【完結】ツンデレ妖精王が、獅子だけど大型ワンコな獣人王にとろとろに愛される話

古井重箱

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 妖精国の民は、最近現れるようになったお客さまを迎え、たいそう盛り上がっていた。

「花の蜜、お待たせしましたーっ」
「こちらは果実の盛り合わせですよ!」

 獣人族が各地の飲食店を訪れ、妖精国ならではの美食をこぞって注文している。肉食の獣人族は、かような美味があったのかと花の蜜を味わいながら歓喜の声を上げた。
 妖精国の宮殿もまた活気づいていた。観光客の増加が経済に好影響を与えているので、財務大臣は毎日笑顔である。侍女たちは恋の歌を口ずさみながら、宮殿のあちらこちらを磨き上げている。
 宮殿の南側にある尖塔には二つの人影があった。
 ひとりは妖精国の王、レクシェール。そしてもうひとりは獣人国の王、ガルトゥスである。ふたりは会議を重ねたうえ、観光のための査証に関する規制を緩和した。互いの国への滞在可能期間は最大で7日間である。竜人国や人間国から軍事同盟と受け取られないよう配慮した。
 多忙なレクシェールとガルトゥスが会える機会は、ひと月に一回あればいい方であった。肌を交えたあとも、ふたりは国家元首という立場を優先させた。

「俺としては、妖精国とのあいだに魔法通路を開通したいんだが。そうすればいつでもあんたに会える」
「莫迦を言え。そんなことをしたら、他国が黙っていないぞ」
「秘密の通路でもダメか?」
「ああ。ダメだ」
「……よかった」
「何がだ?」
「俺を知ってからでも、あんたは変わらない。そのことが嬉しい」

 ガルトゥスの言葉に、レクシェールは首を横に振った。

「いや、私はすっかり変わってしまったよ。こんな風に」
「んっ!」

 レクシェールが口づけを捧げると、ガルトゥスが腰を抱いてきた。レクシェールは菫色の目を細めた。

「私は王であると同時に……恋する男だ」
「……俺もだよ」

 ふたりの抱擁は侍女や家臣たちにしかと目撃され、新しい関係として祝福された。
 
——きみよ、きみの国よ。どうか健やかであってくれ。
 
 レクシェールの祈りを受け止めたかのように雲間が切れて、太陽が姿を現した。あたたかな光が燦々と降り注ぎ、熱いキスを交わすふたりを照らした。




(完)
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