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プロローグ
再び転移
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(よし!!この状態でもスキルは覚えられるのか!!)
身体を動かさずとも念じるだけで画面に表示されているスキルを確認する事が可能だと判明し、必死にレアは表示されている無数のスキルの名前と能力の詳細を確認しながらこの状況を打破するスキルを探す。そして、技能スキルの項目からあるスキルを発見した。
『脱出(技能)――肉体が拘束された状態から抜け出す』
画面に表示された文章を読み取ると、即座にレアは習得を試みる。SPを消費してスキルを習得する場合は覚える度に次のスキルに必要なSPの消費量が増加されるらしいが、この状況で躊躇する暇はなく、彼はスキルを習得した。
(うわっ!?)
スキルを習得した瞬間、レアは自分の身体に電撃が走るような感覚が広がり、誰かに教わった訳でもないのに自分が覚えたスキルの内容を肉体が理解したかのように動き出す。即座に彼は拘束された両腕を簡単に引き抜き、目隠しと口封じの布を振り払う。
「うわっ!?」
「なっ!?こいつっ!?」
「何をしている!?早く捕まえんかっ!!」
「捕まるか馬鹿っ!!」
一瞬にして兵士の拘束から逃れたレアはその場を走り出し、自分を拘束していたダマランと兵士達から逃走する。どうやらまだ城内に存在したらしく、彼は急いで他の人間に助けを求めるために駆け抜けた。
「逃がすなっ!!絶対に捕まえろっ!!」
「逃げられると思っているのかっ!!」
「くそっ……!!」
後方から聞こえてくる兵士達の声にレアは必死に逃げるが、前方からもダマランの配下の兵士が待機しており、彼は強行突破するために全速力で突っ走る。
「よし、捕まえた……うわっ!!」
「離せっ!!」
兵士が両手を広げて抱き着こうとしてきたが、先ほど覚えた「脱出」の技能をうまく使い、レアは抱き着かれた瞬間に抜け出す。どうやら拘束から逃れる事に特化したスキルらしく、次々と捕まえようとする兵士を擦り抜けてレアは通路を抜けようとした時、背後からダマランの声が響く。
「逃すかっ!!バインド!!」
「うわっ!?」
レアの後方に居たダマランは空中に縄を放り投げ、魔法の名前と思われる言葉を口にすると、縄が生きた蛇のように動いてレアの両脚を拘束する。こちらの縄に関してはレアが「脱出」の技能スキルを発動しても抜け出すことは出来ず、必死に振り解こうとするが恐ろしい力で締め付けられ、力尽くでは抜け出す事が出来ない。
「な、何だ……!?」
「ふんっ!!まさか暗殺者のスキルを所持していたとはな……SPを消費して覚えたのか?だが、ここまでだな」
「くっ……!?」
レアの目の前にダマラン大臣が現れ、醜悪な笑みを浮かべて彼の身体を掴み、持ち上げる。必死に彼も逃げ出そうもがくが、そのままダマランは杖を握りしめて彼の頬を軽く叩く。
「この愚か者がっ!!」
「ぐふっ!?」
「だ、大臣!?」
頬に強い衝撃が走り、レアは地面に倒れこむ。殴りつけられた頬に痛みが走り、レアはダマランを睨みつける。
「くっ……」
「ふんっ!!この小僧がっ!!」
「大臣お止め下さい!!抵抗できない相手にこれ以上は……」
「ちっ……!!」
流石に哀れに思ったのか周囲の兵士達が大臣の行動を引き留め、彼は舌打ちを行いながらもレアに向けて杖を構える。最初はまた殴りつけられるのかと思った彼は咄嗟に両腕で顔を覆うが、その様子にダマランは笑い声を上げた。
「安心しろ、殺しはせん……丁度良い。ここで私が長年研究していた魔法を試してやるか」
「え?な、何をする気なのですか?」
「要はこいつを直接敵に殺さなければ良い話だ。ならば転移魔法で別の場所に送り届けやろう」
「転移魔法!?し、しかし勇者様の世界に送り届けるには転移石が必要では?」
「誰がこいつを送り返すと行った?もしもこいつがあちらの世界に戻した時、帰還中の勇者に何を吹き込むか分からん。だから敢えて「無作為転移」を発動させる」
ダマランは杖を構えた瞬間、兵士達は慌ててレアの元から離れる。ダマランは懐から無色の水晶玉を取り出し、自分の杖に取り付けると杖先をレアに構え、意識を集中させるように両手で杖を握りしめながら唸り声を上げる。
「ぬぅううううっ!!」
