858 / 2,091
S級冒険者編
黒鉄組
しおりを挟む
「貴様を連続殺人事件の犯人の容疑者として捕らえる。抵抗すればどうなるか分かっているな?」
「ふざけるな!!証拠もないのに逮捕するつもりか!!」
「ふん、抵抗するようなら貴様等も連れて行くぞ!!」
タロウがケンゾウを庇うように前に出ると、長身の男は日本刀を引き抜こうとした。しかし、腰にあるはずの刀に手が届かず、驚いた彼は振り向くとそこには先ほどまで確かに身に着けていた刀が無かった。
「へえっ……結構良い刀を持ってるんだ。素人目でも凄いのが分かるよ」
「なっ!?」
「こ、こいつ!!いつの間に隊長の刀を!?」
何時の間にか長身の男の刀を手にしたレナが鞘から刃を引き抜き、名工に作り出されたとしか思えない程の見事な刀身を見て感心したように声を上げる。それを見て他の者達は慌てて刀に手を伸ばすが、レナは長身の男に刀を差し出す。
「ほら、返すよ。隊長さん?」
「くっ……このガキがっ!!」
隊長と呼ばれた男はレナから日本刀を取り返そうとした。だが、両手で掴んだ刀に隊長は目を見開き、全力で刀を奪い取ろうとしているにも関わらず、レナは人差し指と親指のみで鞘を摘まむ。信じられない握力と腕力で刀を抓んだ状態で手放さないレナに隊長は必死な形相で刀を引くが、やがてレナが指を離すと隊長は勢い余って後ろに転倒してしまう。
「ぐはっ!?」
「隊長!?」
「おのれ、このガキ……ひいっ!?」
「止めろ」
隊員達が倒れた隊長を見てレナに向けて剣を引き抜こうとした瞬間、レナは目つきを鋭くさせると「威圧」の技能を発動させ、道場内に存在する全ての人間を圧倒する気迫を放つ。まるで狼に睨まれた小動物のように誰もが身体を震わせ、動く事が出来ない。
刀を引き抜こうとした隊員達はその場で腰を抜かし、中にはあまりの恐怖に股間を湿らせる人間もいた。隊長でさえもあまりのレナの気迫に立ち上がる事が出来ず、そのままレナが腕を伸ばそうとした瞬間、ケンゾウが声を上げる。
「もういい、そこまでだ兄さん!!」
「し、師匠!?」
「……ありがとよ、俺を守ろうとしてくれてよ。だが、これ以上にやれば兄さんが犯罪者になっちまう。おい、でかいの!!俺が一緒に行けばいいんだな?」
「あ、ああっ……そ、その通りだ」
ケンゾウが隊長の元に歩むと、彼は両手を差し出す。それを見て隊長は慌てて手錠を取り出して拘束を行うと、レナを一瞥して恐怖に歪んだ表情を浮かべて道場から立ち去る。
「て、撤収!!撤収!!」
『はいっ!!』
隊長がケンゾウを連れて出ていくと、残された者達も慌てて続き、そのまま道場の中にはレナとハンゾウとケンゾウの弟子だけが取り残された。連れ去られていくケンゾウを見て弟子は涙目でうずくまり、その様子を見たレナとハンゾウは腕を組む。
「レナ殿、今のは黒鉄組でござる」
「黒鉄組?」
「この都の治安維持のために結成された警備部隊、通称「黒鉄組」でござる」
「なるほど……新選組みたいな物か」
ハンゾウによると道場に訪れた黒装束で身を包んだ警官の正体は「黒鉄組」と呼ばれる警察組織らしく、彼等がこの都の治安維持を行っているという。しかし、先ほどの態度を見る限りではとても都の治安を守るような存在とは思えず、難癖をつけて辻斬り事件の犯人を捕まえようとする汚職警官にしか見えなかった。
――黒鉄組は1~10の部隊に分けられ、それぞれの部隊が区域ごとに分かれて都の治安を守護していた。先ほど現れたのはこの区域を任されている「第一部隊」の隊長らしく、名前は「イゾウ」という男だった。イゾウはこの数年で平隊員から隊長に昇格した男であり、出世欲が強い事で有名な男だった。
レナ達はケンゾウの弟子から話を聞くと、イゾウという男は性格はともかく、彼の上げた功績は非常に多く、これまでに何件もの事件を解決に導いたという。時には別の区画の事件や騒動を解決した事もあり、人柄はともかく仕事は有能な男だと有名だった。しかし、先ほどのレナ達の対応を考えれば噂程優れた人物とは到底思えなかった。
「イゾウは非常に冷酷な男だ……自分が捕まえた犯罪者は決して許す事はせず、拷問を加えて悪事を白状するまでは絶対に許さない男だ。仮に誤認で逮捕された人間だろうと悪事を認めるまで痛めつけ、無理やり自白を迫る頭のいかれた男だ……先生はそんな奴に連れて行かれてしまった!!」
「そんな男がどうして黒鉄組の隊長なんかになったの?」
「黒鉄組の総隊長があの男の兄貴だと聞いている……これまでに何度も他の隊長たちがイゾウを解雇するように呼び掛けたが、結局は総隊長が宥めて解雇は免れているんだ」
「なんという事でござる……拙者が国を離れている間に黒鉄組にそのような男が隊長になっていたとは」
「じゃあ、ケンゾウさんを連れ戻さないと危ないのか」
「くそ、こうしてはいられない!!俺は他の兄弟弟子を呼び出して先生を助けてくる!!あんたらは……もうここを離れた方が良い。俺達に関わったら厄介な事になるぞ!!」
ケンゾウの弟子は他の弟子達に相談するために道場を後にすると、残されたレナはハンゾウに視線を向け、どうするべきかを話し合う。
※カタナヅキ「えっ……最弱職でも同じような展開を見た?いやいや、ただの偶然ですよ(^ω^)」
