不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
2,015 / 2,091
蛇足編

無敵の影人形

しおりを挟む
「無駄だ!!そんな物が効くと思ってるのか!?」
「うわっ!?」
「レナたん!?」
「嘘……効いてない!?」


至近距離で聖属性の魔光を受けたにも関わらずに偽物のシズネはびくともせず、鍔迫り合いの状態からレナを押し返す。どれだけの怪力を誇ろうと影人形が相手では力では敵わず、このままでは押し切られてしまう。


(どうして光が効かないんだ!?まさか……あの神器のせいか!?)


理屈は不明だが闇魔導士の男が生み出した影人形は神器ファントムの力でシズネの姿に偽装しており、もしかしたら影人形の表面には魔鎧術のように魔力の膜のような物が張り巡らされ、それが光を遮断している可能性はあった。


『レナさん!!その神器ファントムは魔力を自分や他者に纏わせて擬態する能力です!!ホネミンさんを思い出して下さい!!』
『ホネミン……そういうことか!!』


アイリスの助言によってレナは神器ファントムの性能を知り、影人形は魔鎧術のように魔力を覆っていることで他の存在に擬態していることが判明した。魔鎧術も使い方によれば自分とは別の生物の姿に変身することもできる。

分かりやすい例えとして昔のホネミンは魔鎧術で生前(?)の自分の姿へと変化し、その上からプルミンを張り付けて彼の擬態能力で生前の姿に変身していた。それと同じように影人形は神器の力を利用して変身しており、光が通じないのは表面に纏う魔力が光を遮断しているに過ぎない。


(要するに影人形に魔鎧術を纏わせたようなもんか……それなら対抗策はある!!)


影人形には物理攻撃は通じないとしても表面を包み込む魔力の膜は別であり、レナは蒼炎の魔力を退魔刀に纏わせた。刀身に蒼の炎が宿ったのを見て闇魔導士の男は動揺し、こんな色合いの炎の魔法剣など見たことがない。


「これならどうだ!!」
「何だと!?」


魔鎧術の応用で退魔刀に魔力を纏わせたレナは偽物のシズネに叩きつけると、先ほどとは違ってシズネの姿を模した影人形に影響が生まれた。シズネの姿を保てずに徐々に表面が解け始め、中身の影人形が露わとなる。そしてレナの蒼炎を間近で受けて影人形が崩れ始めた。


「ぎゃあああっ!?」
「効いてる!!その調子よ!!」
「い、いったい何が起きてるんだ!?」


影人形は攻撃を受ければ本体も無事では済まず、男は慌てて影人形を解除した。偽物のシズネは消え去るとレナは男の元へ向かい、逃げられる前に捕まえようとした。


「終わりだ!!」
「このっ……舐めるな!!」


闇魔導士の男は咄嗟に杖を地面に突き刺して自分の影を巨大な獅子の頭に変化させてレナに放つ。ダインの「シャドウバイト」という技と似ているが、生憎とレナはその弱点を熟知している。


「光球!!」
「うぎゃあっ!?」


いくら恐ろしい風貌の獣を形作ろうと影魔法の弱点は光であることに変わりはなく、初級魔法の光球を作り出しただけで男の生み出した獅子頭の影は消え去る。それを見逃さずにシズネも駆け出し、男が何か仕出かす前に止めを刺す。


「刺突!!」
「ぐはぁっ!?」
「や、殺ったのか!?」


背中にシズネの攻撃を受けた男は悲鳴をあげて倒れ込み、それを見たゴウカは殺したのかと思ったが、シズネが繰り出したのは雪月花ではなく白百合だった。しかも鞘を装着した状態で攻撃しており、そのお陰で男は致命傷から免れた。

男は背中を強打されて悶絶し、その場に倒れて痙攣していた。男が装着していた神器をシズネは奪い取り、即座にレナに投げ渡す。これ以上の悪用を阻止するためにレナは空間魔法で異空間に収めると、改めて男を見下ろす。


「お前、旧帝国の残党だな?さっきゴウカさんの日輪を失敗作だとか言ってたけどどういう意味だ?」
「ぐぐっ……」
「答えろ!!貴様等は何者だ!?」


他の兵士に支えられながらゴウカは男の元へ訪れると、彼を見て男は鼻を鳴らす。今まで男は彼の部下を演じて従ってきたが、真の目的は大将軍である彼を利用するためだった。


「お前に与えた魔道具は我等の組織で開発した魔斧だ……我々は神器を回収し、それらを分析することで神器を越える兵器の開発を行っている」
「何だと!?」
「くくく、滑稽だったぞ。お前はこの国の遺跡の調査で偶然にも日輪を手に入れたと思ってるんだろう?あれは俺がお前の部下に変装して遺跡の調査をするよう誘導したから発見できたとも知らずに……」
「部下を演じて日輪をゴウカの手に渡らせたというの?いったい何が目的なのよ」
「……さあな」


男は日輪をゴウカの手に渡るように仕向けたのは自分だと白状するが、その目的までは喋らなかった。殺される覚悟はあるのか男はこれ以上に喋ることはなく、それを見てゴウカは怒りのあまりに身体を震わせる。一方でレナは男の発言を聞いてアイリスに尋ねる。


『こいつの言っている事は本当?』
『本当ですよ。この男の役目は組織が開発した兵器を優秀な武人の手に渡るように仕組んできたんです。開発した新兵器の性能を把握するためにゴウカは利用されていたということです』


アイリスの発言を聞いてレナは納得し、この男が所属する組織は既に神器を解明して新しい魔道具を生み出す技術を確立していることが発覚した。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。