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外伝 ~ヨツバ王国編~
ギンタロウとハシラ
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――北聖将ハシラが率いる部隊が被害を受けた頃、東壁街側からも森の異変に気付き、城門にて準備を整えていたギンタロウの元にも報告のために伝令兵が訪れていた。
「報告します!!東壁街の南方の方角にて火災が発生!!それと同時に大多数の兵士の姿が森中で確認されました!!」
「遂に来たか!!だが、火災だと?ハシラの奴の仕業とは思えんが……」
自然を最も大切にする森人族であるハシラが何の理由もなく森を焼く行為を行うとは考えにくく、ギンタロウは不思議に思う。だが、重要なのは遂にハシラがこの東壁街へ到着したという事のため、ギンタロウは城門前に集まったケンタウロス族で構成された部隊に命じる。
「敵の数は我々の約3~4倍!!だが、籠城戦となると崖登りには適していない我々では大きく役に立てん!!ならば我等は敢えて出向いて奴等の出鼻を挫くぞ!!」
『うおおおおおっ!!』
ギンタロウの言葉にケンタウロス族の兵士達は歓声を上げ、城門を開かれるまで待機する。相手の数が自分達よりも多くとも士気は高く、ギンタロウは鉞を握り締めて城門の前に陣取った――
――それから数時間後、時刻は夕方を迎えようとした時、遂に北聖将の軍隊が東壁街の城門から確認できる距離にまで接近を果たす。北聖将の軍隊の半分近くは弓兵で統一され、その他の兵士は物資の運搬かあるいは弓兵を守るために用意された大盾を構えた部隊しか存在しない。
騎兵も存在するが彼等が身に着けているのは盾か弓で腰に短剣は装備しているが槍の類は装備していない。先頭を歩くのはハシラが直々に鍛え上げた弓兵が馬に乗って前に出ると、まだ距離が500メートル以上も離れた距離からハシラは攻撃の準備を整えさせる。
「ここまで接近しても城門を開く様子もないか……仕方あるまい、先方隊攻撃準備!!」
『はっ!!』
ハシラはギンタロウが素直に投稿する事を期待したが、先の一件で部下を犠牲にしてまで自分の部隊の物資を焼き払おうとした事を思い返し、話し合いはもう不可能だと判断した。この位置からでは岩壁の向かい側に存在する兵士に攻撃を行う事は出来ないが、街と外部を繋ぐ城門に関しては攻撃を行える。
「合図と共に一斉掃射を行え!!一か所に集中し、城門を破壊せよ!!」
『はっ!!』
「では……始めろっ!!」
『精霊よ……我が矢に力を!!』
数百人の弓兵が精霊魔法を発動させると、鏃に風の魔力を纏わせ、次々と矢を放つ。飛距離を伸ばす程に速度と威力が増加し、頑丈な木造製の城門に衝突した瞬間に砕け散った。
「撃ち続けろ!!矢を使い切った者は後列と交代しろ!!」
『精霊よ!!我に力を!!』
矢で打ち続けるだけではなく、後続の部隊も精霊魔法を発動させて援護射撃を行い、次々と風属性の魔弾を放つ。森人族は人間の扱う砲撃魔法は好まず、精霊の力で己の武器を強化したり、あるいは風の力を操作する事を得意とする。
城門に向けて矢の雨と風の衝撃波が叩きつけられ、徐々にではあるが金属のように頑丈な硬樹の扉が削り取られていく。その様子を見てハシラは目を鋭くさせ、内側で待機しているはずのギンタロウが動く事を予測する。
(ギンタロウ、お前の魂胆は読めているぞ。恐らくは内側で待機しているのだろうが、生憎とこちらはお前達を出すつもりはない。今更城門を開いたところで矢の雨の餌食になるだけだぞ)
ギンタロウの作戦を呼んでいたハシラは彼が出てこられないように城門に向けて集中攻撃を行い、この東壁街の唯一の出入口を破壊するつもりだった。城門さえ破壊すれば街中に入り込む事も容易く、そうなればギンタロウも簡単に生け捕り出来るだろう。
