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最終章 前編 〈王都編〉
革命団と合流
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――ハンゾウと共にレナは革命団の隠れ家へと向けて移動を開始し、既に30分近くも徒歩で歩いていた。屋根を飛び移ればもっと早く辿り着けるらしいが、そのような派手な行動を取れば巡回中の兵士に気付かれる恐れがあり、尾行も警戒しながら二人は徒歩で隠れ家へ向かう。
「ハンちゃん、あとどれくらいあるの?」
「もう少しでござる。ほら、あそこから入れるでござる」
「あそこ?」
ハンゾウの指差す方向には既に廃屋と化しているとしか思えない寂れた大きな建物が存在し、元々は酒場だったのか大きな黒猫の看板が掲げられていた。街道を移動する人間達に怪しまれないように廃屋の中へ入り込み、足跡を残さないように気を付けながら建物の中へ入ると、ハンゾウは床板に手を伸ばす。
「ここが出入口でござる」
「なるほど、地下が隠れ家というわけか」
「そういう事でござる」
床板を引き剥がすと階段が地下に続いており、二人は階段を下りる。階段を10メートルほど降りると、ランタンで照らされた通路に辿り着き、さらに歩き続けると大きな扉の前に辿り着く。ハンゾウは扉にノックを5回行うと、しばらくの間は沈黙が訪れ、やがて扉の内側から男性の声が響く。
『……合言葉は?』
ハンゾウは相手の問い掛けに答えず、もう一度だけノックを3回行うと、扉の内側から鍵が解除される音が鳴り響き、小髭族の男性が二人がかりで扉を開ける。
「おおっ!!ハンゾウだったか、よく戻って来たな!!」
「ん?そっちの小僧は誰だ?」
「拙者の仲間でござる。腕は立つので革命団に入れて欲しいのでござるが……」
「おお、そういう事なら団長に会いに行け。ほら、早く中に入りな!!」
二人が中に入ると扉の内側は意外な程に広く、床板や壁には木材が使用され、更に広間の隅には酒場のようなカウンターまで用意されていた。本当に酒場の中に入り込んだかのように大勢の人間が円卓を囲んで屯しており、中には酒や食事を行う者も居た。
意外な光景にレナは驚かされ、地下というからには洞窟のような場所を想像していただけにしっかりとした構造に驚きを隠せず、よく王国の人間に気付かれずにここまで立派な隠れ家を作り出した事に感心する。
「へえ……凄いな、なんか酒場みたいだ」
「実際に酒も食事も味わえるからな。安物しか仕入れられないのが痛いけどな」
「それに食料品だけじゃねえ、武器や衣料品の類も有り余ってるぞ。勿論、衛生管理もばっちりだ!!」
扉を開いてくれた小髭族の二人組がレナの質問に答え、部屋の隅に存在する厠の表札が掲げられた扉を指差す。ご丁寧に厠まで作り出されているらしい。
「レナ殿、ここなら皆を呼び寄せても大丈夫でござる。でも、その前に革命団の団長と話をする必要があるでござる」
「バルと母上は?」
「その二人もきっと会議室で待っているはずでござる」
ハンゾウの言葉にレナは今更ながらに緊張感を覚え、約5年ぶりに母親と再会を果たす事を意識する。そんなレナを後押しするようにハンゾウは彼の背中を押し込み、会議室まで案内を行おうとした。
「さあ、感動の再会でござるよ。準備はいいでござるか?」
「うわ、背中を押すなよ……分かったからさ」
「おい、ちょっと待て!!」
二人は会議室に向かおうとすると、机に座っていた獣人族の青年が唐突に声を掛け、何事かとレナ達は振り返るとそこには顔見知りの冒険者達が立っていた。
「お前、もしかしてレナか!?お前も無事だったんだな!!」
「何!?レナだと!?」
「お、おいガロ……」
