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学園編 18歳
122 親友たちに祝福されましょう
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エリーナとクリスの想いが結ばれ、瞬く間に屋敷中に広まった次の日。エリーナは一日中顔が緩んでおり、朝ベロニカと顔を合わせるなり「おめでとう」と呆れ顔で祝福された。当然放課後はいつものサロンで報告会であり、待ちきれないとリズがそわそわしながらお茶の準備をした。
テーブルにはケーキが置かれており、ベロニカが「お祝いよ」と昼休みに学食のシェフに頼んでいたのだ。チョコレートのケーキであり、甘みの後にほろ苦さがやってきて紅茶にもよく合う。リズがケーキを切り分け、お茶を淹れたところで二人の興味に輝いた目がエリーナに向けられた。そこまで期待されると、エリーナはなんだか話しにくい。
軽く咳払いをして、深呼吸をしてから二人の顔に視線を滑らす。こそばゆく、顔がにやけるのを止められない。そして簡潔に報告する。
「クリスとお付き合いすることになりましたわ」
「きゃ~! おめでとうございます!」
「当然ね」
それに対する二人の反応は対照的で、もろ手を挙げて喜ぶリズに対し、したり顔で頷くベロニカ。だが二人とも表情は和やかで喜んでくれているのが分かる。
「見守ってきた甲斐があったというものですよ! すばらしいエンドです。最高のストーリーですよ」
恋愛ものが大好きなリズはうっとりとエリーナの恋物語に想いを寄せる。
「いい作品が書けそうね。贔屓にしている作家にネタを提供しておくわ」
「絶対買います! さらに劇になれば最高ですね!」
「やめてください!」
エリーナの幸せを祝うはずが、あらぬ方向に話が流れたためエリーナは慌てて制止する。ベロニカならやりかねない。しかもできる伝手と実行力とお金がある。人、力、金がそろった人は恐ろしい。
「まぁ、それはおいおい詰めていくにして、本当に良かったわね。エリーナ」
「は、はい。もうその話は無かったことにしてくださいね?」
「エリーナ様ぁ、デートは? デートはしないんですか?」
ケーキを食べながら微笑むベロニカに、エリーナは希望を込めてそう返せば、隣に座るリズに腕を掴まれて揺らされる。まとまりなどなく、だがそれがいい。
リズの腕を振り払って、うるさいとわき腹をつつく。「ひゃぁ」と間抜けな声が上がった。
「まだそんな話はしていないわよ。昨日はあれから屋敷中の皆にバレて、祝賀会が開かれたんだから……」
夕食の時間になったので二人一緒に書斎から出たのだが、離れたところで待機していたサリーが一目見て首を傾げた。そこでは何も口にしなかったが、二人が気恥ずかしそうに目が合えば逸らすを繰り返して食事をしているのを見たとたん、給仕を忘れてあんぐりと口を開けたのだ。そこから「付き合い始めたんですか!」と叫び、二人が照れ臭そうに頷けば屋敷中に広まるのは早かった。
使用人がダイニングに押しかけ口々に祝福を述べ、料理人たちがめでたいと料理を追加してきた。さらに自前のお酒を持ってくるものが現れ、気づけば祝賀会になっていたのだ。二人の食事が一度中断し、使用人たちの常は別室で食べている食事が運びこまれて宴会となる。
これも規模があまり大きくなく、使用人との距離が近いローゼンディアナ家ならではだ。すぐに早馬が駆け、ローゼンディアナ家本邸にいる面々にも伝わり二人を昔から知る執事のエルディは泣いて喜んだという。
エリーナは昨晩の様子を思い返して、遠い目になる。ローゼンディアナ家の使用人たちは当主に似たのか行動力がありすぎる。
「すごい勢いで外堀が埋まっていきましたわ……」
「わぁ、すごい。私も参加したかったです」
「心配せずとも、すぐに社交界にも広まるからその上に教会が建つわよ」
自分の事のように喜んで幸せ顔のリズに、面白そうに追撃するベロニカ。そして三人はケーキを食べながら、話に花を咲かせていく。むろん、幸せいっぱいのエリーナへからかいを含んだ質問攻めだ。それでもエリーナは嬉しく、恥ずかしそうに顔を赤らめながらも自分の想いを正直に口にするのだった。
「ベロニカ様、リズ。ありがとうございます。二人が背中を押してくれたから、私は恋に向き合うことができましたわ」
「やっとここから始まったのよ。気を引き締めなさい」
いつだって、厳しくも温かく見守ってくれたベロニカ。
「私はエリーナ様が幸せなら嬉しいんです! この世界で生きましょうね!」
エリーナと近い立場で、全力で支えてくれたリズ。
「これからもよろしくお願いしますね」
照れ臭そうに微笑むエリーナに、二人は「もちろん」と笑顔を返すのだった。
そして週末、エリーナはクリスとともにオランドール家の夜会に出席したのだが、その帰りの馬車で少し疲れた表情のクリスがぼそりと呟いた。
「エリーって、ベロニカ様とリズに相当愛されてるんだね」
「え、うん。仲良くしているけど?」
