724 / 2,091
外伝 ~ヨツバ王国編~
マリアの疑惑
しおりを挟む
――クレナイの下へ送った使者が東壁街へ帰還すると、氷雨の冒険者達は報告を受けて衝撃が走る。カレハ王女に拘束されていると思われたマリアが六聖将として迎え入れられているという事態に動揺を隠せず、急遽冒険者同士で話し合いが行われた。
「マリア様がヨツバ王国へ帰順しただと!?そんなの嘘に決まっている!!」
「あの御方が俺たちに何も言わずに国へ帰るはずがない!!」
「そうだ!!嘘に決まっている!!」
氷雨の冒険者の殆どはマリアがヨツバ王国に従ったなどとは信じられないが、それ以外のギルドの者たちは疑惑を強める。
「しかし、この状況でクレナイとやらが嘘を言う理由はない。まずは王都へ密偵を送り込み、事実確認を行う方が先決じゃないか?」
「てめえっ!!マリア様が俺たちを見捨てたというのか!!」
「い、いや……そういう訳じゃないが」
「どちらにしてもクレナイの軍隊はもう明日か明後日にも到着するのだ。密偵を送る暇はない」
牙竜の冒険者はマリアが六聖将へ迎え入れられた事が本当なのかを確かめようと進言するが、現時点ではクレナイの軍隊が東壁街に迫っている以上は今から密偵を送り込むのも難しい状況である。事前に王都へ偵察へ向かわせている緑影からの報告を待つしかない。
「そもそも本当に氷雨の冒険者はマリア殿がヨツバ王国へ戻ったという話は知らないのか?お前たちが隠しているだけで、実は裏で話を合わせて我々を嵌めようとしているのではないのか?」
「何だとてめえっ!!お前等、俺たちを疑う気かっ!?」
「止めろ馬鹿共がっ!!」
牙竜の冒険者は氷雨に所属する冒険者達が実は裏でヨツバ王国と繋がり、自分達を陥れようとしているのではないかと疑う者も現れ、その言葉を聞いたガロが激高して冒険者に怒鳴りつけるが、そんな彼等にバルが一喝すると全員が黙り込む。
「今、この状況で仲間割れなんかしてどうするんだい!!私たちが戦う相手はヨツバ王国最強の軍隊なんだよ!!全員で力を合わせない限り、勝てる相手じゃないんだ!!」
「バルの言うとおりだ。不確定な情報に躍らされ、我々の団結が乱れる事は避けねばならん」
「その通りだ。この状況下で仲間内で争ってどうする。ここに迫りくる軍隊との決戦に備えるべきだろう」
黒虎のギルドマスターのバル、牙竜のギルドマスター代理のガンモ、氷雨の冒険者の中で最年長のロウガが全員を説得すると、その場に存在した冒険者は何も言い返せない。マリアが本当に六聖将に就任されたのかは今の状況では確かめる術がない以上、これ以上の話し合いは無意味である。
バルは溜息を吐きながらマリアの事を思い浮かべ、彼女の知る限りではマリアは決して人に従うような女性ではない。例え、拷問を受けたとしても彼女が自分の信念を曲げて他人に服従するなどあり得るはずがなく、仮にマリアが六聖将に入ったというのが事実だとしても何らかの事情があると信じていた。
(何やってるんだい、あの女狐……あんたの甥が大変な目に遭っている時に)
マリアの身を案じながらもバルは未だに目を覚まさないレナの身を案じ、早く目覚めるように祈る――
――この翌日、遂にクレナイの軍隊が東壁街から数十キロも離れていない場所に到着したという報告が届き、ギンタロウは判断を迫られる。籠城戦を行うべきか、それとも撃退のために出陣するか、選択に迫られた。
「ギンタロウ将軍!!出撃の準備は整っています!!ここは奇襲を仕掛けましょう!!」
「いえ、東壁街は天然の要塞、ここで籠城戦を行い、敵の士気が下がったところで攻め入るべきです!!」
「攻めるべきか、守るべきか……どうされますか将軍?」
「うむ……」
ギンタロウの側近のキンは出撃することを進言し、ギンは守備に徹することを進言するが、ドウに関してはどちらの意見も賛同せずにギンタロウの判断を仰ぐ。ギンタロウも今回ばかりは真剣な表情で思い悩む。
東聖将軍は数多くのケンタウロス族の兵士が存在し、仮に障害物の多い森の中も平地のように駆け抜け、ヨツバ王国の中でも最高峰の機動力を誇る。ヨツバ王国の精鋭部隊と呼ばれるクレナイの配下の軍隊であろうと対抗出来る力を持つが、相手の兵力は5000と考えると兵が3000でしかも東壁街の守備も考えて全軍は動かせない東聖将軍が不利となる。
籠城戦を挑む場合はクレナイの部隊は騎士の職業で構成されているため、魔法を得意とする者は少ない。だからこそクレナイは堅実に攻め入るのではなく、包囲網を築いて東壁街の兵糧が尽きるまで待機するだろう。クレナイの軍隊兵糧に関しては王都から補給されるため、長期戦を挑まれたらと東聖将軍が圧倒的不利だった。
どちらを選択しても東聖将軍の勝ち目は薄く、仮に北聖将軍が訪れた時のようにティナやその他の王族の石像を見せたとしてもクレナイの場合は納得して退散してくれるとは思えず、無理やりにでもティナを保護して他の王族3人の石像を持ち帰り、カレハ王女へ報告を行うだろう。
