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最終章 王国編
ナオと双子
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「お前達……一体何を言っているんだ?」
「お姉様、お母様はね、お姉様が王様になる事を止めてくれたら許してくれると言ったの」
「そうなんです。お母様は王様になった後、自分の次にお姉様を王様にしても構わないと言ってくれたんです」
「だから、何を言っているんだ!?」
ナオは信じられない表情で双子の顔を見つめると、シオンもリアナは不思議そうな表情を浮かべながら見返す。二人の顔から冗談を言っているようには見えず、妹達が自分に対して王位継承権を放棄するように告げた事にナオは愕然とする。
「シオン、リアナ……一体何を言っているんだ?そうか、あの女に脅されたんだな。だからそんな事を……」
「お姉様、お母様の事を悪く言わないで!!」
「そうです!!お母様の事を侮辱するような言葉は止めてください!!」
「……そんな」
王妃に脅迫されていると考えたナオは二人の妹を宥めようとしたが、敬愛する養母を侮辱されたと考えたシオンとリアナは実の姉であるナオに抗議する。そんな二人の言葉からナオは自分の知らない間に最愛の妹達が王妃に心酔している事実を知って動揺を隠せない。衝撃を受けているナオに対してシオンとリアナは彼女が傷ついた事に気付き、慌てて言い直す。
「あっ……ごめんなさいお姉様、別に私達はお姉様の事が嫌いになったわけじゃないの」
「でも、お姉様が捕まったのはお姉様が悪いと思っているの。どうしてお母様と仲良くしないの?」
「何を言ってるんだ……二人とも」
「お姉様こそ何を言っているの?まさか、本当に王様になれると思っていたの?」
「でも、この国の人達はお姉様よりもお母様が王様になる事を望んでいます」
「お、お主等……自分が何を言っているのか理解しているのか!?」
「貴様、口を開くんじゃない!!」
話を聞いていた牢内に閉じ込められたデブリが口を挟むが、即座に他の兵士が鉄格子の間から槍を構える。それを見たデブリは忌々し気に見つめ、自分の身が危険になる事を構わずに双子に怒鳴りつけた。
「この国の事を想うのならばあの女を国王にしてはならん!!そうなればこの王国に未来はないのだぞ!?」
「黙れ!!それ以上口を挟めば舌を切るぞ!!」
「いいから話を聞け!!貴様等も王国の兵士ならば忠義を尽くす相手ぐらいちゃんと考えろ!!この国の王はまだ存命だぞ!?それに王位継承権を持つ事が許されるのは王族の血筋の者だけだろう!!」
バルトロス国王が死去したという情報は聞いておらず、仮に国王が既に亡き者になっていたとしても王妃であるイレアビトが王位を継承出来るはずがない。だが、そんなデブリの言葉に双子は笑みを浮かべて説明する。
「それなら大丈夫、実は義弟のレアが昨日の内に攫われちゃったの。だから、今この城の中で王位継承権の資格を持つのはお姉様だけなの」
「お姉様が権利を放棄すればこの国の王位は空席となる……ならば最も国王に相応しい御方が新たな王に選定されるはずです。そしてその御方はお母様以外に有り得ない」
「ば、馬鹿な……そんな無茶が通るはずがない!!」
「でも、この国の法律では継承者は男児だけなのにお姉様が王位継承権を持っている方がおかしい話でしょう?それなら男児が消え、お姉様が投獄されたのなら王位を引き継げるのは私達だけ……でも、その私達がお母様を王位に進めれば皆も納得してくれるでしょう」
「そんな馬鹿な……!?」
あまりの馬鹿げた言い分ではあるが、国王の妻である以上は王妃も王族の扱いを受け、しかも本来は王位を継承するはずの王妃の息子とナオが消えれば国王が死去した後にこの国の王座は空席となる。血筋を考えれば双子のどちらかが王位を継承出来るはずだが、その双子が王妃に王位を譲れば晴れて彼女はこの国の新たな王となる。
