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アスタリア王国編
183 結婚の祝福をいたしましょう
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ナディヤの件が上手く解決してから一週間後。エリーナはクリスとともにラルフレアに戻っていた。ベロニカの結婚式が行われるからだ。久しぶりのローゼンディアナ家で羽を伸ばし、朝からエステを受けている。今日の昼から結婚式が行われるのだ。リズたちによって磨き上げられ、エリーナはうきうきと心を弾ませる。アイシャによって仕立て上げられたドレスを身に着ければ、その本人が目を輝かせていた。
「最高です! 私のドレスを着ていただけるなんて、生きててよかった!」
そしてこのドレスに込めた想いと素材の良さについてまくし立てながら、ドレスの微調整をしていく。ドレスは淡いラベンダー色で、大人っぽい顔立ちになったエリーナに合うようにフリルは少なめに、チュールの重なりと散りばめられたダイヤモンドの輝きが豪奢だった。腰には紅い薔薇のコサージュがつけられ、全体を引き締めている。耳元と胸元の大粒のアメジストは、もはやエリーナの代名詞と言えるものだ。
ドレスの調整が終わり、化粧をする番になってもアイシャはじっとエリーナを見つめていた。
「そのままでも美しいエリーナ様が、お化粧でさらに磨かれていく……そうだわ。次のプリン姫人形はお化粧ができるようにしましょう」
「……あまりわたくしに似せないでね。クリスが複雑そうな顔で人形を見つめるから」
ラルフレアで人気の『プリン姫のとろける恋』とアスタリアで人気の『プリン姫の冒険』のキャラをもとにした人形はすでに売られていた。貴族の子ども向きの愛玩用人形なのだが、見た目がエリーナそっくりで自分で見ていても微妙な気持ちになる。
「うふふ。プリン姫なので大丈夫です!」
「何が大丈夫なのか、まったくわからないわ」
アイシャは自分が気に入ったものに対してとことんのめり込むタイプであり、その才能を違う方面で発揮してほしいと願うエリーナだ。
「あ、ミシェルさんはカイルさんと結婚披露宴に出席するって言ってました」
「そうなのね。楽しみにしているわ」
そして時間が来たのでクリスが迎えに来、ひととおり賛辞をもらってから、馬車で王宮へと向かう。クリスは紫がかった紺色のタキシードを着て、エリーナがあげたブローチを付けていた。ルビーとアメジストが嵌ったブローチを見ていると、ラルフレアでの濃い日々が思い出されてエリーナの胸は温かくなった。
「エリー。楽しみだね」
「えぇ、ベロニカ様の晴れ姿。目に焼き付けるわ」
そしておしゃべりをしていればすぐに王宮に着き、少し懐かしさを感じながら衛兵に案内されて式場へと向かう。エリーナは親友であり、王女でもあるので、特等席が用意されていた。謁見の間は教会に様変わりしており、奥には司教の姿がある。政治に宗教色が強くないこの国では、宗教を意識するのは結婚式や葬儀の時ぐらいだった。
リズに言わせれば、ゲームの世界だから宗教色が弱いらしい。マルクと一緒になってあちらの世界の歴史と宗教を話してくれたが、エリーナはあまり興味が湧かなかったので記憶に残っていない。
ぞくぞくと貴族たちが集まっており、シルヴィオ、シャーロットを始めとする関係国の王族も招かれていた。シルヴィオの隣でナディヤが小さくなっており、目が合ったので堂々としなさいと伝える。シャーロットの隣は安定のエドガーだ。
ほどなく大臣の一人が定刻を告げ、静寂が訪れたのちに盛大なファンファーレが鳴り響いた。重厚な音に包まれ、開け放たれた扉から主役の二人が歩いてくる。真っ白のウェディングドレスを着たベロニカの姿が目に入った途端、感動が押し寄せる。腕を組んで歩いているジークはいぶし銀の光沢のあるタキシードを着ていて、銀色の髪がよく映えていた。
盛大な拍手で迎えられ、二人は司教の前へと進む。
(ベロニカ様幸せそう! 笑ってるわ! きゃぁ、こっちを見てくれた!)