「ダイアさん!?それに……えっと、ガロウ君にモリモさん?」
「ガロだ!!わざとらしく間違えてんじゃねえよ!?」
近くの机に座っていたのは黒虎の先輩冒険者であるダイアと氷雨の冒険者でミナと冒険者集団を組んでいるガロとモリモが立ち上がる。三人はレナ達に気付くと慌てて近寄り、お互いの無事を確認するようにダイアは親し気にレナの肩を掴む。
「やっぱりお前も生きていたか!!指名手配されてたからびっくりしたぞおい!?」
「あはは……ダイアさんもここに居たんですね」
「おい、ミナはどうした!?一緒じゃないのか!?」
「だから落ち着けってガロ!!」
「相変わらず騒がしい方達でござるな……」
知人であるダイアはレナが無事だった事に喜び、その一方でガロはミナが同行していないのか問い詰めようとするが、モリモが慌てて彼を宥める。こちらの三人は冒険者の中でも上位に食い込む実力者達であり、既に革命団に参加していたらしい。
黒虎の元冒険者であるダイアは氷雨に移籍後、間もなく退職して現在は炭鉱夫として働いているという噂を聞いていたレナはどうして彼がここに居るのかを問う。
「ダイアさん、冒険者は辞めたと聞いたんですけど……?」
「ああ、三か月ぐらい前に正式に辞めたよ。その後に王都に移動して暮らしていたんだが、同僚に革命団に所属している奴がいてな。そいつに頼まれてここに入ったんだ」
「奥さんと子供は元気ですか?」
「元気すぎて俺が参っちまうぐらいだよ。そうだ、今度娘と会うか?本当の天使のように可愛い女の子でな……」
「おい、無視してんじゃねえ!!ミナはどうした……なっ!?」
「ガロ?」
ダイアと話し込んでいるとガロがしびれを切らしたようにレナの肩を掴み、力尽くで引き寄せようとしたが、どういう訳なのかいくら力を込めてもレナの肉体はびくともせず、まるで巨岩を掴んでいるような感覚に陥る。一体何が起きているのかガロは戸惑うが、レナは今更ながらに気付いたように振り返る。
「ん?ああ、ごめん。ガロ君も居たんだったね」
「て、てめえ……一体何をした。前に会った時よりも……」
「ごめん、話は後でするよ。ダイアさん、失礼します」
「あ、ああ……」
動揺するガロに一言だけ詫びてレナはハンゾウを連れて会議室へ繋がる通路に向けて移動すると、その後姿を見てガロは唇を噛み締め、また自分とレナの間に力の差が産まれた事を悟った。
「くそっ!!どうしてあいつばかり……」
「おい、ガロ!?何処へ行くんだ!?」
「たくっ……何なんだ一体」
ガロは扉の外へ向かい、その後をモリモが追いかけると残されたダイアは頭を掻きながら椅子に座り込む。自分の知らない間にレナの身に何が起きたのかは分からないが、少なくとも前回に会った時と比べて雰囲気が変わっていた事を感じ取る。
「レナの奴、雰囲気がマリア様と少し似てきたな……血筋は争えないのかね」
マリアと何処となく雰囲気が似通ってきたレナに対してダイアは期待と不安を同時に抱き、今後の彼がどのように変化するのかを楽しみに思う一方でマリアのように他者を常に圧倒し続ける存在になるのではないかと心配した――
――予想外の人物と再会を果たした後、レナとハンゾウは遂に会議室の扉の前に立ち止まり、お互いに頷いて扉をノックする。すると中から年若い男性の声が響いた。
『どうぞ、中へ入ってくれ』
「失礼するでござる」
「失礼します……あれ?」
二人は会議室に入ると部屋の中には巨大な長机と10人程度の椅子が左右に並べられているだけで人の姿は見えず、バルとアイラどころか入室を許可した人間の姿が見えなかった。不思議に思ったレナはハンゾウに視線を向けると、彼女は長机を挟んて存在する椅子を指差す。
「あの方が革命団の団長でござる」
「団長って誰も居ないけど……あれ?」
「ここだよ、ここ」