(さあ、これで終わりだ)
柱は自分が背中に抱えていた大弓を抜き取り、上半身に筋肉を肥大化させ、兵士が二人がかりで運んで来た特別製の矢を握り締める。この矢だけは全体が黒塗りされたように漆黒で染まっているため、傍目から見れば金属製の矢にも見えなくはないが、実際にこの森に存在する樹木から削り取られた矢である。
「攻撃中止!!これより、黒樹の矢を使う!!全員10歩下がれ!!」
『はっ!!』
ハシラの言葉に攻撃を行っていた兵士達は活動を中断し、指示通りに10歩ほど後方へ下がった。それを確認したハシラは上半身の服を脱ぎ去り、大弓に「黒樹」と呼ばれるアトラス大森林の中でも滅多に存在しない樹木から削り取った矢を放つ準備を行う。
黒樹とは外見が真っ黒に染まった色合いの樹木で生涯に一度も葉を実らせる事はなく、枯れ木のように育っていく樹である。しかし、数は少ないが生命力は非常に高く、どのような環境下でも根付き、少なくとも1000年以上の時を生きられる植物である。
一説ではこの樹木が生き永らえるのは周囲に存在する生物の魔力を吸い上げているからではないかと言われ、実際に黒樹が根付いた場所の地面は乾き、周囲には植物が全く生える事がない。実際に黒樹に接近した兵士が気分を害したという事例もある程危険な樹木だった。
しかし、黒樹の体内には長年の間に吸収し続けた生物の魔力が満ち溢れ、原理は不明だが黒樹が崩壊した時に内側の魔力が解放されて衝撃波を生み出す。過去に黒樹が崩壊した時は周囲1キロ圏内に存在したありとあらゆる物が吹き飛ぶほどの大惨事をひきおこしたという。
(黒樹の枝から作り出されたこの大弓と矢……残念ながら使われてもらうぞ)
物資の大半を失った事で籠城戦に持ち込まれると不利と判断したハシラは黒樹の枝を加工して作り出した矢を番え、狙いを定めて城門へ構えた。そして弦から指を離そうとした瞬間、城門がゆっくりと内側から押し開かれていく光景を確認する。
「出て来たか……だが、こちらの矢が尽きたと思ったか?」
扉が開かれる光景にハシラは弓を下ろし、兵士達に攻撃の再準備を整えさせるために右手を上げる。そして城門の中からケンタウロス族が姿を現し、その先頭には鉞を抱えたギンタロウが現れた。
「ハシラぁあああああっ!!何処に居るぅうううっ!!」
ギンタロウの大声が鳴り響き、十分に離れているにも関わらずに兵士達が耳を塞ぐ。相変わらずの大声にハシラも頭を抱えながらも自分の愛馬を操作し、ギンタロウの元へ向かう。
「ギンタロウ!!俺はここに居るぞ!!」
「おおっ!!そこに居たかぁっ!!久しぶりだなハシラぁあああっ!!」
「そこまで大声を出さんでも聞こえるぞっ!?」
距離は500メートルは存在するがギンタロウは素の大声、ハシラは精霊魔法の応用で自分の声を相手に届かせ、会話を行う。
「北聖将ギンタロウ!!貴様に王国に対する謀反の疑いがある!!即刻、武装解除して俺と共に王都へ向かえ!!」
「それは誤解だハシラ!!俺は謀反などしない!!」
「ならばどうしてお前に再三送った使者が誰一人として戻ってこない!!さらに数刻前、お前の配下と思われる兵士達が現れ、我々が輸送した物資と共に自爆して死亡したぞ!!」
「それこそ何の話だ!!俺はお前の所から送り込まれたという使者とは会っていないし、お前の輸送部隊を襲ったという兵士にも心当たりはない!!第一に俺がそんな卑怯な真似をするような男だと思うか!?」
「……何だと?」
ギンタロウの言葉を聞いてハシラは違和感を覚え、使者の件はともかく確かに部下を大事にするギンタロウが命を犠牲にする事を前提とした自爆を兵士に強要させるとは考えにくく、迷いが生じる。しかし、すぐにハシラは自分がカレハの使者から命令を引き受けた事を思い出し、例えどのような理由であろうと王族の命令には彼は逆らえない。
