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蛇足編
砂漠を渡る船
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「アチチ砂漠か……ちょっと気になるな」
「砂漠に行くのなら砂船に乗った方がいい。あれに乗れば魔物に襲われる事はないからな」
「砂船?」
「聞いた事があるわ。海の上のように砂漠を乗り越える船が存在するって……」
「え~!?船なのに?」
砂船とは砂漠を越える事ができる乗り物らしく、アチチ砂漠では砂船の移動が基本だった。砂漠には魔物も多数存在し、それらの魔物との戦闘を避けるには砂船に乗るしかない。
「砂船か……それって魔物とかも載せて貰えるんですか?」
「眠らせて檻に入れた状態で運ぶのならできると思うが……」
「クゥ~ンッ……」
「そんなの可哀想だよ~」
アチチ砂漠の砂船には流石にウル達は連れて行けず、もしも砂漠に向かう場合は彼等を預けなければならない。そこでウル達の面倒を見る役目を誰かに任せ、この都市に残って貰う必要がある。
「砂漠に行くのなら誰かここに残ってくれる?」
「それなら私は残る……砂漠は暑いから嫌」
「私も砂漠は無理よ……流石に前の時みたいに足手纏いになるのは御免よ」
人魚族であるコトミンと同じく人魚族の血を継ぐシズネは暑い場所を苦手としており、彼女達は残る事になった。ティナは砂船に興味があるらしく、彼女の護衛役のリンダも同行する事になった。
「う~ん、皆とお別れなのは寂しいけど砂船というの見てみたいな」
「ティナ様が行かれるのであれば私も……」
「よし、それなら三人で行こうか」
「本当に行くつもりか?まあ、別に止めはしないが気を付けろよ。最近の噂だとアチチ砂漠では変わった魔物が現れるそうだ」
「変わった魔物?」
王都ではアチチ砂漠に関する噂が流れており、その内容はアチチ砂漠で得体のしれない魔物が出現したらしい。その魔物の正体は夜の間だけ現れる巨大なクジラのような魔物だという。
「遥か昔、アチチ砂漠には土鯨と呼ばれる化物がおった」
「土鯨?」
「今から何百年も前、アチチ砂漠は今よりも広大で魔王軍の支配圏だった。魔王が解き放った土鯨なる魔物のせいで砂漠に足を踏み入れる事ができず、それどころか徐々に砂漠が広がり始めた。だが、勇者様が現れて砂船を作り出し、見事に土鯨を討伐して魔王軍を追い払った。アチチ砂漠は他国との国境付近にあるから他の国との交流が難しかったが、砂船のお陰で安全に砂漠を乗り越えられるようになって他の国との交流が盛んになり、この国は発展していったと言われておる」
「へえ、凄い船なんですね」
「うむ、儂も若い頃は砂船を作り出そうと夢見ていた事もある」
砂船はかつては魔王軍の生み出した土鯨なる魔物を倒すために作られた船だったが、現在は砂漠を移動するための乗り物として利用され、砂船のお陰で巨人国は他国との交流が積極的に行えるようになった。
しかし、最近ではアチチ砂漠に勇者に討ち取られたはずの土鯨なる魔物と酷似した生物の目撃情報があげられ、今の所は被害は出ていないが噂だけは広まっていた。
「お前さんらも気を付けるんだぞ。まあ、砂船には結界石や腐敗石も取り付けられているから大丈夫だとは思うが……」
「平気ですよ。もしも現れたとしても返り討ちにします」
「ははは、強気な奴だな」
「……レナ様の場合、本気で言っていると思いますが」
今までに災害級の魔物を何体も倒してきたレナはゴーンの話を聞いても怖気づかず、むしろ砂漠に現れたという魔物に強い興味を示す――
――ティナとリンダと共にレナはアチチ砂漠へと向かい、移動の際は馬車に乗る事にした。いつもならばウルの狼車で移動するのだが、アチチ砂漠にはウル達を連れていないのでアチチ砂漠と王都を行き来する商団の馬車に乗せてもらう。
「すいません、砂漠まで運んでもらって……」
「いえいえ、お気になさらず!!S級冒険者様に護衛して貰えるのであればこれ以上に心強い事はありませんから!!」
「あははっ……」
商団の馬車に乗せてもらう際にレナはS級冒険者の証を見せると、彼等は護衛料の代わりとして快く馬車に乗せて貰った。アチチ砂漠に辿り着くまでの道中、魔物に襲われた場合はレナが対処する事になった。
「アチチ砂漠までどれくらいかかりますか?」
「そうですな、この調子ならば明日には辿り着けるでしょう」
「そんなに早く辿り着けるのですか?」
「大昔はこの地域もアチチ砂漠だったそうですよ。魔王の生み出した土鯨なる魔物のせいで砂漠が広がり、王都の目前まで砂漠が迫っていたそうです」
「魔王……」
魔王と聞いてレナは七魔将を思い出し、七魔将は元々は魔王の配下だったがその力を恐れられて封じられた。あれだけの力を持つ七魔将を従えていた魔王にレナは興味を抱き、今度調べてみる事にした。
※この世界では魔王といっても一人ではなく、何人もの魔王が存在します。魔王が誕生する度に勇者が召喚されて倒されました。ちなみに歴代で最強の魔王は最弱職の初級魔術師に現れた魔王です。