椅子の方から声が聞こえ、二人は近づくとどうやら身長が小さすぎて見えなかったが小髭族と思われる若い男性が机の下から姿を現す。外見は10才の子供のようだが、小髭族特融の特徴的な髭を生やしていた。
「ハンちゃん、あとどれくらいあるの?」
「もう少しでござる。ほら、あそこから入れるでござる」
「あそこ?」
ハンゾウの指差す方向には既に廃屋と化しているとしか思えない寂れた大きな建物が存在し、元々は酒場だったのか大きな黒猫の看板が掲げられていた。街道を移動する人間達に怪しまれないように廃屋の中へ入り込み、足跡を残さないように気を付けながら建物の中へ入ると、ハンゾウは床板に手を伸ばす。
「ここが出入口でござる」
「なるほど、地下が隠れ家というわけか」
「そういう事でござる」
床板を引き剥がすと階段が地下に続いており、二人は階段を下りる。階段を10メートルほど降りると、ランタンで照らされた通路に辿り着き、さらに歩き続けると大きな扉の前に辿り着く。ハンゾウは扉にノックを5回行うと、しばらくの間は沈黙が訪れ、やがて扉の内側から男性の声が響く。
『……合言葉は?』
ハンゾウは相手の問い掛けに答えず、もう一度だけノックを3回行うと、扉の内側から鍵が解除される音が鳴り響き、小髭族の男性が二人がかりで扉を開ける。
「おおっ!!ハンゾウだったか、よく戻って来たな!!」
「ん?そっちの小僧は誰だ?」
「拙者の仲間でござる。腕は立つので革命団に入れて欲しいのでござるが……」
「おお、そういう事なら団長に会いに行け。ほら、早く中に入りな!!」
二人が中に入ると扉の内側は意外な程に広く、床板や壁には木材が使用され、更に広間の隅には酒場のようなカウンターまで用意されていた。本当に酒場の中に入り込んだかのように大勢の人間が円卓を囲んで屯しており、中には酒や食事を行う者も居た。
意外な光景にレナは驚かされ、地下というからには洞窟のような場所を想像していただけにしっかりとした構造に驚きを隠せず、よく王国の人間に気付かれずにここまで立派な隠れ家を作り出した事に感心する。
「へえ……凄いな、なんか酒場みたいだ」
「実際に酒も食事も味わえるからな。安物しか仕入れられないのが痛いけどな」
「それに食料品だけじゃねえ、武器や衣料品の類も有り余ってるぞ。勿論、衛生管理もばっちりだ!!」
扉を開いてくれた小髭族の二人組がレナの質問に答え、部屋の隅に存在する厠の表札が掲げられた扉を指差す。ご丁寧に厠まで作り出されているらしい。
「レナ殿、ここなら皆を呼び寄せても大丈夫でござる。でも、その前に革命団の団長と話をする必要があるでござる」
「バルと母上は?」
「その二人もきっと会議室で待っているはずでござる」
ハンゾウの言葉にレナは今更ながらに緊張感を覚え、約5年ぶりに母親と再会を果たす事を意識する。そんなレナを後押しするようにハンゾウは彼の背中を押し込み、会議室まで案内を行おうとした。
「さあ、感動の再会でござるよ。準備はいいでござるか?」
「うわ、背中を押すなよ……分かったからさ」
「おい、ちょっと待て!!」
二人は会議室に向かおうとすると、机に座っていた獣人族の青年が唐突に声を掛け、何事かとレナ達は振り返るとそこには顔見知りの冒険者達が立っていた。
「お前、もしかしてレナか!?お前も無事だったんだな!!」
「何!?レナだと!?」
「お、おいガロ……」
「ダイアさん!?それに……えっと、ガロウ君にモリモさん?」
「ガロだ!!わざとらしく間違えてんじゃねえよ!?」
近くの机に座っていたのは黒虎の先輩冒険者であるダイアと氷雨の冒険者でミナと冒険者集団を組んでいるガロとモリモが立ち上がる。三人はレナ達に気付くと慌てて近寄り、お互いの無事を確認するようにダイアは親し気にレナの肩を掴む。
