不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

閑話 《運命の出会い》

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「プキキキッ!!」
「ぬあっ!?影の触手が絡みついて大変な光景に……」
「見た目に惑わされるな!!そいつは魔物だぞ!?」


黄金に輝いているのを無視すれば美女といっても過言ではない容姿に変形したゴールドスライムに影の触手が纏わりつき、そのいかがわしい光景にハンゾウは目元を隠す。一方でカゲマルは水晶札を翳した状態でマリアに話しかけた。


「マリア様!!拘束はできましたが長くは持ちません!!」
「分かっているわ。今のうちに黄金鎧を吐き出させないと……」
「どうするのでござる?」


ゴールドスライムが取り込んだ黄金鎧を取り返すためにマリアは杖を構えて魔法の準備を行う。スライムは魔法耐性が非常に高く、しかも黄金鎧を取り込んだことでさらに耐性力を身に着けているはずだった。しかし、いくら耐性を身に付けようと防げない攻撃を仕掛ける。


「これを使うのも久々ね……サイクロン」
「プキキキッ!?」


マリアが杖を翳した方向に小規模の竜巻が発生し、ゴールドスライムを飲み込む。竜巻によって影魔法は掻き消され、竜巻の中に取り込まれたゴールドスライムに対してマリアは続けて魔法を放つ。


「ブリザード!!」
「こ、これは!?」
「広域魔法を同時に展開!?」


広域魔法のサイクロンは竜巻を生み出す魔法だが、更にマリアは氷の魔法を使用して冷気を帯びさせる。冷気を吸収した竜巻に取り込まれたゴールドスライムは全身が凍り付き始め、数秒後には氷像と化した。いくら魔法耐性があろうと全身を凍らせれば何もできず、マリアは杖を下ろすと魔法が解除された。

氷結したゴールドスライムは動く様子はなく、この状態ならば逃げることは有り得ない。ハンゾウとカゲマルが近付くと冷気を感じ取り、氷像から凄まじい冷気が迸っていた。


「ぬあっ!?さ、寒いでござる!?」
「完全に凍っているな……仕留めたのですか?」
「凍らせただけよ。しばらくは動けないはずよ」


魔法で造り出した炎や氷は時間経過で消失するが、今回の場合は魔法で発生させた冷気を利用して凍らせたのですぐに溶けることはない。但し、放置すればいずれは氷が溶けてしまうので今のうちに運ぶ必要があった。


「さあ、姉さんに気付かれる前に運びなさい。今度こそドルトン商会に送りつけるのよ」
「分かったでござる。しかし、カチンコチンに凍ってしまったでござるな」
「これを運び出すのは苦労しそうだな……むっ!?」


カゲマルとハンゾウは氷像を運び出そうとした時、辺り一面が大きな影に包まれた。全員が空を見上げると、そこには信じられない光景が広がっていた。


「シャアアアッ!!」
「ば、馬鹿なっ!?」
「何でござる!?」
「あれは……白竜!?」


空を覆い込んだのは白竜であり、唐突に出現した白竜にカゲマルとハンゾウは身構えた。マリアも杖を構えたが白竜は氷像と化したゴールドスライムを後脚で掴み取り、天高く浮上した。


「シャオッ!!」
「なっ!?」
「なんとっ!?」
「ま、待ちなさいっ!!」


いきなり現れてゴールドスライムを奪い取った白竜に全員が呆気にとられ、慌ててマリアは杖を構えるが白竜は凄まじい移動速度で逃げ去る。それを見たマリアは魔法を繰り出そうとしたが、街中では強力な魔法を使えずに断念する。


「ど、どうして白竜がこんな場所に……」
「何故、ゴールドスライムを……」
「くっ……すぐに追いかけるわ!!」


ゴールドスライムを奪い取って逃げ出した白竜は冒険都市の北の方角に向けて移動を行い、マリアは追跡を行う――





――同時刻、アイラは街中を歩いていた。彼女は急に出て行ったマリアを追いかけていたが、その途中で彼女は上空を飛ぶ白竜を目撃した。


「あれは白竜!?どうして冒険都市に……」


白竜の姿を目撃してアイラは衝撃の表情を浮かべ、彼女の上空を白竜が通り過ぎた。このときにアイラは格闘家の優れた動体視力で白竜が凍り付いたゴールドスライムを運んでいる姿を目撃し、彼女は驚愕した。


「今のはまさか……」
「おい、嬢ちゃん!!あれを見たか!?」


アイラの元にシュンが駆けつけ、彼も上空を通り過ぎた白竜を見て驚愕した。シュンも白竜が抱えている物を見て驚きを隠せず、若かりし頃のハヅキがビキニアーマーを装着した状態の黄金の像を白竜が運んでいるようにしか見えなかった。


「あの白竜が運んでいたのはハヅキさんの像じゃないのか!?」
「え、ええ……でも、あんなの私も見たことがないわ。お母様の黄金の像があるなんて聞いたこともない」
「いったいどうなってんだ……何が起きてるんだ?」
「……追いかけましょう!!」
「お、おい嬢ちゃん!?」


亡き母親の黄金の像を運ぶ白竜を見てアイラは居てもたってもいられず、彼女は白竜を追いかける決意を固めた。シュンもアイラを放ってはおけず、彼もその後を追う。





※これでひとまずはマリア達が冒険都市に不在な理由が判明しました。明日から本編に戻ります。
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