不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

潜水船の行方

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「それでその船はどうなったの?」
「リヴァイアサンが倒された後、潜水船は約束通りに海底王国の手に渡りました」
「それじゃあ、どうしようもできないのか」
「いいえ、そうとも限りません。私が塔の大迷宮を出た後に調べた所によると海底王国が滅んだ時に人魚族の一部が潜水船で地上に逃げ延びたという記録が残っていました。もしかしたらまだ地上にあるかもしれません」
「地上に?」
「というかアイリス様に居場所を聞いて下さい、あの御方ならすぐに分かるでしょう?」
「なるほど……あれ?でも、ホネミンが傍にいると交信できないんじゃ……」
「あ、そうでしたね」
『いえ、大丈夫です』


レナはホネミンの言葉に頷き、すぐにアイリスと交信を行おうとしたがこれまではホネミンが傍にいる時は交信できなかった。しかし、何故か今回はアイリス側から交信が行われる。


『アイリス!?どうして交信ができるの!?』
『ホネミンさんが肉体を得た影響のせいか、魂の波動が体内に収まったんです』
『よく分からないけど、ホネミンが身体を取り戻したから交信の妨げにならなくなったの?』
『そういう事です』


これまでホネミンが傍にいる時にレナが交信を行えなかったのは彼女の肉体が骨だけの状態だったのが原因らしく、生身の肉体を取り戻した事で彼女の魂が肉体に収まり、その影響でアイリスも交信が行えるようになったという。

骨身状態のホネミンの時は魂の波動が広範囲に拡散して交信は行えなかったが、現在は肉体を取り戻した事で魂が肉体に収まり、そのお陰でアイリスも妨害を受けずにレナと交信できるようになった。そのため、ホネミンが近くに居てもこれからは普通に交信が行える。


『潜水船の居場所はこの港町の北にある海岸の洞窟の中です。ですが、普通の人間が入れないように仕掛けが施されているので注意して下さい』
『最初から全部分かってたのか……』
『ホネミンさんから話を聞いた方が良かったでしょう?』
『まあ、そうだね』


ホネミンの昔話はレナにとっても興味深く、今更ながらに彼女がどれほど凄い人物なのか思い知らされた。さらりと話したが彼女はずっと孤独の中で生きてきた事も改めて知る。

かつての仲間達の前に姿を現わせず、ずっと頼りにしていたアイリスとも交信が取れなくなった彼女が他人の力を頼らずに一人で生きてきた事を考えると同情してしまう。もしもホネミンが同じような危機に晒された時、必ず彼女を助ける事をレナは心の中で誓う。彼にとってホネミンは同じ境遇の人間だからこそ放っておくことができなかった。


「ホネミンも辛い思いをしてきたんだな……」
「まあ、慣れたらどうって事はないですよ。人見知りだったので一人で過ごす事は割とありましたし……」
「そこは強がるなよ」


彼女の言葉にレナは苦笑いを浮かべ、改めてアイリスの情報を頼りに潜水船が隠されている北の海岸へ向かう事にした――





――仲間達を連れてレナは港町の北に存在する海岸へ辿り着くと、まずは潜水船が隠されている洞窟を見つけ出すためにマリアに力を貸して貰う。彼女は掌を伸ばして風の聖痕を利用し、風の流れを感じ取って巧妙に隠されている洞窟の出入口を見つけ出す。


「……どうやら海側の方に洞窟があるようね、風の精霊が騒いでいるわ」
「じゃあ、海を渡らないといけないのか……さっきの港町に戻って小舟でも借りてくるか?」
「いいえ、時間がないわ。このまま行きましょう」
「行くって……どうやって?」


シズネは海の方に近付くと、彼女は雪月花を引き抜く。その光景を見た者達は彼女が何をしようとしているのかを察し、慌てて距離を取った。シズネは水の聖痕の力を利用して雪月花の能力を発動させる。


「凍り付きなさい!!」
「うわっ!?」
「な、なんと凄まじい魔力……!!」
「やるわね、私の面倒がなくなったわ」


雪月花が海面に触れた瞬間、一瞬にして海水が凍り付いて周囲一帯の海が氷と化す。以前よりも雪月花の能力が強化され、アルドラとの戦闘を経てシズネは聖痕の力を使いこなせるようになっていた。

疑似的に吸血鬼と化した事でシズネは前の時よりも魔力が増しており、彼女は自信を持った表情を浮かべる。この力があればどんな敵にも勝てるという自信があり、凍り付いた海面に移動して仲間達を呼ぶ。


「さあ、行きましょう」
「お、おう……」
「そ、そうですね」
「こっちよ、付いてきなさい」


凍り付いた海面にダインは恐る恐る踏み込み、ジャンヌも緊張した様子で氷の上に立ち、特に歩いても問題ない事を確認すると全員がマリアの案内の元で氷の上を歩いて目的地の洞窟へ向かう。

マリアが辿り着いた場所は普段は一見は岩壁にしか見えないが、彼女は掌を伸ばして風の流れを感じ取る。そして岩壁に彼女は触れようとすると、まるで壁の中に吸い込まれるように彼女の腕が突き抜けた。それを見た者達は驚き、マリアも感心した声をあげた。


「これは幻影ね……珍しい魔法術式ね」
「い、いったいどうなってるんだ!?」
「いいから中に入りましょう」


臆せずにマリアは岩壁の中に入り込み、他の者たちも彼女の後に続く。そしてレナ達は岩壁を潜り抜けると真っ黒な空間に覆われた場所に辿り着き、即座にマリアが魔法を発動させる。


「シャイン」
「うわっ!?」


レナの扱う「光球」は光の球体を生み出すが、マリアの発動させた魔法は空間全体が照らし、光が射さない洞窟の中にいるはずなのに日中のような明るさになった。彼女の使った魔法は聖属性の魔法であり、光球よりも効果範囲が広い。

洞窟の中が照らされるとレナ達は広大な空間に自分達が存在する事に気付き、そして彼等の視界には巨大な船が映し出された。何百年も放置されているはずなのに最近まで誰かが乗っていたかのように綺麗な状態の船が洞窟の中に停泊し、その船には全体に鮫の模様が描かれていた。
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