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外伝 ~ヨツバ王国編~
北聖将の軍隊
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――時刻は数日前に遡り、ユニコーンが消えた事によって旧都を取り戻す事に成功した北聖将の元に王都からカレハの託を預かった使者が訪れていた。北聖将は使者を迎え入れると、カレハから送り込まれた使者の女性と向き合う。
「お初にお目にかかります北聖将。私はカレハ様の側仕えをさせてもらっているクヌギと申します」
「北聖将を務めるハシラと申す」
ハシラの前には年齢はティナとそれほど変わらない容姿の少女であり、普通のエルフではないのか肌が色黒である事から「ダークエルフ」である事が伺えた。クヌギと名乗る少女はハシラに対して書状を差しだす。
「此度の旧都の奪還に関してカレハ様は大層お喜びになりました。来たるべき王国との戦争前に都市を取り戻す事が出来た功績は大きく、ハシラ様が王都にお戻り次第に正式に旧都方面の領地もハシラ様にお任せする事を約束しました」
「私が……旧都を?」
クヌギの言葉にハシラは動揺を隠せず、かつては王都として栄えていた土地の管理を自分に任せるという事に対してカレハはそれほどまでに自分の事を信頼しているのかと驚きを隠せない。現在の旧都は復興には時間が掛かるだろうが、人が戻ってくれば必ず再興するだろう。
「カレハ様はハシラ様の事を六聖将の中で最も信頼の厚い御方だとおっしゃられています。そしてそんなハシラ様だからこそ、次の任務を頼みたいとの事です」
「次の任務……ですか?」
「はい。どうやらこのヨツバ王国内にバルトロス王国から送り込まれた刺客が紛れ込んだようです」
「刺客?」
バルトロス王国の名前が出て来た事でハシラも表情を一変させ、クヌギはそんな彼に新しい書状を渡す。
「こちらは王国に潜入させているハヤテからの報告です。私も先に拝見させて貰いましたが、どうやら既に賊はこのヨツバ王国内に侵入を果たした可能性があります」
「馬鹿な……!?」
書状を受け取ったハシラは信じられない表情を浮かべ、バルトロス王国の領地からアトラス大森林に侵入を果たすためには必然的に北方の守護を任されているハシラの領地を通り抜けなければならない。いくら広大なアトラス大森林とはいえど、ハシラは出来得る限りの警戒を敷いて王国からの侵入者を見張らせていた。
しかし、ハシラが書状を確認した所、王国内に滞在していたハヤテの情報によるとバルトロス王国が現在捕縛している王族の命と引き換えに同行していた護衛の将兵を脅迫させ、彼等にアトラス大森林の道案内をさせる事で既にヨツバ王国内の領地に侵入を果たした可能性が高い事が示されていた。
「……この手紙の内容は確かなのか?」
「カレハ様曰く、信頼に値する情報との事です。少なくとも敵方には護衛を務めるリンダを筆頭に数十名の騎士とヨツバ王国から立ち去ったシュンが存在します。国王陛下、アルン様、ノル様、ティナ様を人質にしてヨツバ王国内への侵入経路を彼等から脅迫して聞き出した可能性は十分にあります」
「ぬうっ……何という事だ。こうしてはいられん、悪いが部下と話し合う必要が出来た。これで失礼する!!」
ヨツバ王国内にバルトロス王国側の人間が侵入しているかもしれないという話にハシラは歯を食いしばり、もしも既に自分の敷いた警戒網を突破してヨツバ王国内に敵の侵入を許していた場合、その責任はハシラのせいになる。書状を確認したハシラはすぐにその場を去って警戒の基準を見直して強化を計ろうとした時、クヌギが彼を引き留める。
「お待ちください将軍、まだ私はカレハ様からの任務を話していません」
「何?」
「カレハ様が将軍に与えた任務は別件です。旧都の再興は中断し、準備が整い次第に1万の兵士を率いて東聖将の領地へ向かえとの事です」
「なっ……!?」
予想外のクヌギの言葉にハシラは目を見開き、そんな彼に対してクヌギはいたいけな少女とは思えぬほどの冷たい笑みを浮かべてカレハから受けた言葉を告げた。
「東聖将ギンタロウに謀反の恐れがあり、北聖将は軍を率いて東聖将の討伐へ向かえ……事前に降伏勧告を行う事も厳命されていますが、これを受け入れない場合はギンタロウを東聖将の位を剥奪し、北聖将が討つようにとの命令です」
「ギンタロウが謀反?しかし、何故奴がそんな……」
「命令は伝えました。私はこれで失礼します……ご武運をお祈りします」
ギンタロウが謀反を企てたという話に対してハシラは信じ切れず、特別に仲が良かったわけではないが六聖将の中では自分と同様に忠義心に厚い男だと思っていた。そんなギンタロウを討てという命令にハシラは戸惑いを隠せないが、その理由を説明する前にクヌギは立ち去ってしまう――
