1,266 / 2,091
世界の異変編
聖痕と槍の継承
しおりを挟む
――実年齢は6才程度の子供のミレトがどうやって生き延びてきたのか、それはカゲマルと別れた時まで遡る。カゲマルに誘拐された後、ミレトは城へ戻る事はなかった。その理由は彼が戻る前にミドルは討たれ、イレアビトは捕縛されていたからである。
城に戻ろうと思えばミレトも戻る事は出来た。しかし、母親が捕まって父親を失ったミレトは幼いながらに自分の変える場所は城ではない事を悟る。王国の反逆者である二人の子供である自分を受け入れてくれるはずがない、幼いながらにその考えに達したミレトは一人で生きていく事を決意した。
普通に考えれば5才程度の子供が一人で生き抜いていくなど不可能に等しい。しかし、イレアビトの死後に彼はある能力に芽生えた。それは彼の右腕に時計を想像させる紋様が誕生し、この力のお陰でミレトは今日まで生き延びる事が出来たと言っても過言ではない。
この不思議な能力に関してはミレト自身もどうして目覚めたのかは分からず、何故かこの力を発揮させる度に母親が傍にいる様に感じた。だが、母親のイレアビトは自分に対して一片の愛情も抱いていなかった事はミレトも知っていた。それでもミレトは母親に愛されたいという気持ちはあった。
彼はこの力を利用して生き延び、そしてある時に彼の前にロンギヌスが現れた。この現れたというのは本当に唐突に目の前に出現し、彼を守るようにどんな場所へ行っても何処に捨てていこうとミレトの元に戻って来た。この得体のしれない槍にミレトは最初は不気味に思ったが、槍に関しては実はミドルから指導を受けた事がある。
『王子様、よく見てください。槍は剣よりも長く、戦場においては最も利用される武器の一つです』
まだ5才だったとはいえ、ミドルはミレトの元に度々と訪れては彼に自分の稽古を見せてくれた。実際に武器に触れさせる事はなかったが、ミドルは自分の極めた槍の武技を見せてくれた。
イレアビトと違ってミドルは自分の息子であるミレトに本当に愛情を抱いており、関係を明かす事は出来ないが彼の事を非常に可愛がっていた。ミレトが風邪をひいた時は任務を途中で切り上げて戻ってくるほどであり、それが問題になった事もある。
『ねえねえ、父上はどうしてここへ来ないの?』
『それは……国王様はご多忙なのです』
最初の頃は誰よりもミレトの事を可愛がっていたバルトロス13世だったが、彼はミレトが攫われる1年ほど前から彼の前に現れる事はなくなった。理由を聞いても誰もが忙しいからと答えるが、子供のミレトも自分が避けられていると分かっていた。
国王がミレトの前に現れなくなったのは彼も薄々とイレアビトの本性に気付き、そしてミレトが自分の子供ではない事に気付いていた。精神的にも肉体的にも追い詰められていた国王は実の息子のレナに看取られて死亡した。国王が死んだと聞いた時、ミレトは悲しくは思ったがミドルが死んだと聞いた時の方が寂しかった。
『……これからどうすればいいのかな』
イレアビトの能力とミドルの槍を継承したミレトは一人で生きていくには十分すぎる程の力を手に入れた。しかし、彼はこれから自分が何をしてどう生きていけばいいのか分からなかった。最初は自分をこんな目に追い詰めたレナ達を恨みもしたが、その恨みも徐々に薄れていく。
話に聞くところによるとレナは自分が生まれたせいで赤ん坊の頃に追い出され、しかも10才の頃に暗殺者が送り込まれて殺されそうになったという。そんな話を聞かされてはレナが暗殺を指示した母親を殺そうとして文句は言えず、母親を守ろうとしたミドルを討つのも当然の事である。
それでもミレトからすればレナとその仲間達は実の両親の命を奪った相手である。ならば自分が仇を討つべきかと思ったが、闘技祭でレナの戦いぶりを見せられたミレトは到底敵わない相手だと思った。
『あの人……不遇職じゃなかったの?』
不遇職として生まれたはずのレナが数多の強敵を打ち倒し、遂には闘技祭の優勝を果たした姿を見てミレトは信じられない想いを抱く。彼に対する復讐心は消え去り、その代わりに憧れさえも抱いてしまう。自分もあんなふうになりたい、そう思ったミレトは彼と同じように冒険者を志す。
レナがミドルを討ち、結果的にはイレアビトを死に追い込んだ存在である事は間違いない。しかし、ミドルとレナの間に何が起きたのかは知らないが、ミドルはこう言っていた。武人であるならば戦場で死ぬ覚悟を抱いて生きろと、そしてミドルは正々堂々と戦い、彼に倒されたのならば恨む筋はない。
ミレトは冒険者になってからは依頼をこなし、彼の様に強くなるためにとにかく失敗を恐れずに仕事を受けてきた。何の目的もなく生きる事よりも、目標が出来た事でミレトは嬉しく思い、いつの日かレナやミドルに並ぶような存在になるために頑張る。
