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外伝 ~ヨツバ王国編~
まだ完成されていない
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「西聖将、いやホムラよ。儂からも頼む、此度の件はヨツバ王国の存亡に関わるのだ。どうかお主の力を……」
「断る、私の役目はこの領地と神殿の守護だ。第一に国王であろうと私に対して命令する権利はない」
「やはり、無理か……」
「無理だな、それにマリアやキラウとやらがこの地に攻め込んでくる可能性がある以上、私も無暗にここから離れる事は出来ない」
西聖将であるホムラは王都から何度かカレハから王都へ赴くように連絡を受けているが、彼女はそれを全て断わっていた。カレハとしても西聖将の立場は理解しているのでこれまでは彼女の事を放置していたが、もしもデブリ国王達を匿っていた事を知られると流石に無視は出来ない。
この領地に軍隊が送り込まれる可能性は低くとも、マリアやキラウを送り込まれた場合、ホムラがいなければダークエルフの戦士達だけでは対応できない可能性が高い。西聖将としてホムラは神殿の管理も任されている以上、何があろうとこの地を離れるつもりはなかった。
「お前たちの家族の問題はお前達でどうにかしろ、私が出来る事はこの地に居る限りは守ってやる。もしもお前達が敗れた場合はここへ戻ってこい。そうすれば軍隊が送り込まれようと私が守ってやる」
「それは心強い……けど、俺達は負けないよ」
「そうか、なら早く行け。何時までもここに部外者が居座られると困るんでな」
「部外者だと……いいか、我々はな」
「アルン、もう良い。迷惑を掛けたな、ホムラよ」
ホムラの言葉にアルンは反発しようとしたが、これ以上に話し合いをしても彼女が付いてくる事はないと判断したデブリは仕方なく、全員に出発する事を告げる。
「何はともあれ、まずは我々は王都へ向かうべきだろう。悪いがホムラよ、この地で飼育しているバイコーンだけは貸してくれんか?流石にこの年齢で森の中を歩き続けるのはきつくてのう」
「それぐらいなら問題はない。レノ、こいつらにバイコーンを用意してやれ」
「あ、はい……分かりました」
弟のレノに全員分のバイコーンを用意させるようにホムラは指示を出すと、バイコーンが連れ出される間にレナ達は準備を整える。バイコーンに乗り込めるとなれば今日中に王都へ辿り着く事も難しくはなく、早ければ今日中に決着がつくかもしれない。
皆が準備を整える中、レナはホムラに視線を向けてこの際に彼女に抱いていた疑問を別れる前に尋ねる事にした。ホムラの元に赴き、レナは率直に質問した。
「ホムラ、聞きたいことがあるんだけど」
「何だ?」
「俺の御祖母様に前に世話になったことがあると言ってたけど、どういう関係だったの?」
「……ハヅキにはまだ私が西聖将になる前、奴から武術を教わった。それだけの話だ」
「御祖母様が武術を……?」
「ふっ……魔術師でありながら武術を扱う奴と出会ったのはお前で二人目だな」
ハヅキ家はれっきとした魔術師の家系であり、歴代の当主は全員が魔術師だった。しかし、ハヅキの場合は魔術師でありながらも魔法だけではなく、武術も極めていたという。本来、魔術師の職業の人間は身体能力が低く、レナのように支援魔法で身体能力を強化するのならばともかく、ハヅキのような純粋な魔術師は肉体を強化する術は持たない。
しかし、彼女は魔術師でありながらも魔法だけではなく、武術に関しても高い技量を身に着けていたという。ハヅキは一時期は外の世界へ赴き、冒険者として活動していた時期に色々と思う事があり、魔法だけではなく武術を学び始めたという。
風の聖痕の管理と「緑影」の組織の長を任せられているハヅキ家の人間は魔術師であろうと自分の身を守る程度の護身術は身に着ける義務がある。しかし、ハヅキの場合は後に剣鬼や拳鬼と呼ばれる娘のアイラ(レナの母親)の母親だけはあり、魔術師でありながら武術に関しても才能を持ち合わせていたのか、数十年の時を費やしてヨツバ王国の将軍にも負けない武の技量を身に着けた。
ホムラはまだ若く、幼い頃にハヅキから指導を受けていた時期もあり、彼女が死亡したという報告を受けた時は信じられなかったという。しかし、彼女の最期をレナから聞かされ、同時に納得もした。
「お前の祖母は不器用な女だった……自分の気持ちを上手く相手に伝える事が出来ない女だ。だが、決して悪い奴ではなかったがな」
「そっか……」
「……ハヅキに世話になった身でありながら碌にお前の助けになれない事は悪いと思っている。だから、ここで一つだけ助言してやる」
「助言?」
「お前の魔刀術はまだ完成されていない。魔刀術には扱う人間によって特徴が大きく異なる、今のお前の魔刀術は単純に武器に魔力を纏わせているだけに過ぎない……その事を忘れるな」
「え?それって、どういう……」
「お姉ちゃん、連れて来たよ!!」
レナに対してホムラは魔刀術の助言を行うと、彼女の弟のレノがバイコーンを連れ出してきた。結局、レナはホムラの言葉の意味を尋ねる前に村を出発する事になり、遂にレナ達は王都へ向かう――
※ボツ案