「マリア様がヨツバ王国へ帰順しただと!?そんなの嘘に決まっている!!」
「あの御方が俺たちに何も言わずに国へ帰るはずがない!!」
「そうだ!!嘘に決まっている!!」
氷雨の冒険者の殆どはマリアがヨツバ王国に従ったなどとは信じられないが、それ以外のギルドの者たちは疑惑を強める。
「しかし、この状況でクレナイとやらが嘘を言う理由はない。まずは王都へ密偵を送り込み、事実確認を行う方が先決じゃないか?」
「てめえっ!!マリア様が俺たちを見捨てたというのか!!」
「い、いや……そういう訳じゃないが」
「どちらにしてもクレナイの軍隊はもう明日か明後日にも到着するのだ。密偵を送る暇はない」
牙竜の冒険者はマリアが六聖将へ迎え入れられた事が本当なのかを確かめようと進言するが、現時点ではクレナイの軍隊が東壁街に迫っている以上は今から密偵を送り込むのも難しい状況である。事前に王都へ偵察へ向かわせている緑影からの報告を待つしかない。
「そもそも本当に氷雨の冒険者はマリア殿がヨツバ王国へ戻ったという話は知らないのか?お前たちが隠しているだけで、実は裏で話を合わせて我々を嵌めようとしているのではないのか?」
「何だとてめえっ!!お前等、俺たちを疑う気かっ!?」
「止めろ馬鹿共がっ!!」
牙竜の冒険者は氷雨に所属する冒険者達が実は裏でヨツバ王国と繋がり、自分達を陥れようとしているのではないかと疑う者も現れ、その言葉を聞いたガロが激高して冒険者に怒鳴りつけるが、そんな彼等にバルが一喝すると全員が黙り込む。
「今、この状況で仲間割れなんかしてどうするんだい!!私たちが戦う相手はヨツバ王国最強の軍隊なんだよ!!全員で力を合わせない限り、勝てる相手じゃないんだ!!」
「バルの言うとおりだ。不確定な情報に躍らされ、我々の団結が乱れる事は避けねばならん」
「その通りだ。この状況下で仲間内で争ってどうする。ここに迫りくる軍隊との決戦に備えるべきだろう」
黒虎のギルドマスターのバル、牙竜のギルドマスター代理のガンモ、氷雨の冒険者の中で最年長のロウガが全員を説得すると、その場に存在した冒険者は何も言い返せない。マリアが本当に六聖将に就任されたのかは今の状況では確かめる術がない以上、これ以上の話し合いは無意味である。
バルは溜息を吐きながらマリアの事を思い浮かべ、彼女の知る限りではマリアは決して人に従うような女性ではない。例え、拷問を受けたとしても彼女が自分の信念を曲げて他人に服従するなどあり得るはずがなく、仮にマリアが六聖将に入ったというのが事実だとしても何らかの事情があると信じていた。
(何やってるんだい、あの女狐……あんたの甥が大変な目に遭っている時に)
マリアの身を案じながらもバルは未だに目を覚まさないレナの身を案じ、早く目覚めるように祈る――
――この翌日、遂にクレナイの軍隊が東壁街から数十キロも離れていない場所に到着したという報告が届き、ギンタロウは判断を迫られる。籠城戦を行うべきか、それとも撃退のために出陣するか、選択に迫られた。
「ギンタロウ将軍!!出撃の準備は整っています!!ここは奇襲を仕掛けましょう!!」
「いえ、東壁街は天然の要塞、ここで籠城戦を行い、敵の士気が下がったところで攻め入るべきです!!」
「攻めるべきか、守るべきか……どうされますか将軍?」
「うむ……」
ギンタロウの側近のキンは出撃することを進言し、ギンは守備に徹することを進言するが、ドウに関してはどちらの意見も賛同せずにギンタロウの判断を仰ぐ。ギンタロウも今回ばかりは真剣な表情で思い悩む。
東聖将軍は数多くのケンタウロス族の兵士が存在し、仮に障害物の多い森の中も平地のように駆け抜け、ヨツバ王国の中でも最高峰の機動力を誇る。ヨツバ王国の精鋭部隊と呼ばれるクレナイの配下の軍隊であろうと対抗出来る力を持つが、相手の兵力は5000と考えると兵が3000でしかも東壁街の守備も考えて全軍は動かせない東聖将軍が不利となる。
籠城戦を挑む場合はクレナイの部隊は騎士の職業で構成されているため、魔法を得意とする者は少ない。だからこそクレナイは堅実に攻め入るのではなく、包囲網を築いて東壁街の兵糧が尽きるまで待機するだろう。クレナイの軍隊兵糧に関しては王都から補給されるため、長期戦を挑まれたらと東聖将軍が圧倒的不利だった。
どちらを選択しても東聖将軍の勝ち目は薄く、仮に北聖将軍が訪れた時のようにティナやその他の王族の石像を見せたとしてもクレナイの場合は納得して退散してくれるとは思えず、無理やりにでもティナを保護して他の王族3人の石像を持ち帰り、カレハ王女へ報告を行うだろう。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。