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⑨まだ話は続いています
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そのように話すお義母様とミレーナ様に私は少しむっとしました。
アルベルト様が私の為の時間は取れないといったのは、私の事を蔑ろにすると宣言したわけではない事を私は知っているからです。
だってアルベルト様は私に謝ってくださいました。
申し訳ないと、悔しそうに。
初夜だって私は沢山愛してもらいました。十分なほど。
「…クス、はい。初夜から既に一月が経ちました。それにも関わらずアルベルト様が戻ってくる気配はなく、婚姻前に噂されていた内容はあくまでも噂だと、そのように捉えられております。
それでも流石に貴族令嬢だった時の交流もあり、同情心から寄り添う者もいますが、屋敷全ての掃除と洗濯に時間を費やしている為、今はもう直接関わろうとする者はいません」
「ふ~~ん」
つまらなそうなお義母様の声が廊下に響きました。
「……あの女に味方する人たちを処分できないかしら?」
ぽそりと呟かれたお義母様の言葉は思った以上に廊下に響き、私は体を大きく跳ねらせてしまいました。
でも声を出したわけでもなく、私の存在はまだ気付かれていません。
「それは時期尚早かと」
「何故?」
「まず、あの方の評判です。調べてみると学生時代は特に目立つ生徒ではありませんでしたが、それでも真面目で思慮深く、良心的な性格と評判で女性男性共に評価が高くありました。
また婚姻後の態度から、物事に懸命に取り込む姿は好感を抱きます。実際あの方に嫌な思いをされた人はいないからこそ、アルベルト様に愛されていない女性であっても同情的にならざるを得ないと考えられます」
「それで?」
「次にアルベルト様についてです。アルベルト様は…」
「あー、あの子の評判はいいわよ。あの子、学生の頃から評判だったんだもの。
だからミレーナとくっつけさせようと思ったってのに、……あんな娘を選ぶんだもの。
それで?評判のいい二人だから、処分は待った方がいいと?」
「その通りです」
少しの沈黙は隠れて聞いていた私にはとても鋭い空気のように感じました。
「ん~、わけがわからないわぁ。
どうして評判がいいからってメイドを処分してはいけないの?
メイドはメイド。気に食わないからって処分してもなにも問題ないと思うんだけど?」
少しお酒の酔いがさめたのか、帰宅した時と比べたら間延びしない言い方に変わったミレーナ様は不思議そうにいいました。
「…アルベルトは公爵の爵位を受け継がなかったといっても、公爵家の子息であることは変わらないのよ。
しかも自分自身の力で爵位を賜っている。人々に注目される存在なのよ」
「うんうん。旦那にするなら彼のような人がいいものね!」
「ええ。…でもそれは今も実際に注目されているという事なの」
「ん?わからないわ。どういうこと?」
不思議そうに言葉を返すミレーナ様にお義母様が小さく息を吐き出しました。
そしてそんなお義母様に代わって、ベルッサが「私は説明しましょう」といいます。
「ミレーナ様、アルベルト様に注目する方はどこにでもいらっしゃいます。
その為電撃的に婚約を発表し結婚したアルベルト様は一時期噂の的になっておりました」
「ええ、胸糞悪い噂ね。愛する女性がーとかなんとかっていう…でも今は消えてるでしょ?
私だってお母さんと一緒に社交界にでているんだもの、どんな噂があるかくらい知っているわ」
「流石です。ミレーナ様の仰る通り、アルベルト様の次の行動で噂は所詮噂なのだと、愛する女性などいないということとなりました。
ですが先ほども言いました通り、アルベルト様の行動は常に人々に見られております。
今この屋敷だけではなく王都にすらいないこと。それはアルベルト様が騎士団長という立場を含め不貞行為ではないということも知られております」
私は驚きました。
騎士団のお仕事だとは思ってはいましたが、王都にすらいないことは知らなかったのです。
でも今思い返してみればアルベルト様が私に仕事に行ってくると言っていたあの時、他になにか言っていたような気がします。
“遠征に行かなければならない”とか、きっとアルベルト様は親切にも教えてくださっていた筈です。
なのに私は覚えていません。
かなり寝ぼけていたので、覚えている部分が少なすぎて私は自分自身を叱りたくなりました。
「そして今社交界に参加しているのはあの方ではなく、大奥様とミレーナ様でございます。
あの方が今どのように過ごしているのかを尋ねられたかと思いますが、基本的に心配の声が多いと思います」
「う……確かにそうね。
あの女の友達なのかどいつもこいつも心配していたわ……。
アルにほっぽかれて悲しみにくれているから、代わりに私達が~って教えてあげると今度は慰めに行きたいとか言ってきて……、まぁ断ったけどね」
私はその言葉を聞いて胸が温かくなりました。
勝手に断ったミレーナ様には思うところがありますが、それでも私の今の姿を見せたくはありませんでしたので詰め寄るつもりもありません。
でも誰が私の事を気にかけてくれたのでしょうか?
