不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
845 / 2,091
S級冒険者編

3人目のS級冒険者

しおりを挟む
――ムサシに別れを告げた後、レナ達はマリアの転移魔法陣にて次のS級冒険者が滞在する国へ向かう。獣人国、巨人国の次となると今度はヨツバ王国にでも向かうのかと思っていたレナだが、予想に反して辿り着いた場所は森ではなく、草原に取り囲まれた大きな都市の前に移動を行う。


「え、ここってまさか……!?」
「おおっ!!見覚えがあると思ったらここは拙者たちの故郷、和国ではござらぬか!!」
「正確に言えば俺達の生まれた里ではないがな」
「ええ、そうよ。最後に会うS級冒険者はここにいるわ」


レナ達が辿り着いたのはハンゾウやカゲマルの故郷である「和国」と呼ばれる国の都市だった。レナの視界には地球の江戸時代に作り出されたような巨大な城が視界に入り、建物の頂上には金の鯱らしき物まで見えた。都市を取り囲む城壁に関してもバルトロス王国のような煉瓦ではなく、石垣で構成されていた。

まるで過去の地球の時代にタイムスリップしたような感覚に陥るが、城門の前には巨人族と思われる男が二人待ち構え、和風の兵士の恰好をしていた。見張り役と思われる巨人族の2人の兵士はレナ達の存在に気付くと、朗らかな笑みを浮かべて迎え入れる。


「おおっ、そこにいるのはマリア殿ではないですか!!お久しぶりですな!!」
「本日はどうされました?また観光に着て下さったのですか?」
「久しぶりねバンモン、ヘキ。相変わらず大きいわね。でも、今日はお忍びで来た」
「なるほど、道理で馬車も見えないと思ったらそういう事ですか」


マリアは門番の二人と知り合いらしく、彼女の顔を確認するとバンモンとヘキと呼ばれた兵士達は城門の巨大な扉を開き、中へと招き入れた。


「さあさあ、どうぞお通り下さい」
「時間があれば殿にもお会いください。殿もマリア殿が来たと知れば喜んで歓迎してくれるでしょう」
「それは遠慮しておくわ。また縁談を求められても困る物」
「縁談……?」


レナ達は城門を潜り抜けると扉が閉じられ、城下町に入り込む。想像通りというべきか城内の方もまるで日本の江戸時代を想像させる建物が建造され、待ちゆく人々も和風の着物を身に着けていた。中には「武士」と思わしき恰好をした人間も存在し、殆どの人間がレナと同様にこの世界では珍しい黒髪黒目の容姿をしていた。

和国は過去にこちらの世界に召喚された「日本人」が建国した国であり、和国の人間も日本人の子孫のため、現代の日本人と容姿が瓜二つである。但し、全員が日本人の純血というわけでもないらしく、金髪や銀髪、桃色や緑色の髪の毛をした人間もちらほらと見える。種族に関しても人間だけで統一されているわけではなく、中には獣人族や巨人族らしき姿をした者もいた。


「ここが和国か……ハンゾウとカゲマルの故郷だっけ?」
「いや、俺達はこの場所ではなく、ここから少し離れた場所にある山の奥に住んでいる」
「といっても拙者も兄者も元々はこの「大江戸城」の隠密として働いていた時期もあるので、数年ぐらいは暮らしていたでござる」
「懐かしいわね、そういえば貴方達とはここで会ったのよね」


マリアは周囲を見渡して懐かしむような表情を浮かべ、彼女はこの国でハンゾウとカゲマルと出会い、配下に勧誘したという。かつてマリアは冒険者時代にこの和国にも訪れ、冒険者ギルドを創設する際に人材集めを行った事を話す。


「そういえば貴方にはまだ話した事がなかったわね。ここは私と姉さんが20年近く前に初めて訪れて以来、ちょくちょく訪ねているわ。最近は色々と忙しくて訪れる機会がなかったけど、相変わらずねここは」
「へえ、そうなんだ……そういえばここはどこなの?前にバルトロス王国と獣人国の境目に存在する国だと聞いていたけど……」
「正確に言えば巨人国、獣人国、バルトロス王国の境に存在する国家だ。和国は小国ではあるが、三か国の領地に適している事から交流が盛んにおこなわれている」


和国はバルトロス王国の北方、獣人国と巨人国から見れば南方に位置する国らしく、この三大国に取り囲まれた場所に存在する小国だという。但し、小国といっても国として認められているため、和国は三大国と同盟を結んでいる。

和国は元々は過去に召喚された日本人が作り出した国という事もあり、国家間の間では特殊な存在として扱われている。過去に何度か戦に巻き込まれそうになったが、三大国の領地に囲まれているという利点を利用し、和国は三大国の情勢を掴み、戦を引き起こしている国の牽制も行ったこともある。また、小国とはいえ軍事力も馬鹿には出来ず、過去に獣人国が大軍を派遣して責め寄せてきたときは3分の1にも満たない兵数の軍隊で撃退した事もあった。

三大国のいずれかの国が攻め寄せようとしても和国は他の国に情報機密を流す事で守ってもらい、仮に攻め寄せられても自国の軍隊だけでも十分に戦える戦力を持つ事から和国は世界中の国々から一目置かれているという。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。