不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

隙有りぃっ!!

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「刺突!!」
「がはぁっ!?」
「そんなっ!?ダインさん!!」
「ギギィッ!?」


リックが繰り出した刃がダインの胸元を突き刺し、その光景を見たミイネとゴブは立ち上がる。まさかダインが殺されてしまったのかと二人は駆け出そうとしたが、それをミノルが引き留める。


「行かせんぞ、死合場に上がる事は許さん」
「くっ……退いて下さい!!」
「アガァッ!!」


邪魔をするミノルの腕をミイネは振り払おうとするがびくともせず、それを見たゴブがミノルの腕に噛みついてミイネを離させようとするが、あまりにも皮膚が頑丈過ぎて牙が食い込まない。


「無駄だ、お前程度の力では俺の身体を傷つける事も出来んぞ」
「アガガッ……!?」
「くっ……ダインさん、大丈夫ですか!?」


ミノルから逃れる事が出来ないと思ったミイネはダインに向けて叫ぶが、彼は倒れたまま動く様子はなく、その姿を見下ろしたリックは勝利を確信したように笑みを浮かべる。


「呼んでも無駄だ、こいつはもう死んでいる。心臓を一刺しだ……残念だったな」
「そんな……ダインさん、嘘だと言ってください!!早く起きて!!」
「ギギィッ!!」


観客席からミイネとゴブが叫んでも倒れたダインはぴくりとも動かず、その様子を見ていた他の観客はつまらなそうな表情を浮かべていた。なにしろ彼等は最初からダインの姿を見た時からこのような結果に陥る事は予想していたからだ。


「なんだ、もう終わりか……つまらん試合だったな」
「早く死体をひっこめろ!!」
「とっとと次の試合を始めろ!!」
「ちっ、何か隠し玉でも持っていると思ったのによ……期待させやがって!!」


観客の中には動かないダインに対して野次を飛ばす者も存在し、そんな彼等に対してミイネは怒りを抱く。ここまで道中を共にしてきただけにミイネとしてもダインはもうただの奴隷囚人ではなく、相棒のような存在だと思っていた。

死合場に倒れ込んだダインを見てミイネは本当に彼は終わってしまったのかと思うが、一方でゴブの方は何かに気付いたようにミイネの袖を掴み、リックを指差す。


「ギギィッ……ギイイッ!!」
「ゴブさん!?急にどうしたんですか?」
「ギィギィッ!!」
「……奴の剣を見てみろ」


ゴブの行動にミイネは驚くと、ミノルの方は何かを察したのかリックが手にしている剣を見る様に促す。その言葉にミイネは視線を向けると、ここである事に気付く。それはリックが手にしている剣には血が付いていない事が判明し、これは明らかにおかしかった。


(血が付いていない……もしかして、ダインさん貴方は!?)


リックの剣はダインの胸元を確実に突いたはずだが、それにも関わらずに剣には血の跡も付いていない。この事から分かるのはダインはなんらかの方法でリックの攻撃を防いだのは間違いなかった。

リック本人は自分の剣の事に気付いておらず、勝利を確信して完全に油断しきっていた。そんな彼に対して死合場の床に倒れていたダインは目を開き、手にしていた杖を握りしめて影魔法を発動させる。


「シャドウ・バインド!!」
「うおっ!?な、何だと!?」
「ダインさん!!」
「ギギィッ♪」


突如として起き上がったダインは影魔法を発動させ、完全に油断していたリックの身体を拘束させる事に成功する。確実に殺したと思っていたダインが起き上がった事にリックは驚き、一方で観客も驚愕の表情を浮かべた。


「な、何だと!?」
「あの小僧、まだ生きていたのか!?」
「なんだあの魔法は!?見た事がないぞ!?」
「く、くそっ……お前、何で!?」
「へへっ……死んだふりは子供の頃から大得意なんだよ!!」
「悲しい特技ですね……」


ダインはリックを拘束した状態から立ち上がり、身体に纏わりついた埃を叩く。その際にダインの胸元の服の部分に刃が突き刺した跡が存在し、それを見たリックは戸惑う。


「ど、どういう事だ!?何で胸を貫かれて生きている!?」
「はっ……お前が暗殺者なのは知ってたからな。だから、念のために僕は服の下に仕掛けをしてたんだよ!!」
「仕掛け、だと!?いったい何を……」


事前に次の対戦相手が暗殺者であるという情報を掴んでいたダインは、試合の前にある準備を行う。正確に言えば準備というよりも練習と言った方が正しく、彼は自分の身体の下に「影魔法」を纏わせていたのだ。

原理は「黒腕」と一緒であり、ダインは自分の身体に影を纏わせる事によって外部からの物理攻撃を完全に防ぐ手段を身に付けた。だからリックとの戦闘の際、敢えて胸元に隙を作って攻撃を誘導させ、まんまとリックはそれに引っかかった。胸元に向けてリックが剣を突き刺す際、ダインは胸元に意識を集中させて服の下に影を纏う。

影に覆い込まれた胸元に刃が突き刺さる事はなく、攻撃を繰り出した時はダインは損傷を受ける事はなかった。だが、敢えて相手を騙すために自分がやられたふりを行い、床に倒れて様子を伺っていた。そして隙を見せた瞬間を逃さず、ダインは影魔法でリックを拘束する事に成功した。
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