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蛇足編
燃料確保のために
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「そうだ、この時代のリーリスと連絡を取れないの?大迷宮に住んでるんだから燃料になる魔石を持ってるんじゃないの?」
「持ってはいるかもしれませんけど、連絡できないんですよ。この時代でも連絡機器は繋がると思うんですけど……きっとこの場所に結界みたいなのが電波が遮断されてますね」
「圏外か……」
塔の大迷宮のリーリスと連絡が取れれば装置を発動させるために必要な魔石も確保できるかもしれないが、場所の問題なのか連絡が一切通じなかった。仮に連絡できたとしてもこの時代のリーリスはレナ達とは初対面であるため、強力してくれるかどうかは分からない。
「お手上げですね」
「ウォンッ?」
「ウル、お手じゃないから」
ホネミンの言葉にウルはお手をすると、少しだけ和んだ雰囲気になるが実際の所はかなりまずい状況だった。装置が作動しなければ未来に戻る事はできず、どうにか燃料となる魔石を確保する必要があった。
「どうする?近くの大迷宮に出向いて必要な魔石を探す?」
「う~ん、そんなに都合よくいくかどうか……でも、他に方法もありませんしね」
「ウォンッ!!」
「ぷるるんっ(しゃーないな)」
魔石の確保のために何処かの大迷宮に赴き、転移装置の軌道に必要な魔石を確保する必要があった。だが、塔の大迷宮はバルトロス王国の領地に存在するため、ヨツバ王国から向かうとなるとかなりの時間が掛かる。水晶札も持ち合わせていないため、転移魔法で移動する事もできない。
「ヨツバ王国に大迷宮はないの?」
「聞いた事もありませんね。あ、でもここが勇者の建てた遺跡だとしたら転移装置も存在するかもしれません」
「ゲート?」
勇者が過去に作り出した遺跡には他の場所に転移するための装置が存在し、それの名前は「ゲート」という。何度かレナ達も使用した事がある装置だが、その装置を使用すれば他の遺跡に転移できるはずだった。
深淵の森に存在する遺跡に転移できれば塔の大迷宮との距離も大幅に縮まるため、レナ達は建物を出るとゲートを探す事にした。だが、外に出た途端にレナは不穏な気配を感じ取る。
「ちょっと待て……嫌な予感がする」
「えっ、何ですか急に……御二人が目覚めましたか?」
「いや、あの二人とは違う気配がする」
「グルルルッ……!!」
「ぷるるんっ……」
ウルとプルミンも異変に気付いたらしく、どちらも警戒するように周囲を見渡す。遺跡にまだ戦人形でも残っていたのかとレナは警戒するが、彼は上の方角から気配を感じ取って咄嗟に剣を構える。
「ふははははっ!!」
「何だっ!?」
「わああっ!?」
派手な笑い声と共に何者かがレナの頭上から切りかかり、遺跡内に金属音が鳴り響く。レナは両手に感じた衝撃だけで先ほどのアイラを上回る剛腕の剣士だと見抜き、反射的に蹴りを繰り出す。
「どりゃっ!!」
「ふごっ!?」
「な、何ですかっ!?」
レナの蹴りを受けた相手は派手に地面に転がり込み、慌ててホネミンはウルの背中に隠れる。レナは左手の剣を地面に突き刺し、大剣だけを握りしめた状態で構えを取った。二刀流では全力の攻撃を繰り出す事ができず、本来の構えで迎え撃つ準備を行う。
いきなり切りかかってきた相手は褐色肌の少女であり、何処かで見た事のある顔だった。最初は誰か思い出すのに時間が掛かったが、まるでレナやバルのような大剣を軽々と持ち上げる姿を見てレナは正体に気付く。
「あたたたっ……久々に攻撃を受けたな」
「まさか……ゴウライさん!?」
「ん!?何で吾輩の名前を知ってるんだ?」
「えっ!?嘘ぉっ!?」
レナに切りかかった相手は若い頃のゴウライであり、現代の彼女は普段から甲冑を身に付けているがこの時代のゴウライはアイラのようにビキニアーマーを想像させる鎧を身に付けていた。
「お前達、何で吾輩の名前を知っている?前にあった事があるか?」
「え、いやそれは……言っていいのかな?」
「ちょちょ、駄目ですよ!!」
ゴウライはレナ達が自分を知っている事に不思議そうに首を傾げ、そんな彼女にレナはどう対応すべきか悩んでいると、ここでゴウライは納得した表情を浮かべる。
「ああ、思い出したぞ!!お前達が今日の吾輩の修行相手か!!」
「は?」
「修行相手?」
「思い出したぞ、そういえばここでハヅキ家の娘二人と修行してこいと言われてた!!つまりお前が姉でそっちが妹か!!」
「姉!?」
「妹!?」
どうやらゴウライはここへ訪れた目的は修行らしく、話を聞く限りだとゴウライはアイラとマリアと戦うために訪れたらしい。いったいどういった経緯でゴウライがアイラ達と修行する事になったのかは分からないが、勝手に勘違いしたゴウライはレナと向き合う。
「思っていたよりも男みたいな格好だな!!あ、すまん……気にしていたのなら謝るぞ!!吾輩も女のくせに男臭いと仲間から言われているからな!!」
「……どうしますか姉さん。どうやらアイラさんと勘違いされてますよ」
「誰が姉さんだ!!」
男なのに母親のアイラと間違われたレナは頭を悩めるが、ゴウライはそもそも西聖将の管理する土地で暮らしているため、自分達以外の部族の人間とは滅多に出会わない。だから他のエルフや人間を見ても見分けがつかない可能性があった。
