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ある奇妙な噂
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その後、金田さんに合わせてスローペースではあったものの、再び帰路を歩き始めたが、いつしか理系三人組(陽子、理科、和也)の間で、専門的な話が盛り上がってきていた。僕は歩きながら横で聞き耳を立てるだけだ。
「そう言えばさあ、コンピュータ用語なんだけどさ、ウインダーって知ってる?」
「いや、知らないな。何ですか、陽子さん、それは」
「私も知らないわね。ウインドウズみたいなもの?」
陽子さんの発した「ウインダー」という言葉は、和也も陽子さんも聞いたことなかったようだ。もちろん僕もない。コンピュータの専門用語なのだろうか。
「情報処理関係の人達の間では、結構広がってる噂なんだけどね。めちゃくちゃスゴ腕のハッカーがいるらしいのよ」
「スゴ腕って、どれぐらいすごいんですか?」
「ええとね。侵入した痕跡をまったく残さないほどに」
「そのぐらいなら高いテクニックを持つハッカーならあり得ますよ」
「特に悪さをした形跡はないけど、ネットワークやコンピュータに保存されているすべてのデータの閲覧をするらしいの。あくまで『らしい』ということしか分からないみたいなの」
「そのハッカーの目的は何かしら?」
理科さんが首をひねる。
「今のところ実害の報告は皆無なのよね。何を目的としているのかは分からないけど、データをチラ見して風のように去ってゆく感じ。そのあまりの鮮やかさに『ウインダー』と誰かが呼び始めたみたい」
「風のような人、という意味ですか? それにしてもよくある話じゃないですか。不正アクセスなんて」
先ほどの理科さん同様、和也も腑に落ちないといった様子で首を捻った。
「うん。ただ、これだけ噂になっているのに正体が全く分からないのはやっぱり不思議。それに今でもあらゆるところに常時アクセスが続いているというのよね。なのにそれを現行犯で捕らえた例はない。後からよくよく調べてアクセスがあったと気づくのがせいぜいといったところなのよ」
「そんなことがあるなんて。私はネットで検索していてそんな情報に出会ったことはなかったんだけど」
「水面下では世界中の研究者がその正体を追っているにも関わらず、そいつは包囲網をするりとかいくぐる。本当に幻みたいなやつなのよね」
理科さんの疑問に答えつつ、ため息をつく陽子さん。
「でもただの噂でしょ」と和也はなおも食い下がる。
「そう。状況証拠はいくつか挙げられてはいるが、そもそも本当にアクセスがあったのか疑う研究者も多いのよね。アクセスしているふりをしているだけじゃないか、ってね」
「そう言えばさあ、コンピュータ用語なんだけどさ、ウインダーって知ってる?」
「いや、知らないな。何ですか、陽子さん、それは」
「私も知らないわね。ウインドウズみたいなもの?」
陽子さんの発した「ウインダー」という言葉は、和也も陽子さんも聞いたことなかったようだ。もちろん僕もない。コンピュータの専門用語なのだろうか。
「情報処理関係の人達の間では、結構広がってる噂なんだけどね。めちゃくちゃスゴ腕のハッカーがいるらしいのよ」
「スゴ腕って、どれぐらいすごいんですか?」
「ええとね。侵入した痕跡をまったく残さないほどに」
「そのぐらいなら高いテクニックを持つハッカーならあり得ますよ」
「特に悪さをした形跡はないけど、ネットワークやコンピュータに保存されているすべてのデータの閲覧をするらしいの。あくまで『らしい』ということしか分からないみたいなの」
「そのハッカーの目的は何かしら?」
理科さんが首をひねる。
「今のところ実害の報告は皆無なのよね。何を目的としているのかは分からないけど、データをチラ見して風のように去ってゆく感じ。そのあまりの鮮やかさに『ウインダー』と誰かが呼び始めたみたい」
「風のような人、という意味ですか? それにしてもよくある話じゃないですか。不正アクセスなんて」
先ほどの理科さん同様、和也も腑に落ちないといった様子で首を捻った。
「うん。ただ、これだけ噂になっているのに正体が全く分からないのはやっぱり不思議。それに今でもあらゆるところに常時アクセスが続いているというのよね。なのにそれを現行犯で捕らえた例はない。後からよくよく調べてアクセスがあったと気づくのがせいぜいといったところなのよ」
「そんなことがあるなんて。私はネットで検索していてそんな情報に出会ったことはなかったんだけど」
「水面下では世界中の研究者がその正体を追っているにも関わらず、そいつは包囲網をするりとかいくぐる。本当に幻みたいなやつなのよね」
理科さんの疑問に答えつつ、ため息をつく陽子さん。
「でもただの噂でしょ」と和也はなおも食い下がる。
「そう。状況証拠はいくつか挙げられてはいるが、そもそも本当にアクセスがあったのか疑う研究者も多いのよね。アクセスしているふりをしているだけじゃないか、ってね」
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