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真・闘技祭編
白銀の大剣
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――アイラが深淵の森の屋敷に戻ったばかりの頃、冒険都市の方では変わった格好をした旅人が歩いていた。全身を灰色のローブで覆い隠し、その背中には白銀に光り輝く大剣を背負っていた。その大剣を見た通行人は驚いて立ち止まり、大剣のあまりの大きさと刀身の美しさに目を見張る。
「う~ん、やっぱり重いですね。この大剣……それにしてもあの人たち、何処に行ったんですかね。家に行っても誰もいませんでしたし、氷雨か黒虎のギルドにでも行くしかありませんかね。もしくは王都に……ん?」
「……そこの御方、少しお待ちください」
ローブの人物が歩いている最中、彼女は後方から声をかけられて振り返ると、そこには買い物袋を抱えたリンダが立っていた。彼女はローブの人物が抱えている大剣に非常に見覚えがあり、どうして相手がレナの「退魔刀」に酷似した大剣を所有しているのかを問い質す。
「貴方は何者ですか?それにその背中の大剣……何処で手に入れたのですか?」
「おや、貴女は……へえ、何だか少し懐かしい雰囲気を感じますね。昔の私の仲間に貴女とよく似た人を知ってますよ」
「……何の話ですか?」
リンダは警戒気味にローブの人物に視線を向け、買い物袋を地面に下して向かい合う。最初はただの見間違いかと思ったが、ローブの人物が背中に抱えている大剣は色合いこそは違うが、レイナの所有する退魔刀と全く同じ形状をしていた。
しかし、レイナの退魔刀は彼が作り出した物で小髭族の名工によって打ち直された代物でもある。だからこそ全く同じデザインの大剣が存在するなど有り得ず、リンダはローブの人物に対して何処でその武器を手に入れたのかを問う。
「質問に答えてください、その大剣は何処で手に入れたのですか?」
「あれれ、私の声を忘れちゃったんですか?一応は面識はあるはずなんですけどね」
「何の話を……?」
ローブの人物の声音からリンダは相手が女性である事は分かるが、相手の声と口調に関して何処かで聞き覚えがある事に気付き、疑問を抱く。確かに前に何処かで声を聞いたような気がするのだが、誰なのかを思い出せない。
訝し気な表情を浮かべるリンダに対して女性は仕方がないとばかりにローブから顔を出すと、その顔を見てリンダは増々戸惑う。一見するだけでは年若い「森人族」の少女にしか見えず、生憎とリンダには見覚えがない顔だった。一方で少女の方もこの顔を見せるのは初めてである事を思い出し、笑みを浮かべて奇妙な言葉を口にする。
「カタカタカタッ……こういえば分かりますか?」
「はあっ?」
「まあ、分からないのも仕方ないですね。ほら、私ですよ。わ・た・し……皆のアイドル、ホネミンちゃんです」
「ホネミン……えっ、ホネミンさん、ですかっ!?」
――ホネミンの名前を少女が口にした瞬間、リンダは目を見開き、信じられない表情を浮かべた。現在の彼女の前に立っている少女はどう見ても生身の肉体を持つ森人族の女の子にしか見えず、彼女が知っているホネミンとは外見がかけ離れ過ぎていた。
リンダはホネミンが魔鎧術とプルミンを利用して人間に擬態した時の姿はあまり記憶に残っておらず、顔を合わせた時もホネミンとは気づく事が出来なかった。だが、彼女のみに何が起きたのか今のホネミンは完全に森人族の少女にしか見えず、当人は自慢気に自分の肉体に釘付けなリンダに語り掛ける。
「ふふふ、どうですか?今の私はもうただのホネミンではありません、完璧な肉体を手に入れた究極生骨体になったのです!!」
「あ、ある……何ですか?」
「まあ、要するに人間の肉体を取り戻したという事ですよ。あれ、この場合は森人族でしたっけ?まあ、それはどうでもいいんです。ほらほら、身体を触ってみますか?もう完璧に内蔵も筋肉も皮膚も脳も眼球も再生したんですよ」
「ちょ、近いですよ!?」
馴れ馴れしく近づいてくるホネミンに対してリンダは戸惑い、確かに言われてみればホネミンの肉体は魔鎧術とスライムの擬態で作り出した物とは違い、感触も本物その物で五感もある様子だった。一応はリンダはレナ達からホネミンが肉体を再生しているという話は聞いていた。
最もこの世界の人間が科学の力で完全に失われた肉体を再生する方法を見つけたといっても理解しがたく、彼女はどのような手段でホネミンが肉体を取り戻せるのかと困惑し、結局の所はホネミンは意識をこの世に残したアンデッドの類だと思い込んでいた。だが、実際に肉体を取り戻して元の森人族の少女に戻ったホネミンを見てリンダは混乱する。
「ほ、本当にホネミンさんなのですか?実は誰かが変装して私を騙そうとしているのでは……」
「意外と失礼な人ですね!!私は本物ですよ!!まあ、信じられないのは無理はありません。そよれりもレナさんは何処ですか?家に行ったら何故か誰もいなかったので困ってたんですが……」
「あ、ああ……あの家はもう引っ越しましたので誰もいませんよ。今は新しい屋敷に住んでいます」
「へえ、そうだったんですか。じゃあ、そこまで案内して貰えますか?この身体を見せつけてあげたいので」
「か、身体を見せつける!?なんて破廉恥な!!」
