不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
721 / 2,091
外伝 ~ヨツバ王国編~

仲間達の決心

しおりを挟む
「このままレナが目を覚まさなかったら、僕達どうすればいいんだろうな」
「……大丈夫だ、レナは必ず起きる」
「そうだよな……よし、何時までも落ち込んでても仕方ないな!!」


ダインは何かを決心したようにゴンゾウの背中から降りると、彼は自分の杖を握り締める。ここから先はもうレナだけに苦労をさせないと心に誓い、ダインはゴンゾウに宣言した。


「ゴンゾウ、僕は決めたぞ!!レナが目を覚ますまでの間に僕達はもっと強くなるんだ!!レナの力を借りなくても大手柄を上げられるぐらいにな!!」
「強くなる?何か考えがあるのか?」
「へへっ……僕だって成長してるんだよ。新しい魔法をもう少しで生み出せそうなんだ。この魔法が完成すればもう影魔法が役に立たないなんて馬鹿にする奴等はいなくなるぐらい凄い魔法だからな!!」
「そうなのか……実は俺の方も新しい戦技を身に着けられそうだ。まだ、扱い慣れてはいないが完成したらきっと今以上に強くなれる気がする」
「何だよ、ゴンゾウもそんなとっておきがあったのかよ……僕だけが強くなって見返してやろうと思ったのに」
「ふっ、抜け駆けはさせないぞ」


ゴンゾウもダインも新しい技を身に着けるために訓練を積んでおり、二人はレナが目を覚ます前に強くなるため、技の完成を急ぐ。そんな二人の様子を陰から覗き見る者がいた。


「……今はちょっと入りにくいわね」


二人の様子を見ていたのはシズネであり、彼女はレナの見舞いに赴く途中に二人を見かけて声を掛けようとしたが、二人の会話が耳に入った。ここで話しかけてもどちらの邪魔になるだけだと考えたシズネは立ち去る事を決め、自分の腰に差した雪月花に視線を向ける。


「私も負けていられないわね。貴方の力をもっと引き出して見せるわ」


ゴンゾウとダインの決意を感じ取ったシズネの方も今以上に自分の持つ魔剣の力を扱えるようになるため、レナの見舞いは中断し、自分も鍛錬に励む事にした。



――七大魔剣の一角である雪月花は非常に危険な能力を所有しており、その力を完全に解放させればあの七大聖剣にも匹敵する力を引き出せる可能性は十分にあった。だが、反面に魔剣の力を引き出せば引き出す程に所有者に大きな負担が掛かるため、これまでシズネは魔剣の力をある程度抑えた状態でしか使った事がない。

しかし、フェンリルとの戦闘の際にシズネは自分が力を出し惜しみしたせいでレナに無理をさせたのではないかと考え込み、大切な人を守るためならば自分の身を削る事を躊躇する事を止め、彼女は雪月花の持つ力を全て引き出す覚悟を決めた。


(もう、貴方だけに苦しい思いはさせないわ……貴方が死ぬときは私も一緒よ、レナ)


雪月花を握り締め、何があろうとレナを守る事を決めたシズネは鍛錬に励むためにその場を立ち去る。




――同時刻、レナの看病を行っていたコトミンは桶の水を入れ替えるために井戸に移動して新しい水を汲もうとしていた。彼女は井戸から水を汲み上げる途中、桶の中の水面に映し出された自分の顔を見て黙り込む。


(レナはもう限界……これ以上は無理をさせちゃ駄目)


誰よりもレナと長い付き合いであるコトミンだからこそ、現在のレナが危うい状態である事を理解していた。肉体の方も危険な状態ではあるが、それよりも問題なのはレナの精神面である。


(レナはいつも一人で問題を解決しようとする……私達はそんなに頼りにならない?)


これまでの行動でレナは基本的には自分一人で解決出来る問題は一人で行い、他の人間に協力を求める事はあっても一番大変な役目はいつも自分が担っていた。そのせいで本人も知らず知らずに大きな負担を抱えるようになり、遂に無理が祟って倒れてしまう。

仮にレナが目覚めたとしても、彼がまた無茶をするだろうとコトミンは予測していた。しかし、それだけは何としても止めなければならないと感じたコトミンは何かを決心したように頷く。


(レナは私が守る……一生守る)


もうこれ以上はレナに無理をさせないと誓ったコトミンはまずはレナの身体を楽にさせるため、治療に専念する事にした――






――それから二日後の夕方、遂に東壁街に向けて接近するクレナイの軍隊の元へギンタロウが送り付けた使者の一行が到着する。予想よりも軍隊の進行速度は早く、既にクレナイは東聖将の領地内へ入っていた。


「六聖将筆頭、守備将のクレナイだ。お前達が東聖将ギンタロウの使者と聞いているが、何の用事でやってきた?」


幕舎の中にてギンタロウの側近であるキン、ギン、ドウの3名、更に護衛として付いてきたカゲマル、ハンゾウ、アヤメの3名は目の前に立つクレナイの迫力に圧倒される。6人とも優れた武人であるが故、クレナイから発せられる威圧を敏感に感じ取り、全員が冷や汗を流す。


(これがヨツバ王国最強の将か……なるほど、ゴウライとは違った雰囲気の武人だな)


バルトロス王国最強の剣士と言われているゴウライも常人とは異なる雰囲気を持つが、クレナイの場合は彼女とは違った独特の雰囲気を纏っており、迂闊に話しかける事も出来ないほどにカゲマル達は圧迫感を味わう。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。