「くっ……!!」
「動くなっ!!魔法が失敗すれば貴様が死ぬだけだぞっ!!」
今の内に離れようとしたレアに対してダマランは怒鳴りつけ、やがて地面に魔法陣のような紋様が浮かぶ。唐突に現れた魔法陣にレアは目を見開くが、ダマランは激しく汗を流しながら距離を開く。
「最も動かずとも貴様は十中八九死ぬことになるがな……この転移魔法は何処に飛ぶのかは発動者の儂にもわからん。せいぜい自分の行先が水中や空の上でない事を祈れっ!!」
「なっ……!?」
――ダマランが発動しようとしている転移魔法は行先が指定出来ず、こちらの世界では「劣化魔法」と呼ばれている魔法の一種であり、この魔法は大量の魔力を消耗するにも関わらずに転移の移動先を指定する事が出来ない。過去に使用した人間は高度が数千メートルの上空、あるいは海底に飛ばされた人間も存在した。最悪なのは建物の壁や地面の中に転移された人間は抜け出す事も出来ずに死亡してしまう。
魔力の消耗量と引き換えに行先が指定できない場所に転移するという理由の他、魔法陣の発動に時間が掛かり過ぎるという点から魔術師の間では「劣化魔法」と呼ばれるようになり、現在では使用する人間は殆どいない。それでもダマランがレアに対して使用したのは転移魔法ならば自分の手で直接殺した事にはならないと確信していた。転移先でレアが死亡する事態に陥っても自分は送り出しただけで別に直接手を下したわけではないので自分が殺した事にはならないと考えていた。
「ふははははっ!!仮に安全な場所に生き残れたとしても貴様のような最低値の人間を必要とする人間が存在するはずがないがな!!」
「ふざけるなっ!!」
「ふんっ!!貴様のような無能などこの国には必要ない!!さあ、行けっ!!」
魔法陣の発光が一段と強くなり、間もなく魔法が発動すると察したレアは責めて最後の抵抗を試みるため、両足を拘束された状態でも両手を動かすことは可能であり、ステータス画面を開いて未収得スキル一覧の画面を確認する。
(早くっ……!!)
完全に転移を追える前にレアはダマランに対抗するスキルを探し出し、そして一覧の中に気になる文章が記された能力を発見し、彼は即座に習得する。
『解析(固有)――あらゆる物体の詳細を見抜く』
文章を確認したレアは即座に「解析」の能力を習得し、自分に向けて杖を構えるダマランに視線を向ける。するとレアの視界にダマランと彼の周囲に存在する兵士達のステータス画面が表示された。
――ダマラン――
職業:高位魔導士
性別:男性
状態:興奮
レベル:51
SP:0
――――――――
確認できるのはあくまでもステータスの一部だけらしく、レアは文字変換の能力を発動さえ、視界に現れた画面に指先を構える。一方でダマランの視界ではレアが唐突に何もない空間に指をなぞる動作を行う光景が映し出され、彼は疑問を抱く。
「貴様、何をして……」
「出来たっ!!」
魔法陣の発光が強まり、瞼を開き続けるのも難しい状況に陥りながらもレアはダマランのステータスの改竄に成功した。
――ダマラン――
職業:高位魔導士
性別:男性
レベル:1
SP:0
――――――――
レアが改竄にしたのはレベルであり、画面から彼の指が離れた瞬間、唐突にダマランは苦悶の表情を浮かべてその場に倒れこむ。
「ぬおぉおおおおっ……!?」
「だ、大臣!?」
「どうされたんですかっ!?」
レアの目の前で唐突に大臣の身体が一気に痩せ細り、何が起きたのか分からないという表情を浮かべながら地面に横たわる。その光景に兵士達は動揺し、その光景を確認したレアは魔法陣に視線を向ける。
「そんなっ!?」
魔法の発動者であるはずの大臣が倒れても魔法陣が消える様子はなく、やがて魔法陣が光の柱と化した瞬間、内部に存在するレアの視界が光に包み込まれた――
身体を動かさずとも念じるだけで画面に表示されているスキルを確認する事が可能だと判明し、必死にレアは表示されている無数のスキルの名前と能力の詳細を確認しながらこの状況を打破するスキルを探す。そして、技能スキルの項目からあるスキルを発見した。
『脱出(技能)――肉体が拘束された状態から抜け出す』
画面に表示された文章を読み取ると、即座にレアは習得を試みる。SPを消費してスキルを習得する場合は覚える度に次のスキルに必要なSPの消費量が増加されるらしいが、この状況で躊躇する暇はなく、彼はスキルを習得した。
(うわっ!?)
