473 / 2,091
放浪編
獣魔の森
しおりを挟む
――ハンググラインダーに乗り込んだレナは風の聖痕の力で自由自在に空を飛び、上空から地上の様子を伺う。既に街から出発して1時間以上は経過しており、地上の方では川を遡るように移動するコトミンと魚人の姿が存在した。
「シャオオッ!!」
「むう、中々早い……でも、人魚に勝てる魚人なんかいない」
「も、もっとゆっくり移動できないのか?」
レナは「遠視」と「観察眼」のスキルを同時に発動させて川の様子を伺うと、魚人とコトミンが競い合うように水中を泳ぎ、ゴンゾウが振り落とされないようにしがみついていた。既に1時間以上も泳いでいるがどちらも速度を落とす様子はなく、やがて目的地である森が見えてきた。
「あそこが獣魔の森か……深淵の森と少し雰囲気が似ているな」
川を遡った先には大きな森が広がり、街の人間からは「獣魔の森」と恐れられている森にレナ達は辿り着く。森の中には危険性の高い魔獣が多数生息している事から「獣魔」という名前が名付けられ、今現在では国によって立ち入る事が禁止されている危険区域である。
ハンググラインダーを加工させてレナはコトミン達と合流し、森の前で立ち止まる。ここから先は地上から川を遡らなければならず、コトミンが最初に転移したという遺跡まで案内を頼む。
「よし、久しぶりの冒険の気がする。皆、気を引き締めろ!!丸太は持ったか!?」
「お~」
「丸太……?」
「シャアッ?」
レナの言葉に反応したのはコトミンだけでゴンゾウと魚人は首を傾げるが、ここで魚人に名前がないと不便だと判断したレナは名前を付ける事にした。
「お前も名前がないと呼びにくいな……よし、今日からお前はマグロだ!!」
「シャアッ!?」
「美味しそうな名前……でも、不満そう」
「ならシャケにするか……」
「シャ、シャアアッ……」
「嫌がってるようだぞ」
次々と名付けられる名前に対して魚人は嫌がるように背ビレを動かし、3人が色々と名前を考えたが、結局は外見通りの名前を名付けた。
「なら……シャーク、いやまんまだな。シャークを少し変化させて……シークとかは?」
「シャアアッ!!」
「気に入ったみたい」
「シークか……シャアじゃダメなのか?」
「その名前はちょっと……」
シークと名付けられた魚人は嬉しそうに川の中を泳ぎ、自分の背中に乗るように促す。コトミンの話では滝が存在する場所までは川を移動する必要があるため、ゴンゾウは再びシークに乗り込むとコトミンがレナの腕を引く。
「レナも私に乗る……もしくは抱きしめて運んであげようか?」
「どっちも絵面がやばいから遠慮したいな……う~ん、でも川を移動した方が近道なんだよな」
「遠慮する事はない。乗って」
コトミンが若干興奮気味に川の中で腕を広げ、彼女の背中に乗るかあるいは正面から抱きしめて移動させてもらうか選択を迫られたレナは冷や汗を流す。どちらの方法も他人に見られると誤解される恐れがあるが、立ち入り禁止されている森の中ならば他人の目を気にする必要はないかもしれない。
実際の所、川を遡る方法が移籍に到着する最短距離である事は間違いなく、仕方なくレナは無駄な装備を外して異空間に収納すると、水の中に飛び込む。川の深さはレナの胸元まで存在し、水中には魚が泳いでいた。こんな状況でなければ魚釣りでも楽しみたいが、意を決してレナはコトミンの背中にしがみつく。
「よし、頼んだぞコトミン。俺の命はお前に預ける」
「任せて……どさくさに紛れておっぱいを揉んでもいいよ?」
「揉まねえよ」
しっかりとコトミンの身体にしがみつくと、レナはこの状況でコトミンの柔らかな感触を実感し、女の子である事を意識してしまう。コトミンもレナの方から抱き着いてきたことに嬉しそうな表情を浮かべ、アホ毛をぴくぴくと揺らす。
「じゃあ、全速力で向かう。途中で川が分かれているけど間違わずに付いてきて」
「川の中に魔物とかはいないの?」
「大丈夫、ここには人間を襲う水棲の魔物は見かけていない。でも、水を飲むために地上の魔物が川によりつく事はあるから気を付けて」
「最悪の場合は戦闘も考えないといけないのか……ゴンちゃんもシークも気を付けてね」
「分かった」
「シャアッ!!」
全員の準備が整うと川を逆流しての移動が再開され、振り落とされないようにレナとゴンゾウは二人にしがみつく。途中で何度か水を飲みに来た魔獣と遭遇するが、川の上を移動する人間と巨人族を見かけて驚きの声を上げる。
「ギイイッ!?」
「ウォンッ!?」
「キュイッ!?」
「ガアッ!?」
「へえ、本当に色々といるんだな……あれ?でもこいつらって……」
川の水を飲みに来たのはゴブリンやコボルト、一角兎や子供の赤毛熊である事に気付いたレナは違和感を抱き、どれも深淵の森に生息する種である事に気付く。ただの偶然なのか深淵の森と獣魔の森の環境が似通っているらしく、果てには樹精霊まで見かけた。
『おろ?人間さんだ~珍しいな~』
「あ、どうも……」
『じゃあね~』
木々の上だの上に人間の子供のような姿をした樹精霊がレナ達に気づくと手を振り、その様子を見たレナ達も手を振り返す。先を急ぐので話す暇はないが、樹精霊が存在する時点でこの森が普通ではない事は確かだった。
