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真・最終章 七魔将編
聖痕に適していない
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「ぐうっ!?」
「がはぁっ……!?」
ラストの身体に聖痕の痣が出現してからしばらくすると、彼は苦痛の声を上げてホムラから手を離す。直後にラストの肉体に浮かんだ痣から火属性の魔力が放出され、やがて魔力が消えると残されたのは聖痕の形をした火傷だけだった。
「……やはり、器に適していない人間では聖痕を完全に奪い取る事はできないか」
「はあっ、はあっ……」
あらゆる魔力を吸収する能力を持つラストでも聖痕の力その物を奪う事はできず、彼は自分の火傷に手を押し当てて残念ながらホムラの精魂を奪う事はできないと判断する。如何に強大な魔力を吸い上げる能力を持とうとラストの肉体は火属性の聖痕を制御する事はできない。
この世界において聖痕は一人の人間にしか宿す事はできず、レナの場合も風の聖痕を継承したが結局は使いこなす事ができずにマリアの譲渡した。ラストの場合も火属性の聖痕の適性がないのでホムラから奪い取る事はできなかった。
「まあいい、聖痕を奪う事はできなかったが十分な魔力は手に入れた」
「貴様……必ず殺してやる」
「ふっ……」
ホムラは衰弱しながらも戦意だけは衰えず、殺気をラストに向けるがそんな彼女の態度を見ても余裕は崩さない。ラストはホムラから奪い取った膨大な火属性の魔力を体内に宿し、そのまま坑道へ進んで奥地へ向かう。
「もう少し、か……」
坑道の最深部にまで移動したラストはホムラから奪った火属性の魔力を纏い、岩壁が崩れて巨大な赤色の鱗が露出した場所へ辿り着く。この鱗の正体は鉱山に封印された炎龍であり、鱗に触れたラストはホムラから奪い取った火属性の魔力を送り込む。
魔力を送り込んだ瞬間に鱗が光り輝き、炎龍の体内へと魔力が吸収されていく。この時に坑道内に振動が走って鉱山に生き埋めにされた炎龍が動き出そうとしたが、ラストが魔力を送り込むのを辞めると再び停止してしまう。
「完全復活までまだ時間は掛かるか……だが、あと少しだ」
炎龍を封印していた「クリムゾン」は既に抜き放たれたが、数百年の時を封印されていた炎龍は封印が解かれても衰弱化して動けない状態だった。現在の炎龍は人間に例えると「栄養失調」の状態で動き出すには炎龍の力の源である火属性の魔力を分け与えなければならない。
「いい燃料を手に入れた。この炎龍を復活させれば……我が目的は果たされる」
ラストは炎龍に触れた状態で笑みを浮かべ、彼の真の目的を果たすためにはどうしても炎龍を完全復活させる必要があった。そして炎龍の復活のためには火属性の精魂を持つホムラを利用し、彼女の命と引き換えに炎龍を復活させるつもりだった――
――同時刻、王都の地下にてガイアは目を覚ます。彼は炎龍が存在する方向に視線を向け、何かを感じ取ったように身体を震わせる。ガイアの優れた生存本能が炎龍の復活の日が近い事を知らせる。
「ラストめ……何をしている」
ガイアは起き上がろうとしたがあまりの空腹感に身体がふらついて膝を崩す。昨日から碌に飯を食べておらず、かといって地上から食料を調達するにしても連日に一般人から食料を奪いすぎたせいで警戒体制が敷かれていた。
一旦、王都を離れて外にいる魔物を襲って喰らう事も考えたが王都の外に生息する魔物の中でガイアの腹を満たす存在は滅多にいない。王都周辺は魔物の数は少なく、一角兎のような小型の魔物しか存在しない。
「ぐうっ……駄目だ、何か食わなければ……」
「……随分と弱っているようだな」
「誰だ!?」
何者かに声をかけられたガイアは振り返ると、暗闇の中から見た事もない顔の青年が姿を現す。それを見たガイアは咄嗟に攻撃を仕掛けようとしたが、その青年から発せられる禍々しい闇属性の魔力を感じ取って正体に気付く。
「ブラク……お前なのか?」
「そうだ。随分と苦労しているようだな?」
「ちぃっ……何しに現れた?」
青年の正体はブラクが「死操術」で操る死体人形だと悟ったガイアは忌々し気な表情を浮かべながらも座り込み、自分の前に現れたブラクを睨みつける。そんな彼に対してブラクは手に持っていた壺を置くと、その中身を見せつける。
「餌を持ってきてやったぞ」
「何だとっ……貴様!!」
「いらんのか?」
壺の中に入っていたのは大量の聖属性の魔石であり、それを手にしたブラクはガイアへと投げ渡す。仮に死霊使いの生み出した死霊人形ならば聖属性の魔石など触れるだけでも拒否反応を示すが、死体を体内から操るブラクの場合は聖属性の魔石に触れる事ができる。
レナ達が遭遇した地竜の場合は言葉を発する事はできなかったが、あくまでも人間の身体の場合はブラクは声を発する事ができる。恐らくはここにいるブラクも本体の影を切り離した「分身」である事は間違いないが、切り離した分身も本体と同様に意思を持つ。
死霊人形の場合は死霊使いが闇属性の魔力を分け与えて生前の人間の意識を呼び起こす。しかし、死体人形の場合はブラク自身が影を切り離して死体に取り憑かせる、それはつまり自分の「魂」を分割して他の死体に憑依させる事に等しい。分割された魂の一部にもブラクの意思は宿り、自分の分身を作り出すといっても間違いではない。
