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アスタリア王国編
184 みんなで幸せを分かち合いましょう
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ジークとベロニカの結婚披露宴は、豪華の一言だった。大広間はシャンデリアの一つ一つまで磨き上げられ、料理はラルフレアの最高傑作が並んでいる。貴族も王族も煌びやかな衣装に身を包み、圧倒される光景になっていた。
美しい調べが聞こえており、その中で人々は食事を楽しみ談笑する。お酒も最高級のものが振舞われ、クリスは一口飲んでおいしさに驚いていた。
そんな中エリーナがプリンの食べ比べをしていると、可愛い声が飛んでくる。
「エリーナ王女様~」
「プリン姫様~」
鈴のような声は、聞き捨てならない呼び名を口にしており、エリーナは目を丸くしてこちらに手を振って近づいてくる二人を振り返った。
「ローズ、リリー。大きくなったわね」
そこにはバレンティア公爵家の双子がいた。背が伸びており、小さなご令嬢だ。ピンクのドレスがローズで、水色のドレスがリリー。二人とも顔がよく似ていて、入れ代わっても気づかないだろう。
二人はエリーナを見上げ、目を輝かせる。
「お元気そうでよかったですわ。お姉様に合うプリンはございましたか?」
「プリンお姉様がいらっしゃるので、プリンの種類を増やされたんですよ」
姉と呼び慕ってくれるローズに、姉の前にプリンを付けているリリー。エリーナは薄い笑みを浮かべて、二人に問いかける。
「えぇとてもおいしいわ。それで、プリン姫って何ですの?」
うっすら分かっているが、違う答えが返ってくる可能性にかけて聞いてみる。それにはリリーが嬉しそうに答えてくれた。
「お姉様への愛称ですわ。お姉様の恋愛劇を描いた『プリン姫のとろける恋』は愛読書なんです」
「アスタリアの『プリン姫の冒険』も読みましたし、プリン姫人形も揃えましたのよ」
熱烈なファンになっている二人にエリーナは眩暈がする。隣で話を聞いていたクリスが肩を震わせて笑っていた。完全に他人事の上、この件に噛んでいるクリスのわき腹を小突く。
「あ、ありがとう」
それ以外の言葉は出なかった。そして二人がいるということは、その兄もいるわけで。
「ローズ、リリー。エリーナ様をあまり困らせるな」
遅れてルドルフが登場し、その隣にはしっかりネフィリアの姿もある。着々と攻略されつつ、攻略しているようだ。
「エリーナ様、本日はお会いできて光栄です」
「ご機嫌麗しく」
ルドルフとネフィリアから挨拶を受け、エリーナは二人に微笑みかける。
「順調のようで安心しましたわ」
その言葉にルドルフは不敵な笑みを返し、ネフィリアは頬を赤らめて視線を逸らす。どうやらルドルフが主導権を握り始めているようで、今後も目が離せないとエリーナの期待は高まる。にまにまとしていると、ローズがエリーナのドレスをくいくいと引いて、こそこそ話をしてきた。エリーナは少し屈んで耳を貸す。
「あのね、お兄様はネフィリアお姉様といると楽しそうなんです。ネフィリアお姉様は厳しいけど、いい人だから私たちも応援していますわ」
「それはいいわね。またお手紙でどうなったか教えてね」
「はい!」
そしてしばらく雑談し、四人がエリーナの下から離れればスッと顔なじみの二人が近づいて来た。貴族の中にいると少し違和感のある二人だ。
「クリス様、エリーナ様。いつもご贔屓くださりありがとうございます」
少し疲れた表情のカイルが二人に挨拶をし、隣でミシェルはじっとエリーナのドレスを見ていた。
「悔しいけどよく似あっていますね。帰って来たアイシャが自画自賛していましたが、これは納得の出来です」
顔と声に認めるのが嫌で、不服なのがありありとでている。それでも良いものは良いと言うのがミシェルだった。
「アイシャは素晴らしい腕よ。またお願いするわね。……それで、カイルさんは大丈夫?」
「心配してくれるなんて、エリーナ様はお優しい。ここ最近可愛い姫にかまってもらえない王子様の相手をしていたから、胃が痛くなりまして……」
カイルはここぞとばかりに笑顔でクリスの悪行を訴える。クリスが魔王の笑みを浮かべ、「後で覚えてろよ」とカイルを睨んでいるが、エリーナの顔が向いたとたん何事もない穏やかな笑みに切り替わった。その変貌を目の当たりにしたカイルとミシェルは寒気を感じる。
「クリス……友達は大切にしなきゃだめよ? カイルさんのおかげで色々助かっているんだから」
「さすがエリーナ様! よくお分かりで!」
「……そうだね。もっとカイルとは会う時間を多くして、大切にするから大丈夫だよ」
カイルからすれば全く大丈夫ではない。
「それに、他国の薬や薬草に特化した部署を作るから、いい胃薬が手に入るよ」
キラキラした笑顔を向けられたカイルはボソリと呟く。
「その心遣いを、胃痛の原因を取り去る方に向けてほしいんだけどなぁ」
「ん? 何か言った?」
「いえ……」
二人の関係性がよくわかるやり取りであり、それを含めて仲がいいのは分かっているので、エリーナはそれ以上何も言わない。最後にミシェルが軽く手を挙げて笑顔を見せた。
「じゃ、またアスタリアで。新作のプリンとプリン姫人形を進めておきますね~」
「ミシェル。人形はほどほどでお願いね!」
あの自分にそっくりな人形が貴族の子どもの中で人気が出るなど考えたくもない。
