不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

暇つぶし

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――アアアアアッ……!?


光弾を受け続けたクリスタルゴーレムの肉体は崩壊し、色違いの水晶ごとに分かれて地面に崩れ落ちる。破壊したかと思われたが、実際は光弾を受けた際に合体していたゴーレム同士が分離しただけに過ぎず、完全に倒したわけではない。

分離したゴーレム達は光弾から逃れようとするがマリアは逃す事はなく、魔法陣を更に拡大化させて光弾の数を増やす。ゴーレムの群れに目掛けて光弾が降り注ぎ、やがて水晶の肉体が粉々に砕け散っていく。



『ゴァアアアアッ……!?』
「……そろそろね」
「こ、これは……」


最後の一体を打ち砕くとマリアは攻撃を中断し、残されたの地面に散らばる無数の水晶の欠片だけだった。その光景を見たツバサは冷や汗が止まらず、かりにもしもこの空間にツバサだけが送り込まれていたら、彼女は成す術もなくクリスタルゴーレムに殺されていた可能性が高い。

クリスタルゴーレムは間違いなく竜種級の戦闘力を誇り、従来のゴーレムキングをも上回る能力を持っていた。しかし、相手があまりにも悪すぎた。結局はマリアは戦闘に置いてはクサナギの力も使わずにクリスタルゴーレムを打ち倒す。


「暇つぶしにはなったわね。さあ、何か変化はないか調べましょう」
「マ、マリア様……あれだけの魔法を使われたのにお体は大丈夫なのですか?」
「平気よ、最上級魔法や広域魔法と比べれば楽な物だわ」
「そ、そうですか……」


先ほどマリアは数百の光弾を撃ち込んだにも関わらず、汗一つ掻かずに残骸と化したクリスタルゴーレムの元へ歩む。その様子を見てツバサは改めてマリアの圧倒的な魔力を思い知らされ、もしも時代が次代ならば彼女が森人族を率いる王になっていてもおかしくはない。


(ハヅキ家に神童が生まれたとは聞いていましたが、まさかこれほどとは……)


マリアとアイラが生まれた時、赤ん坊の頃からマリアは母親を凌ぐ魔力を有していた。成長するにつれて彼女は魔術師として腕を磨き、今に至っては恐らくは歴代のハヅキ家の当主の中でも一番の魔力量と魔法の力を誇る。

基本的にはヨツバ王国の魔術師は人間が扱う「砲撃魔法」は不得手としており、森人族が得意とする精霊魔法を扱う精霊魔導士しかいない。しかし、マリアはヨツバ王国に居た時は精霊魔法を扱っていたが、姉と共に外の世界へ繰り出した時に人間が扱う砲撃魔法も学ぶ。

ヨツバ王国に暮らすエルフは精霊魔法以外の魔法を覚える事は禁じられているわけではないが、彼等は精霊魔法に誇りを持っているので他の魔法を覚えようとする者は滅多にいない。精霊魔法こそが至高の魔法だと疑わず、他の魔法を覚える必要もないという考えたをしている者も多い。しかし、マリアは父親が人間だった事もあってか柔軟な発想をしており、優れた魔法ならばなんでも覚えたいと思って彼女はありとあらゆる魔法を習得した。

砲撃魔法を極める段階で自然と広域魔法も習得し、最終的には最上級魔法を極めた。マリアの才能はハヅキ家として生まれたエルフの中でも一番を誇り、母親のハヅキをも上回る。もしも彼女が王族として生まれていたら間違いなく次の王に選ばれていただろう。


「マリア様……やはり、貴女は天才です」
「ありがとう。でも、その言葉は嫌いよ。本当の天才は姉さんみたいな人の事を言うのよ」
「えっ?」
「私が強くなろうと思ったのは……姉さんを守るためよ」


ツバサの言葉にマリアは反論し、彼女が自分が強くなろうとしたのは姉の存在が大きい事を告げる。マリアは姉のアイラと共に外の世界へ飛び出した時、姉妹二人で頑張って生きてきた。

ヨツバ王国の名家で何不自由なく暮らしていたアイラもマリアは世間知らずで最初に人間の国に来た時は苦労した。見目麗しい二人を狙ってあくどい輩が近付き、その度にアイラはマリアを庇った。マリアはそんな姉に感謝する一方で自分も姉の役に立つために努力する。

最初の頃は人間の国の常識など何も知らずに苦労したが、時間を掛けて少しずつ生きていく術を学ぶ。冒険者になった事で二人は持ち前の剣の腕と魔法の力を頼りに仕事を行い、自分達だけで生きていく力を身に付けた。この時にマリアはアイラの足手まといにならないように人間が扱う魔法の事を学び始めた。また、魔法だけではなく他の人間とも友好的な関係を築くために社交性を磨く。

生きていくためには敵を倒す力を身に付けるだけではなく、他の人間と接して友好的な間柄となり、共に力を合わせる。そうする事で自然とアイラとマリアの周りには人が集まり、気づけば彼女達は冒険者として高みに立っていた。時間は掛かったが彼女達は新しい居場所を手に入れた。

最終的にはマリアはアイラと別れた後、自分を頼りに思う人間を集めてギルドを築き上げた。マリアにとっては氷雨のギルドに集まった団員は家族同然であり、マリアは姉だけではなく自分を信頼する人間のために生きる事を誓った。
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