アイラが武術を極めた理由、彼女の将来の夫なるカイルが寄った時に「結婚する相手は武人が良い」といった事でアイラは武術を極める事を決意した……という設定もありましたが、それだと作品に矛盾が起きるのでボツにしました(´・ω・)
「断る、私の役目はこの領地と神殿の守護だ。第一に国王であろうと私に対して命令する権利はない」
「やはり、無理か……」
「無理だな、それにマリアやキラウとやらがこの地に攻め込んでくる可能性がある以上、私も無暗にここから離れる事は出来ない」
西聖将であるホムラは王都から何度かカレハから王都へ赴くように連絡を受けているが、彼女はそれを全て断わっていた。カレハとしても西聖将の立場は理解しているのでこれまでは彼女の事を放置していたが、もしもデブリ国王達を匿っていた事を知られると流石に無視は出来ない。
この領地に軍隊が送り込まれる可能性は低くとも、マリアやキラウを送り込まれた場合、ホムラがいなければダークエルフの戦士達だけでは対応できない可能性が高い。西聖将としてホムラは神殿の管理も任されている以上、何があろうとこの地を離れるつもりはなかった。
「お前たちの家族の問題はお前達でどうにかしろ、私が出来る事はこの地に居る限りは守ってやる。もしもお前達が敗れた場合はここへ戻ってこい。そうすれば軍隊が送り込まれようと私が守ってやる」
「それは心強い……けど、俺達は負けないよ」
「そうか、なら早く行け。何時までもここに部外者が居座られると困るんでな」
「部外者だと……いいか、我々はな」
「アルン、もう良い。迷惑を掛けたな、ホムラよ」
ホムラの言葉にアルンは反発しようとしたが、これ以上に話し合いをしても彼女が付いてくる事はないと判断したデブリは仕方なく、全員に出発する事を告げる。
「何はともあれ、まずは我々は王都へ向かうべきだろう。悪いがホムラよ、この地で飼育しているバイコーンだけは貸してくれんか?流石にこの年齢で森の中を歩き続けるのはきつくてのう」
「それぐらいなら問題はない。レノ、こいつらにバイコーンを用意してやれ」
「あ、はい……分かりました」
弟のレノに全員分のバイコーンを用意させるようにホムラは指示を出すと、バイコーンが連れ出される間にレナ達は準備を整える。バイコーンに乗り込めるとなれば今日中に王都へ辿り着く事も難しくはなく、早ければ今日中に決着がつくかもしれない。
皆が準備を整える中、レナはホムラに視線を向けてこの際に彼女に抱いていた疑問を別れる前に尋ねる事にした。ホムラの元に赴き、レナは率直に質問した。
「ホムラ、聞きたいことがあるんだけど」
「何だ?」
「俺の御祖母様に前に世話になったことがあると言ってたけど、どういう関係だったの?」
「……ハヅキにはまだ私が西聖将になる前、奴から武術を教わった。それだけの話だ」
「御祖母様が武術を……?」
「ふっ……魔術師でありながら武術を扱う奴と出会ったのはお前で二人目だな」
ハヅキ家はれっきとした魔術師の家系であり、歴代の当主は全員が魔術師だった。しかし、ハヅキの場合は魔術師でありながらも魔法だけではなく、武術も極めていたという。本来、魔術師の職業の人間は身体能力が低く、レナのように支援魔法で身体能力を強化するのならばともかく、ハヅキのような純粋な魔術師は肉体を強化する術は持たない。
しかし、彼女は魔術師でありながらも魔法だけではなく、武術に関しても高い技量を身に着けていたという。ハヅキは一時期は外の世界へ赴き、冒険者として活動していた時期に色々と思う事があり、魔法だけではなく武術を学び始めたという。
風の聖痕の管理と「緑影」の組織の長を任せられているハヅキ家の人間は魔術師であろうと自分の身を守る程度の護身術は身に着ける義務がある。しかし、ハヅキの場合は後に剣鬼や拳鬼と呼ばれる娘のアイラ(レナの母親)の母親だけはあり、魔術師でありながら武術に関しても才能を持ち合わせていたのか、数十年の時を費やしてヨツバ王国の将軍にも負けない武の技量を身に着けた。
ホムラはまだ若く、幼い頃にハヅキから指導を受けていた時期もあり、彼女が死亡したという報告を受けた時は信じられなかったという。しかし、彼女の最期をレナから聞かされ、同時に納得もした。
「お前の祖母は不器用な女だった……自分の気持ちを上手く相手に伝える事が出来ない女だ。だが、決して悪い奴ではなかったがな」
「そっか……」
「……ハヅキに世話になった身でありながら碌にお前の助けになれない事は悪いと思っている。だから、ここで一つだけ助言してやる」
「助言?」
「お前の魔刀術はまだ完成されていない。魔刀術には扱う人間によって特徴が大きく異なる、今のお前の魔刀術は単純に武器に魔力を纏わせているだけに過ぎない……その事を忘れるな」
「え?それって、どういう……」
「お姉ちゃん、連れて来たよ!!」
レナに対してホムラは魔刀術の助言を行うと、彼女の弟のレノがバイコーンを連れ出してきた。結局、レナはホムラの言葉の意味を尋ねる前に村を出発する事になり、遂にレナ達は王都へ向かう――
※ボツ案
アイラが武術を極めた理由、彼女の将来の夫なるカイルが寄った時に「結婚する相手は武人が良い」といった事でアイラは武術を極める事を決意した……という設定もありましたが、それだと作品に矛盾が起きるのでボツにしました(´・ω・)
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