エリーナ?マリア?それともナナリーかしら?
アルベルト様が私の為の時間は取れないといったのは、私の事を蔑ろにすると宣言したわけではない事を私は知っているからです。
だってアルベルト様は私に謝ってくださいました。
申し訳ないと、悔しそうに。
初夜だって私は沢山愛してもらいました。十分なほど。
「…クス、はい。初夜から既に一月が経ちました。それにも関わらずアルベルト様が戻ってくる気配はなく、婚姻前に噂されていた内容はあくまでも噂だと、そのように捉えられております。
それでも流石に貴族令嬢だった時の交流もあり、同情心から寄り添う者もいますが、屋敷全ての掃除と洗濯に時間を費やしている為、今はもう直接関わろうとする者はいません」
「ふ~~ん」
つまらなそうなお義母様の声が廊下に響きました。
「……あの女に味方する人たちを処分できないかしら?」
ぽそりと呟かれたお義母様の言葉は思った以上に廊下に響き、私は体を大きく跳ねらせてしまいました。
でも声を出したわけでもなく、私の存在はまだ気付かれていません。
「それは時期尚早かと」
「何故?」
「まず、あの方の評判です。調べてみると学生時代は特に目立つ生徒ではありませんでしたが、それでも真面目で思慮深く、良心的な性格と評判で女性男性共に評価が高くありました。
また婚姻後の態度から、物事に懸命に取り込む姿は好感を抱きます。実際あの方に嫌な思いをされた人はいないからこそ、アルベルト様に愛されていない女性であっても同情的にならざるを得ないと考えられます」
「それで?」
「次にアルベルト様についてです。アルベルト様は…」
「あー、あの子の評判はいいわよ。あの子、学生の頃から評判だったんだもの。
だからミレーナとくっつけさせようと思ったってのに、……あんな娘を選ぶんだもの。
それで?評判のいい二人だから、処分は待った方がいいと?」
「その通りです」
少しの沈黙は隠れて聞いていた私にはとても鋭い空気のように感じました。
「ん~、わけがわからないわぁ。
どうして評判がいいからってメイドを処分してはいけないの?
メイドはメイド。気に食わないからって処分してもなにも問題ないと思うんだけど?」
少しお酒の酔いがさめたのか、帰宅した時と比べたら間延びしない言い方に変わったミレーナ様は不思議そうにいいました。
「…アルベルトは公爵の爵位を受け継がなかったといっても、公爵家の子息であることは変わらないのよ。
しかも自分自身の力で爵位を賜っている。人々に注目される存在なのよ」
「うんうん。旦那にするなら彼のような人がいいものね!」
「ええ。…でもそれは今も実際に注目されているという事なの」
「ん?わからないわ。どういうこと?」
不思議そうに言葉を返すミレーナ様にお義母様が小さく息を吐き出しました。
そしてそんなお義母様に代わって、ベルッサが「私は説明しましょう」といいます。
「ミレーナ様、アルベルト様に注目する方はどこにでもいらっしゃいます。
その為電撃的に婚約を発表し結婚したアルベルト様は一時期噂の的になっておりました」
「ええ、胸糞悪い噂ね。愛する女性がーとかなんとかっていう…でも今は消えてるでしょ?
私だってお母さんと一緒に社交界にでているんだもの、どんな噂があるかくらい知っているわ」
「流石です。ミレーナ様の仰る通り、アルベルト様の次の行動で噂は所詮噂なのだと、愛する女性などいないということとなりました。
ですが先ほども言いました通り、アルベルト様の行動は常に人々に見られております。
今この屋敷だけではなく王都にすらいないこと。それはアルベルト様が騎士団長という立場を含め不貞行為ではないということも知られております」
私は驚きました。
騎士団のお仕事だとは思ってはいましたが、王都にすらいないことは知らなかったのです。
でも今思い返してみればアルベルト様が私に仕事に行ってくると言っていたあの時、他になにか言っていたような気がします。
“遠征に行かなければならない”とか、きっとアルベルト様は親切にも教えてくださっていた筈です。
なのに私は覚えていません。
かなり寝ぼけていたので、覚えている部分が少なすぎて私は自分自身を叱りたくなりました。
「そして今社交界に参加しているのはあの方ではなく、大奥様とミレーナ様でございます。
あの方が今どのように過ごしているのかを尋ねられたかと思いますが、基本的に心配の声が多いと思います」
「う……確かにそうね。
あの女の友達なのかどいつもこいつも心配していたわ……。
アルにほっぽかれて悲しみにくれているから、代わりに私達が~って教えてあげると今度は慰めに行きたいとか言ってきて……、まぁ断ったけどね」
私はその言葉を聞いて胸が温かくなりました。
勝手に断ったミレーナ様には思うところがありますが、それでも私の今の姿を見せたくはありませんでしたので詰め寄るつもりもありません。
でも誰が私の事を気にかけてくれたのでしょうか?
エリーナ?マリア?それともナナリーかしら?
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