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真・最終章 七魔将編
最強の将
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『アイリス、聞きたいことがある』
『なんですか?』
『この地竜を殺したのは誰?』
『…………』
レナの質問に対していつもならばすぐに返事を行うアイリスだったが、何故か彼女は黙り込んでしまう。そのアイリスの態度にレナは疑問を抱くが、考え事でもしていたのか説明を行う。
『その地竜を倒したのは七魔将筆頭を務めていた魔人将ラストです』
『ラスト……』
『レナさん、これだけは伝えておきますね。今のレナさんではラストには勝てません』
『えっ……』
アイリスの言葉を聞いてレナは呆気に取られ、彼女の見立てではレナではラストに勝てないと判断した。しかも彼女の続いての言葉にレナは衝撃の事実を知らされる。
『ラストの能力は相手の力を奪う事です。ラストは触れた相手の魔力を奪い取り、それを利用して反撃に転じます。つまり、ラストにはあらゆる魔法攻撃は通じません』
『魔法が通じない?』
『そういう事です。つまり、レナさんのような魔術師にとっては天敵なんですよ……あのマリアの最上級魔法さえもラストには通じないでしょうね』
『叔母様の魔法でさえも!?』
ラストの能力はあらゆる魔法を吸収し、無効化するどころか自分の力に変換させる能力を持つとアイリスは告げる。それはつまり、魔法職の人間にとっては天敵に等しい存在を意味していた。
この世界においては最高威力を誇る最上級魔法でさえもラストには通用せず、それどころか森人族や人魚族の扱う精霊魔法や聖剣などの武器の攻撃さえもラストは無効化できるとアイリスは断言する。
『どんなに優れた魔術師だろうとラストには通じません。あらゆる魔法を吸収し、無効化するだけではなくその力を利用して反撃に転じる……当然ですがレナさんの扱う魔刀術や魔鎧術も通用しません』
『そんな奴がいたのか……』
『仮に魔法を使わずに倒そうとしても無駄です。ラスト自身も高い戦闘能力を誇りますし、何よりも触れただけで相手の魔力を奪い取ることができます。魔法を使わないように注意して戦ってもラストに触れられれば終わりです』
『……マジかよ』
『現にラストはこの地竜を倒す時は素手で仕留めています。どうやって倒したのか教えてあげましょうか?ラストは相手に触れるだけで魔力を根こそぎ奪い取って絶命させるんですよ』
『素手で……竜種を殺したは?』
改めてレナは地竜の死体人形の事を思い返し、確かに地竜の肉体には致命傷らしき傷はなかった。死体人形を作り出す場合は死体を用意する必要があるが、今回の地竜は外傷の類は見当たらなかった。アイリスによるとラストは地竜に掠り傷を与えずに仕留めてブラクに与えたという――
――同時刻、魔人将のラストは炎竜が封印されていた鉱山にて待機していた。他の七魔将が動く中、彼だけはこの場所に留まって決して動かない。理由としては彼がここを離れると大変な事態に陥り、離れられないといった方が正しい。
「……まだ生きているか、流石は聖痕の継承者だな」
「ぐぅっ……」
「しかし、限界は近いようだな」
鉱山の採掘場はラストが占拠しており、普通の人間は近づけない状態に陥っていた。そして採掘場には十字架に括り付けられたホムラの姿が存在した。ヨツバ王国の六聖将の中でも実力的には最強といっても過言ではない彼女だが、現在は衰弱しきった状態で十字架に磔にされていた。
ホムラは七魔将の居場所を探り出すと自分の手で始末するためにこの鉱山に乗り込んだ。しかし、ラストによってホムラは為す術もなく敗北して現在は囚われの身になっていた。ヨツバ王国の中でも最強の将であるはずの彼女さえもラストには及ばなかった。
火属性の聖痕の持ち主にして魔刀術の達人でもあるホムラだが、ラストの前には彼女の攻撃は全て通じずに敗れ去る。しかも負けた後も自害できぬように拘束され、見せしめとばかりに十字架に磔にされる。
「お前のような強き戦士もこの時代に居たのは喜ばしい事だ。恐らく、私以外の将ではお前に勝てなかっただろう」
「……殺せ」
「まだ喋る元気はあるか。だが、殺しはしない……お前のその力は惜しい」
「殺せっ!!」
ホムラは恥辱を受けるぐらいならば死を望むがラストが彼女の願いを聞き入れる事はなく、それどころか彼はホムラの聖痕に手を伸ばす。彼は聖痕に触れると太陽の如き熱を感じ取り、聖痕の強大な力を感じ取る。
「聖痕……素晴らしい力だ。そして聖痕を制御するお前自身も優れている事は認めよう。この力をわざわざ捨てるのは惜しい」
「ぐうっ……ああっ!?」
「その力、必ず奪ってみせるぞ」
聖痕を通してラストはホムラから魔力を吸収し、彼女が死なない程度まで魔力を奪い取る。この時にラストの肉体に異変が生じ、彼の身体に聖痕のような痣が浮き上がった。
信じがたい事にラストはホムラの持つ火属性の聖痕の力さえも受け入れ、その能力を奪い取ろうとする。しかし、