そして、他国の王族や高名な貴族と挨拶をし、談笑をする。アスタリアの王子、ラルフレアの王女としてしっかり顔をつないでおいた。挨拶の波が一度引いたところで、艶のある声が届く。
美しい調べが聞こえており、その中で人々は食事を楽しみ談笑する。お酒も最高級のものが振舞われ、クリスは一口飲んでおいしさに驚いていた。
そんな中エリーナがプリンの食べ比べをしていると、可愛い声が飛んでくる。
「エリーナ王女様~」
「プリン姫様~」
鈴のような声は、聞き捨てならない呼び名を口にしており、エリーナは目を丸くしてこちらに手を振って近づいてくる二人を振り返った。
「ローズ、リリー。大きくなったわね」
そこにはバレンティア公爵家の双子がいた。背が伸びており、小さなご令嬢だ。ピンクのドレスがローズで、水色のドレスがリリー。二人とも顔がよく似ていて、入れ代わっても気づかないだろう。
二人はエリーナを見上げ、目を輝かせる。
「お元気そうでよかったですわ。お姉様に合うプリンはございましたか?」
「プリンお姉様がいらっしゃるので、プリンの種類を増やされたんですよ」
姉と呼び慕ってくれるローズに、姉の前にプリンを付けているリリー。エリーナは薄い笑みを浮かべて、二人に問いかける。
「えぇとてもおいしいわ。それで、プリン姫って何ですの?」
うっすら分かっているが、違う答えが返ってくる可能性にかけて聞いてみる。それにはリリーが嬉しそうに答えてくれた。
「お姉様への愛称ですわ。お姉様の恋愛劇を描いた『プリン姫のとろける恋』は愛読書なんです」
「アスタリアの『プリン姫の冒険』も読みましたし、プリン姫人形も揃えましたのよ」
熱烈なファンになっている二人にエリーナは眩暈がする。隣で話を聞いていたクリスが肩を震わせて笑っていた。完全に他人事の上、この件に噛んでいるクリスのわき腹を小突く。
「あ、ありがとう」
それ以外の言葉は出なかった。そして二人がいるということは、その兄もいるわけで。
「ローズ、リリー。エリーナ様をあまり困らせるな」
遅れてルドルフが登場し、その隣にはしっかりネフィリアの姿もある。着々と攻略されつつ、攻略しているようだ。
「エリーナ様、本日はお会いできて光栄です」
「ご機嫌麗しく」
ルドルフとネフィリアから挨拶を受け、エリーナは二人に微笑みかける。
「順調のようで安心しましたわ」
その言葉にルドルフは不敵な笑みを返し、ネフィリアは頬を赤らめて視線を逸らす。どうやらルドルフが主導権を握り始めているようで、今後も目が離せないとエリーナの期待は高まる。にまにまとしていると、ローズがエリーナのドレスをくいくいと引いて、こそこそ話をしてきた。エリーナは少し屈んで耳を貸す。
「あのね、お兄様はネフィリアお姉様といると楽しそうなんです。ネフィリアお姉様は厳しいけど、いい人だから私たちも応援していますわ」
「それはいいわね。またお手紙でどうなったか教えてね」
「はい!」
そしてしばらく雑談し、四人がエリーナの下から離れればスッと顔なじみの二人が近づいて来た。貴族の中にいると少し違和感のある二人だ。
「クリス様、エリーナ様。いつもご贔屓くださりありがとうございます」
少し疲れた表情のカイルが二人に挨拶をし、隣でミシェルはじっとエリーナのドレスを見ていた。
「悔しいけどよく似あっていますね。帰って来たアイシャが自画自賛していましたが、これは納得の出来です」
顔と声に認めるのが嫌で、不服なのがありありとでている。それでも良いものは良いと言うのがミシェルだった。
「アイシャは素晴らしい腕よ。またお願いするわね。……それで、カイルさんは大丈夫?」
「心配してくれるなんて、エリーナ様はお優しい。ここ最近可愛い姫にかまってもらえない王子様の相手をしていたから、胃が痛くなりまして……」
カイルはここぞとばかりに笑顔でクリスの悪行を訴える。クリスが魔王の笑みを浮かべ、「後で覚えてろよ」とカイルを睨んでいるが、エリーナの顔が向いたとたん何事もない穏やかな笑みに切り替わった。その変貌を目の当たりにしたカイルとミシェルは寒気を感じる。
「クリス……友達は大切にしなきゃだめよ? カイルさんのおかげで色々助かっているんだから」
「さすがエリーナ様! よくお分かりで!」
「……そうだね。もっとカイルとは会う時間を多くして、大切にするから大丈夫だよ」
カイルからすれば全く大丈夫ではない。
「それに、他国の薬や薬草に特化した部署を作るから、いい胃薬が手に入るよ」
キラキラした笑顔を向けられたカイルはボソリと呟く。
「その心遣いを、胃痛の原因を取り去る方に向けてほしいんだけどなぁ」
「ん? 何か言った?」
「いえ……」
二人の関係性がよくわかるやり取りであり、それを含めて仲がいいのは分かっているので、エリーナはそれ以上何も言わない。最後にミシェルが軽く手を挙げて笑顔を見せた。
「じゃ、またアスタリアで。新作のプリンとプリン姫人形を進めておきますね~」
「ミシェル。人形はほどほどでお願いね!」
あの自分にそっくりな人形が貴族の子どもの中で人気が出るなど考えたくもない。
そして、他国の王族や高名な貴族と挨拶をし、談笑をする。アスタリアの王子、ラルフレアの王女としてしっかり顔をつないでおいた。挨拶の波が一度引いたところで、艶のある声が届く。
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