バルトロス王国は血筋を重んじるが、仮に王妃が結婚せずに子供を作らなければ次期国王は双子かあるいは彼女達の子孫が引き継ぐだろう。そうなれば王家の血筋は途絶えることはないく、王妃は新たな国王が誕生るまでの代理の国王として君臨出来た。
「さあ、お姉様……私達の最後のお願いを聞いて?」
「一生のお願いですお姉様!!どうか3人仲良くお母様と一緒に暮らしましょう?」
「…………」
自分が何を犠牲にしてでも守る事を誓った双子の言葉にナオは黙り込み、今まで誰よりも愛していた妹達の言葉にナオは絶望した。先代の国王のため、そして女の身でありながらも自分に付いてきてくれる部下達のため、何よりも義理の父親に認められるためにナオは頑張ってきた。だが、そんな彼女が最も大切にしていた存在に裏切られ、ナオは自分が何のために自分が戦ってきたのか考えられなくなった。
「お姉様、一言だけでいいの。王位継承権を放棄すると言えば処刑もされないし、また昔のように家族皆で遊べるのよ?」
「もう国王になるための厳しい鍛錬や教育も受ける必要もないんです。だからお姉様……」
「二人とも……」
「駄目じゃ!!正気になれナオ殿!!」
「そんな言葉に惑わされるな!!」
「そうですわ!!それは間違っていますわ!!」
「静かにしろ!!おい、こいつらを黙らせろ!!」
デブリたちは必死にナオを引き留めようとするが、兵士達が牢内に入って彼等を抑えつける。そんな彼等の様子を見てナオは何も考えられなくなり、もう自分には味方がいない事を悟る。
(父上……それに義父上、ナオはもう駄目です……)
今は亡き先代の国王と、自分を引き取って現在は病床に伏している国王の顔を思い浮かべ、ナオは全てを諦めたように瞼を閉じる。そして妹達の要求に答えるために王位継承権を放棄する事を告げようとした瞬間、彼女は双子の掲げているペンダントに視線を向けた。
「シオン、リアナ……それは?」
「え?ああ、このペンダントの事?」
「これはお母様から頂いた者です。お姉様も持っているでしょう?」
二人が首に掲げていたのはバルトロス王国の王族だけが所持を許される「聖光石」のペンダントで間違いなく、それを見てナオは自分が所持していた聖光石を過去に託した事もあるたった一人の味方を思い出す。
「レナ……」
『えっ……?』
「そうだ、レナだ……レナは生きている」
自分にはもう何も残っていないと思っていたが、自分の義理の弟の事を思い出し、この国の本当の「第一王子」であるレナの事を思い出す。本来、この王国の後継者はレナである事をナオは主張する。
「二人とも、あの女に伝えろ……私が王位継承権を放棄すれば国王の座に就けると思うなとな」
「お、お姉様……?」
「ど、どうしたのですか?一体何を言って……」
「この国の王に相応しいのは私でも、王妃でも、ましてや義弟や妹達でもない!!この国の正統後継者はバルトロス王国の第一王子であるレナだ!!あの子には王になる権利がある!!」
国を追放されたとはいえ、男児であるレアが攫われた事でこの国の法律に則れば王族にして唯一の男児である「レナ」が王位継承権を取り戻した事に等しい。だから仮にナオがこの場に王位継承権を放棄したところで王位継承者の権利を持つ人物は残っていた。
「はははははっ!!そうだ、どうして今まで気付かなかった……運命はあの女ではなく、あの子を選んだんだ!!そう考えない方がおかしい、運命に選ばれたのはレナだ!!」
「お、お姉様!?どうしたっていうの!?」
「レナ……誰の事ですか?」
双子はレナの存在を知らないのかナオの言い分に戸惑いの表情を浮かべるが、彼女はまだ希望が残っていると知り、双子に堂々と宣言する。
「王妃に伝えろ!!私は王位継承権を放棄し、代わりに第一王子であるレナを王位継承者として推薦する!!その言葉をしっかりと伝えるんだ!!」
「ひっ!?」
「は、はい!?」
初めてナオに怒鳴られた双子は怯えた表情を浮かべ、訳も分からないまま慌てて王妃の元へ戻る。そんな二人の姿をナオは悲し気な表情で見送るが、それでも彼女は殺される前にこの国の希望を託す人間が残っていた事に安心した――
※やっとヒロインルート書き終えました!!( ゚Д゚)ヒャッハー!!なので記念に本日は本編2話目です!!
