不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

この爺が三巨頭!?

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「……グシャス、やはり貴方でしたか」
「久しいのう、ミイネ……こうして顔を合わせるのはお前が情報屋を辞めた時以来か」
「えっ……何だこの爺さん、知り合いか?」
「愚か者が!!この御方を誰だと思っている!?」


唐突に現れた老人にダインは疑問を口にすると、それに対してマサルを取り囲んだ囚人の一人が声を荒げる。その反応にダインは嫌な予感を抱き、すぐに老人の正体を思いつく。


「まさか……三巨頭か!?」
「ええ、そうです。しっかりと顔は覚えておいた方がいいですよ。この男の名前はグシャス、三巨頭の一人です」
「ほう、お主が噂に聞く新入りか……意外とパッとしない顔だのう」
「な、何だと!?僕に喧嘩売ってんのか爺さん!!」


初対面でありながらいきなり挑発めいた言葉を掛けてくる老人にダインは憤るが、状況的には不利である事に変わりはなく、よりにもよってマサルはグシャスの配下に取り囲まれてしまった。グシャスはダインの他にミイネやドルトンにも視線を向け、納得したように頷く。


「ふむ、儂の部下たちが中々捕まえられないと思っていたら、まさか他にも協力者がいたとはな……思っていたよりも人望があるではないか、ミイネよ」
「生憎とこの人達が慕っているのは僕じゃありません。ここにいるダインさんですよ」
「なるほど、それは興味深い……だが、悪運もここまでの様だな」
「うっ!?」


グシャスが指を鳴らすと、マサルを取り囲んでいた囚人の一人が彼の背後に迫り、ナイフを首元に押し当てる。この時にダインが見たのは囚人が使用しているナイフは食堂で利用されている物だと知るが、刃の部分が異様に研ぎ須磨されていた。

マサルが人質に取られた形となり、ダイン達は動けずにいた。そんな彼等にグシャスは部下の一人に車椅子を押させて移動すると、改めてミイネと向き合う。老人とは思えぬ程の迫力を放つグシャスにミイネはたじろくが、そんな彼女にグシャスは告げた。


「ミイネよ、出来る事ならばお前とこうして会いたくはなかった」
「会いたくはなかった?よくもそんな事が言えますね、僕の奴隷囚人の手配書まで用意しておいて……」
「まあ、落ち着け……お主の怒る気持ちはよく分かる。そこで取引をせんか?」
「取引、ですか?」
「うむ。ここで大人しくそこのダインという男を引き渡せばお主に手配書の倍の額、いや3倍の金貨を与えよう。それで引き下がってくれんか?」
「3倍って……三角銀貨300枚か!?」


思いもよらぬグシャスの言葉にダインは驚き、流石のミイネも目を見開く。ミイネがダインを購入したときに使用した三角銀貨は30枚である事を考えると、その10倍の値段でグシャスはダインを引き取ると言い出したのだ。

三角銀貨を300枚も所持する囚人など、この監獄都市の中でも三巨頭ぐらいしか存在しない。グシャスの言葉にミイネは冷や汗を流し、彼の目的を尋ねる。


「どうしてうちのダインさんを狙うんですか?そこはしっかりと教えてほしいですね」
「ガルルの奴が取引を持ちかけてきたのだ。もしもその小僧を奴の前に引き出した派閥の傘下に入るとな……だからこそ、ギルの奴に出し抜かれるわけにはいかんのだ」
「あのガルルが……なるほど、そこまで追い詰められていましたか」
「落ちぶれたとはいえ、ガルルの力は侮れん。奴がどちらかの勢力に属すれば状況は一変する……もう間もなく、三巨頭の関係は終わりを迎える。そして監獄都市に暮らす囚人の頂点に立つのはこの儂という事だ」
「勝手な事を言うなよ!!僕達を巻き込みやがって……」
「お主には聞いておらん、ここでミイネがお主を引き渡せば話は済む……さあ、返事を聞こうか」


グシャスはあくまでもミイネに話しかけており、ダインの意思など関係はなかった。実際にダインの服従の腕輪を嵌めたのはミイネであり、彼女が支配の指輪を持つ限りはダインはミイネに逆らう事は出来ない。


「儂の取引に応じるのであればお前の支配の指輪を渡して貰おう。そうすれば今すぐに三角銀貨300枚を渡そう……お前は金がどうしても必要なのだろう?」
「……仕方ありませんね」
「お、おい……ミイネ?お前、本当に僕を……」


ミイネの言葉を聞いてダインはぎょっとするが、そんな彼に対してミイネは意味深な表情を浮かべると、やがて彼女は自分の指輪に手を伸ばす。その行動を見たグシャスは自分の取引に従うのかと思ったが、ここでミイネは指輪に伸ばしていた指を止め、何かに気付いたようにグシャスの方を見て目を見開く。


「あっ……ギル、貴方がどうしてここに!?」
「何じゃとっ!?」
「何っ!?」


驚愕の表情を浮かべてミイネは三巨頭の最後の人物の名前を告げた瞬間、その態度からグシャスは自分の背後に咄嗟に振り返るが、そこには誰もいなかった。他の者も全員が同じく振り返った瞬間、ミイネは全員の注目が反れた隙を逃さず、口笛を鳴らす。
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