レナは男にしてはアイラと顔立ちが似ているので女性寄りの風貌であり、今の服装も全身を覆い隠しているので男装した女性にも見えなくはない。だが、当の本人は女子と間違われた事に不満を抱き、少しだけやる気がわく。
「持ってはいるかもしれませんけど、連絡できないんですよ。この時代でも連絡機器は繋がると思うんですけど……きっとこの場所に結界みたいなのが電波が遮断されてますね」
「圏外か……」
塔の大迷宮のリーリスと連絡が取れれば装置を発動させるために必要な魔石も確保できるかもしれないが、場所の問題なのか連絡が一切通じなかった。仮に連絡できたとしてもこの時代のリーリスはレナ達とは初対面であるため、強力してくれるかどうかは分からない。
「お手上げですね」
「ウォンッ?」
「ウル、お手じゃないから」
ホネミンの言葉にウルはお手をすると、少しだけ和んだ雰囲気になるが実際の所はかなりまずい状況だった。装置が作動しなければ未来に戻る事はできず、どうにか燃料となる魔石を確保する必要があった。
「どうする?近くの大迷宮に出向いて必要な魔石を探す?」
「う~ん、そんなに都合よくいくかどうか……でも、他に方法もありませんしね」
「ウォンッ!!」
「ぷるるんっ(しゃーないな)」
魔石の確保のために何処かの大迷宮に赴き、転移装置の軌道に必要な魔石を確保する必要があった。だが、塔の大迷宮はバルトロス王国の領地に存在するため、ヨツバ王国から向かうとなるとかなりの時間が掛かる。水晶札も持ち合わせていないため、転移魔法で移動する事もできない。
「ヨツバ王国に大迷宮はないの?」
「聞いた事もありませんね。あ、でもここが勇者の建てた遺跡だとしたら転移装置も存在するかもしれません」
「ゲート?」
勇者が過去に作り出した遺跡には他の場所に転移するための装置が存在し、それの名前は「ゲート」という。何度かレナ達も使用した事がある装置だが、その装置を使用すれば他の遺跡に転移できるはずだった。
深淵の森に存在する遺跡に転移できれば塔の大迷宮との距離も大幅に縮まるため、レナ達は建物を出るとゲートを探す事にした。だが、外に出た途端にレナは不穏な気配を感じ取る。
「ちょっと待て……嫌な予感がする」
「えっ、何ですか急に……御二人が目覚めましたか?」
「いや、あの二人とは違う気配がする」
「グルルルッ……!!」
「ぷるるんっ……」
ウルとプルミンも異変に気付いたらしく、どちらも警戒するように周囲を見渡す。遺跡にまだ戦人形でも残っていたのかとレナは警戒するが、彼は上の方角から気配を感じ取って咄嗟に剣を構える。
「ふははははっ!!」
「何だっ!?」
「わああっ!?」
派手な笑い声と共に何者かがレナの頭上から切りかかり、遺跡内に金属音が鳴り響く。レナは両手に感じた衝撃だけで先ほどのアイラを上回る剛腕の剣士だと見抜き、反射的に蹴りを繰り出す。
「どりゃっ!!」
「ふごっ!?」
「な、何ですかっ!?」
レナの蹴りを受けた相手は派手に地面に転がり込み、慌ててホネミンはウルの背中に隠れる。レナは左手の剣を地面に突き刺し、大剣だけを握りしめた状態で構えを取った。二刀流では全力の攻撃を繰り出す事ができず、本来の構えで迎え撃つ準備を行う。
いきなり切りかかってきた相手は褐色肌の少女であり、何処かで見た事のある顔だった。最初は誰か思い出すのに時間が掛かったが、まるでレナやバルのような大剣を軽々と持ち上げる姿を見てレナは正体に気付く。
「あたたたっ……久々に攻撃を受けたな」
「まさか……ゴウライさん!?」
「ん!?何で吾輩の名前を知ってるんだ?」
「えっ!?嘘ぉっ!?」
レナに切りかかった相手は若い頃のゴウライであり、現代の彼女は普段から甲冑を身に付けているがこの時代のゴウライはアイラのようにビキニアーマーを想像させる鎧を身に付けていた。
「お前達、何で吾輩の名前を知っている?前にあった事があるか?」
「え、いやそれは……言っていいのかな?」
「ちょちょ、駄目ですよ!!」
ゴウライはレナ達が自分を知っている事に不思議そうに首を傾げ、そんな彼女にレナはどう対応すべきか悩んでいると、ここでゴウライは納得した表情を浮かべる。
「ああ、思い出したぞ!!お前達が今日の吾輩の修行相手か!!」
「は?」
「修行相手?」
「思い出したぞ、そういえばここでハヅキ家の娘二人と修行してこいと言われてた!!つまりお前が姉でそっちが妹か!!」
「姉!?」
「妹!?」
どうやらゴウライはここへ訪れた目的は修行らしく、話を聞く限りだとゴウライはアイラとマリアと戦うために訪れたらしい。いったいどういった経緯でゴウライがアイラ達と修行する事になったのかは分からないが、勝手に勘違いしたゴウライはレナと向き合う。
「思っていたよりも男みたいな格好だな!!あ、すまん……気にしていたのなら謝るぞ!!吾輩も女のくせに男臭いと仲間から言われているからな!!」
「……どうしますか姉さん。どうやらアイラさんと勘違いされてますよ」
「誰が姉さんだ!!」
男なのに母親のアイラと間違われたレナは頭を悩めるが、ゴウライはそもそも西聖将の管理する土地で暮らしているため、自分達以外の部族の人間とは滅多に出会わない。だから他のエルフや人間を見ても見分けがつかない可能性があった。
レナは男にしてはアイラと顔立ちが似ているので女性寄りの風貌であり、今の服装も全身を覆い隠しているので男装した女性にも見えなくはない。だが、当の本人は女子と間違われた事に不満を抱き、少しだけやる気がわく。
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