「がはぁっ……!?」
ラストの身体に聖痕の痣が出現してからしばらくすると、彼は苦痛の声を上げてホムラから手を離す。直後にラストの肉体に浮かんだ痣から火属性の魔力が放出され、やがて魔力が消えると残されたのは聖痕の形をした火傷だけだった。
「……やはり、器に適していない人間では聖痕を完全に奪い取る事はできないか」
「はあっ、はあっ……」
あらゆる魔力を吸収する能力を持つラストでも聖痕の力その物を奪う事はできず、彼は自分の火傷に手を押し当てて残念ながらホムラの精魂を奪う事はできないと判断する。如何に強大な魔力を吸い上げる能力を持とうとラストの肉体は火属性の聖痕を制御する事はできない。
この世界において聖痕は一人の人間にしか宿す事はできず、レナの場合も風の聖痕を継承したが結局は使いこなす事ができずにマリアの譲渡した。ラストの場合も火属性の聖痕の適性がないのでホムラから奪い取る事はできなかった。
「まあいい、聖痕を奪う事はできなかったが十分な魔力は手に入れた」
「貴様……必ず殺してやる」
「ふっ……」
ホムラは衰弱しながらも戦意だけは衰えず、殺気をラストに向けるがそんな彼女の態度を見ても余裕は崩さない。ラストはホムラから奪い取った膨大な火属性の魔力を体内に宿し、そのまま坑道へ進んで奥地へ向かう。
「もう少し、か……」
坑道の最深部にまで移動したラストはホムラから奪った火属性の魔力を纏い、岩壁が崩れて巨大な赤色の鱗が露出した場所へ辿り着く。この鱗の正体は鉱山に封印された炎龍であり、鱗に触れたラストはホムラから奪い取った火属性の魔力を送り込む。
魔力を送り込んだ瞬間に鱗が光り輝き、炎龍の体内へと魔力が吸収されていく。この時に坑道内に振動が走って鉱山に生き埋めにされた炎龍が動き出そうとしたが、ラストが魔力を送り込むのを辞めると再び停止してしまう。
「完全復活までまだ時間は掛かるか……だが、あと少しだ」
炎龍を封印していた「クリムゾン」は既に抜き放たれたが、数百年の時を封印されていた炎龍は封印が解かれても衰弱化して動けない状態だった。現在の炎龍は人間に例えると「栄養失調」の状態で動き出すには炎龍の力の源である火属性の魔力を分け与えなければならない。
「いい燃料を手に入れた。この炎龍を復活させれば……我が目的は果たされる」
ラストは炎龍に触れた状態で笑みを浮かべ、彼の真の目的を果たすためにはどうしても炎龍を完全復活させる必要があった。そして炎龍の復活のためには火属性の精魂を持つホムラを利用し、彼女の命と引き換えに炎龍を復活させるつもりだった――
――同時刻、王都の地下にてガイアは目を覚ます。彼は炎龍が存在する方向に視線を向け、何かを感じ取ったように身体を震わせる。ガイアの優れた生存本能が炎龍の復活の日が近い事を知らせる。
「ラストめ……何をしている」
ガイアは起き上がろうとしたがあまりの空腹感に身体がふらついて膝を崩す。昨日から碌に飯を食べておらず、かといって地上から食料を調達するにしても連日に一般人から食料を奪いすぎたせいで警戒体制が敷かれていた。
一旦、王都を離れて外にいる魔物を襲って喰らう事も考えたが王都の外に生息する魔物の中でガイアの腹を満たす存在は滅多にいない。王都周辺は魔物の数は少なく、一角兎のような小型の魔物しか存在しない。
「ぐうっ……駄目だ、何か食わなければ……」
「……随分と弱っているようだな」
「誰だ!?」
何者かに声をかけられたガイアは振り返ると、暗闇の中から見た事もない顔の青年が姿を現す。それを見たガイアは咄嗟に攻撃を仕掛けようとしたが、その青年から発せられる禍々しい闇属性の魔力を感じ取って正体に気付く。
「ブラク……お前なのか?」
「そうだ。随分と苦労しているようだな?」
「ちぃっ……何しに現れた?」
青年の正体はブラクが「死操術」で操る死体人形だと悟ったガイアは忌々し気な表情を浮かべながらも座り込み、自分の前に現れたブラクを睨みつける。そんな彼に対してブラクは手に持っていた壺を置くと、その中身を見せつける。
「餌を持ってきてやったぞ」
「何だとっ……貴様!!」
「いらんのか?」
壺の中に入っていたのは大量の聖属性の魔石であり、それを手にしたブラクはガイアへと投げ渡す。仮に死霊使いの生み出した死霊人形ならば聖属性の魔石など触れるだけでも拒否反応を示すが、死体を体内から操るブラクの場合は聖属性の魔石に触れる事ができる。
レナ達が遭遇した地竜の場合は言葉を発する事はできなかったが、あくまでも人間の身体の場合はブラクは声を発する事ができる。恐らくはここにいるブラクも本体の影を切り離した「分身」である事は間違いないが、切り離した分身も本体と同様に意思を持つ。
死霊人形の場合は死霊使いが闇属性の魔力を分け与えて生前の人間の意識を呼び起こす。しかし、死体人形の場合はブラク自身が影を切り離して死体に取り憑かせる、それはつまり自分の「魂」を分割して他の死体に憑依させる事に等しい。分割された魂の一部にもブラクの意思は宿り、自分の分身を作り出すといっても間違いではない。
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