異世界転移物語

月夜

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空を望む

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「熱気球を作れればベストだけど、今ある材料ではとても作れない」

    電気さんがそう言ったのを聞いて、大工さんが電気さんに尋ねた。

「ラジコンのヘリコプターとか作れないか?」

「モーターはあるんで、小さい飛行機とかヘリコプターとか作れなくもないですが、バランスとるのが難しいんですよ。おそらく試作段階でかなり失敗するかと。材料が豊富なら可能ですが、今の状況ではとても無理かと」

「貴重なスマホが壊れるのも痛いしな」

    電気さん、スカウトさん、大工さんがそうやって議論してるのをぼんやり聞いていた僕にも一つアイディアが浮かんだ。

「長い木の棒の先にスマホをくっつけるってのはどうでしょう?」

    三人とも僕の突然のアイディアに一瞬固まった。

「森の一番高い木よりも高いところまで伸びる棒って、どんだけ長いんだよ」

しばらくの沈黙のあと、大工さんからダメ出しを喰らった。

「そりゃ、竹でもありゃ、ロープで縛って長い棒を作れなくもないが、あいにくここには竹はないときてる。おまけにたとえ木を切って作れたとしても、重量がものすごいことになる。立てるだけでも一苦労だぞ」

「あ、でも木を利用して足場を作って登ってから、長い棒の先にスマホをつけて伸ばすって出来そうじゃありませんか?」

   自転車君が折衷案と呼べそうなものを出した。

「なるほどな。それならまあ実現可能かもしれんな」

    スカウトさんがうんうんとうなずきながら言った。

「今すぐは無理だが、やはり櫓を組むのを考えるかな……」

「こっちでも飛行機が本当に作れないか、考えてみます」

    大工さんも電気さんも今後の課題として考えてくれるみたいだ。とりあえず言ってみるもんだ。僕はちょっとほっとした。

「よし!  じゃあ、僕も頑張って今日こそ森で何か見つけてきますよ!」

    自転車君も刺激されたのか、そんなことを言いながら気合いを入れていた。

    僕は午前中はいつも通り、畑の手伝いをした。畑の方もかなり様にはなってきたが、実際に収穫出来るまでにはまだまだかかりそうだし、色々と植えてみた野菜がうまく育つとも限らない。その辺は農家さんの技術に頼るしかない。僕は言われたことを淡々とこなすだけだ。

   理科さんがきたおかげで、土壌の成分検査なんかも出来るようになったのは良かったけれど。やはりやせた土地であることには変わりない。農家さんの話では、気候も違うし、今までの常識も通用しないかもしれないということだった。

   昼食の時にもその話題を出して、女の人の意見も聞いてみたが、これという画期的なアイディアは出なかった。昼飯後にはまた僕と桂坂さんは、場に向かった。今日はどんな人が来るのだろうか?
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