767 / 2,091
外伝 ~ヨツバ王国編~
世界最強の魔術師
しおりを挟む
「一刀、両断!!」
「オアッ――!?」
全身の力を込め、更に精霊の力だけではなく最強の剣技を発動したレナの退魔刀が空振りしただけで強烈な三日月の形をした衝撃波を生み出す。アースゴーレムは胴体に衝撃波を受けた瞬間、全身が粉々に吹き飛ばされてしまう。その結果、アースゴーレムの傍に存在したマリアも影響を受け、吹き飛ばされた。
「え、やった!?」
「倒しちゃったの?」
「……まさか、この程度で勝てる相手じゃないよ」
地面へと落下していくマリアの姿を見てダイン達が心配した声を上げるが、彼女は空中で杖を掲げると、足元に渦巻のような風の魔力を発生させて浮き上がる。レナも扱う「風圧」の初級魔法の応用版であり、しかもレナよりも使いこなしている。
風圧の魔法を利用して飛び上がる事はハンゾウも行えるが、彼女の場合は衝撃波を足の裏から繰り出して移動しているだけに過ぎず、空中へ完全に停止する事は出来ない。しかし、マリアの場合は足元の風の渦巻によって完全に浮かんでいた。魔法の力が強いだけでは行える芸当ではなく、魔法の技術に関してもマリアはレナやハンゾウの遥か上を行く。
(前にアイリスが叔母様の事を世界最強の魔術師だと言ってたけど、本当にその通りだな……)
アイリス曰く、マリアは魔術師としてこの世界でも最上位に位置しており、わずか20年足らずであらゆる魔法を極めたという。そんな彼女が扱えない魔法があるとしたら「闇属性」のみであり、他の6つの属性は極めたといってもいい(但し、職業上は聖属性の回復魔法は使用できない)。
レナも全ての属性を扱えるが、その中で得意とするのは「土属性」と「風属性」である。本来は種族的には「火属性」の方が適性が大きいのだが、自分の大剣を扱う際に重力を操作する土属性と風属性を頻繁に扱い、他の属性に関しては残念ながら使いこなしていない。昔は水属性もよく多用していたが、退魔刀を手に入れた時期から気付けば使い機会は減っていた。
(さてと、そろそろ避難しないとまずいなこれは……)
マリアが体勢を整えて攻撃を仕掛ける前にレナは退散するために仲間達に振り返り、頷く。仲間達はレナの行動を見て意図を察し、一か所に集まる。マリアが次の攻撃を加える前にレナは「空間魔法」を発動させ、先に仲間達の足元に黒渦を作り出して事前に王都から離れた場所に設置した黒渦と繋げて避難させる。
「じゃあね、叔母様!!」
「っ……!?」
レナは仲間達の元と共に黒渦に飛び込むと、完全に姿を消してしまう。それを確認したマリアは黒渦が閉じ込められる前に攻撃を仕掛けようとしたが、レナ達が消えた瞬間に黒渦は一瞬で消失してしまう――
「――ぷはぁっ!!し、死ぬかと思ったぁっ!!」
王都から離れた森の中で逃げ帰る事に成功したレナ達はその場に膝を付き、無事にマリアから逃げ切れた事を安堵する。もしも、あのまま戦い続けたら間違いなくマリアに殺されていただろう。
「はあっ……だけど、十分時間は稼げたよな。体感的には2時間か3時間ぐらいは粘った気がするけど……」
「実際の所は1時間程度だとは思うでござるが、これで敵の注意は十分に引き付ける事は出来たと思うでござる」
「王都で問題が起きれば当然だけど王都付近に配置されている兵士達も集まってくるはず……その間にティナ達が西聖将の領地へ近づければ十分だよ」
「けど、この作戦きつかった……スラミンもアインもミノよく頑張った」
「ぷるぷるっ♪」
「キュロッ♪」
「ブモォッ……」
コトミンに褒められてスラミンとアインは嬉しそうに鳴き声をあげ、ミノも頷く。レナ達の作戦は王都で大暴れを行い、王都付近の注意を引く間にティナとエリナを乗せたウルとユニコーンを西聖将の元へ向かわせる。結果としては王都ではレナ達が暴れた事で大騒ぎになっているはずであり、しかもレナがクレナイの事を触れ回ったせいで兵士や民衆の間にカレハに対して疑念を抱く者も現れただろう。
事前にアイリスからキラウが王都の近くには存在しない事を聞かなければ成り立たない作戦だったが、結果としては囮役は上手く成功した。後はティナ達がどれほど西聖将の領地へ近づけたかであり、彼女達の後を追うためにレナ達も動かなければならない。
「むっ……あちこちで狼煙が上がっているでござる。どうやら森の中で見張りを行わせている兵士達を呼び寄せているようでござる」
「それなら俺たちも急いで移動しよう。兵士達に見つかる前にティナ達に追いつかないと……」
「ええっ……もう動くの?こっちは影魔法を使いっぱなしで疲れてるんだけど……」
「もたもたしていると叔母様が追手として派遣されるかもしれないけど……」
「何してんだよ皆!!早く逃げるぞ!!」
「ブモォッ!?」
「は、早い!?拙者の目でも見切れなかったでござる!!」
レナの言葉を聞いてダインは何時の間にかミノの背中にしがみつき、両角を捕まえて逃げる準備を行う。そのあまりの反応の切り替えにハンゾウは驚くが、早急に立ち去らなければならないのは事実であり、疲労を堪えてレナ達も出発した。
