Ωでもタチがしたい!

コッシー

文字の大きさ
2 / 4

2話

しおりを挟む


デート当日。

白のタートルネックに、黒のスキニージーンズ。一番高かかった腕時計とクラッチバックを手に、僕は春人さんを待つ。

待ち合わせは十時。
だけど楽しみすぎて、僕は二時間も早く着いてしまった。

まぁこんなにそわそわするのも仕方ない。
なんなって今日は、春人さんとエッチする日なんだから。(あくまで予定)

「コンドームとローションの準備オッケー。後は僕の家に誘って……」

「春人。俺に酔いしれろ」なんて言ったりしてぇ~。男前に!そう!男前に抱き潰してやる!!
そんでもって、顔も性格もガチガチに固い春人さんをもうトロトロのユルユルに……。

「おや、もう来ていたのかね?冬華君」

「……は、春人さん!!」

完全に妄想の中にいた僕は、目の前に立っていた春人さんに気が付かず。驚きと緊張で思わず声が裏返ってしまう。

今日は男前で行くはずなのに、いきなりカッコ悪。

「さて、今日は何処に行こうか」

「あ!僕が案内しますよ!任せてください!」

あぁ春人さん。デートにも関わらず服装はいつもどうりスーツだけど。その乱れのない髪も服も、今日でぐちゃぐちゃに乱れさせてあげます。

覚悟していてください。

「じゃ!行きましょうか!」



なんて、思っていたのに……。



「あ、あれ……お会計は」

「私が済ましておいた」

あれ?

「あ、荷物……」

「軽いから大丈夫だ」

あれあれ?

「これ欲しい~!ってあれ?」

「君が好きそうだと思ってな。買っておいた」

「あ、ありがとう……ございます」


ってちがーーーう!!!!


なんで!?なんでこうなる!?

やばいぞ。
これじゃあ完全に僕が女側みたいじゃないか。

どうにかしてこの立場を逆転させなければ……。

「冬華君疲れただろう。少し休憩をしよう」

「あ、はい」

春人さんは辺りをキョロキョロと見渡しながら、どこか身体を休める場所を探し始める。

相変わらず無表情だが、首筋から一粒の汗が流れているのを見ると、どうやら春人さん自身が一番疲れているようだ。

「なんで気付いてやれないんだろ……僕」

こうやって自分の弱みも見せない春人さんは、本当にカッコイイ。

でも、僕だって男なんですよ?春人さんの恋人ですよ?

少しくらい弱みを見せてください。少しくらい頼ってください。


「ねぇ春人さん……」


僕の事、男として見てくれてますか?



ーードクッ。


「っ!?ぁッ……」

「……冬華君?どうしたっ……これ、は」

どうして今、このタイミングで発情期ヒートが来るんだ。

「ぁッ……はっ……」

ヤバい。全身が電気が走るようにビリビリして、凄く熱い。
ジクジクして、ゾワゾワして、苦しい。痛い。快感がどんどん湧き上がってくる。

「と、うか……くん」

あぁ僕のフェロモンで発情する春人さんの顔……凄くエロイ。

じゃなくて、このままだと僕の貞操が。

「っ……ご、めん、な、さい……春人さん」

僕は、苦しむ春人さんを置いてその場から逃げてしまった。

最低な事だと分かってる。でも怖かった。
このΩのフェロモンのせいで、僕を犯そうとする春人さんを見るのが。

でもここは外。
勿論、他にも人はいるわけであって……。

「はぁはぁ」
「へぇ~可愛い子じゃんかぁ」
「お前Ωだろ?ヤらせろよ」

やばい、なんか色んな男達が寄ってきてしまった。

細い路地に逃げる場所もない。
そして自分も、正直シたくてシたくてしょうがない。

でも。今まで守って来た処女が、こんな奴等に奪われるなんて嫌だ。

「だ、れか……」

嫌だ。誰か。
春人さん。春人さん。春人さん。

「たすけっ」

「冬華君!!!」

「えっ、はる、ひと、さん……」

朦朧とする意識の中、息を切らす春人さんの声が聞こえた。

「逃げるぞ!!」

「……はい」

熱く火照った手が、僕の手を強く引っ張って走り出す。

春人さんだってΩのフェロモンで辛いはずなのに、僕を助けるために我慢して助けてくれて。

「春人さん……僕」

「とりあえず。私の家に来ないか?冬華君」

「……へ?」

あれ?これはもしかして……。

一線を越えちゃう感じ?ですか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染みの俺とあいつ

彩森ゆいか
BL
対等だと思っていたのに、俺はオメガであいつはアルファだった 生まれた頃から近所で暮らす、幼馴染みだった来人と貴彦 運命が分かれたのは、13歳の誕生日に行われる血液検査だった オメガバース アルファ×オメガ フジョッシーにも掲載しています