「やっぱりお前も生きていたか!!指名手配されてたからびっくりしたぞおい!?」
「あはは……ダイアさんもここに居たんですね」
「おい、ミナはどうした!?一緒じゃないのか!?」
「だから落ち着けってガロ!!」
「相変わらず騒がしい方達でござるな……」
知人であるダイアはレナが無事だった事に喜び、その一方でガロはミナが同行していないのか問い詰めようとするが、モリモが慌てて彼を宥める。こちらの三人は冒険者の中でも上位に食い込む実力者達であり、既に革命団に参加していたらしい。
黒虎の元冒険者であるダイアは氷雨に移籍後、間もなく退職して現在は炭鉱夫として働いているという噂を聞いていたレナはどうして彼がここに居るのかを問う。
「ダイアさん、冒険者は辞めたと聞いたんですけど……?」
「ああ、三か月ぐらい前に正式に辞めたよ。その後に王都に移動して暮らしていたんだが、同僚に革命団に所属している奴がいてな。そいつに頼まれてここに入ったんだ」
「奥さんと子供は元気ですか?」
「元気すぎて俺が参っちまうぐらいだよ。そうだ、今度娘と会うか?本当の天使のように可愛い女の子でな……」
「おい、無視してんじゃねえ!!ミナはどうした……なっ!?」
「ガロ?」
ダイアと話し込んでいるとガロがしびれを切らしたようにレナの肩を掴み、力尽くで引き寄せようとしたが、どういう訳なのかいくら力を込めてもレナの肉体はびくともせず、まるで巨岩を掴んでいるような感覚に陥る。一体何が起きているのかガロは戸惑うが、レナは今更ながらに気付いたように振り返る。
「ん?ああ、ごめん。ガロ君も居たんだったね」
「て、てめえ……一体何をした。前に会った時よりも……」
「ごめん、話は後でするよ。ダイアさん、失礼します」
「あ、ああ……」
動揺するガロに一言だけ詫びてレナはハンゾウを連れて会議室へ繋がる通路に向けて移動すると、その後姿を見てガロは唇を噛み締め、また自分とレナの間に力の差が産まれた事を悟った。
「くそっ!!どうしてあいつばかり……」
「おい、ガロ!?何処へ行くんだ!?」
「たくっ……何なんだ一体」
ガロは扉の外へ向かい、その後をモリモが追いかけると残されたダイアは頭を掻きながら椅子に座り込む。自分の知らない間にレナの身に何が起きたのかは分からないが、少なくとも前回に会った時と比べて雰囲気が変わっていた事を感じ取る。
「レナの奴、雰囲気がマリア様と少し似てきたな……血筋は争えないのかね」
マリアと何処となく雰囲気が似通ってきたレナに対してダイアは期待と不安を同時に抱き、今後の彼がどのように変化するのかを楽しみに思う一方でマリアのように他者を常に圧倒し続ける存在になるのではないかと心配した――
――予想外の人物と再会を果たした後、レナとハンゾウは遂に会議室の扉の前に立ち止まり、お互いに頷いて扉をノックする。すると中から年若い男性の声が響いた。
『どうぞ、中へ入ってくれ』
「失礼するでござる」
「失礼します……あれ?」
二人は会議室に入ると部屋の中には巨大な長机と10人程度の椅子が左右に並べられているだけで人の姿は見えず、バルとアイラどころか入室を許可した人間の姿が見えなかった。不思議に思ったレナはハンゾウに視線を向けると、彼女は長机を挟んて存在する椅子を指差す。
「あの方が革命団の団長でござる」
「団長って誰も居ないけど……あれ?」
「ここだよ、ここ」
椅子の方から声が聞こえ、二人は近づくとどうやら身長が小さすぎて見えなかったが小髭族と思われる若い男性が机の下から姿を現す。外見は10才の子供のようだが、小髭族特融の特徴的な髭を生やしていた。
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