「お姉様、お母様はね、お姉様が王様になる事を止めてくれたら許してくれると言ったの」
「そうなんです。お母様は王様になった後、自分の次にお姉様を王様にしても構わないと言ってくれたんです」
「だから、何を言っているんだ!?」
ナオは信じられない表情で双子の顔を見つめると、シオンもリアナは不思議そうな表情を浮かべながら見返す。二人の顔から冗談を言っているようには見えず、妹達が自分に対して王位継承権を放棄するように告げた事にナオは愕然とする。
「シオン、リアナ……一体何を言っているんだ?そうか、あの女に脅されたんだな。だからそんな事を……」
「お姉様、お母様の事を悪く言わないで!!」
「そうです!!お母様の事を侮辱するような言葉は止めてください!!」
「……そんな」
王妃に脅迫されていると考えたナオは二人の妹を宥めようとしたが、敬愛する養母を侮辱されたと考えたシオンとリアナは実の姉であるナオに抗議する。そんな二人の言葉からナオは自分の知らない間に最愛の妹達が王妃に心酔している事実を知って動揺を隠せない。衝撃を受けているナオに対してシオンとリアナは彼女が傷ついた事に気付き、慌てて言い直す。
「あっ……ごめんなさいお姉様、別に私達はお姉様の事が嫌いになったわけじゃないの」
「でも、お姉様が捕まったのはお姉様が悪いと思っているの。どうしてお母様と仲良くしないの?」
「何を言ってるんだ……二人とも」
「お姉様こそ何を言っているの?まさか、本当に王様になれると思っていたの?」
「でも、この国の人達はお姉様よりもお母様が王様になる事を望んでいます」
「お、お主等……自分が何を言っているのか理解しているのか!?」
「貴様、口を開くんじゃない!!」
話を聞いていた牢内に閉じ込められたデブリが口を挟むが、即座に他の兵士が鉄格子の間から槍を構える。それを見たデブリは忌々し気に見つめ、自分の身が危険になる事を構わずに双子に怒鳴りつけた。
「この国の事を想うのならばあの女を国王にしてはならん!!そうなればこの王国に未来はないのだぞ!?」
「黙れ!!それ以上口を挟めば舌を切るぞ!!」
「いいから話を聞け!!貴様等も王国の兵士ならば忠義を尽くす相手ぐらいちゃんと考えろ!!この国の王はまだ存命だぞ!?それに王位継承権を持つ事が許されるのは王族の血筋の者だけだろう!!」
バルトロス国王が死去したという情報は聞いておらず、仮に国王が既に亡き者になっていたとしても王妃であるイレアビトが王位を継承出来るはずがない。だが、そんなデブリの言葉に双子は笑みを浮かべて説明する。
「それなら大丈夫、実は義弟のレアが昨日の内に攫われちゃったの。だから、今この城の中で王位継承権の資格を持つのはお姉様だけなの」
「お姉様が権利を放棄すればこの国の王位は空席となる……ならば最も国王に相応しい御方が新たな王に選定されるはずです。そしてその御方はお母様以外に有り得ない」
「ば、馬鹿な……そんな無茶が通るはずがない!!」
「でも、この国の法律では継承者は男児だけなのにお姉様が王位継承権を持っている方がおかしい話でしょう?それなら男児が消え、お姉様が投獄されたのなら王位を引き継げるのは私達だけ……でも、その私達がお母様を王位に進めれば皆も納得してくれるでしょう」
「そんな馬鹿な……!?」
あまりの馬鹿げた言い分ではあるが、国王の妻である以上は王妃も王族の扱いを受け、しかも本来は王位を継承するはずの王妃の息子とナオが消えれば国王が死去した後にこの国の王座は空席となる。血筋を考えれば双子のどちらかが王位を継承出来るはずだが、その双子が王妃に王位を譲れば晴れて彼女はこの国の新たな王となる。
バルトロス王国は血筋を重んじるが、仮に王妃が結婚せずに子供を作らなければ次期国王は双子かあるいは彼女達の子孫が引き継ぐだろう。そうなれば王家の血筋は途絶えることはないく、王妃は新たな国王が誕生るまでの代理の国王として君臨出来た。
