文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

スライム

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「ところでレア様、そういえばイリス様はどうしたのですか?反応が感じられませんが……」
「あ、イリスなら俺の収納魔法で異空間に回収しているよ。すぐに呼び出さないと……」
「異空間……なるほど、そういう事でしたか。それとさっきから気になっているのですが、この雨もレア様が作り出した物でしょうか?」
「あ、忘れてた……どうやって消そう」


レアはゴウカを倒すために作り出した雨雲が未だに存在する事に気付き、試しに解析の能力を発動させるが、流石に雨雲に対しては詳細画面は表示されず、延々と降り続ける雨に困り果てる。自然と時間が経過すれば消える事を願うが、最悪の場合はシルフィアに消して貰おうかと考えた時、不意にレア達以外の声が響く。


「貴様等……裏切ったのか」
「えっ……きゃあああっ!?」
「ご、ゴウカ!?まだ生きていたのか貴様!!」


顔面を凹ませた状態のゴウカが起き上がり、足元を震わせながらも立ち上がると、レア達を睨みつける。その姿にアルディラは悲鳴を上げ、マカセは慌てて身構え、レアも咄嗟に拳を握りしめる。


「お前、まだ生きていたのか……」
「当たり前だ!!俺は炎魔将ゴウカだ!!魔王様以外の存在に敗北はしない!!」
「レア様……この石像もどきが貴方の身体を傷つけたのでしょうか?」
「え?えっと……うん」


ゴウカの言葉を無視してシルフィアはレアに問い質し、彼を負傷させた相手である事を確認すると、シルフィアはゴウカに対して黙って腕を構える。それを見た瞬間、ゴウカ以外の全員が危険を感じ取り、彼女の傍から離れた。


「何だ貴様は……邪魔をするなら殺すぞ」
十字架クロス……砲撃フレア
「なっ――!?」



――次の瞬間、シルフィアの右手から浮かんだ十字架の紋様から凄まじい光の奔流が解き放たれ、ゴウカの身体を一瞬で消滅させ、更に彼の後方に存在した1キロ先の建物ごと消してしまう。光線を撃ち込まれた場所は地面ごと消滅し、その光景を確認したシルフィアは表情を一変させ、満面の笑顔でレアに振り返る。



「さあ、これで安全です。もう敵は存在しませんよ」
「あ、うっ、うん……ありがとうシルフィア」
「ひいっ!?」
「そ、その手を向けるなっ!!」


シルフィアに話しかけられたレアは引きつった笑顔を浮かべ、マカセとアルディラは彼女の向けられた腕を見て恐怖の表情を浮かべるが、これで炎魔将ゴウカは完全に死滅した事は間違いなく、レアはその場に座り込む。


「ふうっ……流石に疲れたな。でも、これで助かったんだよな」
「レア様、お疲れのところを悪いんですが、このような場所にいると風邪をひいてしまいます。建物の中へ移動しましょう」
「そうだね……ん?何だこの冷たいの……」


レアは起き上がろうとした時、手元に妙に冷たい感触が広がり、視線を向けると破壊されたセツナの破片が転がっている事に気付く。どうやら一部だけが残っていたようであり、拾い上げる。


「まだ残っていたのか……」
「その氷の欠片がどうかされましたか?」
「いや、これ氷魔将の破片だよ」
「氷魔将!?こ、これがセツナだって言うの!?」
「なんと……哀れな姿だな」


全員がレアが握りしめた破片を覗き込み、氷像の人差し指と思われる氷の破片の見てマカセとアルディラは同じ魔将として変わり果てたセツナに憐れむ。レアの掌の中の破片は降り積もる雨粒を受けて溶け始め、やがて完全に溶けてしまう。


「……こいつのせいで死にかけたけど、こうなると哀れだな」
「はあ……私にはただの氷の欠片にしか見えないのですが、念のために蒸発させますか?」
「それは流石に可哀想だよ。もう何も出来ないだろうし、放っておこうよ」
「ん?いや、ちょっと待って!!これってもしかして……」


レアは掌に溜まった水を地面に溢そうとした時、アルディラが慌てて指差す。全員が不思議そうに視線を向けると、レアの掌に収まる水が唐突に一か所に集まり、まるでゼリーのように柔らかい固形物へと変化を果たす。


「ぷ、ぷるぷるっ……」
「うわっ!?何だこいつ!?」
「これは……どうやら液体状の生物ですね」
「スライムよ!!こいつ、きっと力を使い過ぎてスライムに戻っちゃったんだわ!!」
「何だと!?という事はこいつがセツナなのか?」


アルディラの言葉に全員が驚愕し、セツナの指の破片はスライムと呼ばれると青色で楕円型の液状生物に変化を果たし、怖がるように身体を震わせる。


「ぷるぷるっ……」
「なんか震えてるけど……怯えているのかな?」
「顔のような皺もありますね。これがスライムと呼ばれる魔物ですか?」
「間違いないわ。それにしてもまさかこんな状態でも生きているなんて……しぶとい奴ね」
「しかし、この状態ではどうしようもあるまい。もう前のような力は使えんだろうがな」


完全にスライムと化したセツナはレアの掌の中で怯えるように震え、その姿にレアは頭を掻き、どうするべきか悩む。
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