不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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S級冒険者編

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「ふうっ……さて、先を急ごうか」
「え!?こいつらはどうするんだ?まだ素材も回収してないのに……」
『駄目駄目!!先を急がないと魔物に見つかりますよ!!ほら、ちゃんと報酬は用意しますから今は先を急ぎましょう!!』
「そ、そんな……ゴブリンキングの素材なんて滅多に手に入らないのに」


ダインは倒したゴブリンキングの素材の回収をしないことに不満を抱くが、ホネミンの言うとおりに長居すれば他の魔物に気づかれて襲われる心配もあるため、レナ達は先を急ぐ。名残惜しそうにゴブリキングの死骸に視線を向けるダインに対してレナが慰める。


「大丈夫だよダイン、あいつらの素材が欲しいならまたここに戻って倒せばいいだけなんだからさ」
「倒せばいいって……簡単に言うなよ。あいつら、一応はレベル4の危険種なんだぞ?」
「強者だからこそ言える台詞ね……私も一人で戦ったら手こずる相手なのに」


ゴブリキングは本来は恐るべき敵であり、ゴブリン種の中でも非常に厄介な存在でもある。だが、今のレナにとっては強敵とは呼べず、せいぜい通常種のゴブリンと危険度は大差ない。その気になれば戦技も使わずに倒せる相手だと確信していた。

レナ達の冒険者集団の中で間違いなく頭一つ抜けた戦闘力を持つのがレナである事は間違いなく、他の者たちとの力の差が大きい。雪月花を所持するシズネでも彼と自分の力の差に気づき、頼もしく思う一方で悔しく思う。


(少し前までは私が指導する立場だったのに……本当に強くなったわね)


想い人が自分を置いてどんどんと腕を上げている事に対してシズネは色々と思うところはあったが、今は探索に集中する事にした。やがてホネミンの先導の元、レナ達は草原を抜け出して今度は南の高原地帯へと訪れる。この地方はレナ達も初めて訪れる場所であり、ホネミンは地図を片手にレナ達に語り掛けた。


『地図によるとこの場所の何処かに地下に通じる隠し通路が存在するようです。注意深く探しましょう』
「地下?下の階層に戻るのか?」
『いいえ、この第五階層の地下には大きな空洞が存在します。そこに勇者の残した施設があるはずなんですよ』
「それって古代遺跡の事か?じゃあ、そこに行けば金目のものがあったりするのか?」
「ダイン君……さっきからお金の事ばっかり話してるね」


ダインの発言にミナは呆れるが、ダインとしてはこんな危険な事に付き合っているのだからそれ相応の対価は欲しいという切実な思いを抱いていた。


「あのな、言っておくけどここは塔の大迷宮の第五階層なんだぞ!?世界で一番危険な大迷宮の最上階層なんだから、ここまで来たら何としても僕は稼がせてもらうからな!!」
「そう聞くと正論のように思える」
「まあ、危険を犯しているのだからそれ相応の報酬を要求するのは間違ってはいないわね」
「ダインの言葉も一理あるな」
「そ、そうだね」
「という事でホネミン、報酬期待してるよ」
『はいはい、分かりましたから探索に協力してくださいよ。あ、それとこの場所には甲殻獣と呼ばれる魔物の生息地域だそうですから気を付けてください』
「甲殻獣か……何度かヨツバ王国でも見かけたな」


ホネミンによると南方の高原は甲殻獣と呼ばれる魔物が多数生息し、この魔物に関してはレナ達もヨツバ王国で何度か見たことがあった。地球のサイのように突進攻撃を得意とする生物であり、頭部が非常に頑丈な甲殻で覆われている。まともに体当たりを受ければ赤毛熊程度の相手ならば一撃で倒すほどの威力を誇る。

今のところは高原に訪れてから甲殻獣らしき存在は確認していないが、ホネミンの資料によると南方には多数の甲殻獣が存在し、彼等の縄張りに入ったら最後、無数の甲殻獣に追いかけられて入ってきた人間は生きて帰れる保証はないという。


『甲殻獣に見つかったら厄介ですからね、早く地下への入り口を探しましょう』
「けど、さっきの草原ほどじゃないけどここも見晴らしいいけど……甲殻獣なんて1匹も見当たらないね」
「言われてみればそうだな……」
「けど、妙な雰囲気ね……油断はしないでおきましょう」


レナ達は高原の様子が少しおかしいことを感じながらも探索を行い、とりあえずはホネミンの語る地下へと続く出入口を探す。地図を頼りにレナ達は高原の南の方へと移動すると、やがて美しい湖を発見した。


「あ、あそこ!!湖があるよ?」
「本当だ……あ、あそこにいるのって甲殻獣かな?」
「間違い、甲殻獣の群れだ」
「むうっ……水浴びできると思ったのに」


湖を発見したレナ達だが、同時に湖の前に多数の甲殻獣の姿を発見した。どうやら湖の近くで甲殻獣は身体を休ませているらしく、迂闊に近づくことも出来ない。大きな湖なのでコトミンは水浴びしたい気持ちにかられるが、この状況で近づけば甲殻獣に狙われてしまうだろう。




※第五階層の地形は最弱職の時代と若干変化しています。
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