「ふざけるな!!証拠もないのに逮捕するつもりか!!」
「ふん、抵抗するようなら貴様等も連れて行くぞ!!」
タロウがケンゾウを庇うように前に出ると、長身の男は日本刀を引き抜こうとした。しかし、腰にあるはずの刀に手が届かず、驚いた彼は振り向くとそこには先ほどまで確かに身に着けていた刀が無かった。
「へえっ……結構良い刀を持ってるんだ。素人目でも凄いのが分かるよ」
「なっ!?」
「こ、こいつ!!いつの間に隊長の刀を!?」
何時の間にか長身の男の刀を手にしたレナが鞘から刃を引き抜き、名工に作り出されたとしか思えない程の見事な刀身を見て感心したように声を上げる。それを見て他の者達は慌てて刀に手を伸ばすが、レナは長身の男に刀を差し出す。
「ほら、返すよ。隊長さん?」
「くっ……このガキがっ!!」
隊長と呼ばれた男はレナから日本刀を取り返そうとした。だが、両手で掴んだ刀に隊長は目を見開き、全力で刀を奪い取ろうとしているにも関わらず、レナは人差し指と親指のみで鞘を摘まむ。信じられない握力と腕力で刀を抓んだ状態で手放さないレナに隊長は必死な形相で刀を引くが、やがてレナが指を離すと隊長は勢い余って後ろに転倒してしまう。
「ぐはっ!?」
「隊長!?」
「おのれ、このガキ……ひいっ!?」
「止めろ」
隊員達が倒れた隊長を見てレナに向けて剣を引き抜こうとした瞬間、レナは目つきを鋭くさせると「威圧」の技能を発動させ、道場内に存在する全ての人間を圧倒する気迫を放つ。まるで狼に睨まれた小動物のように誰もが身体を震わせ、動く事が出来ない。
刀を引き抜こうとした隊員達はその場で腰を抜かし、中にはあまりの恐怖に股間を湿らせる人間もいた。隊長でさえもあまりのレナの気迫に立ち上がる事が出来ず、そのままレナが腕を伸ばそうとした瞬間、ケンゾウが声を上げる。
「もういい、そこまでだ兄さん!!」
「し、師匠!?」
「……ありがとよ、俺を守ろうとしてくれてよ。だが、これ以上にやれば兄さんが犯罪者になっちまう。おい、でかいの!!俺が一緒に行けばいいんだな?」
「あ、ああっ……そ、その通りだ」
ケンゾウが隊長の元に歩むと、彼は両手を差し出す。それを見て隊長は慌てて手錠を取り出して拘束を行うと、レナを一瞥して恐怖に歪んだ表情を浮かべて道場から立ち去る。
「て、撤収!!撤収!!」
『はいっ!!』
隊長がケンゾウを連れて出ていくと、残された者達も慌てて続き、そのまま道場の中にはレナとハンゾウとケンゾウの弟子だけが取り残された。連れ去られていくケンゾウを見て弟子は涙目でうずくまり、その様子を見たレナとハンゾウは腕を組む。
「レナ殿、今のは黒鉄組でござる」
「黒鉄組?」
「この都の治安維持のために結成された警備部隊、通称「黒鉄組」でござる」
「なるほど……新選組みたいな物か」
ハンゾウによると道場に訪れた黒装束で身を包んだ警官の正体は「黒鉄組」と呼ばれる警察組織らしく、彼等がこの都の治安維持を行っているという。しかし、先ほどの態度を見る限りではとても都の治安を守るような存在とは思えず、難癖をつけて辻斬り事件の犯人を捕まえようとする汚職警官にしか見えなかった。
――黒鉄組は1~10の部隊に分けられ、それぞれの部隊が区域ごとに分かれて都の治安を守護していた。先ほど現れたのはこの区域を任されている「第一部隊」の隊長らしく、名前は「イゾウ」という男だった。イゾウはこの数年で平隊員から隊長に昇格した男であり、出世欲が強い事で有名な男だった。
レナ達はケンゾウの弟子から話を聞くと、イゾウという男は性格はともかく、彼の上げた功績は非常に多く、これまでに何件もの事件を解決に導いたという。時には別の区画の事件や騒動を解決した事もあり、人柄はともかく仕事は有能な男だと有名だった。しかし、先ほどのレナ達の対応を考えれば噂程優れた人物とは到底思えなかった。
「イゾウは非常に冷酷な男だ……自分が捕まえた犯罪者は決して許す事はせず、拷問を加えて悪事を白状するまでは絶対に許さない男だ。仮に誤認で逮捕された人間だろうと悪事を認めるまで痛めつけ、無理やり自白を迫る頭のいかれた男だ……先生はそんな奴に連れて行かれてしまった!!」
「そんな男がどうして黒鉄組の隊長なんかになったの?」
「黒鉄組の総隊長があの男の兄貴だと聞いている……これまでに何度も他の隊長たちがイゾウを解雇するように呼び掛けたが、結局は総隊長が宥めて解雇は免れているんだ」
「なんという事でござる……拙者が国を離れている間に黒鉄組にそのような男が隊長になっていたとは」
「じゃあ、ケンゾウさんを連れ戻さないと危ないのか」
「くそ、こうしてはいられない!!俺は他の兄弟弟子を呼び出して先生を助けてくる!!あんたらは……もうここを離れた方が良い。俺達に関わったら厄介な事になるぞ!!」
ケンゾウの弟子は他の弟子達に相談するために道場を後にすると、残されたレナはハンゾウに視線を向け、どうするべきかを話し合う。
※カタナヅキ「えっ……最弱職でも同じような展開を見た?いやいや、ただの偶然ですよ(^ω^)」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。