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学園編 17歳
79 王子の誕生日を祝いましょう
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夏休みが明け、学園が始まり一か月が過ぎたころ。国には祭りの足音が近づいていた。第一王子、ジークの生誕祭である。御年十七歳となり、次期国主とあっては各国からも祝賀に訪れるため、王都は一段と賑わいを見せていた。
王家主催の夜会が開かれ、盛大に生誕祭が祝われる。もちろん陛下も第二王子も、王妃様の生誕祭もある。昨年もあったが、エリーナの知らないところでクリスが断りを入れていたようだ。
リズに確認したころ、ゲームではヒロインは風邪を引いて一年目の生誕祭には不参加となるらしい。三年目の生誕祭は、ジークの婚約者になっていないと起こらないイベントなので、これが最初で最後の生誕祭になりそうだ。
エリーナはクリスと共に馬車に揺られ、王宮を目指す。王都では食堂や酒場が人々で賑わっており、王宮からお祝いとして酒樽が王都中の飲食店に配られたらしい。
「なんだか楽しそうね」
エリーナは窓の外の光景を見ながら、ふふっと小さく笑った。
「そりゃぁ、やっと熱い夏が終わって、おいしいお酒も飲めるからね」
クリスはネイビーのスーツを着込み、胸元にはルビーとアメジストのブローチを付けている。
「やっと涼しくなってきたものね」
エリーナの今日の衣装は大人しめで、薄ピンクを基調とした可愛いフリルがついたものだ。アメジストはいつも通り胸元と耳を飾っていた。今日の夜会は各国の特使や重要な貴族たちもいるので、あまり目立たせたくないクリスの意思が反映されている。
そして王宮に着けば馬車が列をなし、ひっきりなしに人が出入りしている。エリーナはクリスにエスコートされ、大広間へと続く階段を上っていった。すれ違う人の服装を見るに、交友関係のある南と西の王国だけでなく、遠方からも特使として来ているらしい。聞きなれない言葉が飛び交い、護衛や従者と思わしき人たちで廊下はいっぱいだった。
クリスが姿勢よく立っているドアマンに招待状を渡すと、家名が読み上げられて入場する。大広間は人でいっぱいであり、ラルフレア王国の国力の強さを物語っていた。これではベロニカやルドルフを探すのも一苦労だ。
しばらく知り合いの令嬢や当主に挨拶をしていたら、一際大きなファンファーレが鳴り響き王族の登場となった。万雷の拍手で主役であるジークが迎えられ、ラルフレア王に第二王子、王妃様が入場する。
(こうやって見ると、殿下も王子様に見えるわね)
陛下とジークから祝いと感謝の言葉が述べられ、広間は大いに沸いた。王族方は広間の奥にある数段高くなったところに座っており、挨拶を受けるという仕事があるのだ。外国の特使や国の偉い貴族方が陛下たちの前に出て挨拶をし、二言三言交わして去る。さすがに全貴族が挨拶するわけにはいかないため、伯爵家でも有力な家までである。
当然ローゼンディアナ家も含まれており、他人事だとスイーツを物色していたエリーナはクリスに連れていかれたのだった。王族に近い場所にはベロニカ、ルドルフを始めとした位の高い貴族が固まっており、一斉に視線を向けられればさすがに緊張する。クリスはエリーナを連れてジークの前に出た。
クリスは片膝をつき、エリーナもドレスをつまみ片足を引いて腰を落とし、正式な礼を取る。
「ローゼンディアナ家、クリスとエリーナでございます。ジーク殿下、この度はまことにおめでとうございます」
クリスが粛々と挨拶を述べると、ジークから「これからも頼む」と短い言葉をかけられた。ここで再び礼を深くとって辞すれば終わりなのだが、ふいに横から声が飛んできた。
「顔を上げよ」
周りにいた貴族にざわめきが走る。ジークの隣りに座っていた陛下が声を出したのだ。エリーナは恐る恐る顔を上げると、壮年の王と目があった。ジークと並ぶとよく似ているのが分かる。王には立派な顎髭があり、それが渋さと風格を倍増させていた。
「ほぉ、これは……」
王は少し目を見開くと、嬉しそうに破顔した。その隣でジークが複雑そうな顔をしている。
「ジークと仲良くしてくれているらしいな。至らぬところの多い息子だが、これからもよろしく頼む」
「ありがたきお言葉」
クリスがそう返し再び礼を取ると、エリーナもそれに倣う。そして御前を辞し、広間の端の方まで後退するとエリーナは深々と息を吐いた。今までの悪役令嬢では王族とのやりとりはオートモードだったため、気を張ってしまう。一気に疲れてしまった。
「エリー、疲れたでしょう。少しつまんだら、退出しようか」
クリスがそう気遣ってくれたため、お言葉に甘えて王宮のプリンを味わってから退出した。この夜会は王族への挨拶と有力貴族たちとの顔つなぎの意味合いが強いため、人の入れ替わりは激しい。
