不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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外伝 ~ヨツバ王国編~

白虎、再び

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――ハヤテをシュンに任せてレナ達は王城へ向けて駆け出し、ユニコに乗り込んだエリナが心配そうに振り返る。シュンの強さは知っているが、相手がヨツバ王国の中でも最強の剣聖である事と、二人が師弟であるという事実に不安を抱く。


「シュンさん、大丈夫ですかね!?やっぱり、私達も一緒に戦うべきじゃ……」
「いや、それは出来ない。もしも時間を掛ければ必ず叔母様やキラウも現れる。そうなったら俺達に勝ち目はないよ」
「レナたんでも勝てないの!?」
「片方だけなら何とかなるかもしれないけど、二人同時に現れたら手の打ちようがない」


レベル80を超えて強さを増したレナではあるが、石化の魔眼を持つキラウ、魔術師として最高位に立つマリアを同時に相手にすれば勝利する自信はない。他の人間の助力があったとしても勝率は非常に低く、せめてシズネやゴウライがいれば話は別だったが泣き言はいえない。


「ウォンッ!!」
「ウル?どうした?何か感じたのか?」


先頭を走っていたウルが警告するように鳴き声を上げると立ち止まり、レナ達は大きな広場に辿り着く。王城まで随分と距離は縮まったが、魔獣達がこれ以上先に進もうとせずに立ちどまってしまう。バイコーンもアインもミノも警戒するように首を見渡す。

魔獣達の異変に気付いたレナは瞼を閉じて心眼を発動させ、周囲の様子を伺う。そして自分達の正面に位置する建物に何者かが隠れている事に気付き、大声で呼び出す。


「出てこい!!隠れているのは分かっているぞ!!」
「……来たか」


建物の中から全身が白毛の虎と人間が合わさったような人虎が出現し、それを見たエリナが驚愕の声を上げる。


「びゃ、白虎!?」
「白虎だと……お主、どうしてここにいる!?」


クレナイの兄弟分にして彼と同じく「嵐鎧」と呼ばれる魔鎧術を会得した人虎の出現に動揺が走り、デブリ国王も面識があるのか彼がこの場に現れた事に驚く。一方で白虎の方はレナ達の前に近付くと腕を組み、ここから先は通すつもりはないのか黙って睨みつける。


「白虎……クレナイ将軍の片腕と言われた貴方がどうしてここにいるのですか?」
「リンダか、久しいな……石化されたと聞いていたが本当に復活していたのか」
「質問に答えなさい!!」


白虎の言葉にリンダは怒鳴りつけると、彼は黙って空を見上げ、やがて覚悟を決めたかのように黙って構えを取った。その行為をリンダは彼がここで自分達と戦うために現れたと知り、彼女は信じられない表情を浮かべた。


「白虎、貴方までもカレハに従うのですか!?」
「違う、俺がここへ現れたのはお前達を止めるためだ……ハヤテと同じくな」
「何じゃと……?」


白虎がここで姿を現したのはカレハを守るためではなく、レナ達を彼女に近づけさせないために現れたと告げる。このままレナ達を向かわせれば最悪の結果が生まれると判断した白虎は隠れるのを止め、何としても彼等を引き留めるために現れたという。

現時点でこの国で最も戦力を保有しているのはカレハである事は間違いなく、このままレナ達を通せば必ず後悔する事態に陥ると判断した。白虎は彼等を止めるために決死の覚悟を抱いており、自分の命を犠牲にしてでも彼等を通すわけにはいかないと決めていた。


「国王、ここから先に進めばもう後戻りはできません。今の貴方ではカレハ王女を止める事はできないんです」
「白虎よ……お主、まさか我々を救うために訪れたというのか?」
「俺が忠誠を誓ったのは貴方だけです。しかし、むざむざと死のうとする主人を通すわけにはいかない」
「白虎!!口が過ぎるぞ!!」


白虎の言葉にアルン王子が激高するが、そんな彼に対して白虎は鋭く睨みつけると王子は黙り込み、あまりの迫力に圧倒されてしまう。


「国王、どうか聞き届けてください。もうあの方は変わられてしまった……誰にも心を許さず、誰も心の底から信用しない哀れな森人族になってしまわれた」
「それでも、儂はあの子に会わねばならん……そこを通せ!!」


デブリは白虎の言葉を聞いても退く気はなく、彼に自分達の邪魔をしないように告げる。だが、そんなデブリに対して白虎は右手を突き出す。その直後に白虎の右腕に嵐鎧が形成され、風の魔力の塊がデブリに向けて放たれた。


「はあっ!!」
「ぬおっ!?」
「ヒヒンッ!?」
「「父上!?」」


バイコーンに風の塊が衝突してデブリは落馬してしまい、それを見た子供達が慌てて駆けつける。忠誠を誓った相手に攻撃を仕掛けた白虎に対してエリナとリンダは即座に戦闘体勢に入った。


「国王様に何てことをっ!!」
「白虎、貴方を許しません!!」
「ならば力尽くで止めて見ろ……若獅子よ!!」


エリナは弓矢を構え、リンダは白虎の元へ駆け出す。他の者達も戦闘体勢に入ろうとしたが、その前に白虎は両腕を抱えると嵐鎧を発動させて竜巻を生み出す。しかし、それに対してレナは右手を伸ばして風の聖痕を発動させると彼の嵐鎧を強制的に解除させる。
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