地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!

楓乃めーぷる

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第一章 太陽の王子様と氷の王子様

16.おすすめのお食事処

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 社長が連れてきてくれたお店はまたまたすごかった。
 目の前に大きな鉄板があって、その鉄板で四方を囲んでいるんだけどその四方の真ん中に焼いてくれるシェフがいる。

 私たちの目の前で高級なお肉を焼いてくれて、他にも新鮮なお野菜も今まさに焼いてくれていた。

「……美味しい」
「風音ちゃん、絶句してるわね。分かるわ。私も驚いているもの。こんな美味しいとろけるお肉は初めて」
「でしょう? この目の前で焼いてくれるがたまらないんだよね。口の中でとろけてなくなってしまう。そして、夢のようにあっという間に食べてしまう」
「A5ランクの肉ばかりならば自然とそうなる。この店は特に計算しつくされた部位が出てくるから常に美味しくいただくことができるな」

 氷室さんは相変わらず理屈っぽい。
 美味しいものくらい笑顔で食べればいいのに、静かすぎるくらい冷静にナイフとフォークを上品に使いこなして黙々と食べていた。

「うふふ。もっとたくさん食べたくなっちゃうわね」
「ですね! これが食べ放題だったらいいのになー」
「んー……出来なくはないけどね。ことりちゃんは食べる量普通っぽいし」
「そういう食べ方をする場ではないだろう。折角こういう場所に来たのだから、テーブルマナーについても観察しておくべきだ」

 美味しいものを食べる時までそんなこと考えろだなんて。
 私、与えられた課題は必死にこなしているのに本当に鬼!
 氷鬼!

「はい、そうですね。どうぞ見本を見せてください」
「見本というものでもない。これくらい自然と身に着けてもらわなくては困る」
「自然と身につく? そんな訳ないでしょう。私は裕福なお家に住んだこともないので分かりません」

 パクリと一口大に切られたお肉を食べる。
 このお肉だけだったらお腹いっぱいになるまで食べたくなる。
 それくらいお肉がふわっと口の中でなくなってしまう。

「だからと言ってマナーがある、なし、で大分印象も変わってしまうからな。所作が綺麗だと会社での評価も外での評価もすぐに変わってくる」
「まあそれは。そうかもしれませんけど、今、一応プライベートのお時間なので、がんじがらめだと美味しいものも美味しくたべられなくなっちゃう可能性がありますから」
「そうそう。今日は僕のおごりなんだからまずは何も考えないで美味しく食べて欲しい」
「丁寧に食べていれば、そこまでどうのこうのと言われたりされないはずよ」

  ご飯もゆっくり食べられないのは困っちゃうから、今は考えることをやめて美味しいものを堪能することにする。
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