不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭編

深淵の森では……

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――闘技祭の開催日まで一か月を切ったころ、深淵の森の奥地に存在する屋敷にはアイラが訪れていた。魔刀術の修行の指導をしていた彼女だが、全員に基礎を教える事は出来たと判断した彼女は城を離れ、この屋敷へと戻ってきた。ちなみに現在の屋敷にはかつて住んでいた使用人が全員戻っており、アイラの事を快く迎え入れる。


「奥様、お帰りなさいませ」
「ええ、ただいま。やっぱり、ここは落ち着くわね」
「本日はお泊りですか?」
「そうね、しばらくの間はここの世話になると思うわ」
「分かりました。そういえばレナ様は元気でしょうか?」
「大丈夫、あの子は元気よ」
「そうですか……それにしても坊ちゃまは立派になられましたな」


アイラを迎え入れたは使用人達は彼女を屋敷の中に通し、レナが元気に過ごしていると聞いて安心する。この屋敷に暮らしている人間達はレナと同じく世間では「不遇職」として扱われている職業として生まれてきた者達ばかりだった。

彼等は元々は裕福な貴族の出身だった人間も存在するが、職業が不遇職という理由で追放され、見殺しにするのは忍びないという理由で彼等はこの屋敷の管理を任されている。そのため、彼等は最初からレナが不遇職の人間だと知っていながらも差別する者はいない。

自分同じ境遇の立場の人間だからこそ使用人たちはレナの事を親身に思い、同時にレナが活躍して世間に存在を知らしめる度に彼等は非常に喜んだ。だが、最もレナの活躍を喜ぶべきはずの「アリア」は亡くなった事に関しては彼等も残念に思う。


「アリアが生きて入ればレナ様の活躍を喜んでいたでしょう」
「……そうね、私もそう思うわ」
「ところで実は奥様にお伝えしたいたいことがあるのですが……実は先日、この屋敷に冒険者と思われる方が訪れました」
「えっ……この屋敷に人間が?」


使用人の言葉にアイラは驚き、この深淵の森には赤毛熊を筆頭に多数の危険種が生息し、しかも森の奥地に屋敷は存在するため、普通の人間はこの場所には絶対に辿り着く事はない。腕の立つ冒険者でも辿り着くのが難しく、そもそも屋敷の正確な位置を知らなければ人間がここま辿り着くはずがない。

アイラの場合も最初は飛行船で送ってもらい、今回も同様にわざわざ空路から送って貰ったのだが、使用人は困った表情を浮かべて先日に訪れた訪問客の事を語る。


「その御方の話によると、自分はレナ様がおられるのかを尋ねてきたのです。我々はレナ様はここにはいない事を伝えると、すぐにその方は立ち去りましたが……」
「おかしいわね、この屋敷の存在を知っている人間は限られているはず……いったいどんな人だったの?」
「それが全身はローブで身を隠していましたが、声音は女性でした。年齢はかなり若いと思いますが、何かご存じありませんか?」
「……少なくとも私には心当たりがないわね」


深淵の森に存在する屋敷は元々は王族や貴族を隔離するために作り出された場所のため、元々は屋敷内の人間が逃げ出したり、あるいは外部者が訪れるのを阻止するためにわざわざ魔物が救う森の中に築かれた。しかし、使用人の話が事実だとすればその訪問客はレナがこの屋敷で暮らしていた時期がある事を知り、森の中に存在する屋敷の性格な場所を最初から把握していた事になる。

アイラの中で真っ先に思いついた人物はマリアだが、彼女がわざわざ正体を隠してまでこの場所に訪れるはずがない。第一にアイラに会うためならばともかく、レナに会うためにこの屋敷に訪れる理由がない。そもそもレナが暮らしているのはマリアと同じく冒険都市であり、それにマリアならば転移魔法でこの屋敷に一瞬で移動できる。それを姿を隠して会いに来るなど考えられない。


(いったい誰が……レナちゃんの知り合いだといいんだけど)


レナと交友関係がある人物ならば問題ないが、姿を隠して屋敷に訪れる必要が分からず、まさかとは思うが今更レナの命を狙う暗殺者が訪れたのかと考える。


(王妃の派閥だった人間が暗殺者を送り込んだ?けれど、レナちゃんがいないとしって大人しく引き返したのは少し気になるわ……一応、危険を伝えておくべきかしら?)


以前にアイラはマリアから転移魔法陣の水晶札を受け取っていた事を思い出し、これを使用すれば彼女はいつでも王都や冒険都市に転移する事が出来る。今回の事態を他の者に伝えるべきか彼女は迷う。

使用人たちも突然に訪れた謎の訪問客に対して不安を抱き、アイラに判断を任せる。色々と悩んだ末、アイラは良案を思いついたとばかりに彼女は使用人たち提案を出す。


「そうだわ!!この機会に皆もレナちゃんの応援のために冒険都市に向かいましょう!!一緒に闘技祭の観客席でレナちゃんを応援しましょう!!」
『はいっ!?』


斜め上過ぎる提案をしてきたアイラに使用人たちは驚くが、アイラは本気で彼等を連れて闘技祭の応援に向かうつもりらしく、屋敷の使用人を全員呼び寄せて彼女は転移魔法陣を利用して王都へ引き返す事にした――
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