あなたが生まれてきた理由

万里
BL
28歳の学校用務員・保科宗一(Ω)は、母の勧めでお見合いに臨む。 顔に残る傷痕と、男性のΩという希少な性質から、恋愛に縁がなく、自分が誰かに好かれることなど考えたこともなかった。 ところが、料亭の一室で待っていたのは、同じ職場の公民教師・新田功史朗(α)だった。 穏やかで物静かな新田は、宗一の境遇を受け止め、驚くことなく「付き合ってみないか」と提案する。 戸惑いながらも、宗一はその言葉に心を動かされる。

久しぶりの発情期に大好きな番と一緒にいるΩ

いち
BL
Ωの丞(たすく)は、自分の番であるαの かじとのことが大好き。 いつものように晩御飯を作りながら、かじとを待っていたある日、丞にヒートの症状が…周期をかじとに把握されているため、万全の用意をされるが恥ずかしさから否定的にな。しかし丞の症状は止まらなくなってしまう。Ωがよしよしされる短編です。 ※pixivにも同様の作品を掲載しています

俺はつがいに憎まれている

Q矢(Q.➽)
BL
最愛のベータの恋人がいながら矢崎 衛というアルファと体の関係を持ってしまったオメガ・三村圭(みむら けい)。 それは、出会った瞬間に互いが運命の相手だと本能で嗅ぎ分け、強烈に惹かれ合ってしまったゆえの事だった。 圭は犯してしまった"一夜の過ち"と恋人への罪悪感に悩むが、彼を傷つける事を恐れ、全てを自分の胸の奥に封印する事にし、二度と矢崎とは会わないと決めた。 しかし、一度出会ってしまった運命の番同士を、天は見逃してはくれなかった。 心ならずも逢瀬を繰り返す内、圭はとうとう運命に陥落してしまう。 しかし、その後に待っていたのは最愛の恋人との別れと、番になった矢崎の 『君と出会いさえしなければ…』 という心無い言葉。 実は矢崎も、圭と出会ってしまった事で、最愛の妻との番を解除せざるを得なかったという傷を抱えていた。 ※この作品は、『運命だとか、番とか、俺には関係ないけれど』という作品の冒頭に登場する、主人公斗真の元恋人・三村 圭sideのショートストーリーです。

事故つがいΩとうなじを噛み続けるαの話。

叶崎みお
BL
噛んでも意味がないのに──。 雪弥はΩだが、ヒート事故によってフェロモンが上手く機能しておらず、発情期もなければ大好きな恋人のαとつがいにもなれない。欠陥品の自分では恋人にふさわしくないのでは、と思い悩むが恋人と別れることもできなくて── Ωを長年一途に想い続けている年下α × ヒート事故によりフェロモンが上手く機能していないΩの話です。 受けにはヒート事故で一度だけ攻め以外と関係を持った過去があります。(その時の記憶は曖昧で、詳しい描写はありませんが念のため) じれじれのち、いつもの通りハピエンです。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いします。 こちらの作品は他サイト様にも投稿しております。

ベータの俺にもチャンスがあるなら

ひきこ
BL
アルファとオメガが大多数を占める世界、ベータの俺はアルファだと思われ生きてきた。 生徒会副会長の俺は密かに会長のことが好きだったが、彼はアルファだから番になれない自分は無理だと諦め、生徒会での頼れる相棒として一緒にいられるだけでいいと思っていたけれど。 そんなある日、性的に襲われかけた会長を俺が鎮めるチャンス(?)が到来ーー!? ※オメガバースの世界観をお借りした独自設定です ※ハッピーエンドですが、シンデレラストーリー的な話ではなく普通のBLです 拙作「出来損ないベータの明日はどっちだ?」と同じ世界線の話ですが、特に重なりはないため単独でお読み頂けます。 他サイトにも掲載。

愛を称えて

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
シリウスは地味で平凡なオメガである。人に胸を張れることといえば、家族仲がいいことくらい。それでも優秀な婚約者と肩を並べても恥ずかしくない何かを手に入れたくて、得意の薬学を極めることにした。学園に認められゼミ入りをし、今度は国に認められた。嬉しくて、早くこのことを伝えたくて、婚約者の元へと駆けた。けれど聞こえてきた声は冷たいものであった。

オメガバースの言いなりにはならない

あいう
BL
R-15ほどの性的表現が少しだけあります。 αである御影とβである晴人は幼馴染で恋人同士。だがΩである八雲が現れてからと言うもの、晴人は「運命の番」に家庭をめちゃくちゃにされたトラウマで不安が隠せない。晴人は別れようとするタイミングを探しながら日常を送るがある日、八雲のフェロモンに御影が充てられてしまう。 御影と晴人の運命は……? 過去別サイトに投稿していたものです。 お引越ししました。

処理中です...