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廃墟編
勇者を超えた一般人(多分)
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「調子に乗るな人間がぁっ!!」
「人間を馬鹿にすんじゃねえよっ!!歩く石像がっ!!」
炎を失ってもゴウカは抵抗を諦めず、レアと両手で組み合う。身体能力も最強の魔将に恥じぬ高さを誇るらしく、身体能力が100万を超えるレアと渡り合う。お互いに両手を組んで睨み合う中、同時に頭突きを食らわせた。
「ふんっ!!」
「だあっ!!」
お互いの額が衝突し、ゴウカは額が罅割れ、レアは血を流す。それでもお互いに両手は離さず、力比べを行うように握りしめる。
「ぐぎぎっ!!」
「ぐぅうっ……認めよう、貴様は確かに強い!!だが……」
「うるさいっ!!」
ゴウカは人間は下等な存在だと見下していたが、自分と渡り合える膂力を誇るレアに敬意を抱き、笑みを浮かべる。しかし、怒りに身を任せたレアは一瞬の隙を突いてゴウカの身体を傾かせ、柔道の大外刈りのように相手を倒す。
「うおっ!?」
「これで……終わりだっ!!」
渾身の力を込めてレアは腕を振り下ろし、拳が砕けるほどの勢いでゴウカの顔面を撃ち抜く。顔面が凹む勢いで殴りつけられたゴウカは激しく痙攣し、やがて力尽きたように動かなくなる。
「はあっ……はっ、勝ったのか?」
動かなくなったゴウカに視線を向け、レアは右腕を確認する。指は完全に折れており、少し動かすだけでも激痛が走る。それでも彼は痛みを堪えて治療を使用とした時、不意に雨雲の中から強烈な閃光が走った。
「レア様!!ご無事ですか!?」
「うおおっ!?」
「きゃああっ!?」
シルフィアがマカセとアルディラの首を掴んだ状態で姿を現し、空中で二人を手放してレアの元に向かう。降りしきる雨の中、血塗れのレアを見つけた彼女は目を見開き、悲しみの表情を浮かべながら彼の治療を行う。
「手を見せて下さい!!すぐに治療を……」
「あ、平気だよ。ステータスを改竄すれば治るから……」
「いえ、ナノマシンを使えばすぐに治療できます。どうぞ見せて下さい」
「そう?」
レアは右手を見せると、シルフィアは掌を翳して彼の体内に送り込んだナノマシンを操作し、怪我の治療を行う。レアの腕に浮かぶ紋様が光り輝き、やがて右手全体が光り輝くと、痛みも感じさせずに折れ曲がった指が元通りに戻る。更に身体全体の傷口も発光し、何事も無かったように消えてしまう。
「おおっ……凄い、本当に治った」
「申し訳ありません……まさか、この場所に魔将が攻め込んでくるとは想定外でした。事前の情報で予測できたはずなのに……」
「気にしなくていいよ。それより、作戦はどうだった?」
「主人!!我の活躍で無事に完遂しましたぞ!!」
「しゅ、主人?どういう事よ。この坊やがあんた達の主人だと言うの?」
申し訳なさそうに謝罪するシルフィアを慰めながらレアは作戦が成功したのかを尋ねると、彼女の代わりにマカセが先に答え、彼の隣に立っていたアルディラがレアを見て戸惑う。外見は只の人間の少年にしか見えないのだが、そんな相手にマカセとシルフィアが跪く姿に動揺する。
「あれ?その人は誰?」
「あ、説明が遅れました。彼女が軍魔将アルディラです。今現在は我々に降伏したいと申していますが……」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!本当にこの子があんた達の主人だって言うの?だって、どう見ても只の子供じゃ……」
「ぬおっ!?こ、こいつは……!?」
アルディラが言葉を言い切る前にマカセの驚愕の声が響き、何事かと全員が視線を向けるとマカセは倒れているゴウカを見て驚いた声を上げたらしい。
「これは……炎魔将ではないか!!どうしてここに……」
「う、嘘っ!?そんな馬鹿な……し、死んでいるの?」
「あ、そいつが俺を襲ってきた奴だよ。こいつのせいでゴレム達が……」
倒れているゴウカを見てレアは悲し気な表情を浮かべ、ゴウカに燃やされたロボ・ゴーレムの事を思い出して悲しむが、そんな彼等の背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『ゴロロロロッ!!』
「えっ!?この声は……」
「……ロボ・ゴーレム達のようですね」
背後を振り返ると大量のロボ・ゴーレムが迫りくる姿が存在し、崩壊した建物の中からゴレムも姿を現す。全員が通常状態ではなく、武装を解除した状態で走り寄り、レア達の前に集まる。その様子を確認したシルフィアはゴレムの身体に触れ、彼等の身に何が起きたのかを理解する。
「……どうやら全員が無事のようですね。このゴウカという者に武装を溶解されたようですが、本体部分は無事だったようです。ですが、溶解した武装を取り外すのに時間が掛かってここに訪れるのが遅れたようです」
「何だよそれ……良かった」
『ゴロロッ♪』
「な、何なのよ一体……」
レアは安堵した表情を浮かべてゴレムに抱き着き、他のロボ・ゴーレムも含めて全員が彼を囲む。アルディラは見た事もない人型の生物(正確には違うのだが)に囲まれたレアを見て冷や汗を流し、彼が何者なのか疑問を抱く。
