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最終章 前編 〈王都編〉
ハヅキ家と緑影
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「はあっ……この調子じゃ話しそうにないな。仕方ない、エリナこれで縛り付けておいて」
「うぃっす!!あ、姫様とウルちゃんは……」
「よく眠っているようだからそのまま寝かせてあげよう。アインはエリナと一緒に居てね」
「キュロッ!!」
レナは神器チェーンをエリナに渡すと彼女は倒れている緑影の隊員達を縛り付け、一か所に集まる。その間にレナは他の仲間の事が気になり、様子を見に行こうとした時に屋敷の玄関から3人の声が聞こえてきた。
「ぐぎぎぎっ……ちょ、コトミンちゃんと持てよ!?」
「どうにかここまで運べたな……」
「重い……」
玄関に現れた3人の声を聞いてレナは向かうと、そこには「神器アックス」を抱えたゴンゾウ達の姿があった。深淵の森の主であるミノタウロスが所持していた神器だが、前回の時は回収できずに洞窟に放置していた物を今回は3人がかり運び出したのだ。
神器アックスの重量は巨人族のゴンゾウでさえも1人では持ち運ぶ事は出来ず、外見からは考えられない程に力持ちのコトミンと魔術師の割には身体を鍛えているダインの3人でどうにか運び出せる重量らしく、庭にまで運び込んだ3人はどうにか地面に横たわらせる。
「3人共、お疲れ様。魔物に襲われなかった?」
「何度か遭遇したが、どれも一角兎やゴブリンの類だった。こちらの姿を見ただけで驚いて逃げ出したぞ」
「あと、川も見つけて来たからついでに水も補給してきた」
「というか、レナの空間魔法で回収すればこんな苦労する事ないだろ……」
「ごめんごめん、でもこっちも大変だったんだよ」
「な、何だこいつら……?」
3人がかりで戦斧を運んできたレナ達にラナは戸惑いの声をあげるが、やっと回収する事が出来た神器をレナは掴み取り、手元に紅色の魔力を滲ませて持ち上げた。
「よっこいしょっと……結構重いな」
「っ!?」
ゴンゾウ達がやっとの事で持ち上げた神器アックスをレナが軽々と持ち上げた事にラナは目を見開き、その人間とは思えないバカげた怪力に戦慄する。正確には「重撃」のスキルの応用で手元に重力の魔力を纏わせて持ち上げているだけなのだが、傍目から見たらレナが途轍もない怪力に見えるだろう。
神器というだけあって魔法耐性も強い素材で構成されているらしく、生半可な硬度ではレナの生み出す重力に耐え切れずに砕け散ってしまうのだがアックスの柄が壊れる様子はない。こちらのアックスは使用者の意思によって柄を伸ばす事も可能のため、使いやすい長さに調整する事も出来る。
「うん、問題なく使えるみたいだな……けど、こいつを空間魔法に収めると相当に制限重量が圧迫するな。武器として持ち歩くのは不便そうだな……」
「キュロロッ」
「お?アインが持ってくれるの?」
レナがアックスを眺めて困った表情を浮かべていると、アインがレナの肩を叩いて自分に差し出すように促す。ゴンゾウでも一人で持ち上げる事は出来なかった物を持ち上げられるのかとレナは心配したが、魔人族の中でもミノタウロスと並んで怪力を誇るアインはアックスを片腕で持ち上げた。
「キュロロッ!!」
「おお、凄い凄い!!アインは力持ちだな!!」
「キュロロ~ッ」
「一体何なんだこいつらは……」
褒められて嬉しそうにアインは神器を振り回すのを見たラナは呆気に取られ、そんな彼女にコトミンは近より、水筒を取り出して負傷している足の爪先に振りかける。
「ぐあっ!?」
「動かないで……すぐに治す」
「エリナ、抑えてて」
「うっす!!」
