不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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弱肉強食の島編

共通の敵

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「ダークエルフの族長よ……まさか、こうして酒を飲む日が来るとは思わんかったぞ」
「ひょひょひょっ……儂もじゃよ。まさかお主等の作る酒がこんなに美味いとは知らんかったぞ」
「ふっ、まあ遠慮せずに飲め」


牛人族の長は族長に杯を差し出し、お互いに杯を交わす。少し前まではお互いにいがみ合う仲だったが、今は共に戦う仲間として牛人族はダークエルフを歓迎する。


「しかし、まさか黒龍が目覚めていたとは……」
「うむ、恐らく今頃はこの森に住む生物を喰らいつくす勢いで暴れているだろう」
「でも、族長!!あいつはハルナのビリビリを受けて怪我をしていた!!今なら倒せるんじゃないのか!?」
「馬鹿な事を言うな!!儂の娘と孫、そしてお前達の母親は誰に殺されたのか忘れたのか!?」
「えっ……」


アンジュの言葉を聞いて族長は激高し、ここで初めてアンジュの母親が黒龍に殺された事をレナは知る。アンジュの母親は族長からすれば孫に辺り、かつて族長の娘と孫は黒龍に戦いを挑んで殺された事を語った。


「まだ我々が200人ほどいた頃、当時の戦士長であった我が娘と孫は精鋭を引き連れて黒龍に挑み、そして返り討ちにあった……アンジュ、サーシャ、お前達は確かに強い。だが、それでも母親や祖母には及ばぬ」
「母様……」
「婆様……」
「お主等の父親と祖父も立派な男達だった。しかし、奴等は儂にお前達を託して逝ってしまった……」


族長の言葉にアンジュとサーシャは亡き母親と祖母の事を思い出し、祖父も父親も二人が黒龍に殺された後、仇を討つために挑んだが、結局は妻たちと同じく殺されたという。


「儂等の世代だけではない、儂が族長なる前から何度もダークエルフの戦士達は黒龍に挑み、命を落とした。どんな武器を作ろうと奴には通じず、どんな防具もあの牙と爪の前では木の枯葉のように引き裂かれた……だから儂は誓ったのだ。もう何があろうと黒龍に挑むまいとな」
「でも、族長……今はレナもいる!!それにハルナもいる!!牛人族だって力を貸してくれる!!そうだろう、お前達!?」
「おう、やってやるぜ!!」
「あいつらに家族を殺されたのは俺達も一緒だ……戦おう!!」


アンジュは族長の言葉を聞いても諦めず、自分の家族の仇である黒龍を討つ事こそが彼女の生涯の目標だった。それはサーシャも同じ気持ちであり、他の者達も賛同する。

先ほどまでは黒龍の姿を見ただけで恐怖のあまりに怖気づいていたが、ハルナの力で黒龍を追い払う事に成功した事で彼等は希望を見出す。今ならば全員が力を合わせれば黒龍に勝てるという希望を抱く。しかし、その希望さえも族長は否定した。


「無駄じゃ、確かにレナもハルナも強い。お前達よりも強いかもしれん……しかし、それだけでは黒龍には勝てぬ」
「どうしてだ!?なんで族長は反対する!!」
「族長……」
「落ち着け、儂も奴を許せぬ気持ちは同じじゃ……しかし、勇気と無謀は違う。ここにいる全員で挑んでも黒龍に勝てる保証はない」
「……竜人族、か」


話を聞いていた牛人族の長がここで口を挟み、彼の言葉に全員が驚いた様子で振り返ると、長は族長の考えを読み取って皆に伝えた。


「皆、落ち着け。お前達の族長が黒龍に挑む前に我等にはやるべき事がある事を伝えたいだけだ。そうであろう?」
「うむ、その通りじゃ……我々だけでは黒龍に確実に勝てる保証はない。しかし、竜人族の力を借りる事が出来れば……今度こそ、奴の息の根を止める事が出来るかもしれん」
「だが、竜人族がいるのは荒野だぞ!?あんな場所に隠れている奴等を見つけるには時間が掛かり過ぎる!!」
「方法がないわけではない……儂は奴等とは今でも連絡を取り合っている」
「長、それは本当か!?」


長の言葉に牛人族も驚き、彼等も長が竜人族と連絡を内密に取り合っている事は知らなかった。長は頷くと、竜人族との連絡手段を明かす。


「竜人族は定期的にここへ訪れ、食料と酒を分け与えている。その対価として奴等は我々が窮地に陥った時、助けに来ることを約束してくれた」
「そういえば随分前、儂等がお主等と争っている時に竜人族が介入してきたが、あれはお主等と竜人族が裏で手を組んでいたのか?」
「手を組んでいたとは人聞きが悪いが……その通りだ」
「やはりそういう事だったか……この策士め」
「言っておくが竜人族との同盟は儂が提案したのではない。先々代の長の代から牛人族と竜人族は同盟を結んでおる……その事を知っているのは今となっては儂と数名の部下だけだがな」
「し、知らなかった……」
「そうだったのか……」


牛人族と竜人族が同盟を結んでいる事を知っている者は限られており、殆どの牛人族は知らされていなかった。しかし、この同盟のお陰で牛人族はダークエルフが攻めてきても竜人族の援護のお陰で窮地を乗り切ってきた。
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