ベロニカがクリスを連れて小部屋に入ったのは見ていたが、何を言われたのだろうか。
「僕も負けないようにしないとね」
そう力なく笑うクリスを見て、改めて親友たちの心強さを実感するのである。
テーブルにはケーキが置かれており、ベロニカが「お祝いよ」と昼休みに学食のシェフに頼んでいたのだ。チョコレートのケーキであり、甘みの後にほろ苦さがやってきて紅茶にもよく合う。リズがケーキを切り分け、お茶を淹れたところで二人の興味に輝いた目がエリーナに向けられた。そこまで期待されると、エリーナはなんだか話しにくい。
軽く咳払いをして、深呼吸をしてから二人の顔に視線を滑らす。こそばゆく、顔がにやけるのを止められない。そして簡潔に報告する。
「クリスとお付き合いすることになりましたわ」
「きゃ~! おめでとうございます!」
「当然ね」
それに対する二人の反応は対照的で、もろ手を挙げて喜ぶリズに対し、したり顔で頷くベロニカ。だが二人とも表情は和やかで喜んでくれているのが分かる。
「見守ってきた甲斐があったというものですよ! すばらしいエンドです。最高のストーリーですよ」
恋愛ものが大好きなリズはうっとりとエリーナの恋物語に想いを寄せる。
「いい作品が書けそうね。贔屓にしている作家にネタを提供しておくわ」
「絶対買います! さらに劇になれば最高ですね!」
「やめてください!」
エリーナの幸せを祝うはずが、あらぬ方向に話が流れたためエリーナは慌てて制止する。ベロニカならやりかねない。しかもできる伝手と実行力とお金がある。人、力、金がそろった人は恐ろしい。
「まぁ、それはおいおい詰めていくにして、本当に良かったわね。エリーナ」
「は、はい。もうその話は無かったことにしてくださいね?」
「エリーナ様ぁ、デートは? デートはしないんですか?」
ケーキを食べながら微笑むベロニカに、エリーナは希望を込めてそう返せば、隣に座るリズに腕を掴まれて揺らされる。まとまりなどなく、だがそれがいい。
リズの腕を振り払って、うるさいとわき腹をつつく。「ひゃぁ」と間抜けな声が上がった。
「まだそんな話はしていないわよ。昨日はあれから屋敷中の皆にバレて、祝賀会が開かれたんだから……」
夕食の時間になったので二人一緒に書斎から出たのだが、離れたところで待機していたサリーが一目見て首を傾げた。そこでは何も口にしなかったが、二人が気恥ずかしそうに目が合えば逸らすを繰り返して食事をしているのを見たとたん、給仕を忘れてあんぐりと口を開けたのだ。そこから「付き合い始めたんですか!」と叫び、二人が照れ臭そうに頷けば屋敷中に広まるのは早かった。
使用人がダイニングに押しかけ口々に祝福を述べ、料理人たちがめでたいと料理を追加してきた。さらに自前のお酒を持ってくるものが現れ、気づけば祝賀会になっていたのだ。二人の食事が一度中断し、使用人たちの常は別室で食べている食事が運びこまれて宴会となる。
これも規模があまり大きくなく、使用人との距離が近いローゼンディアナ家ならではだ。すぐに早馬が駆け、ローゼンディアナ家本邸にいる面々にも伝わり二人を昔から知る執事のエルディは泣いて喜んだという。
エリーナは昨晩の様子を思い返して、遠い目になる。ローゼンディアナ家の使用人たちは当主に似たのか行動力がありすぎる。
「すごい勢いで外堀が埋まっていきましたわ……」
「わぁ、すごい。私も参加したかったです」
「心配せずとも、すぐに社交界にも広まるからその上に教会が建つわよ」
自分の事のように喜んで幸せ顔のリズに、面白そうに追撃するベロニカ。そして三人はケーキを食べながら、話に花を咲かせていく。むろん、幸せいっぱいのエリーナへからかいを含んだ質問攻めだ。それでもエリーナは嬉しく、恥ずかしそうに顔を赤らめながらも自分の想いを正直に口にするのだった。
「ベロニカ様、リズ。ありがとうございます。二人が背中を押してくれたから、私は恋に向き合うことができましたわ」
「やっとここから始まったのよ。気を引き締めなさい」
いつだって、厳しくも温かく見守ってくれたベロニカ。
「私はエリーナ様が幸せなら嬉しいんです! この世界で生きましょうね!」
エリーナと近い立場で、全力で支えてくれたリズ。
「これからもよろしくお願いしますね」
照れ臭そうに微笑むエリーナに、二人は「もちろん」と笑顔を返すのだった。
そして週末、エリーナはクリスとともにオランドール家の夜会に出席したのだが、その帰りの馬車で少し疲れた表情のクリスがぼそりと呟いた。
「エリーって、ベロニカ様とリズに相当愛されてるんだね」
「え、うん。仲良くしているけど?」
ベロニカがクリスを連れて小部屋に入ったのは見ていたが、何を言われたのだろうか。
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そう力なく笑うクリスを見て、改めて親友たちの心強さを実感するのである。
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