不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,888 / 2,091
蛇足編

恩返し

しおりを挟む
――ゴーンは腕を治してくれたお礼にミスリル鉱石を渡してくれる事を約束した。しかも彼自身がミスリル鉱石を加工し、それぞれの欲しい装飾品を渡してくれる事を約束する。そして一晩でゴーンは約束通りにレナ達が依頼した装飾品を作り出してくれた。


「どうだ?俺の作品は!!」
「おおっ!!」
「これは……綺麗ね」
「キラキラしてる」
「わあっ!!」
「美しい……本当に貰っていいのですか?」


ミスリルの装飾品を渡された女性陣は目を光り輝かせ、王都で一番の腕前を誇るというのは伊達ではなく、ゴーンが作り出した装飾品はどれも美しかった。しかもただの装飾品ではなく、全ての装飾品には宝石代わりに魔石も取り付けられていた。


「そいつを装備していれば魔法の力を強める効果がある。大事に扱ってくれよ」
「ありがとう、気に入ったわ」
「俺の分まで作ってくれてありがとうございます」
「気にするな、この腕の恩人だからな!!」


レナにもゴーンはミスリルの腕輪を作ってくれた。尤もレナの場合は今更魔法を強化する腕輪は必要ないのだが、装飾品としての価値は十分に高いので受け取っておく。ゴーンが腕を治った事で以前のように仕事ができるようになったが、問題なのはゴーンがどうやって腕を治したのか理由を説明するかである。


「しかし、俺の腕が治ったのは良い事なんだが……今から腕を治した事を他の奴等に話すとなると面倒な事になるな」
「え?どうしてですか親父?」
「お前は馬鹿か!?俺の腕は回復薬や回復魔法でもどうしようもなかったんだぞ!!それなのに完璧に戻ったなんて知られたら絶対に他の奴等に問い詰められるだろうが!!」
「それなら今まで通りに義手として誤魔化したらどうなの?人がいる前では義手を取り付けているふりをすれば……」
「駄目だ、義手を付けたまま鍛冶なんてできやしねえ。それに人を騙す事なんて最低の行為だ!!」


ドワーフは嘘を吐く事を嫌い、ゴーンも腕が治った以上は隠し立てするつもりはない。しかし、完全になくなっていたはずの腕を再生したなどと知られれば必ず誰もがどうやって腕を治したのか彼に問い質すだろう。そうなると精霊薬を分け与えたレナも面倒な事に巻き込まれる。

精霊薬の存在は決して世間一般には明かしてはならず、もしも精霊薬の存在が知られれば数多くの人間がそれを求めるだろう。それだけは避けねばならず、レナはゴーンに頼みごとを行う。


「精霊薬の事は他の人には内緒にしてもらえると助かります」
「おう、任せろ。何があっても俺は他の奴には話さねえよ!!ドワーフは約束を破らないからな!!」
「でも……親父は隠し事なんてできるんですか?嘘は苦手なんでしょう?」
「うっ……だ、大丈夫だ!!この腕は勝手に生えた事にする!!」
「そんな嘘なんて誰も信じませんよ!?」


ゴーンは腕が再生した理由は黙っておくと約束したが、彼は隠し事を苦手としていた。そんなゴーンにレナは一抹の不安を抱くが、精霊薬の存在を知られる前に巨人国を去るのが一番の解決策かもしれないと思ったレナは女性陣に尋ねる。


「皆、他に行きたい所はある?」
「行きたい所……そうね、私は巨人国の大迷宮が気になるわ」
「大迷宮?」
「おお、そういえばお前さん達は冒険者か何かか?見た所、相当に腕が立つようだが……」
「え!?そうですか?俺にはそうは見えませんけど……」
「馬鹿野郎!!だからお前は三流なんだ!!一流の鍛冶師なら客を見ただけで力量を計れるようになれ!!」


ムンはレナ達を見てもただの人間にしか見えなかったが、一流の鍛冶師であるゴーンは一目見た時からレナ達は只者ではないと察していた。実際にレナもシズネもバルトロス王国内では一、二を争う剣士であり、リンダもヨツバ王国最強の騎士でコトミンもティナも戦闘能力は低いが優れた治癒魔導士でもあった。

シズネが興味を抱いているのは巨人国内に存在する大迷宮であり、巨人国の王都の近くにも大迷宮が存在するらしい。但し、レナ達が訪れたこれまでの大迷宮とは異なり、巨人国の大迷宮は少し特別な場所にあるらしい。


「巨人国の大迷宮の中で一番の人気が誇るのはアチチ砂漠にあるピラミッドだな」
「アチチ砂漠?」
「この巨人国から少し離れた場所に砂漠があるんだ。まあ、砂漠と言っても半日も歩けば出られるぐらいに小さい砂漠なんだがな。その砂漠の中心にピラミッドと呼ばれる馬鹿でかい三角形の建造物があるんだよ」
「私も噂で聞いた事があります。巨人国の大迷宮はとても変わった形をした建物だと……」
「ピラミッド……この世界にもあったのか」


レナはピラミッドがこちらの世界にも存在した事に驚き、しかも砂漠にピラミッド型の大迷宮が建っていると聞いて勇者が何の目的でそんな物を作ったのか気になった。
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。