「報告します!!東壁街の南方の方角にて火災が発生!!それと同時に大多数の兵士の姿が森中で確認されました!!」
「遂に来たか!!だが、火災だと?ハシラの奴の仕業とは思えんが……」
自然を最も大切にする森人族であるハシラが何の理由もなく森を焼く行為を行うとは考えにくく、ギンタロウは不思議に思う。だが、重要なのは遂にハシラがこの東壁街へ到着したという事のため、ギンタロウは城門前に集まったケンタウロス族で構成された部隊に命じる。
「敵の数は我々の約3~4倍!!だが、籠城戦となると崖登りには適していない我々では大きく役に立てん!!ならば我等は敢えて出向いて奴等の出鼻を挫くぞ!!」
『うおおおおおっ!!』
ギンタロウの言葉にケンタウロス族の兵士達は歓声を上げ、城門を開かれるまで待機する。相手の数が自分達よりも多くとも士気は高く、ギンタロウは鉞を握り締めて城門の前に陣取った――
――それから数時間後、時刻は夕方を迎えようとした時、遂に北聖将の軍隊が東壁街の城門から確認できる距離にまで接近を果たす。北聖将の軍隊の半分近くは弓兵で統一され、その他の兵士は物資の運搬かあるいは弓兵を守るために用意された大盾を構えた部隊しか存在しない。
騎兵も存在するが彼等が身に着けているのは盾か弓で腰に短剣は装備しているが槍の類は装備していない。先頭を歩くのはハシラが直々に鍛え上げた弓兵が馬に乗って前に出ると、まだ距離が500メートル以上も離れた距離からハシラは攻撃の準備を整えさせる。
「ここまで接近しても城門を開く様子もないか……仕方あるまい、先方隊攻撃準備!!」
『はっ!!』
ハシラはギンタロウが素直に投稿する事を期待したが、先の一件で部下を犠牲にしてまで自分の部隊の物資を焼き払おうとした事を思い返し、話し合いはもう不可能だと判断した。この位置からでは岩壁の向かい側に存在する兵士に攻撃を行う事は出来ないが、街と外部を繋ぐ城門に関しては攻撃を行える。
「合図と共に一斉掃射を行え!!一か所に集中し、城門を破壊せよ!!」
『はっ!!』
「では……始めろっ!!」
『精霊よ……我が矢に力を!!』
数百人の弓兵が精霊魔法を発動させると、鏃に風の魔力を纏わせ、次々と矢を放つ。飛距離を伸ばす程に速度と威力が増加し、頑丈な木造製の城門に衝突した瞬間に砕け散った。
「撃ち続けろ!!矢を使い切った者は後列と交代しろ!!」
『精霊よ!!我に力を!!』
矢で打ち続けるだけではなく、後続の部隊も精霊魔法を発動させて援護射撃を行い、次々と風属性の魔弾を放つ。森人族は人間の扱う砲撃魔法は好まず、精霊の力で己の武器を強化したり、あるいは風の力を操作する事を得意とする。
城門に向けて矢の雨と風の衝撃波が叩きつけられ、徐々にではあるが金属のように頑丈な硬樹の扉が削り取られていく。その様子を見てハシラは目を鋭くさせ、内側で待機しているはずのギンタロウが動く事を予測する。
(ギンタロウ、お前の魂胆は読めているぞ。恐らくは内側で待機しているのだろうが、生憎とこちらはお前達を出すつもりはない。今更城門を開いたところで矢の雨の餌食になるだけだぞ)
ギンタロウの作戦を呼んでいたハシラは彼が出てこられないように城門に向けて集中攻撃を行い、この東壁街の唯一の出入口を破壊するつもりだった。城門さえ破壊すれば街中に入り込む事も容易く、そうなればギンタロウも簡単に生け捕り出来るだろう。
(さあ、これで終わりだ)