「人間を馬鹿にすんじゃねえよっ!!歩く石像がっ!!」
炎を失ってもゴウカは抵抗を諦めず、レアと両手で組み合う。身体能力も最強の魔将に恥じぬ高さを誇るらしく、身体能力が100万を超えるレアと渡り合う。お互いに両手を組んで睨み合う中、同時に頭突きを食らわせた。
「ふんっ!!」
「だあっ!!」
お互いの額が衝突し、ゴウカは額が罅割れ、レアは血を流す。それでもお互いに両手は離さず、力比べを行うように握りしめる。
「ぐぎぎっ!!」
「ぐぅうっ……認めよう、貴様は確かに強い!!だが……」
「うるさいっ!!」
ゴウカは人間は下等な存在だと見下していたが、自分と渡り合える膂力を誇るレアに敬意を抱き、笑みを浮かべる。しかし、怒りに身を任せたレアは一瞬の隙を突いてゴウカの身体を傾かせ、柔道の大外刈りのように相手を倒す。
「うおっ!?」
「これで……終わりだっ!!」
渾身の力を込めてレアは腕を振り下ろし、拳が砕けるほどの勢いでゴウカの顔面を撃ち抜く。顔面が凹む勢いで殴りつけられたゴウカは激しく痙攣し、やがて力尽きたように動かなくなる。
「はあっ……はっ、勝ったのか?」
動かなくなったゴウカに視線を向け、レアは右腕を確認する。指は完全に折れており、少し動かすだけでも激痛が走る。それでも彼は痛みを堪えて治療を使用とした時、不意に雨雲の中から強烈な閃光が走った。
「レア様!!ご無事ですか!?」
「うおおっ!?」
「きゃああっ!?」
シルフィアがマカセとアルディラの首を掴んだ状態で姿を現し、空中で二人を手放してレアの元に向かう。降りしきる雨の中、血塗れのレアを見つけた彼女は目を見開き、悲しみの表情を浮かべながら彼の治療を行う。
「手を見せて下さい!!すぐに治療を……」
「あ、平気だよ。ステータスを改竄すれば治るから……」
「いえ、ナノマシンを使えばすぐに治療できます。どうぞ見せて下さい」
「そう?」
レアは右手を見せると、シルフィアは掌を翳して彼の体内に送り込んだナノマシンを操作し、怪我の治療を行う。レアの腕に浮かぶ紋様が光り輝き、やがて右手全体が光り輝くと、痛みも感じさせずに折れ曲がった指が元通りに戻る。更に身体全体の傷口も発光し、何事も無かったように消えてしまう。
「おおっ……凄い、本当に治った」
「申し訳ありません……まさか、この場所に魔将が攻め込んでくるとは想定外でした。事前の情報で予測できたはずなのに……」
「気にしなくていいよ。それより、作戦はどうだった?」
「主人!!我の活躍で無事に完遂しましたぞ!!」
「しゅ、主人?どういう事よ。この坊やがあんた達の主人だと言うの?」
申し訳なさそうに謝罪するシルフィアを慰めながらレアは作戦が成功したのかを尋ねると、彼女の代わりにマカセが先に答え、彼の隣に立っていたアルディラがレアを見て戸惑う。外見は只の人間の少年にしか見えないのだが、そんな相手にマカセとシルフィアが跪く姿に動揺する。
「あれ?その人は誰?」
「あ、説明が遅れました。彼女が軍魔将アルディラです。今現在は我々に降伏したいと申していますが……」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!本当にこの子があんた達の主人だって言うの?だって、どう見ても只の子供じゃ……」
「ぬおっ!?こ、こいつは……!?」
アルディラが言葉を言い切る前にマカセの驚愕の声が響き、何事かと全員が視線を向けるとマカセは倒れているゴウカを見て驚いた声を上げたらしい。
「これは……炎魔将ではないか!!どうしてここに……」
「う、嘘っ!?そんな馬鹿な……し、死んでいるの?」
「あ、そいつが俺を襲ってきた奴だよ。こいつのせいでゴレム達が……」
倒れているゴウカを見てレアは悲し気な表情を浮かべ、ゴウカに燃やされたロボ・ゴーレムの事を思い出して悲しむが、そんな彼等の背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『ゴロロロロッ!!』
「えっ!?この声は……」
「……ロボ・ゴーレム達のようですね」
背後を振り返ると大量のロボ・ゴーレムが迫りくる姿が存在し、崩壊した建物の中からゴレムも姿を現す。全員が通常状態ではなく、武装を解除した状態で走り寄り、レア達の前に集まる。その様子を確認したシルフィアはゴレムの身体に触れ、彼等の身に何が起きたのかを理解する。
「……どうやら全員が無事のようですね。このゴウカという者に武装を溶解されたようですが、本体部分は無事だったようです。ですが、溶解した武装を取り外すのに時間が掛かってここに訪れるのが遅れたようです」
「何だよそれ……良かった」
『ゴロロッ♪』
「な、何なのよ一体……」
レアは安堵した表情を浮かべてゴレムに抱き着き、他のロボ・ゴーレムも含めて全員が彼を囲む。アルディラは見た事もない人型の生物(正確には違うのだが)に囲まれたレアを見て冷や汗を流し、彼が何者なのか疑問を抱く。
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