハンゾウは迫りくる無数の瓦礫に対して小太刀を構えて迎撃を行う。


「くっ……辻斬り!!」


空中で瓦礫をカゲマルは振り払うが、本来は闇討ちを使用する際に利用する戦技のため、先ほどのような大きな威力は引き出せない。それでも瓦礫を全て切り捨てながらカゲマルは地竜の背中に降り立とうとした時、唐突に地竜は身体を回転させて体勢を大きく変化させる。


『オアアッ!!』
「何だと!?」


地竜の背中に着地した瞬間、体勢が大きく傾いてカゲマルは危うく地上に振り落とされそうになったが、咄嗟に小太刀を甲羅に突き刺してどうにか落下を防ぐ。しかし、地竜はカゲマルを振り落とす度に派手に動き回り、カゲマルは小太刀を両手で握りしめながら落とされない様に耐え抜く。


(ぐっ……こいつ、俺の位置を完全に把握してるのか!?)


カゲマルの予測では地竜は嗅覚を利用して自分以外の存在を把握していると考えていた。しかし、だからこそカゲマルは風向きを計算して自分の臭いを悟られない様に地竜の背中から攻撃を仕掛けたのだが、どういう事なのか地竜は完璧にカゲマルの位置を把握して正確に口内の瓦礫を吐き出した。


(まさか、嗅覚以外に敵の位置を把握できるのか……!?)


小太刀にしがみ付きながらカゲマルは冷静に考え、視界が圧倒的に悪い地中の中を常に深く潜り進めながら生活を送る地竜の五感は侮れず、自分の位置が判明したのはカゲマルは「音」だと判断した。



※公開の投稿の10秒前

アイリス「くっくっくっ……刑務所内では模範囚として過ごしたおかげで警戒が薄くなり、簡単にこのボタンを手に入れました。今日は一気に5話分は押しますよ!!」(´ω`)ノ公開ボタン
カタナヅキ「や、止めろぉっ!!」(´Д`)出番減らして悪かったから!!
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。