――それから数日後、色々と思い悩んだ末、やはり王族からの命令には逆らえずハシラは準備を整えてから1万の軍勢を率いて東聖将の領地へ向かう。事前にギンタロウに向けて手紙を送ったが返事は戻らず、仕方なく使者を送り込んだが、その使者が戻る事はなかった。
ハシラは色々と思う所は合ったが、将軍としての責務を果たすため、軍を率いて真っ先に東聖将が管理する「東壁街」へ向かう。この場所に間違いなくギンタロウと彼の配下の大部分が待機している事は間違いなく、ハシラは無駄な争いを避けるために他の街は襲わずに東壁街へ向かう。
「将軍!!東壁街が見えてきました!!」
「ああ、俺も見えた……やはり改めて見ると正攻法であの街を墜とすのは難しいか」
配下の兵士の言葉を聞いて白馬(ユニコーンではない)に跨ったハシラは前方の光景を見上げ、樹海の中に聳え立つ岩山を確認する。全長は1000メートルを軽く超え、その中心部に東聖将のギンタロウが管理する「東壁街」と呼ばれる都市が存在した。
東壁街は周囲を屈強な岩壁で覆われている事から攻める事は難しく、まず岩壁をよじ登って侵入する方法は不可能と言える。岩壁をよじ登ろうにもあまりにも高すぎるので兵士達の体力が持たず、しかも高台が何か所も設置されているので崖登りの最中に狙い撃ちされてしまう。
魔法の類を利用して岩壁を登る事が出来ない事もないかもしれないが、精霊魔法も決して万能ではなく、長時間の発動は出来ない。仮に魔法の力で登ろうとしたところで高台に存在する兵士がそれを見逃すはずがなく、同じく精霊魔法を使用して妨害するだろう。
「あの都市を墜とすには正門を突破するしかないが、あの門の素材は硬樹である以上は破壊するのは苦労するな」
「では予定通り、籠城戦を持ち込むしかありませんか?」
「いや、バルトロス王国の軍隊がアトラス大森林に向かうのかも分からん。あまりこの地に長居は出来ん……もう一度だけ使者を送り、ギンタロウの謀反の真偽を確かめる」
「はっ!!」
ハシラは徐々に接近してきた岩山に視線を向け、ギンタロウの真意を確認するために最後の連絡を取ろうとした。だが、もしも次の使者の身に何か起きた場合、ハシラは覚悟を決めてギンタロウと討伐する事を決意する。
「将軍!!南聖将のレイビ殿の遣いと名乗る兵士が訪れましたが……」
「何だと?もう俺が動いたのを嗅ぎ付けてきたのか……ここへ連れてこい」
兵士の言葉を聞いてハシラは仕方なく南聖将の配下の兵士を呼び出すと、馬ではなくブタンに乗り込んだ中年男性の兵士がハシラの元へ訪れ、薄気味悪い笑みを浮かべながら頭を下げてきた。
「お初にお目にかかります北聖将。私はカレハ様の側仕えをさせてもらっているクヌギと申します」
「北聖将を務めるハシラと申す」
ハシラの前には年齢はティナとそれほど変わらない容姿の少女であり、普通のエルフではないのか肌が色黒である事から「ダークエルフ」である事が伺えた。クヌギと名乗る少女はハシラに対して書状を差しだす。
「此度の旧都の奪還に関してカレハ様は大層お喜びになりました。来たるべき王国との戦争前に都市を取り戻す事が出来た功績は大きく、ハシラ様が王都にお戻り次第に正式に旧都方面の領地もハシラ様にお任せする事を約束しました」
「私が……旧都を?」
クヌギの言葉にハシラは動揺を隠せず、かつては王都として栄えていた土地の管理を自分に任せるという事に対してカレハはそれほどまでに自分の事を信頼しているのかと驚きを隠せない。現在の旧都は復興には時間が掛かるだろうが、人が戻ってくれば必ず再興するだろう。
「カレハ様はハシラ様の事を六聖将の中で最も信頼の厚い御方だとおっしゃられています。そしてそんなハシラ様だからこそ、次の任務を頼みたいとの事です」
「次の任務……ですか?」
「はい。どうやらこのヨツバ王国内にバルトロス王国から送り込まれた刺客が紛れ込んだようです」
「刺客?」
バルトロス王国の名前が出て来た事でハシラも表情を一変させ、クヌギはそんな彼に新しい書状を渡す。
「こちらは王国に潜入させているハヤテからの報告です。私も先に拝見させて貰いましたが、どうやら既に賊はこのヨツバ王国内に侵入を果たした可能性があります」
「馬鹿な……!?」
書状を受け取ったハシラは信じられない表情を浮かべ、バルトロス王国の領地からアトラス大森林に侵入を果たすためには必然的に北方の守護を任されているハシラの領地を通り抜けなければならない。いくら広大なアトラス大森林とはいえど、ハシラは出来得る限りの警戒を敷いて王国からの侵入者を見張らせていた。
しかし、ハシラが書状を確認した所、王国内に滞在していたハヤテの情報によるとバルトロス王国が現在捕縛している王族の命と引き換えに同行していた護衛の将兵を脅迫させ、彼等にアトラス大森林の道案内をさせる事で既にヨツバ王国内の領地に侵入を果たした可能性が高い事が示されていた。