「砂漠に行くのなら砂船に乗った方がいい。あれに乗れば魔物に襲われる事はないからな」
「砂船?」
「聞いた事があるわ。海の上のように砂漠を乗り越える船が存在するって……」
「え~!?船なのに?」
砂船とは砂漠を越える事ができる乗り物らしく、アチチ砂漠では砂船の移動が基本だった。砂漠には魔物も多数存在し、それらの魔物との戦闘を避けるには砂船に乗るしかない。
「砂船か……それって魔物とかも載せて貰えるんですか?」
「眠らせて檻に入れた状態で運ぶのならできると思うが……」
「クゥ~ンッ……」
「そんなの可哀想だよ~」
アチチ砂漠の砂船には流石にウル達は連れて行けず、もしも砂漠に向かう場合は彼等を預けなければならない。そこでウル達の面倒を見る役目を誰かに任せ、この都市に残って貰う必要がある。
「砂漠に行くのなら誰かここに残ってくれる?」
「それなら私は残る……砂漠は暑いから嫌」
「私も砂漠は無理よ……流石に前の時みたいに足手纏いになるのは御免よ」
人魚族であるコトミンと同じく人魚族の血を継ぐシズネは暑い場所を苦手としており、彼女達は残る事になった。ティナは砂船に興味があるらしく、彼女の護衛役のリンダも同行する事になった。
「う~ん、皆とお別れなのは寂しいけど砂船というの見てみたいな」
「ティナ様が行かれるのであれば私も……」
「よし、それなら三人で行こうか」
「本当に行くつもりか?まあ、別に止めはしないが気を付けろよ。最近の噂だとアチチ砂漠では変わった魔物が現れるそうだ」
「変わった魔物?」
王都ではアチチ砂漠に関する噂が流れており、その内容はアチチ砂漠で得体のしれない魔物が出現したらしい。その魔物の正体は夜の間だけ現れる巨大なクジラのような魔物だという。
「遥か昔、アチチ砂漠には土鯨と呼ばれる化物がおった」
「土鯨?」
「今から何百年も前、アチチ砂漠は今よりも広大で魔王軍の支配圏だった。魔王が解き放った土鯨なる魔物のせいで砂漠に足を踏み入れる事ができず、それどころか徐々に砂漠が広がり始めた。だが、勇者様が現れて砂船を作り出し、見事に土鯨を討伐して魔王軍を追い払った。アチチ砂漠は他国との国境付近にあるから他の国との交流が難しかったが、砂船のお陰で安全に砂漠を乗り越えられるようになって他の国との交流が盛んになり、この国は発展していったと言われておる」
「へえ、凄い船なんですね」
「うむ、儂も若い頃は砂船を作り出そうと夢見ていた事もある」
砂船はかつては魔王軍の生み出した土鯨なる魔物を倒すために作られた船だったが、現在は砂漠を移動するための乗り物として利用され、砂船のお陰で巨人国は他国との交流が積極的に行えるようになった。
しかし、最近ではアチチ砂漠に勇者に討ち取られたはずの土鯨なる魔物と酷似した生物の目撃情報があげられ、今の所は被害は出ていないが噂だけは広まっていた。
「お前さんらも気を付けるんだぞ。まあ、砂船には結界石や腐敗石も取り付けられているから大丈夫だとは思うが……」
「平気ですよ。もしも現れたとしても返り討ちにします」
「ははは、強気な奴だな」
「……レナ様の場合、本気で言っていると思いますが」
今までに災害級の魔物を何体も倒してきたレナはゴーンの話を聞いても怖気づかず、むしろ砂漠に現れたという魔物に強い興味を示す――
――ティナとリンダと共にレナはアチチ砂漠へと向かい、移動の際は馬車に乗る事にした。いつもならばウルの狼車で移動するのだが、アチチ砂漠にはウル達を連れていないのでアチチ砂漠と王都を行き来する商団の馬車に乗せてもらう。
「すいません、砂漠まで運んでもらって……」
「いえいえ、お気になさらず!!S級冒険者様に護衛して貰えるのであればこれ以上に心強い事はありませんから!!」
「あははっ……」
商団の馬車に乗せてもらう際にレナはS級冒険者の証を見せると、彼等は護衛料の代わりとして快く馬車に乗せて貰った。アチチ砂漠に辿り着くまでの道中、魔物に襲われた場合はレナが対処する事になった。
「アチチ砂漠までどれくらいかかりますか?」
「そうですな、この調子ならば明日には辿り着けるでしょう」
「そんなに早く辿り着けるのですか?」
「大昔はこの地域もアチチ砂漠だったそうですよ。魔王の生み出した土鯨なる魔物のせいで砂漠が広がり、王都の目前まで砂漠が迫っていたそうです」
「魔王……」
魔王と聞いてレナは七魔将を思い出し、七魔将は元々は魔王の配下だったがその力を恐れられて封じられた。あれだけの力を持つ七魔将を従えていた魔王にレナは興味を抱き、今度調べてみる事にした。
※この世界では魔王といっても一人ではなく、何人もの魔王が存在します。魔王が誕生する度に勇者が召喚されて倒されました。ちなみに歴代で最強の魔王は最弱職の初級魔術師に現れた魔王です。
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