「いや、何を勘違いしてるんですか!!ちょ、止めてくださいよこんな大通りで変な事を言い出さないでください!!」
ホネミンの紛らわし発言にリンダは頬を赤く染めるが、そんな彼女を落ち着かせてホネミンはレナの元へ会いに行くために彼女に案内を頼む。
「う~ん、やっぱり重いですね。この大剣……それにしてもあの人たち、何処に行ったんですかね。家に行っても誰もいませんでしたし、氷雨か黒虎のギルドにでも行くしかありませんかね。もしくは王都に……ん?」
「……そこの御方、少しお待ちください」
ローブの人物が歩いている最中、彼女は後方から声をかけられて振り返ると、そこには買い物袋を抱えたリンダが立っていた。彼女はローブの人物が抱えている大剣に非常に見覚えがあり、どうして相手がレナの「退魔刀」に酷似した大剣を所有しているのかを問い質す。
「貴方は何者ですか?それにその背中の大剣……何処で手に入れたのですか?」
「おや、貴女は……へえ、何だか少し懐かしい雰囲気を感じますね。昔の私の仲間に貴女とよく似た人を知ってますよ」
「……何の話ですか?」
リンダは警戒気味にローブの人物に視線を向け、買い物袋を地面に下して向かい合う。最初はただの見間違いかと思ったが、ローブの人物が背中に抱えている大剣は色合いこそは違うが、レイナの所有する退魔刀と全く同じ形状をしていた。
しかし、レイナの退魔刀は彼が作り出した物で小髭族の名工によって打ち直された代物でもある。だからこそ全く同じデザインの大剣が存在するなど有り得ず、リンダはローブの人物に対して何処でその武器を手に入れたのかを問う。
「質問に答えてください、その大剣は何処で手に入れたのですか?」
「あれれ、私の声を忘れちゃったんですか?一応は面識はあるはずなんですけどね」
「何の話を……?」
ローブの人物の声音からリンダは相手が女性である事は分かるが、相手の声と口調に関して何処かで聞き覚えがある事に気付き、疑問を抱く。確かに前に何処かで声を聞いたような気がするのだが、誰なのかを思い出せない。
訝し気な表情を浮かべるリンダに対して女性は仕方がないとばかりにローブから顔を出すと、その顔を見てリンダは増々戸惑う。一見するだけでは年若い「森人族」の少女にしか見えず、生憎とリンダには見覚えがない顔だった。一方で少女の方もこの顔を見せるのは初めてである事を思い出し、笑みを浮かべて奇妙な言葉を口にする。
「カタカタカタッ……こういえば分かりますか?」
「はあっ?」
「まあ、分からないのも仕方ないですね。ほら、私ですよ。わ・た・し……皆のアイドル、ホネミンちゃんです」
「ホネミン……えっ、ホネミンさん、ですかっ!?」
――ホネミンの名前を少女が口にした瞬間、リンダは目を見開き、信じられない表情を浮かべた。現在の彼女の前に立っている少女はどう見ても生身の肉体を持つ森人族の女の子にしか見えず、彼女が知っているホネミンとは外見がかけ離れ過ぎていた。
リンダはホネミンが魔鎧術とプルミンを利用して人間に擬態した時の姿はあまり記憶に残っておらず、顔を合わせた時もホネミンとは気づく事が出来なかった。だが、彼女のみに何が起きたのか今のホネミンは完全に森人族の少女にしか見えず、当人は自慢気に自分の肉体に釘付けなリンダに語り掛ける。
「ふふふ、どうですか?今の私はもうただのホネミンではありません、完璧な肉体を手に入れた究極生骨体になったのです!!」
「あ、ある……何ですか?」
「まあ、要するに人間の肉体を取り戻したという事ですよ。あれ、この場合は森人族でしたっけ?まあ、それはどうでもいいんです。ほらほら、身体を触ってみますか?もう完璧に内蔵も筋肉も皮膚も脳も眼球も再生したんですよ」
「ちょ、近いですよ!?」
馴れ馴れしく近づいてくるホネミンに対してリンダは戸惑い、確かに言われてみればホネミンの肉体は魔鎧術とスライムの擬態で作り出した物とは違い、感触も本物その物で五感もある様子だった。一応はリンダはレナ達からホネミンが肉体を再生しているという話は聞いていた。
最もこの世界の人間が科学の力で完全に失われた肉体を再生する方法を見つけたといっても理解しがたく、彼女はどのような手段でホネミンが肉体を取り戻せるのかと困惑し、結局の所はホネミンは意識をこの世に残したアンデッドの類だと思い込んでいた。だが、実際に肉体を取り戻して元の森人族の少女に戻ったホネミンを見てリンダは混乱する。
「ほ、本当にホネミンさんなのですか?実は誰かが変装して私を騙そうとしているのでは……」
「意外と失礼な人ですね!!私は本物ですよ!!まあ、信じられないのは無理はありません。そよれりもレナさんは何処ですか?家に行ったら何故か誰もいなかったので困ってたんですが……」
「あ、ああ……あの家はもう引っ越しましたので誰もいませんよ。今は新しい屋敷に住んでいます」
「へえ、そうだったんですか。じゃあ、そこまで案内して貰えますか?この身体を見せつけてあげたいので」
「か、身体を見せつける!?なんて破廉恥な!!」
「いや、何を勘違いしてるんですか!!ちょ、止めてくださいよこんな大通りで変な事を言い出さないでください!!」
ホネミンの紛らわし発言にリンダは頬を赤く染めるが、そんな彼女を落ち着かせてホネミンはレナの元へ会いに行くために彼女に案内を頼む。
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