スキルを習得した瞬間、レアは自分の身体に電撃が走るような感覚が広がり、誰かに教わった訳でもないのに自分が覚えたスキルの内容を肉体が理解したかのように動き出す。即座に彼は拘束された両腕を簡単に引き抜き、目隠しと口封じの布を振り払う。
「うわっ!?」
「なっ!?こいつっ!?」
「何をしている!?早く捕まえんかっ!!」
「捕まるか馬鹿っ!!」
一瞬にして兵士の拘束から逃れたレアはその場を走り出し、自分を拘束していたダマランと兵士達から逃走する。どうやらまだ城内に存在したらしく、彼は急いで他の人間に助けを求めるために駆け抜けた。
「逃がすなっ!!絶対に捕まえろっ!!」
「逃げられると思っているのかっ!!」
「くそっ……!!」
後方から聞こえてくる兵士達の声にレアは必死に逃げるが、前方からもダマランの配下の兵士が待機しており、彼は強行突破するために全速力で突っ走る。
「よし、捕まえた……うわっ!!」
「離せっ!!」
兵士が両手を広げて抱き着こうとしてきたが、先ほど覚えた「脱出」の技能をうまく使い、レアは抱き着かれた瞬間に抜け出す。どうやら拘束から逃れる事に特化したスキルらしく、次々と捕まえようとする兵士を擦り抜けてレアは通路を抜けようとした時、背後からダマランの声が響く。
「逃すかっ!!バインド!!」
「うわっ!?」
レアの後方に居たダマランは空中に縄を放り投げ、魔法の名前と思われる言葉を口にすると、縄が生きた蛇のように動いてレアの両脚を拘束する。こちらの縄に関してはレアが「脱出」の技能スキルを発動しても抜け出すことは出来ず、必死に振り解こうとするが恐ろしい力で締め付けられ、力尽くでは抜け出す事が出来ない。
「な、何だ……!?」
「ふんっ!!まさか暗殺者のスキルを所持していたとはな……SPを消費して覚えたのか?だが、ここまでだな」
「くっ……!?」
レアの目の前にダマラン大臣が現れ、醜悪な笑みを浮かべて彼の身体を掴み、持ち上げる。必死に彼も逃げ出そうもがくが、そのままダマランは杖を握りしめて彼の頬を軽く叩く。
「この愚か者がっ!!」
「ぐふっ!?」
「だ、大臣!?」
頬に強い衝撃が走り、レアは地面に倒れこむ。殴りつけられた頬に痛みが走り、レアはダマランを睨みつける。
「くっ……」
「ふんっ!!この小僧がっ!!」
「大臣お止め下さい!!抵抗できない相手にこれ以上は……」
「ちっ……!!」
流石に哀れに思ったのか周囲の兵士達が大臣の行動を引き留め、彼は舌打ちを行いながらもレアに向けて杖を構える。最初はまた殴りつけられるのかと思った彼は咄嗟に両腕で顔を覆うが、その様子にダマランは笑い声を上げた。
「安心しろ、殺しはせん……丁度良い。ここで私が長年研究していた魔法を試してやるか」
「え?な、何をする気なのですか?」
「要はこいつを直接敵に殺さなければ良い話だ。ならば転移魔法で別の場所に送り届けやろう」
「転移魔法!?し、しかし勇者様の世界に送り届けるには転移石が必要では?」
「誰がこいつを送り返すと行った?もしもこいつがあちらの世界に戻した時、帰還中の勇者に何を吹き込むか分からん。だから敢えて「無作為転移」を発動させる」
ダマランは杖を構えた瞬間、兵士達は慌ててレアの元から離れる。ダマランは懐から無色の水晶玉を取り出し、自分の杖に取り付けると杖先をレアに構え、意識を集中させるように両手で杖を握りしめながら唸り声を上げる。
「ぬぅううううっ!!」
「くっ……!!」
「動くなっ!!魔法が失敗すれば貴様が死ぬだけだぞっ!!」
今の内に離れようとしたレアに対してダマランは怒鳴りつけ、やがて地面に魔法陣のような紋様が浮かぶ。唐突に現れた魔法陣にレアは目を見開くが、ダマランは激しく汗を流しながら距離を開く。