そのため親しいものたちは後日ジークの誕生日を祝うのが恒例であり、エリーナは翌日のオランドール公爵家で行われる茶会に招待されていたのだった。
王家主催の夜会が開かれ、盛大に生誕祭が祝われる。もちろん陛下も第二王子も、王妃様の生誕祭もある。昨年もあったが、エリーナの知らないところでクリスが断りを入れていたようだ。
リズに確認したころ、ゲームではヒロインは風邪を引いて一年目の生誕祭には不参加となるらしい。三年目の生誕祭は、ジークの婚約者になっていないと起こらないイベントなので、これが最初で最後の生誕祭になりそうだ。
エリーナはクリスと共に馬車に揺られ、王宮を目指す。王都では食堂や酒場が人々で賑わっており、王宮からお祝いとして酒樽が王都中の飲食店に配られたらしい。
「なんだか楽しそうね」
エリーナは窓の外の光景を見ながら、ふふっと小さく笑った。
「そりゃぁ、やっと熱い夏が終わって、おいしいお酒も飲めるからね」
クリスはネイビーのスーツを着込み、胸元にはルビーとアメジストのブローチを付けている。
「やっと涼しくなってきたものね」
エリーナの今日の衣装は大人しめで、薄ピンクを基調とした可愛いフリルがついたものだ。アメジストはいつも通り胸元と耳を飾っていた。今日の夜会は各国の特使や重要な貴族たちもいるので、あまり目立たせたくないクリスの意思が反映されている。
そして王宮に着けば馬車が列をなし、ひっきりなしに人が出入りしている。エリーナはクリスにエスコートされ、大広間へと続く階段を上っていった。すれ違う人の服装を見るに、交友関係のある南と西の王国だけでなく、遠方からも特使として来ているらしい。聞きなれない言葉が飛び交い、護衛や従者と思わしき人たちで廊下はいっぱいだった。
クリスが姿勢よく立っているドアマンに招待状を渡すと、家名が読み上げられて入場する。大広間は人でいっぱいであり、ラルフレア王国の国力の強さを物語っていた。これではベロニカやルドルフを探すのも一苦労だ。
しばらく知り合いの令嬢や当主に挨拶をしていたら、一際大きなファンファーレが鳴り響き王族の登場となった。万雷の拍手で主役であるジークが迎えられ、ラルフレア王に第二王子、王妃様が入場する。
(こうやって見ると、殿下も王子様に見えるわね)
陛下とジークから祝いと感謝の言葉が述べられ、広間は大いに沸いた。王族方は広間の奥にある数段高くなったところに座っており、挨拶を受けるという仕事があるのだ。外国の特使や国の偉い貴族方が陛下たちの前に出て挨拶をし、二言三言交わして去る。さすがに全貴族が挨拶するわけにはいかないため、伯爵家でも有力な家までである。
当然ローゼンディアナ家も含まれており、他人事だとスイーツを物色していたエリーナはクリスに連れていかれたのだった。王族に近い場所にはベロニカ、ルドルフを始めとした位の高い貴族が固まっており、一斉に視線を向けられればさすがに緊張する。クリスはエリーナを連れてジークの前に出た。
クリスは片膝をつき、エリーナもドレスをつまみ片足を引いて腰を落とし、正式な礼を取る。
「ローゼンディアナ家、クリスとエリーナでございます。ジーク殿下、この度はまことにおめでとうございます」
クリスが粛々と挨拶を述べると、ジークから「これからも頼む」と短い言葉をかけられた。ここで再び礼を深くとって辞すれば終わりなのだが、ふいに横から声が飛んできた。
「顔を上げよ」
周りにいた貴族にざわめきが走る。ジークの隣りに座っていた陛下が声を出したのだ。エリーナは恐る恐る顔を上げると、壮年の王と目があった。ジークと並ぶとよく似ているのが分かる。王には立派な顎髭があり、それが渋さと風格を倍増させていた。
「ほぉ、これは……」
王は少し目を見開くと、嬉しそうに破顔した。その隣でジークが複雑そうな顔をしている。
「ジークと仲良くしてくれているらしいな。至らぬところの多い息子だが、これからもよろしく頼む」
「ありがたきお言葉」
クリスがそう返し再び礼を取ると、エリーナもそれに倣う。そして御前を辞し、広間の端の方まで後退するとエリーナは深々と息を吐いた。今までの悪役令嬢では王族とのやりとりはオートモードだったため、気を張ってしまう。一気に疲れてしまった。
「エリー、疲れたでしょう。少しつまんだら、退出しようか」
クリスがそう気遣ってくれたため、お言葉に甘えて王宮のプリンを味わってから退出した。この夜会は王族への挨拶と有力貴族たちとの顔つなぎの意味合いが強いため、人の入れ替わりは激しい。
そのため親しいものたちは後日ジークの誕生日を祝うのが恒例であり、エリーナは翌日のオランドール公爵家で行われる茶会に招待されていたのだった。
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