「……この手紙の内容は確かなのか?」
「カレハ様曰く、信頼に値する情報との事です。少なくとも敵方には護衛を務めるリンダを筆頭に数十名の騎士とヨツバ王国から立ち去ったシュンが存在します。国王陛下、アルン様、ノル様、ティナ様を人質にしてヨツバ王国内への侵入経路を彼等から脅迫して聞き出した可能性は十分にあります」
「ぬうっ……何という事だ。こうしてはいられん、悪いが部下と話し合う必要が出来た。これで失礼する!!」
ヨツバ王国内にバルトロス王国側の人間が侵入しているかもしれないという話にハシラは歯を食いしばり、もしも既に自分の敷いた警戒網を突破してヨツバ王国内に敵の侵入を許していた場合、その責任はハシラのせいになる。書状を確認したハシラはすぐにその場を去って警戒の基準を見直して強化を計ろうとした時、クヌギが彼を引き留める。
「お待ちください将軍、まだ私はカレハ様からの任務を話していません」
「何?」
「カレハ様が将軍に与えた任務は別件です。旧都の再興は中断し、準備が整い次第に1万の兵士を率いて東聖将の領地へ向かえとの事です」
「なっ……!?」
予想外のクヌギの言葉にハシラは目を見開き、そんな彼に対してクヌギはいたいけな少女とは思えぬほどの冷たい笑みを浮かべてカレハから受けた言葉を告げた。
「東聖将ギンタロウに謀反の恐れがあり、北聖将は軍を率いて東聖将の討伐へ向かえ……事前に降伏勧告を行う事も厳命されていますが、これを受け入れない場合はギンタロウを東聖将の位を剥奪し、北聖将が討つようにとの命令です」
「ギンタロウが謀反?しかし、何故奴がそんな……」
「命令は伝えました。私はこれで失礼します……ご武運をお祈りします」
ギンタロウが謀反を企てたという話に対してハシラは信じ切れず、特別に仲が良かったわけではないが六聖将の中では自分と同様に忠義心に厚い男だと思っていた。そんなギンタロウを討てという命令にハシラは戸惑いを隠せないが、その理由を説明する前にクヌギは立ち去ってしまう――
――それから数日後、色々と思い悩んだ末、やはり王族からの命令には逆らえずハシラは準備を整えてから1万の軍勢を率いて東聖将の領地へ向かう。事前にギンタロウに向けて手紙を送ったが返事は戻らず、仕方なく使者を送り込んだが、その使者が戻る事はなかった。
ハシラは色々と思う所は合ったが、将軍としての責務を果たすため、軍を率いて真っ先に東聖将が管理する「東壁街」へ向かう。この場所に間違いなくギンタロウと彼の配下の大部分が待機している事は間違いなく、ハシラは無駄な争いを避けるために他の街は襲わずに東壁街へ向かう。
「将軍!!東壁街が見えてきました!!」
「ああ、俺も見えた……やはり改めて見ると正攻法であの街を墜とすのは難しいか」
配下の兵士の言葉を聞いて白馬(ユニコーンではない)に跨ったハシラは前方の光景を見上げ、樹海の中に聳え立つ岩山を確認する。全長は1000メートルを軽く超え、その中心部に東聖将のギンタロウが管理する「東壁街」と呼ばれる都市が存在した。
東壁街は周囲を屈強な岩壁で覆われている事から攻める事は難しく、まず岩壁をよじ登って侵入する方法は不可能と言える。岩壁をよじ登ろうにもあまりにも高すぎるので兵士達の体力が持たず、しかも高台が何か所も設置されているので崖登りの最中に狙い撃ちされてしまう。
魔法の類を利用して岩壁を登る事が出来ない事もないかもしれないが、精霊魔法も決して万能ではなく、長時間の発動は出来ない。仮に魔法の力で登ろうとしたところで高台に存在する兵士がそれを見逃すはずがなく、同じく精霊魔法を使用して妨害するだろう。
「あの都市を墜とすには正門を突破するしかないが、あの門の素材は硬樹である以上は破壊するのは苦労するな」
「では予定通り、籠城戦を持ち込むしかありませんか?」
「いや、バルトロス王国の軍隊がアトラス大森林に向かうのかも分からん。あまりこの地に長居は出来ん……もう一度だけ使者を送り、ギンタロウの謀反の真偽を確かめる」
「はっ!!」
ハシラは徐々に接近してきた岩山に視線を向け、ギンタロウの真意を確認するために最後の連絡を取ろうとした。だが、もしも次の使者の身に何か起きた場合、ハシラは覚悟を決めてギンタロウと討伐する事を決意する。
「将軍!!南聖将のレイビ殿の遣いと名乗る兵士が訪れましたが……」
「何だと?もう俺が動いたのを嗅ぎ付けてきたのか……ここへ連れてこい」
兵士の言葉を聞いてハシラは仕方なく南聖将の配下の兵士を呼び出すと、馬ではなくブタンに乗り込んだ中年男性の兵士がハシラの元へ訪れ、薄気味悪い笑みを浮かべながら頭を下げてきた。
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