彼の身体に浮き上がった痣は徐々に熱を帯びると直後にラストの肉体に異変が起きた。
『なんですか?』
『この地竜を殺したのは誰?』
『…………』
レナの質問に対していつもならばすぐに返事を行うアイリスだったが、何故か彼女は黙り込んでしまう。そのアイリスの態度にレナは疑問を抱くが、考え事でもしていたのか説明を行う。
『その地竜を倒したのは七魔将筆頭を務めていた魔人将ラストです』
『ラスト……』
『レナさん、これだけは伝えておきますね。今のレナさんではラストには勝てません』
『えっ……』
アイリスの言葉を聞いてレナは呆気に取られ、彼女の見立てではレナではラストに勝てないと判断した。しかも彼女の続いての言葉にレナは衝撃の事実を知らされる。
『ラストの能力は相手の力を奪う事です。ラストは触れた相手の魔力を奪い取り、それを利用して反撃に転じます。つまり、ラストにはあらゆる魔法攻撃は通じません』
『魔法が通じない?』
『そういう事です。つまり、レナさんのような魔術師にとっては天敵なんですよ……あのマリアの最上級魔法さえもラストには通じないでしょうね』
『叔母様の魔法でさえも!?』
ラストの能力はあらゆる魔法を吸収し、無効化するどころか自分の力に変換させる能力を持つとアイリスは告げる。それはつまり、魔法職の人間にとっては天敵に等しい存在を意味していた。
この世界においては最高威力を誇る最上級魔法でさえもラストには通用せず、それどころか森人族や人魚族の扱う精霊魔法や聖剣などの武器の攻撃さえもラストは無効化できるとアイリスは断言する。
『どんなに優れた魔術師だろうとラストには通じません。あらゆる魔法を吸収し、無効化するだけではなくその力を利用して反撃に転じる……当然ですがレナさんの扱う魔刀術や魔鎧術も通用しません』
『そんな奴がいたのか……』
『仮に魔法を使わずに倒そうとしても無駄です。ラスト自身も高い戦闘能力を誇りますし、何よりも触れただけで相手の魔力を奪い取ることができます。魔法を使わないように注意して戦ってもラストに触れられれば終わりです』
『……マジかよ』
『現にラストはこの地竜を倒す時は素手で仕留めています。どうやって倒したのか教えてあげましょうか?ラストは相手に触れるだけで魔力を根こそぎ奪い取って絶命させるんですよ』
『素手で……竜種を殺したは?』
改めてレナは地竜の死体人形の事を思い返し、確かに地竜の肉体には致命傷らしき傷はなかった。死体人形を作り出す場合は死体を用意する必要があるが、今回の地竜は外傷の類は見当たらなかった。アイリスによるとラストは地竜に掠り傷を与えずに仕留めてブラクに与えたという――
――同時刻、魔人将のラストは炎竜が封印されていた鉱山にて待機していた。他の七魔将が動く中、彼だけはこの場所に留まって決して動かない。理由としては彼がここを離れると大変な事態に陥り、離れられないといった方が正しい。
「……まだ生きているか、流石は聖痕の継承者だな」
「ぐぅっ……」
「しかし、限界は近いようだな」
鉱山の採掘場はラストが占拠しており、普通の人間は近づけない状態に陥っていた。そして採掘場には十字架に括り付けられたホムラの姿が存在した。ヨツバ王国の六聖将の中でも実力的には最強といっても過言ではない彼女だが、現在は衰弱しきった状態で十字架に磔にされていた。
ホムラは七魔将の居場所を探り出すと自分の手で始末するためにこの鉱山に乗り込んだ。しかし、ラストによってホムラは為す術もなく敗北して現在は囚われの身になっていた。ヨツバ王国の中でも最強の将であるはずの彼女さえもラストには及ばなかった。
火属性の聖痕の持ち主にして魔刀術の達人でもあるホムラだが、ラストの前には彼女の攻撃は全て通じずに敗れ去る。しかも負けた後も自害できぬように拘束され、見せしめとばかりに十字架に磔にされる。
「お前のような強き戦士もこの時代に居たのは喜ばしい事だ。恐らく、私以外の将ではお前に勝てなかっただろう」
「……殺せ」
「まだ喋る元気はあるか。だが、殺しはしない……お前のその力は惜しい」
「殺せっ!!」
ホムラは恥辱を受けるぐらいならば死を望むがラストが彼女の願いを聞き入れる事はなく、それどころか彼はホムラの聖痕に手を伸ばす。彼は聖痕に触れると太陽の如き熱を感じ取り、聖痕の強大な力を感じ取る。
「聖痕……素晴らしい力だ。そして聖痕を制御するお前自身も優れている事は認めよう。この力をわざわざ捨てるのは惜しい」
「ぐうっ……ああっ!?」
「その力、必ず奪ってみせるぞ」
聖痕を通してラストはホムラから魔力を吸収し、彼女が死なない程度まで魔力を奪い取る。この時にラストの肉体に異変が生じ、彼の身体に聖痕のような痣が浮き上がった。
信じがたい事にラストはホムラの持つ火属性の聖痕の力さえも受け入れ、その能力を奪い取ろうとする。しかし、
彼の身体に浮き上がった痣は徐々に熱を帯びると直後にラストの肉体に異変が起きた。
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