「シャオオッ!!」
「むう、中々早い……でも、人魚に勝てる魚人なんかいない」
「も、もっとゆっくり移動できないのか?」
レナは「遠視」と「観察眼」のスキルを同時に発動させて川の様子を伺うと、魚人とコトミンが競い合うように水中を泳ぎ、ゴンゾウが振り落とされないようにしがみついていた。既に1時間以上も泳いでいるがどちらも速度を落とす様子はなく、やがて目的地である森が見えてきた。
「あそこが獣魔の森か……深淵の森と少し雰囲気が似ているな」
川を遡った先には大きな森が広がり、街の人間からは「獣魔の森」と恐れられている森にレナ達は辿り着く。森の中には危険性の高い魔獣が多数生息している事から「獣魔」という名前が名付けられ、今現在では国によって立ち入る事が禁止されている危険区域である。
ハンググラインダーを加工させてレナはコトミン達と合流し、森の前で立ち止まる。ここから先は地上から川を遡らなければならず、コトミンが最初に転移したという遺跡まで案内を頼む。
「よし、久しぶりの冒険の気がする。皆、気を引き締めろ!!丸太は持ったか!?」
「お~」
「丸太……?」
「シャアッ?」
レナの言葉に反応したのはコトミンだけでゴンゾウと魚人は首を傾げるが、ここで魚人に名前がないと不便だと判断したレナは名前を付ける事にした。
「お前も名前がないと呼びにくいな……よし、今日からお前はマグロだ!!」
「シャアッ!?」
「美味しそうな名前……でも、不満そう」
「ならシャケにするか……」
「シャ、シャアアッ……」
「嫌がってるようだぞ」
次々と名付けられる名前に対して魚人は嫌がるように背ビレを動かし、3人が色々と名前を考えたが、結局は外見通りの名前を名付けた。
「なら……シャーク、いやまんまだな。シャークを少し変化させて……シークとかは?」
「シャアアッ!!」
「気に入ったみたい」
「シークか……シャアじゃダメなのか?」
「その名前はちょっと……」
シークと名付けられた魚人は嬉しそうに川の中を泳ぎ、自分の背中に乗るように促す。コトミンの話では滝が存在する場所までは川を移動する必要があるため、ゴンゾウは再びシークに乗り込むとコトミンがレナの腕を引く。
「レナも私に乗る……もしくは抱きしめて運んであげようか?」
「どっちも絵面がやばいから遠慮したいな……う~ん、でも川を移動した方が近道なんだよな」
「遠慮する事はない。乗って」
コトミンが若干興奮気味に川の中で腕を広げ、彼女の背中に乗るかあるいは正面から抱きしめて移動させてもらうか選択を迫られたレナは冷や汗を流す。どちらの方法も他人に見られると誤解される恐れがあるが、立ち入り禁止されている森の中ならば他人の目を気にする必要はないかもしれない。
実際の所、川を遡る方法が移籍に到着する最短距離である事は間違いなく、仕方なくレナは無駄な装備を外して異空間に収納すると、水の中に飛び込む。川の深さはレナの胸元まで存在し、水中には魚が泳いでいた。こんな状況でなければ魚釣りでも楽しみたいが、意を決してレナはコトミンの背中にしがみつく。
「よし、頼んだぞコトミン。俺の命はお前に預ける」
「任せて……どさくさに紛れておっぱいを揉んでもいいよ?」
「揉まねえよ」
しっかりとコトミンの身体にしがみつくと、レナはこの状況でコトミンの柔らかな感触を実感し、女の子である事を意識してしまう。コトミンもレナの方から抱き着いてきたことに嬉しそうな表情を浮かべ、アホ毛をぴくぴくと揺らす。
「じゃあ、全速力で向かう。途中で川が分かれているけど間違わずに付いてきて」
「川の中に魔物とかはいないの?」
「大丈夫、ここには人間を襲う水棲の魔物は見かけていない。でも、水を飲むために地上の魔物が川によりつく事はあるから気を付けて」
「最悪の場合は戦闘も考えないといけないのか……ゴンちゃんもシークも気を付けてね」
「分かった」
「シャアッ!!」
全員の準備が整うと川を逆流しての移動が再開され、振り落とされないようにレナとゴンゾウは二人にしがみつく。途中で何度か水を飲みに来た魔獣と遭遇するが、川の上を移動する人間と巨人族を見かけて驚きの声を上げる。
「ギイイッ!?」
「ウォンッ!?」
「キュイッ!?」
「ガアッ!?」
「へえ、本当に色々といるんだな……あれ?でもこいつらって……」
川の水を飲みに来たのはゴブリンやコボルト、一角兎や子供の赤毛熊である事に気付いたレナは違和感を抱き、どれも深淵の森に生息する種である事に気付く。ただの偶然なのか深淵の森と獣魔の森の環境が似通っているらしく、果てには樹精霊まで見かけた。
『おろ?人間さんだ~珍しいな~』
「あ、どうも……」
『じゃあね~』
木々の上だの上に人間の子供のような姿をした樹精霊がレナ達に気づくと手を振り、その様子を見たレナ達も手を振り返す。先を急ぐので話す暇はないが、樹精霊が存在する時点でこの森が普通ではない事は確かだった。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。