※闇落ちも考えましたが、やはり境遇を考えるとミレトはどうしても敵として描きたくはありませんでした。
城に戻ろうと思えばミレトも戻る事は出来た。しかし、母親が捕まって父親を失ったミレトは幼いながらに自分の変える場所は城ではない事を悟る。王国の反逆者である二人の子供である自分を受け入れてくれるはずがない、幼いながらにその考えに達したミレトは一人で生きていく事を決意した。
普通に考えれば5才程度の子供が一人で生き抜いていくなど不可能に等しい。しかし、イレアビトの死後に彼はある能力に芽生えた。それは彼の右腕に時計を想像させる紋様が誕生し、この力のお陰でミレトは今日まで生き延びる事が出来たと言っても過言ではない。
この不思議な能力に関してはミレト自身もどうして目覚めたのかは分からず、何故かこの力を発揮させる度に母親が傍にいる様に感じた。だが、母親のイレアビトは自分に対して一片の愛情も抱いていなかった事はミレトも知っていた。それでもミレトは母親に愛されたいという気持ちはあった。
彼はこの力を利用して生き延び、そしてある時に彼の前にロンギヌスが現れた。この現れたというのは本当に唐突に目の前に出現し、彼を守るようにどんな場所へ行っても何処に捨てていこうとミレトの元に戻って来た。この得体のしれない槍にミレトは最初は不気味に思ったが、槍に関しては実はミドルから指導を受けた事がある。
『王子様、よく見てください。槍は剣よりも長く、戦場においては最も利用される武器の一つです』
まだ5才だったとはいえ、ミドルはミレトの元に度々と訪れては彼に自分の稽古を見せてくれた。実際に武器に触れさせる事はなかったが、ミドルは自分の極めた槍の武技を見せてくれた。
イレアビトと違ってミドルは自分の息子であるミレトに本当に愛情を抱いており、関係を明かす事は出来ないが彼の事を非常に可愛がっていた。ミレトが風邪をひいた時は任務を途中で切り上げて戻ってくるほどであり、それが問題になった事もある。
『ねえねえ、父上はどうしてここへ来ないの?』
『それは……国王様はご多忙なのです』
最初の頃は誰よりもミレトの事を可愛がっていたバルトロス13世だったが、彼はミレトが攫われる1年ほど前から彼の前に現れる事はなくなった。理由を聞いても誰もが忙しいからと答えるが、子供のミレトも自分が避けられていると分かっていた。
国王がミレトの前に現れなくなったのは彼も薄々とイレアビトの本性に気付き、そしてミレトが自分の子供ではない事に気付いていた。精神的にも肉体的にも追い詰められていた国王は実の息子のレナに看取られて死亡した。国王が死んだと聞いた時、ミレトは悲しくは思ったがミドルが死んだと聞いた時の方が寂しかった。
『……これからどうすればいいのかな』
イレアビトの能力とミドルの槍を継承したミレトは一人で生きていくには十分すぎる程の力を手に入れた。しかし、彼はこれから自分が何をしてどう生きていけばいいのか分からなかった。最初は自分をこんな目に追い詰めたレナ達を恨みもしたが、その恨みも徐々に薄れていく。
話に聞くところによるとレナは自分が生まれたせいで赤ん坊の頃に追い出され、しかも10才の頃に暗殺者が送り込まれて殺されそうになったという。そんな話を聞かされてはレナが暗殺を指示した母親を殺そうとして文句は言えず、母親を守ろうとしたミドルを討つのも当然の事である。
それでもミレトからすればレナとその仲間達は実の両親の命を奪った相手である。ならば自分が仇を討つべきかと思ったが、闘技祭でレナの戦いぶりを見せられたミレトは到底敵わない相手だと思った。
『あの人……不遇職じゃなかったの?』
不遇職として生まれたはずのレナが数多の強敵を打ち倒し、遂には闘技祭の優勝を果たした姿を見てミレトは信じられない想いを抱く。彼に対する復讐心は消え去り、その代わりに憧れさえも抱いてしまう。自分もあんなふうになりたい、そう思ったミレトは彼と同じように冒険者を志す。
レナがミドルを討ち、結果的にはイレアビトを死に追い込んだ存在である事は間違いない。しかし、ミドルとレナの間に何が起きたのかは知らないが、ミドルはこう言っていた。武人であるならば戦場で死ぬ覚悟を抱いて生きろと、そしてミドルは正々堂々と戦い、彼に倒されたのならば恨む筋はない。
ミレトは冒険者になってからは依頼をこなし、彼の様に強くなるためにとにかく失敗を恐れずに仕事を受けてきた。何の目的もなく生きる事よりも、目標が出来た事でミレトは嬉しく思い、いつの日かレナやミドルに並ぶような存在になるために頑張る。
※闇落ちも考えましたが、やはり境遇を考えるとミレトはどうしても敵として描きたくはありませんでした。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。