柱は自分が背中に抱えていた大弓を抜き取り、上半身に筋肉を肥大化させ、兵士が二人がかりで運んで来た特別製の矢を握り締める。この矢だけは全体が黒塗りされたように漆黒で染まっているため、傍目から見れば金属製の矢にも見えなくはないが、実際にこの森に存在する樹木から削り取られた矢である。
「攻撃中止!!これより、黒樹の矢を使う!!全員10歩下がれ!!」
『はっ!!』
ハシラの言葉に攻撃を行っていた兵士達は活動を中断し、指示通りに10歩ほど後方へ下がった。それを確認したハシラは上半身の服を脱ぎ去り、大弓に「黒樹」と呼ばれるアトラス大森林の中でも滅多に存在しない樹木から削り取った矢を放つ準備を行う。
黒樹とは外見が真っ黒に染まった色合いの樹木で生涯に一度も葉を実らせる事はなく、枯れ木のように育っていく樹である。しかし、数は少ないが生命力は非常に高く、どのような環境下でも根付き、少なくとも1000年以上の時を生きられる植物である。
一説ではこの樹木が生き永らえるのは周囲に存在する生物の魔力を吸い上げているからではないかと言われ、実際に黒樹が根付いた場所の地面は乾き、周囲には植物が全く生える事がない。実際に黒樹に接近した兵士が気分を害したという事例もある程危険な樹木だった。
しかし、黒樹の体内には長年の間に吸収し続けた生物の魔力が満ち溢れ、原理は不明だが黒樹が崩壊した時に内側の魔力が解放されて衝撃波を生み出す。過去に黒樹が崩壊した時は周囲1キロ圏内に存在したありとあらゆる物が吹き飛ぶほどの大惨事をひきおこしたという。
(黒樹の枝から作り出されたこの大弓と矢……残念ながら使われてもらうぞ)
物資の大半を失った事で籠城戦に持ち込まれると不利と判断したハシラは黒樹の枝を加工して作り出した矢を番え、狙いを定めて城門へ構えた。そして弦から指を離そうとした瞬間、城門がゆっくりと内側から押し開かれていく光景を確認する。
「出て来たか……だが、こちらの矢が尽きたと思ったか?」
扉が開かれる光景にハシラは弓を下ろし、兵士達に攻撃の再準備を整えさせるために右手を上げる。そして城門の中からケンタウロス族が姿を現し、その先頭には鉞を抱えたギンタロウが現れた。
「ハシラぁあああああっ!!何処に居るぅうううっ!!」
ギンタロウの大声が鳴り響き、十分に離れているにも関わらずに兵士達が耳を塞ぐ。相変わらずの大声にハシラも頭を抱えながらも自分の愛馬を操作し、ギンタロウの元へ向かう。
「ギンタロウ!!俺はここに居るぞ!!」
「おおっ!!そこに居たかぁっ!!久しぶりだなハシラぁあああっ!!」
「そこまで大声を出さんでも聞こえるぞっ!?」
距離は500メートルは存在するがギンタロウは素の大声、ハシラは精霊魔法の応用で自分の声を相手に届かせ、会話を行う。
「北聖将ギンタロウ!!貴様に王国に対する謀反の疑いがある!!即刻、武装解除して俺と共に王都へ向かえ!!」
「それは誤解だハシラ!!俺は謀反などしない!!」
「ならばどうしてお前に再三送った使者が誰一人として戻ってこない!!さらに数刻前、お前の配下と思われる兵士達が現れ、我々が輸送した物資と共に自爆して死亡したぞ!!」
「それこそ何の話だ!!俺はお前の所から送り込まれたという使者とは会っていないし、お前の輸送部隊を襲ったという兵士にも心当たりはない!!第一に俺がそんな卑怯な真似をするような男だと思うか!?」
「……何だと?」
ギンタロウの言葉を聞いてハシラは違和感を覚え、使者の件はともかく確かに部下を大事にするギンタロウが命を犠牲にする事を前提とした自爆を兵士に強要させるとは考えにくく、迷いが生じる。しかし、すぐにハシラは自分がカレハの使者から命令を引き受けた事を思い出し、例えどのような理由であろうと王族の命令には彼は逆らえない。
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