「オアッ――!?」
全身の力を込め、更に精霊の力だけではなく最強の剣技を発動したレナの退魔刀が空振りしただけで強烈な三日月の形をした衝撃波を生み出す。アースゴーレムは胴体に衝撃波を受けた瞬間、全身が粉々に吹き飛ばされてしまう。その結果、アースゴーレムの傍に存在したマリアも影響を受け、吹き飛ばされた。
「え、やった!?」
「倒しちゃったの?」
「……まさか、この程度で勝てる相手じゃないよ」
地面へと落下していくマリアの姿を見てダイン達が心配した声を上げるが、彼女は空中で杖を掲げると、足元に渦巻のような風の魔力を発生させて浮き上がる。レナも扱う「風圧」の初級魔法の応用版であり、しかもレナよりも使いこなしている。
風圧の魔法を利用して飛び上がる事はハンゾウも行えるが、彼女の場合は衝撃波を足の裏から繰り出して移動しているだけに過ぎず、空中へ完全に停止する事は出来ない。しかし、マリアの場合は足元の風の渦巻によって完全に浮かんでいた。魔法の力が強いだけでは行える芸当ではなく、魔法の技術に関してもマリアはレナやハンゾウの遥か上を行く。
(前にアイリスが叔母様の事を世界最強の魔術師だと言ってたけど、本当にその通りだな……)
アイリス曰く、マリアは魔術師としてこの世界でも最上位に位置しており、わずか20年足らずであらゆる魔法を極めたという。そんな彼女が扱えない魔法があるとしたら「闇属性」のみであり、他の6つの属性は極めたといってもいい(但し、職業上は聖属性の回復魔法は使用できない)。
レナも全ての属性を扱えるが、その中で得意とするのは「土属性」と「風属性」である。本来は種族的には「火属性」の方が適性が大きいのだが、自分の大剣を扱う際に重力を操作する土属性と風属性を頻繁に扱い、他の属性に関しては残念ながら使いこなしていない。昔は水属性もよく多用していたが、退魔刀を手に入れた時期から気付けば使い機会は減っていた。
(さてと、そろそろ避難しないとまずいなこれは……)
マリアが体勢を整えて攻撃を仕掛ける前にレナは退散するために仲間達に振り返り、頷く。仲間達はレナの行動を見て意図を察し、一か所に集まる。マリアが次の攻撃を加える前にレナは「空間魔法」を発動させ、先に仲間達の足元に黒渦を作り出して事前に王都から離れた場所に設置した黒渦と繋げて避難させる。
「じゃあね、叔母様!!」
「っ……!?」
レナは仲間達の元と共に黒渦に飛び込むと、完全に姿を消してしまう。それを確認したマリアは黒渦が閉じ込められる前に攻撃を仕掛けようとしたが、レナ達が消えた瞬間に黒渦は一瞬で消失してしまう――
「――ぷはぁっ!!し、死ぬかと思ったぁっ!!」
王都から離れた森の中で逃げ帰る事に成功したレナ達はその場に膝を付き、無事にマリアから逃げ切れた事を安堵する。もしも、あのまま戦い続けたら間違いなくマリアに殺されていただろう。
「はあっ……だけど、十分時間は稼げたよな。体感的には2時間か3時間ぐらいは粘った気がするけど……」
「実際の所は1時間程度だとは思うでござるが、これで敵の注意は十分に引き付ける事は出来たと思うでござる」
「王都で問題が起きれば当然だけど王都付近に配置されている兵士達も集まってくるはず……その間にティナ達が西聖将の領地へ近づければ十分だよ」
「けど、この作戦きつかった……スラミンもアインもミノよく頑張った」
「ぷるぷるっ♪」
「キュロッ♪」
「ブモォッ……」
コトミンに褒められてスラミンとアインは嬉しそうに鳴き声をあげ、ミノも頷く。レナ達の作戦は王都で大暴れを行い、王都付近の注意を引く間にティナとエリナを乗せたウルとユニコーンを西聖将の元へ向かわせる。結果としては王都ではレナ達が暴れた事で大騒ぎになっているはずであり、しかもレナがクレナイの事を触れ回ったせいで兵士や民衆の間にカレハに対して疑念を抱く者も現れただろう。
事前にアイリスからキラウが王都の近くには存在しない事を聞かなければ成り立たない作戦だったが、結果としては囮役は上手く成功した。後はティナ達がどれほど西聖将の領地へ近づけたかであり、彼女達の後を追うためにレナ達も動かなければならない。
「むっ……あちこちで狼煙が上がっているでござる。どうやら森の中で見張りを行わせている兵士達を呼び寄せているようでござる」
「それなら俺たちも急いで移動しよう。兵士達に見つかる前にティナ達に追いつかないと……」
「ええっ……もう動くの?こっちは影魔法を使いっぱなしで疲れてるんだけど……」
「もたもたしていると叔母様が追手として派遣されるかもしれないけど……」
「何してんだよ皆!!早く逃げるぞ!!」
「ブモォッ!?」
「は、早い!?拙者の目でも見切れなかったでござる!!」
レナの言葉を聞いてダインは何時の間にかミノの背中にしがみつき、両角を捕まえて逃げる準備を行う。そのあまりの反応の切り替えにハンゾウは驚くが、早急に立ち去らなければならないのは事実であり、疲労を堪えてレナ達も出発した。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。