ベロニカは柔らかな表情で笑っており、幸せが滲み出ていた。エリーナまで頬が緩んでしまう。早くも視界が涙で滲んできた。クリスがすっとハンカチを出し、エリーナはそれで眦を押さえる。少しベロニカが驚いた顔をした気がした。
二人は司教の前で愛を誓い、婚姻書類にサインをする。それは劇のワンシーンのように美しく、エリーナはハンカチを手放せなかった。
そして誓いのキスが交わされ、エリーナは感動のあまり涙を抑えられない。歓声が一際大きくなり、ベロニカが少し照れた表情をしているのが可愛かった。
(ベロニカ様……素敵)
クリスがやさしく抱き寄せてくれて、エリーナは体をクリスに預けた。ベロニカと目が合えば呆れた顔を向けられる。それでも、幸せな想いが溢れて拍手を送っていた。二人が国民への顔見せのためにバルコニーへ出てれば、喝采が沸き立ち謁見の間に轟く。国が揺れているのではないかと思うほどの音量だ。
「本当に、幸せそう」
涙に濡れたエリーナが鼻をすすれば、クリスが優しく頭を撫でて囁く。
「そうだね。そして、次はエリーが幸せになる番だよ」
色気のある微笑に心臓が跳ねて、頬が赤くなる。いまだに心臓に悪い。
そして国民へのお披露目も終わり、休憩を挟めば結婚披露宴の始まりである。
「最高です! 私のドレスを着ていただけるなんて、生きててよかった!」
そしてこのドレスに込めた想いと素材の良さについてまくし立てながら、ドレスの微調整をしていく。ドレスは淡いラベンダー色で、大人っぽい顔立ちになったエリーナに合うようにフリルは少なめに、チュールの重なりと散りばめられたダイヤモンドの輝きが豪奢だった。腰には紅い薔薇のコサージュがつけられ、全体を引き締めている。耳元と胸元の大粒のアメジストは、もはやエリーナの代名詞と言えるものだ。
ドレスの調整が終わり、化粧をする番になってもアイシャはじっとエリーナを見つめていた。
「そのままでも美しいエリーナ様が、お化粧でさらに磨かれていく……そうだわ。次のプリン姫人形はお化粧ができるようにしましょう」
「……あまりわたくしに似せないでね。クリスが複雑そうな顔で人形を見つめるから」
ラルフレアで人気の『プリン姫のとろける恋』とアスタリアで人気の『プリン姫の冒険』のキャラをもとにした人形はすでに売られていた。貴族の子ども向きの愛玩用人形なのだが、見た目がエリーナそっくりで自分で見ていても微妙な気持ちになる。
「うふふ。プリン姫なので大丈夫です!」
「何が大丈夫なのか、まったくわからないわ」
アイシャは自分が気に入ったものに対してとことんのめり込むタイプであり、その才能を違う方面で発揮してほしいと願うエリーナだ。
「あ、ミシェルさんはカイルさんと結婚披露宴に出席するって言ってました」
「そうなのね。楽しみにしているわ」
そして時間が来たのでクリスが迎えに来、ひととおり賛辞をもらってから、馬車で王宮へと向かう。クリスは紫がかった紺色のタキシードを着て、エリーナがあげたブローチを付けていた。ルビーとアメジストが嵌ったブローチを見ていると、ラルフレアでの濃い日々が思い出されてエリーナの胸は温かくなった。
「エリー。楽しみだね」
「えぇ、ベロニカ様の晴れ姿。目に焼き付けるわ」
そしておしゃべりをしていればすぐに王宮に着き、少し懐かしさを感じながら衛兵に案内されて式場へと向かう。エリーナは親友であり、王女でもあるので、特等席が用意されていた。謁見の間は教会に様変わりしており、奥には司教の姿がある。政治に宗教色が強くないこの国では、宗教を意識するのは結婚式や葬儀の時ぐらいだった。
リズに言わせれば、ゲームの世界だから宗教色が弱いらしい。マルクと一緒になってあちらの世界の歴史と宗教を話してくれたが、エリーナはあまり興味が湧かなかったので記憶に残っていない。
ぞくぞくと貴族たちが集まっており、シルヴィオ、シャーロットを始めとする関係国の王族も招かれていた。シルヴィオの隣でナディヤが小さくなっており、目が合ったので堂々としなさいと伝える。シャーロットの隣は安定のエドガーだ。
ほどなく大臣の一人が定刻を告げ、静寂が訪れたのちに盛大なファンファーレが鳴り響いた。重厚な音に包まれ、開け放たれた扉から主役の二人が歩いてくる。真っ白のウェディングドレスを着たベロニカの姿が目に入った途端、感動が押し寄せる。腕を組んで歩いているジークはいぶし銀の光沢のあるタキシードを着ていて、銀色の髪がよく映えていた。
盛大な拍手で迎えられ、二人は司教の前へと進む。
(ベロニカ様幸せそう! 笑ってるわ! きゃぁ、こっちを見てくれた!)
ベロニカは柔らかな表情で笑っており、幸せが滲み出ていた。エリーナまで頬が緩んでしまう。早くも視界が涙で滲んできた。クリスがすっとハンカチを出し、エリーナはそれで眦を押さえる。少しベロニカが驚いた顔をした気がした。
二人は司教の前で愛を誓い、婚姻書類にサインをする。それは劇のワンシーンのように美しく、エリーナはハンカチを手放せなかった。
そして誓いのキスが交わされ、エリーナは感動のあまり涙を抑えられない。歓声が一際大きくなり、ベロニカが少し照れた表情をしているのが可愛かった。
(ベロニカ様……素敵)
クリスがやさしく抱き寄せてくれて、エリーナは体をクリスに預けた。ベロニカと目が合えば呆れた顔を向けられる。それでも、幸せな想いが溢れて拍手を送っていた。二人が国民への顔見せのためにバルコニーへ出てれば、喝采が沸き立ち謁見の間に轟く。国が揺れているのではないかと思うほどの音量だ。
「本当に、幸せそう」
涙に濡れたエリーナが鼻をすすれば、クリスが優しく頭を撫でて囁く。
「そうだね。そして、次はエリーが幸せになる番だよ」
色気のある微笑に心臓が跳ねて、頬が赤くなる。いまだに心臓に悪い。
そして国民へのお披露目も終わり、休憩を挟めば結婚披露宴の始まりである。
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