「最も動かずとも貴様は十中八九死ぬことになるがな……この転移魔法は何処に飛ぶのかは発動者の儂にもわからん。せいぜい自分の行先が水中や空の上でない事を祈れっ!!」
「なっ……!?」
――ダマランが発動しようとしている転移魔法は行先が指定出来ず、こちらの世界では「劣化魔法」と呼ばれている魔法の一種であり、この魔法は大量の魔力を消耗するにも関わらずに転移の移動先を指定する事が出来ない。過去に使用した人間は高度が数千メートルの上空、あるいは海底に飛ばされた人間も存在した。最悪なのは建物の壁や地面の中に転移された人間は抜け出す事も出来ずに死亡してしまう。
魔力の消耗量と引き換えに行先が指定できない場所に転移するという理由の他、魔法陣の発動に時間が掛かり過ぎるという点から魔術師の間では「劣化魔法」と呼ばれるようになり、現在では使用する人間は殆どいない。それでもダマランがレアに対して使用したのは転移魔法ならば自分の手で直接殺した事にはならないと確信していた。転移先でレアが死亡する事態に陥っても自分は送り出しただけで別に直接手を下したわけではないので自分が殺した事にはならないと考えていた。
「ふははははっ!!仮に安全な場所に生き残れたとしても貴様のような最低値の人間を必要とする人間が存在するはずがないがな!!」
「ふざけるなっ!!」
「ふんっ!!貴様のような無能などこの国には必要ない!!さあ、行けっ!!」
魔法陣の発光が一段と強くなり、間もなく魔法が発動すると察したレアは責めて最後の抵抗を試みるため、両足を拘束された状態でも両手を動かすことは可能であり、ステータス画面を開いて未収得スキル一覧の画面を確認する。
(早くっ……!!)
完全に転移を追える前にレアはダマランに対抗するスキルを探し出し、そして一覧の中に気になる文章が記された能力を発見し、彼は即座に習得する。
『解析(固有)――あらゆる物体の詳細を見抜く』
文章を確認したレアは即座に「解析」の能力を習得し、自分に向けて杖を構えるダマランに視線を向ける。するとレアの視界にダマランと彼の周囲に存在する兵士達のステータス画面が表示された。
――ダマラン――
職業:高位魔導士
性別:男性
状態:興奮
レベル:51
SP:0
――――――――
確認できるのはあくまでもステータスの一部だけらしく、レアは文字変換の能力を発動さえ、視界に現れた画面に指先を構える。一方でダマランの視界ではレアが唐突に何もない空間に指をなぞる動作を行う光景が映し出され、彼は疑問を抱く。
「貴様、何をして……」
「出来たっ!!」
魔法陣の発光が強まり、瞼を開き続けるのも難しい状況に陥りながらもレアはダマランのステータスの改竄に成功した。
――ダマラン――
職業:高位魔導士
性別:男性
レベル:1
SP:0
――――――――
レアが改竄にしたのはレベルであり、画面から彼の指が離れた瞬間、唐突にダマランは苦悶の表情を浮かべてその場に倒れこむ。
「ぬおぉおおおおっ……!?」
「だ、大臣!?」
「どうされたんですかっ!?」
レアの目の前で唐突に大臣の身体が一気に痩せ細り、何が起きたのか分からないという表情を浮かべながら地面に横たわる。その光景に兵士達は動揺し、その光景を確認したレアは魔法陣に視線を向ける。
「そんなっ!?」
魔法の発動者であるはずの大臣が倒れても魔法陣が消える様子はなく、やがて魔法陣が光の柱と化した瞬間、内部に存在するレアの視界が光に包み込まれた――
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