ラナが傷口に水を流し込まれて悲鳴をあげるが、即座に意図を察したレナはエリナに命じて彼女を抑えると、コトミンがラナの足に突き刺さった矢を掴む。ゆっくりと刺さっている矢を引き抜くと、爪先を掴んで治療を行う。
「もう大丈夫、治った」
「あ、足が……まさか、人魚族の精霊魔法?」
「良かったすねラナさん……うわっ!?」
治療を終えた瞬間にラナは両肩を抑えていたエリナの首を掴み、懐に隠していた短剣を取り出して首筋に押し付ける。そんな彼女の行動に全員が驚くが、即座にレナは冷静にラナと向き合う。
「動くな!!動けばこいつの命は……」
「ダイン!!」
「え、あっ……しゃ、シャドウ・バインド!!」
「なっ!?」
ダインがレナの言葉を聞いて慌てて影魔法を発動させると、ラナの肉体にダインの影が絡みつき、全身を拘束した。ラナが動けなくなった瞬間にエリナは彼女から離れ、短剣を握り締めた状態のまま拘束されたラナは歯を食いしばる。
「これは、拘束魔法かっ……くそっ」
「無駄だよ。ダインの影魔法は力では敗れない……だよね?」
「い、いちいち聞くなよ!!大丈夫だって、今の僕なら地竜でも抑えつけられるから!!」
「本当かな……まあいいや」
影魔法で拘束されたラナの元にレナは近寄り、彼女は覚悟を決めたように瞼を閉じるが、そんな彼女に対してレナは右腕を差し出す。その行為に全員が不思議に思うが、右腕に刻まれた紋様を見てラナは驚きの声を上げた。
「馬鹿な!?何故、その紋様を……!?」
「風の聖痕……ハヅキ家の当主のみに継承が許される力だと知ってますよね」
「どうして貴様が……ま、まさかハヅキ様は……!?」
――緑影を管理するのアイラ・ハヅキが当主を務める「ハヅキ家」であり、緑影に所属する隊員達はハヅキ家に従う義務がある。最も彼等は命令を受ける立場であってハヅキ家の縁者ではないが、彼等を今まで管理しているのはハヅキだった。
ハヅキ家の継承者しか受け継ぐ事が許されない「風の聖痕」をレナが宿している事を知ったラナは自分が長年仕えていた主人の死を悟り、衝撃のあまりに力を失ったのか握り締めていた短剣を落とす。その様子を見たレナはダインに振り返って頷くと、影魔法を解除させた。
拘束が解除されたにも関わらずにラナは歯向かう様子は見せず、それどころか消息不明と伝えられていたハヅキの死を知って動揺を隠せずに地面に膝を突いてしまう。そんな彼女にレナは真実を話す。
「御祖母様……いや、ハヅキさんは死んだんだ。殺したのはバルトロス王国の大将軍のミドル……そして俺はハヅキさんの意思を受け継いでこの聖痕を受け取った」
「そんな……嘘だ!!あの方をどうして王国の大将軍が……!!」
「王妃の目的は俺の命だった。それをハヅキさんが庇って……」
「お前の……お前のせいかぁっ!!」
「ラナさん!!駄目っす!!」
「や、止めろって!!」
ハヅキがレナを庇ってミドルに殺されたと知ってラナは短剣を構えるが、慌ててエリナが間に入ってダインは影魔法を発動させてラナを止めようとする。
「ラナさん」
「黙れ!!貴様をここで殺し、ミドルも殺す!!」
「……そんな事はさせない、レナは悪くない」
「そうだ。あの時、俺達もあの場に居た。だが、何も出来なかった……責任は俺達にもある」
「キュロロッ!!」
短剣を握り締めながら血走った目でレナを睨みつけるラナにゴンゾウ達も動き出し、レナを守るように間に入る。そんな彼等の姿を見てもラナは退かず、ハヅキを守る事が出来なかったレナを怒鳴りつけた。
※もしかしたら作中で既にアックスを別の形で回収している描写もあったかもしれませんが、その場合はすぐに修正しますので報告してくれると有難いです。
アイリス「ふふふ……ノルマ達成」(´ω`)ノ公開ボタン