「さあ、お姉様……私達の最後のお願いを聞いて?」
「一生のお願いですお姉様!!どうか3人仲良くお母様と一緒に暮らしましょう?」
「…………」
自分が何を犠牲にしてでも守る事を誓った双子の言葉にナオは黙り込み、今まで誰よりも愛していた妹達の言葉にナオは絶望した。先代の国王のため、そして女の身でありながらも自分に付いてきてくれる部下達のため、何よりも義理の父親に認められるためにナオは頑張ってきた。だが、そんな彼女が最も大切にしていた存在に裏切られ、ナオは自分が何のために自分が戦ってきたのか考えられなくなった。
「お姉様、一言だけでいいの。王位継承権を放棄すると言えば処刑もされないし、また昔のように家族皆で遊べるのよ?」
「もう国王になるための厳しい鍛錬や教育も受ける必要もないんです。だからお姉様……」
「二人とも……」
「駄目じゃ!!正気になれナオ殿!!」
「そんな言葉に惑わされるな!!」
「そうですわ!!それは間違っていますわ!!」
「静かにしろ!!おい、こいつらを黙らせろ!!」
デブリたちは必死にナオを引き留めようとするが、兵士達が牢内に入って彼等を抑えつける。そんな彼等の様子を見てナオは何も考えられなくなり、もう自分には味方がいない事を悟る。
(父上……それに義父上、ナオはもう駄目です……)
今は亡き先代の国王と、自分を引き取って現在は病床に伏している国王の顔を思い浮かべ、ナオは全てを諦めたように瞼を閉じる。そして妹達の要求に答えるために王位継承権を放棄する事を告げようとした瞬間、彼女は双子の掲げているペンダントに視線を向けた。
「シオン、リアナ……それは?」
「え?ああ、このペンダントの事?」
「これはお母様から頂いた者です。お姉様も持っているでしょう?」
二人が首に掲げていたのはバルトロス王国の王族だけが所持を許される「聖光石」のペンダントで間違いなく、それを見てナオは自分が所持していた聖光石を過去に託した事もあるたった一人の味方を思い出す。
「レナ……」
『えっ……?』
「そうだ、レナだ……レナは生きている」
自分にはもう何も残っていないと思っていたが、自分の義理の弟の事を思い出し、この国の本当の「第一王子」であるレナの事を思い出す。本来、この王国の後継者はレナである事をナオは主張する。
「二人とも、あの女に伝えろ……私が王位継承権を放棄すれば国王の座に就けると思うなとな」
「お、お姉様……?」
「ど、どうしたのですか?一体何を言って……」
「この国の王に相応しいのは私でも、王妃でも、ましてや義弟や妹達でもない!!この国の正統後継者はバルトロス王国の第一王子であるレナだ!!あの子には王になる権利がある!!」
国を追放されたとはいえ、男児であるレアが攫われた事でこの国の法律に則れば王族にして唯一の男児である「レナ」が王位継承権を取り戻した事に等しい。だから仮にナオがこの場に王位継承権を放棄したところで王位継承者の権利を持つ人物は残っていた。
「はははははっ!!そうだ、どうして今まで気付かなかった……運命はあの女ではなく、あの子を選んだんだ!!そう考えない方がおかしい、運命に選ばれたのはレナだ!!」
「お、お姉様!?どうしたっていうの!?」
「レナ……誰の事ですか?」
双子はレナの存在を知らないのかナオの言い分に戸惑いの表情を浮かべるが、彼女はまだ希望が残っていると知り、双子に堂々と宣言する。
「王妃に伝えろ!!私は王位継承権を放棄し、代わりに第一王子であるレナを王位継承者として推薦する!!その言葉をしっかりと伝えるんだ!!」
「ひっ!?」
「は、はい!?」
初めてナオに怒鳴られた双子は怯えた表情を浮かべ、訳も分からないまま慌てて王妃の元へ戻る。そんな二人の姿をナオは悲し気な表情で見送るが、それでも彼女は殺される前にこの国の希望を託す人間が残っていた事に安心した――
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