不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

明かされたスラミンの秘密

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「ぷるぷる?」
「うわっ!?どうしてスラミンがここに!?」
「おや?これはいったい……」


夢の世界で現れたスラミンにレナは驚き、アイリスもスラミンが居ることに不思議に思う。彼女はスラミンを見つめて何かに気付いたようにレナに尋ねた。


「もしかしてですけどレナさん、スラミンと一緒に眠りましたか?」
「え?ああ、今日泊まった宿の枕がどうにも気に入らなくてコトミンに頼んでスラミンを借りたんだよ。スラミンは最高の天然枕だから」
「ぷるるんっ(誰が枕やねん)」


時々寝付けない時にレナはスラミンやヒトミンを枕代わりにして眠ることがあり、それが原因なのかスラミンも夢の世界に呼び込まれたらしい。


「どうやらレナさんの傍で眠っていたせいでスラミンの意識もこの世界に呼び出したようですね」
「えっ!?どういう原理?」
「ほら、枕の下に好きな女の子の写真を入れるとその子の夢が見れるとかいう都市伝説があったじゃないですか。あれと同じ原理です」
「全然意味が分からないんだけど!?」
「ぷるんっ(細かいことは気にしなくていい)」


アイリスに抱かれたスラミンは物珍しそうに夢の世界を見物し、改めてアイリスを見上げて不思議そうな表情を浮かべた。


「ぷるぷる?」
「む、そんなつぶらな瞳で見つめられても困りますよ。私にはレナさんがいますから……」
「何の話だ。ほら、スラミンもこっちに戻っておいで」
「ぷるんっ」


レナに言われてスラミンは彼の頭の上に移動すると落ち着いた様子を浮かべる。基本的にはスラミンはレナと行動を共にする時は抱きかかえられるか頭の上に乗ることが多い。スラミンを頭に乗せたままレナはアイリスと話し合う。


「スラミンがこの世界に来ても問題ないの?」
「特に問題はありませんね。多分ですけど夢から覚めればスラミンはここで何をしていたのか覚えてませんから」
「え?俺は覚えてるけど……」
「それはレナさんが特別な存在だからです。今回は偶々この世界に入り込んできましたけど、夢というのはすぐに忘れるんです。スラミンもここでの出来事は全て忘れてしまうでしょうね」
「ぷるんっ……(つまらない)」


折角変わった世界に訪れたのにここへ来た記憶が失われることにスラミンは残念そうな表情を浮かべるが、この世界のことを他の人間に話されると色々と面倒なのでレナはスラミンに誰にも話さないように約束する。


「スラミン、ここでのことを覚えていたとしても誰にも話したら駄目だぞ。約束するなら氷菓子をあげるからな」
「ぷるるんっ♪(わぁいっ)」
「しっかり躾けてますね。それにしてもこのスライムはもしかしたら……なるほど、異世界人と縁が深い存在のようですね」
「ん?どういう意味?」


アイリスはスラミンを見て何かに勘付いた表情を浮かべ、彼女は狭間の世界の管理者のためレナが住んでいる世界の歴史を把握することができる。そしてスラミンがレナが生まれる前の時代からバルトロス帝国や王国の重要人物と関わってきたことを見抜く。

見た目からは想像はできないがスラミンは何百年も生きているスライムであり、遥か昔は帝国の英雄と謳われたルノという名前の地球人に飼われていたこともあった。帝国の英雄ルノは地球から召喚された人間で彼は勇者ではなかったが、その実力は歴代の勇者の中でも飛びぬけていた。彼はいくつもの国々を救い出し、最終的には地球に帰還して大きな災厄を防いだ。

実はレナはルノとは従弟の関係であり、年齢は二人とも同い年ではあるがルノは帝国の時代に召喚され、レナの場合は数百年後の世界に転生した。既にレナの時代ではルノは死亡しており、二人は交わることはなかったが実はスラミンはレナとルノの両名と交流がある。





――スライムは義理堅い生き物であり、帝国の英雄であるルノが死亡した際にスラミンは帝国を離れて野生へ戻った。それから数百年は仲間と共に暮らしていたが、レナと出会った時にスラミンはルノと似たような気配を感じた。だからスラミンはレナを新しい主人と認めて従う。

レナは転生者なので地球に居た頃の自分や従弟のルノとは容姿は似ていない。しかし、姿形は違えどレナからルノと似たような雰囲気を感じ取ったスラミンは新しい主人と認めた。そのことをアイリスは察すると彼女はレナに伝えるべきか悩み、敢えて口にしないことにした。


(ルノのことは黙っておきましょう。今更知った所でどうしようもありませんし……)


ルノの存在を明かした所でどうすることもできず、自分の従弟が既に死んでいると知ればレナもショックを受けるかもしれない。そう考えたアイリスはスラミンの頭を撫でながら呟く。


「レナさんを頼みましたよ」
「ぷるんっ?」
「ん?何かいった?」


スラミンはアイリスの言葉に不思議に思いながらも頷き、そんな二人のやり取りにレナは首を傾げる。アイリスは誤魔化すように指を鳴らして何処からともなく机と座布団を取り出す。
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