カタナヅキ「押してしまったか……君のイラストに関しての情報を仕入れていたのにこれでは明かせないな」(・ω・)フフフ……
アイリス「っ!?」(;´・ω・)
※本当は余分に1話書き余っていたので投稿しました。
「うぃっす!!あ、姫様とウルちゃんは……」
「よく眠っているようだからそのまま寝かせてあげよう。アインはエリナと一緒に居てね」
「キュロッ!!」
レナは神器チェーンをエリナに渡すと彼女は倒れている緑影の隊員達を縛り付け、一か所に集まる。その間にレナは他の仲間の事が気になり、様子を見に行こうとした時に屋敷の玄関から3人の声が聞こえてきた。
「ぐぎぎぎっ……ちょ、コトミンちゃんと持てよ!?」
「どうにかここまで運べたな……」
「重い……」
玄関に現れた3人の声を聞いてレナは向かうと、そこには「神器アックス」を抱えたゴンゾウ達の姿があった。深淵の森の主であるミノタウロスが所持していた神器だが、前回の時は回収できずに洞窟に放置していた物を今回は3人がかり運び出したのだ。
神器アックスの重量は巨人族のゴンゾウでさえも1人では持ち運ぶ事は出来ず、外見からは考えられない程に力持ちのコトミンと魔術師の割には身体を鍛えているダインの3人でどうにか運び出せる重量らしく、庭にまで運び込んだ3人はどうにか地面に横たわらせる。
「3人共、お疲れ様。魔物に襲われなかった?」
「何度か遭遇したが、どれも一角兎やゴブリンの類だった。こちらの姿を見ただけで驚いて逃げ出したぞ」
「あと、川も見つけて来たからついでに水も補給してきた」
「というか、レナの空間魔法で回収すればこんな苦労する事ないだろ……」
「ごめんごめん、でもこっちも大変だったんだよ」
「な、何だこいつら……?」
3人がかりで戦斧を運んできたレナ達にラナは戸惑いの声をあげるが、やっと回収する事が出来た神器をレナは掴み取り、手元に紅色の魔力を滲ませて持ち上げた。
「よっこいしょっと……結構重いな」
「っ!?」
ゴンゾウ達がやっとの事で持ち上げた神器アックスをレナが軽々と持ち上げた事にラナは目を見開き、その人間とは思えないバカげた怪力に戦慄する。正確には「重撃」のスキルの応用で手元に重力の魔力を纏わせて持ち上げているだけなのだが、傍目から見たらレナが途轍もない怪力に見えるだろう。
神器というだけあって魔法耐性も強い素材で構成されているらしく、生半可な硬度ではレナの生み出す重力に耐え切れずに砕け散ってしまうのだがアックスの柄が壊れる様子はない。こちらのアックスは使用者の意思によって柄を伸ばす事も可能のため、使いやすい長さに調整する事も出来る。
「うん、問題なく使えるみたいだな……けど、こいつを空間魔法に収めると相当に制限重量が圧迫するな。武器として持ち歩くのは不便そうだな……」
「キュロロッ」
「お?アインが持ってくれるの?」
レナがアックスを眺めて困った表情を浮かべていると、アインがレナの肩を叩いて自分に差し出すように促す。ゴンゾウでも一人で持ち上げる事は出来なかった物を持ち上げられるのかとレナは心配したが、魔人族の中でもミノタウロスと並んで怪力を誇るアインはアックスを片腕で持ち上げた。
「キュロロッ!!」
「おお、凄い凄い!!アインは力持ちだな!!」
「キュロロ~ッ」
「一体何なんだこいつらは……」
褒められて嬉しそうにアインは神器を振り回すのを見たラナは呆気に取られ、そんな彼女にコトミンは近より、水筒を取り出して負傷している足の爪先に振りかける。
「ぐあっ!?」
「動かないで……すぐに治す」
「エリナ、抑えてて」
「うっす!!」
ラナが傷口に水を流し込まれて悲鳴をあげるが、即座に意図を察したレナはエリナに命じて彼女を抑えると、コトミンがラナの足に突き刺さった矢を掴む。ゆっくりと刺さっている矢を引き抜くと、爪先を掴んで治療を行う。
