5 / 194
領地編
4 悪役令嬢の勉強をしましょう
しおりを挟む
ラウルの授業は分かりやすい。歴史を始め、地理、数学、ラルフレア文学と、その知識は幅広かった。並行してダンス、礼儀作法に裁縫が加わった。こちらは、前からお世話になっている老婦人が教えてくれている。今までの経験をもとにすれば簡単なもので、老婦人は上達具合に目を丸くしていた。
そして、慌ただしく一か月が過ぎた頃。エリーナは致命的な欠点に気づいてしまった。それは、退屈しのぎに図書室にあった、子ども向けの小説を読んでいた時だった。
ストーリーは心優しい少女が、母を亡くし継母や義理の姉に苛められるが、最後は王子様と結ばれるというもの。
その継母と姉の性格が悪いことと言ったら……お手本にしなくてはいけない。
主人公に浴びせた罵詈雑言は、子供向けにしては過激で、エリーナは愕然とした。
(私、今までのボキャブラリーを無くしてるわ!)
今までは淀みなく、使用人にも主人公にも嫌味が言えたのに、今は言葉がつっかえる。今までオートモードだったため、セリフを覚えていないのだ。
本来であれば、家庭教師であるラウルに嫌がらせをしなくてはならないのだが、授業がおもしろく、遊びにもつきあってくれる彼に、まだこれといった成果をあげられていない。
(これは、勉強しなくてはいけないわね)
勉強の合間に図書室で見つけたロマンス小説を読み漁る。これらのストーリーには、恋の障壁として悪役令嬢がいることが多いのだ。気に入ったセリフと、シチュエーションはノートに書き留めておく。
だが、三か月もすると屋敷中のロマンス小説を読みつくしてしまい、祖父や使用人に頼んで買ってきてもらっても、満足のいく内容ではないことが多い。
(やっぱり、本は自分で選ばないと)
エリーナは、悪役令嬢が主人公をぼろ雑巾のごとく苛め抜く話が読みたいのだ。
決めたら行動あるのみ。領地の本屋に連れて行ってもらえないか大人に頼む。
「おじい様、町の本屋に行きたいの。だめ?」
キラキラと純粋な目を祖父に向ける。上目遣いで可愛さを二割り増しにした。
「だめだ。サリーに頼めばいいだろう」
だが、祖父も、使用人も、ラウルも首を縦に振らなかった。皆口をそろえて危ないから駄目だというのだ。
それでも粘り強く交渉すること三か月。エリーナが役に入って半年が経った頃、ラウルの授業は経済の話となり、祖父から領地見学を兼ねた外出許可が出た。
「おじい様ありがとう!」
念願の本屋巡りに、エリーナは祖父に抱き着いて喜んだ。ちゃっかりお小遣いもおねだりし、軍資金を手に入れる。
(これで、悪役令嬢の教科書を買うのよ!)
そんな意気込みが溢れてしまっているのか、出発の準備を整えたエリーナをラウルは生暖かい目で見ていた。
そして、慌ただしく一か月が過ぎた頃。エリーナは致命的な欠点に気づいてしまった。それは、退屈しのぎに図書室にあった、子ども向けの小説を読んでいた時だった。
ストーリーは心優しい少女が、母を亡くし継母や義理の姉に苛められるが、最後は王子様と結ばれるというもの。
その継母と姉の性格が悪いことと言ったら……お手本にしなくてはいけない。
主人公に浴びせた罵詈雑言は、子供向けにしては過激で、エリーナは愕然とした。
(私、今までのボキャブラリーを無くしてるわ!)
今までは淀みなく、使用人にも主人公にも嫌味が言えたのに、今は言葉がつっかえる。今までオートモードだったため、セリフを覚えていないのだ。
本来であれば、家庭教師であるラウルに嫌がらせをしなくてはならないのだが、授業がおもしろく、遊びにもつきあってくれる彼に、まだこれといった成果をあげられていない。
(これは、勉強しなくてはいけないわね)
勉強の合間に図書室で見つけたロマンス小説を読み漁る。これらのストーリーには、恋の障壁として悪役令嬢がいることが多いのだ。気に入ったセリフと、シチュエーションはノートに書き留めておく。
だが、三か月もすると屋敷中のロマンス小説を読みつくしてしまい、祖父や使用人に頼んで買ってきてもらっても、満足のいく内容ではないことが多い。
(やっぱり、本は自分で選ばないと)
エリーナは、悪役令嬢が主人公をぼろ雑巾のごとく苛め抜く話が読みたいのだ。
決めたら行動あるのみ。領地の本屋に連れて行ってもらえないか大人に頼む。
「おじい様、町の本屋に行きたいの。だめ?」
キラキラと純粋な目を祖父に向ける。上目遣いで可愛さを二割り増しにした。
「だめだ。サリーに頼めばいいだろう」
だが、祖父も、使用人も、ラウルも首を縦に振らなかった。皆口をそろえて危ないから駄目だというのだ。
それでも粘り強く交渉すること三か月。エリーナが役に入って半年が経った頃、ラウルの授業は経済の話となり、祖父から領地見学を兼ねた外出許可が出た。
「おじい様ありがとう!」
念願の本屋巡りに、エリーナは祖父に抱き着いて喜んだ。ちゃっかりお小遣いもおねだりし、軍資金を手に入れる。
(これで、悪役令嬢の教科書を買うのよ!)
そんな意気込みが溢れてしまっているのか、出発の準備を整えたエリーナをラウルは生暖かい目で見ていた。
3
あなたにおすすめの小説
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない
As-me.com
恋愛
完結しました。
自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。
そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。
ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。
そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。
周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。
※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。
こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。
ゆっくり亀更新です。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる