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第二章 社長のための期間限定パートナー
30.帰り道に
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氷室さんの行きつけのラーメン屋さんは、女性も食べに来ていて店内も小綺麗な入りやすいお店だった。
一番人気のラーメンはクリアな透明なスープの塩ラーメンで、さっぱりと食べられたのでとても美味しかった。
何故か社長が奢ると言い出して、私の分も氷室さんの分まで払ってしまった。
氷室さんもお金を出そうとしていたのだけど、お前は取っておいてと釘を差されていた。
この後もどこか行くつもりなのかな?
「ごちそうになってしまって……ありがとうございます」
「いいのいいの! ラーメン最近食べてなかったし、美味かったよね。何ならこの後も少し飲みに行きたいくらいだけど……って、ごめん。母さんから呼び出しくらった。俺も話を聞いてくる」
社長がスマホの画面を確認して、私に軽く手を立てて謝ってくる。
私も釣られたように顔の前で手をフリフリと振って返す。
「行ってください。私、このまま帰りますから」
「うん、ごめんね。秦弥、ことりちゃんを送っていってあげて」
「お前、何言って……」
社長は通りがかったタクシーをさっと捕まえて、嵐のように去っていってしまう。
取り残された私と氷室さんは少し呆然と佇んでいたけど、諦めた氷室さんが私に視線を落とす。
「小鳥さんの家はここから遠いのか?」
「いえ、ここから最寄り駅まで二十分なので電車に乗ってしまえば大丈夫です」
「そうか。では行こうか」
「行こうかって……もしかして社長の言ったことを本気にしているんですか? 大丈夫ですよ、氷室さんは私とは逆方向ですよね?」
私が言い繕っても氷室さんは無言だ。
いや、せめて何か言って欲しいんですけど。
「で、方角はこちらであっているか?」
「あってますけど……いえ、もうややこしくなりそうなので、お願いします」
社長……何で氷室さんに頼んだりしたんだろう?
謎すぎる……。
私が考え込んでいると、私に歩幅を合わせてくれていたらしい氷室さんがちらりと私を見る。
「小鳥さんは今まで生きてきて寂しいと思ったことはないのか? ……いや、すまない。答えたくなかったら、気にしないでくれ」
「別に気にしてないので大丈夫ですよ? もしかして私のことを凄く心配してくれてます? 確かに出生のことを知るのはドキドキしますけど、園長先生は優しくて大好きだからまた会えるんだと思ったら嬉しいし。子どもの頃は寂しいって気持ちもありましたけど、大人になってからは全然」
「そうか。君は強い女性なのだな」
「そうでしょうか? 氷室さんほどではないですけど」
ゆっくりと歩いてくれるおかげで、足並みが揃う。
外はすっかり夜になっているし、家に帰ろうとしている人たちが急ぎ足で通りを抜けていく。
一番人気のラーメンはクリアな透明なスープの塩ラーメンで、さっぱりと食べられたのでとても美味しかった。
何故か社長が奢ると言い出して、私の分も氷室さんの分まで払ってしまった。
氷室さんもお金を出そうとしていたのだけど、お前は取っておいてと釘を差されていた。
この後もどこか行くつもりなのかな?
「ごちそうになってしまって……ありがとうございます」
「いいのいいの! ラーメン最近食べてなかったし、美味かったよね。何ならこの後も少し飲みに行きたいくらいだけど……って、ごめん。母さんから呼び出しくらった。俺も話を聞いてくる」
社長がスマホの画面を確認して、私に軽く手を立てて謝ってくる。
私も釣られたように顔の前で手をフリフリと振って返す。
「行ってください。私、このまま帰りますから」
「うん、ごめんね。秦弥、ことりちゃんを送っていってあげて」
「お前、何言って……」
社長は通りがかったタクシーをさっと捕まえて、嵐のように去っていってしまう。
取り残された私と氷室さんは少し呆然と佇んでいたけど、諦めた氷室さんが私に視線を落とす。
「小鳥さんの家はここから遠いのか?」
「いえ、ここから最寄り駅まで二十分なので電車に乗ってしまえば大丈夫です」
「そうか。では行こうか」
「行こうかって……もしかして社長の言ったことを本気にしているんですか? 大丈夫ですよ、氷室さんは私とは逆方向ですよね?」
私が言い繕っても氷室さんは無言だ。
いや、せめて何か言って欲しいんですけど。
「で、方角はこちらであっているか?」
「あってますけど……いえ、もうややこしくなりそうなので、お願いします」
社長……何で氷室さんに頼んだりしたんだろう?
謎すぎる……。
私が考え込んでいると、私に歩幅を合わせてくれていたらしい氷室さんがちらりと私を見る。
「小鳥さんは今まで生きてきて寂しいと思ったことはないのか? ……いや、すまない。答えたくなかったら、気にしないでくれ」
「別に気にしてないので大丈夫ですよ? もしかして私のことを凄く心配してくれてます? 確かに出生のことを知るのはドキドキしますけど、園長先生は優しくて大好きだからまた会えるんだと思ったら嬉しいし。子どもの頃は寂しいって気持ちもありましたけど、大人になってからは全然」
「そうか。君は強い女性なのだな」
「そうでしょうか? 氷室さんほどではないですけど」
ゆっくりと歩いてくれるおかげで、足並みが揃う。
外はすっかり夜になっているし、家に帰ろうとしている人たちが急ぎ足で通りを抜けていく。
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