「もう大丈夫、治った」
「あ、足が……まさか、人魚族の精霊魔法?」
「良かったすねラナさん……うわっ!?」
治療を終えた瞬間にラナは両肩を抑えていたエリナの首を掴み、懐に隠していた短剣を取り出して首筋に押し付ける。そんな彼女の行動に全員が驚くが、即座にレナは冷静にラナと向き合う。
「動くな!!動けばこいつの命は……」
「ダイン!!」
「え、あっ……しゃ、シャドウ・バインド!!」
「なっ!?」
ダインがレナの言葉を聞いて慌てて影魔法を発動させると、ラナの肉体にダインの影が絡みつき、全身を拘束した。ラナが動けなくなった瞬間にエリナは彼女から離れ、短剣を握り締めた状態のまま拘束されたラナは歯を食いしばる。
「これは、拘束魔法かっ……くそっ」
「無駄だよ。ダインの影魔法は力では敗れない……だよね?」
「い、いちいち聞くなよ!!大丈夫だって、今の僕なら地竜でも抑えつけられるから!!」
「本当かな……まあいいや」
影魔法で拘束されたラナの元にレナは近寄り、彼女は覚悟を決めたように瞼を閉じるが、そんな彼女に対してレナは右腕を差し出す。その行為に全員が不思議に思うが、右腕に刻まれた紋様を見てラナは驚きの声を上げた。
「馬鹿な!?何故、その紋様を……!?」
「風の聖痕……ハヅキ家の当主のみに継承が許される力だと知ってますよね」
「どうして貴様が……ま、まさかハヅキ様は……!?」
――緑影を管理するのアイラ・ハヅキが当主を務める「ハヅキ家」であり、緑影に所属する隊員達はハヅキ家に従う義務がある。最も彼等は命令を受ける立場であってハヅキ家の縁者ではないが、彼等を今まで管理しているのはハヅキだった。
ハヅキ家の継承者しか受け継ぐ事が許されない「風の聖痕」をレナが宿している事を知ったラナは自分が長年仕えていた主人の死を悟り、衝撃のあまりに力を失ったのか握り締めていた短剣を落とす。その様子を見たレナはダインに振り返って頷くと、影魔法を解除させた。
拘束が解除されたにも関わらずにラナは歯向かう様子は見せず、それどころか消息不明と伝えられていたハヅキの死を知って動揺を隠せずに地面に膝を突いてしまう。そんな彼女にレナは真実を話す。
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「そんな……嘘だ!!あの方をどうして王国の大将軍が……!!」
「王妃の目的は俺の命だった。それをハヅキさんが庇って……」
「お前の……お前のせいかぁっ!!」
「ラナさん!!駄目っす!!」
「や、止めろって!!」
ハヅキがレナを庇ってミドルに殺されたと知ってラナは短剣を構えるが、慌ててエリナが間に入ってダインは影魔法を発動させてラナを止めようとする。
「ラナさん」
「黙れ!!貴様をここで殺し、ミドルも殺す!!」
「……そんな事はさせない、レナは悪くない」
「そうだ。あの時、俺達もあの場に居た。だが、何も出来なかった……責任は俺達にもある」
「キュロロッ!!」
短剣を握り締めながら血走った目でレナを睨みつけるラナにゴンゾウ達も動き出し、レナを守るように間に入る。そんな彼等の姿を見てもラナは退かず、ハヅキを守る事が出来なかったレナを怒鳴りつけた。
※もしかしたら作中で既にアックスを別の形で回収している描写もあったかもしれませんが、その場合はすぐに修正しますので報告してくれると有難いです。
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カタナヅキ「押してしまったか……君のイラストに関しての情報を仕入れていたのにこれでは明かせないな」(・ω・)フフフ……
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